スペイン登記・公証局は2019年7月23日付決定において、マラガの商業及び動産第三登記官による登記拒否に対する不服申立に関し、ある会社の株主総会により採決された特定の決議登記を認めた。
本決定の興味深い点は、株主総会議案に記載ないながらも株主75%の賛成票により採択された共同代表取締役の解任合意である。本決定を分析するためには、スペイン会社資本法第223条「議案にその記載がない場合でも、株主総会においていつでも取締職を解くことができる」を留意する必要がある。
また、本件会社の定款は以下を規定している。
「取締役は期間の定めなくその職務を遂行するものとする。ただし、株主総会によっていつでも解任することを可能とする」
取締役の解任に関する前述の2条項から、我々は次の結論を導くことができる。
- 株主総会において、常に解任可能である。
- 株主総会議案に議案として記載する必要はない。
しかし、本件株主総会は上記2条項の拡大解釈をし、共同代表取締役の解任後に新たな共同代表取締役を選任するのではなく、一人取締役会社への組織変更を推進したのである。
そこで本決定は、会社におけるトップ不在、若しくは会社機能の停止を避ける目的で、会社資本法第223条及び、本会社の定款第13条の解釈は、取締役解任及び選任の許諾に関する規定であり、株主総会議案に記載ない場合は会社組織変更に適用されないとしたマラガの登記官の判断を妥当であるとした。
結論として、株主は取締役を解任し新たな取締役を選任することができる一方で、株主総会議案に記載のない場合は、会社組織の変更を行う権限はないとした。(1955年10月19日付決定及び2015年3月6日付決定も上記判断と同様の解釈による。)
ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)
ヴィラ法律事務所
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2019年10月18日