2019年7月11日、スペイン登記・公証局は、株式引受金の払込み及び増資にかかる公正証書の登記について、マドリード第19商業登記官がこれを拒否したことに対する異議申し立てに起因して、決定を公表した。本件においては、株式会社(Sociedad Anónima)が商業登記所に対して、非金銭出資による株式引受金の払込み及び増資にかかる公正証書を登記するために提出した。しかしながら、登記官は、株式引き受け金が非金銭出資による場合には、資本会社法第69条に定める例外的な条件に該当しない限り、同法第67条に定める独立した専門家によって作成されたレポートが添付されなければならないことを理由に、当該登記について否定した。
申請会社は当該決定について異議申し立てと行い、当該会社は一人会社であり、当該一人株主によって決議がされていることから、株主の利益については保護がされており、資本会社法第67条の目的である法的利益の保護は守られており、専門家によるレポートを省略することができ、取締役によるレポートで代替可能であると主張した。
登記・公証局は、資本会社法第67条の目的(非金銭出資による場合の独立した専門家によるレポートが求められる理由)は、見せ金や出資に用いられる非金銭資産について過剰な評価がされることを避け、資本金が正しく構成されることを保証することにあると説明し、法的保護を受けるのは株主の利益のみならず、特に会社の債権者の利益も保護されるとし、したがって、増資が一人会社の一人株主によって決議されたことをもって専門家によるレポートを省略することができると結論づけることはできない、と判断した。
結果として、登記・公証局は本件異議申し立てについて却下し、登記官の決定を確認した。
露木美加
ヴィラ法律事務所
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2019年9月6日