去る7月25日、2015年7月24日付法第24号特許法が公示された。本法律は現行制度を全体的に見直し、1986年に制定された現行法を全面的に改正するものである。

基本的な目的は、国際法制の改正や現状に即して法をアップデートし、国際法制の規定に準ずる内容とすること、及び、スペイン経済及びスペイン企業の競争力を高めるための軸としてイノベーションの役割を強める目的で、強固な特許を創出しスペインの特許体制をより強化することである。

以下に主な改正点を列記する。

1. 申請手数料の減額及び手続きの迅速化

新法では、起業家及び中小企業が特許を申請する際の申請手数料や特許検索手数料を50%減額する。さらにその他の行政手数料を引き下げ、特許取得に向けた手続きを容易にすることを図る。

2. 新規性及び発明活動の審査手続きの単一化

新法は、事前審査なしの特許取得ができる現行制度を廃止し、職権で申請された特許の新規性及び発明行為の審査を行う単一手続きを新たに設けることで、EU 特許条約に即する形でスペインの特許制度を構築し、スペイン特許を強固かつ格式あるものとする。これにより、「強い特許」と「弱い特許」が共存する現状を打破する。

3. 特許可能となる新物質の追加

医薬品や新しい治療方法の適用に使用されていることが既に知られている物質または合成物を特許対象に含む。ただし、野菜、動物、生物学的一連の処置及び外科または治療手術の方法は除く。

4. 特許補完証明書(Certificados Complementarios de Protección)の申請及び取得に関する規定の整備

新法では、特許の保護証書のなかでも、特許補完証明書(Certificados Complementarios de Protección)を明確に導入する。この証明書は医薬品または植物衛生品にかかる特許の保護期間を5年間延長する証書であり、特許権者が商品化のための義務的許認可を受けるまで待機することを理由に、 自身の特許の目的を開発することができない期間を補償する効果をもつ。

5. 義務的ライセンスにかかる新規定

公共の利益のために特許権者がライセンスを取得する義務を負うような特許(例えば公共衛生に問題があるような国での開発用の医薬品の製造にかかる特許)に関する義務的ライセンスにかかる規定を簡素化する。

6. 実用新案(los modelos de utilidad)についての重要な変更(世界的な改正)

新法では、実用新案に関する現行制度を改正し、実用新案権によって保護される発明のために世界的に要請されているところに従い、特許に類する制度を設ける。スペインにおける近時の判例で示された内容に従い、現行法で定められる新規性の要件を国内に限って修正する。

発明行為については、発明行為の正当性を強くは要請しない1986年特許法の制度を維持し、当該発明が技術的に 当該分野の専門家にとって非常に明らかな方法であると判断されない場合には、実用新案権が認められる。

本法律の施行日は2017年4月1日である。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2015年8月18日