2019年9月11日付最高裁判決において、2019年3月26日付欧州高等司法裁判所判決及び2019年7月3日付欧州司法裁判所決定を受けて、担保付ローンの期日前弁済条項の無効が言い渡された。
担保付ローン契約における期限前の弁済条項に関し、欧州司法裁判所は上記判決において以下の通り言い渡した。
消費者との間で締結された契約における不当な条項は、不当とされる部分が抹消されるため、抹消により条項の重要な内容に変更をきたすために原則無効とされるべきであるため、部分的に存続することができないことに配慮する必要がある。問題となるのは、当該条項が契約の重要な性質を形成する場合、当該契約自体が無効となる場合がある点である。
2007年12月10日付第1331 /2007号最高裁判決において、「担保による保証がされた債権は、担保物権に含まれるものと理解されるため、通常の債権ではなく、したがって、法的には異なる取り扱いがなされる。」との宣言がされた。つまり、普通ローンではなく、当該物権によって債権者に与えられる債権の行使の保証を強化するため、特別な性質を有するものである。したがって、仮に長期担保付ローン契約において、債権額を満足させるために債権者に与えられる、被担保物の売却を強制する権利(民法第1858条)という担保権の本質的な権限が制限される場合、保証は変質してその意味を失い、故に契約は無効となる。
仮に契約が無効とされた場合、残債務全額の返済義務や担保権の執行のために法的に予見可能な利益の喪失など、消費者に対し有害な結果が生じる。
このような結果を回避するために、欧州司法裁判所は、2013年の法第1/2013号による改正後の民事訴訟法第693条第2項(2013年改正)を参考にして、裁判所が不当条項を早期弁済条項を認める法規定に差し替え又は統合することを認めた。しかし、最高裁は、担保により保証された消費者へのローンや居住用不動産購入を目的とするローンについては、2019年3月15日付法第5/2019号不動産ローン契約法(以下「LCCI」)を考慮することが適当とした。当該法第24条は強行規定であり、それぞれのケース、又当該条文の詳細によるものの、債権者による契約解除に必要な未払い期間の回数を1度(2013年改正前の第693条第2項)又は3ヶ月(2013年法による規定)から12ヶ月又は15ヶ月へと増やす規定であるため、消費者に有益な内容となっているからである。
つまり、各個別ケースにおける債権者の期日前弁済権限の行使の正当性評価は、以下の一連の要素を考慮に入れつつ、担当裁判官の裁量に任される:基本的性質、義務の不履行自体ではなくその大きさと関連する不履行の重要性、契約期間の長さ、消費者による債務不履行回避の可能性。
最後に、権利濫用により不当として無効が言い渡された条項に基づき行われた担保権の行使手続きのための前述の事項の実務的取り扱いに関し、取得者に占有移転がなされていない場合、以下のガイドラインが示される。
- 法第1/2013号の施行前に弁済期を迎えたローンについては更なる手続きを行わず、停止しなければいけない
- 当該ローンの弁済期日が上記法律の制定後の場合、以下のように区別しなければならない。
- 債務者による不履行が、基準指針としてLCCI第24条に配慮し、重要性要件及び比較要件を満たさない場合、当該手続きは停止されるべきである。
- 債務者による不履行が、LCCIの予定する重要性に合致する場合は、当該手続きを進行することができる。
マデロ・ハイメ (Jaime Madero)
ヴィラ法律事務所
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2019年9月27日