2019年7月26日付官報において、スペイン登記・公証局は、2019年7月3日付決定を公示した。当該決定は、商号予約にかかる中央商業登記所第IIIの登記官が発行した商号予約の不認可に対してなされた異議申し立てに起因するものだった。本件においては、ある個人が中央商業登記所に対して提出した「Grupo Juinsa, Sociedad Limitada」での商号予約申請が中央商業登記官によって否認された。
申請が否認された主な理由は、既に「Junsa, S.L.」「Junisa Sociedad Anónima」「Juin, Sociedad Anónima」及び「Joinsa, S.A.」という商号が存在すること、すなわち同一商号の存在が認められることであった。
これに対し、商号予約申請者は異議申し立てを行った。
商号の同一性の判断に関し、登記・公証局は、忘れてはならないのは、商号が同一であるときの評価は、一定の安全マージンをもって、特定の法律関係における責任者に従い、評価されるということであると説明した。このため、もし、規定されている基準の解釈(特に、「包括的または付随的な」用語又は表現、意味の不足する記号や接頭辞、明白な発音の類似性といった、大幅な不確定という言葉で覆われた概念についての解釈)が制限的に行われる理由がないのであれば、大幅な緩い解釈や商業登記規則第408条に含まれる基準の2つ以上を同時に適用することを検討する余地もない。この難しいバランスにおいて、商号の同一性の評価がなされなければならず、それら規則の解釈及び適用は、目的論基準に従って、各事案の状況に応じてなされなければならない。
上記の検討を鑑み、本件の問題は申請された商号と登記官によって示された登録済み商号との間に、登記官の申請却下を正当化するに足りる本質的な同一性の存在が認められるかという点に集中する。これには登記済み商号との関係で個別に検討が必要となる。
申請されたJuinsaという商号に含まれる文字列は、登記済商号に含まれるJunsa、Junisa、Joinsaと、少なくとも「Juin」という文字列の類似性が認められるが、類似性はあるものの、全く同一の文字列ではないため、違うものであると識別することができる。それらの間に、識別可能な要素が存在する。文字列に含まれる文法的及び発音的な違いは、それらが明白に区別可能な商号であるかについて、法的識別性の存在という観点から検討されると帰結するのは明らかである。
結果として、登記・公証局は本件異議申し立てを認め、登記官の決定を取り消した。
露木美加
ヴィラ法律事務所
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2019年10月11日