資本会社法(以下「LSC」)第363条は、以下に該当するような場合には、会社は解散しなければならないと定めている。

  • 1年以上の間、会社の目的を構成する活動が停止状態である場合。
  • 会社の目的である事業が終了した場合。
  • 会社の目的を達成することが不可能となった場合。
  • 会社の経営組織が麻痺状態にある場合
  • 会社の純資産額が資本金の半分以下になる損失を出している場合
  • 資本金が法定金額を下回った場合
  • 会社の出資持分(S.L.の場合)または無議決権株式の額面価額が払込み資本額の半分を超え、2年以内の回復が見込めない場合
  • あるいはその他定款に定められた事由による場合。

したがって、会社が上記いずれかの状態に陥った場合、株主は、取締役が招集する株主総会の決議を通じて、会社を解散させなければならない。株主総会が招集されない場合、取締役は、LSC第366条にその義務が制定されている通りに、裁判所における会社の解散手続き(支払い不能状態の場合には倒産手続きの開始)を早急に申し立てなければならない。この解散手続きを実行しなかった場合、LSC第367条に規定されている通り、法定解散事由の発生以降に生じた全ての事項において、会社取締役の連帯責任を追及できるとしている。

以前は、法定解散事由前後に発生した事項 についての責任が問われたため(2005年法第19号)、会社の解散をしないことで第三者に与えうる損害を緩和するための適切な措置が講じられていれば、裁判所は取締役の責任を免除・軽減することができた。このような取締役の責任緩和に関する事例として、2008年11月20日、2009年6月1日及び2010年2月12日の最高裁判所判決を挙げることができる。

しかしながら、例え取締役等がとった措置が適切であったとしても、2017年1月18日付最高裁判所判決第27号が示すように、必ずしも彼らの責任が免除・軽減されるとは限らない。当該判決の中で、最高裁判所は事実関係を以下のように展開した。

  • 会社は、2008年度決算を損失で終えたものの、その純資産額が資本金の半分以下になることは免れた。
  • それに続いて、2009年度末には同社は大きな負債を抱えることとなった。他方、その年の年次計算書類を商業登記所に提出しなかった。これは、後述する特筆すべき理由である。
  • 2010年初頭、当該会社が第一回整理解雇案を提出した。 その後、全従業員の雇用契約の解除を求めるEREを申請し、2010年5月に承認された。
  • 続いて、同社は資産と負債の譲渡を行い、譲渡に関する公正証書には300万ユーロに及ぶ社会的義務が明らかになった。

債権者は同社に対し、純資産額を資本金の半分以下に減少させた損失による解散義務に基づき、取締役の責任追及するための訴えを第一審に提起した。第一審判決は、2009年度計算書類の登録義務不履行のために、2009年の時点で解散事由に値する状態にあったと推測するには十分な証拠がないとの見解を示した。

本件において会社側は、取締役は会社解散に関する手続きを進めなかったものの、財務状況を改善するための適切な措置をとったとして、前記の最高裁判例の判示するところとの整合性を求めて特別上告を申し立てため、本件は最高裁で判断されることとなった。

倒産債務者である会社が実務に提起した問題は、同社が解散を促進しなかったことが証明され、かつ、第三者に対しては経済危機を緩和するための行動をとったと証明できた場合、取締役等の責任を免除・軽減できるかどうかである。
最高裁は、 そのすべてにおいて会社の消滅にむけての準備と評価できるような場合には、当該会社の取った措置が解散義務の省略を正当化するものとはいえないとし、その請求を棄却した。当該軽減例は、最高裁の判決に見られるように、例外的な状況のみで適用されるべきである。

 

 

エステル・ウゴ (Hugo Ester)

ヴィラ法律事務所

 

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2017年3月31日