去る2018年2月8日、法務省は2018年の年次規制計画に含まれる予定である、企業秘密に関する法の法案を提出した。当該法案は、未公開の技術・ビジネス情報の保護に関する2016年6月8日の欧州議会および理事会の指令第2016/943号を、スペイン国内法に適用したものである。
本法案制定の理由によれば、企業の競争力は、技術革新の適用・実施、および企業秘密の安全な保持に基づいている。後者の保護が確かであることは、企業の技術革新の価値を高め、不正流用の危険を軽減することに貢献する。この状況において、企業の競争力を管理し、企業秘密の違法な取得、使用、開示から確実に保護することは、国の競争力を高めるための重要課題である、としている。
本法案第1条によると、本法律の目的は企業秘密の保護とされ、企業秘密には「技術・産業・商業・組織・財務上、会社に関連するいかなる情報」と言ったような広範な定義がされている。企業秘密に該当するためには、以下の要件を満たしていなければならない。
- 秘匿であること。つまり、この種の情報を扱う環境において一般的に知らしめられていないこと。あるいは簡単にはアクセスできないこと。
- 秘匿扱いすることによって、企業の価値が高まること。
- 情報の保有者が、秘匿にするための措置を設けていること
本法案第2条は、前第1条項を制限するものとして、合法とみなされる情報の取得方法を以下のように規定している。
- 発見又は独立して創造した場合
- 一般的にアクセス、もしくは合法的な所有が可能な製品・対象物を元に、観察、研究、分析、実験して得た場合
- 従業員及び代表者より情報の使用権利を取得している場合
- 合法的な事業活動により得た場合
同様に、以下に挙げるようなケースの場合は、企業秘密守秘義務違反は民事訴訟の対象にならないとされる。
- マスコミの報道及び多元主義の自由への尊重も含めた表現の自由の権利行使を実行する場合
- 公衆の一般的利益保護の観点で、何らかの違反、不正、非合法的行為を見つけた場合
- 法律で合法であると理解されている利益保護を目的とする場合
他方、同法律案第3条は、不法的行為として以下を挙げている。
- 職業上守秘義務があるいかなる媒体の書類、対象物、材料、物質の許可なき取得。状況にもよるが、商慣習に反するとみなされるいかなるその他の行為。同様に、人が不法に使用していたと知りながらも、直接あるいは間接的に職業上守秘義務がある情報を入手することをも含む。
- 不法に取得、あるいは、守秘義務違反によって取得した企業秘密を使用、公開した場合。
- 法に違反している製品の製造、供給あるいは商品化、もしくは本商品を輸入、輸出、または仕入れること。
第5条は、企業秘密の守秘義務違反に対して取ることができる民事の行為について規定しており、要約すると、以下のものが挙げられている。企業秘密守秘義務違反の宣言、違反行為の停止命令、商品の押収、不法に取得された企業秘密の除去、違反商品の所有権の帰属(この場合、損害賠償金に上乗せされる)、故意又は過失が存在した場合の損害賠償、判決の全部または一部の公表または頒布。
第7条は、上記民事訴訟請求の時効を、行為が行われた時点から3年としている。第9条は、当事者適格について定めている。当事者適格を有する者は以下の者である。
- 企業秘密の所有者
- 情報を開発・利用をする独占的もしくは、非独占的なライセンスを取得していること明示的に証明できる者。
最後に、第16条から第20条は、第5条の措置に基づき、損害賠償に対応するための十分な安全性を確保しなければならない将来的に起こりうる予防措置を規定している。
ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)
ヴィラ法律事務所
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2018年4月20日