スペイン法人税法第29条第1項には、新設会社に対し、課税標準額がプラスとなる初年度およびその翌課税期間において15%の軽減税率を適用するという興味深い優遇措置を定めている。しかしながら、以下に該当する場合、当該軽減措置の適用を除外するとも定める。
(i) 新設会社の経済活動が、設立前に関係者(個人や団体)によって運営された上で、新設会社に承継した場合
(ii) 直接・非直接的に関わらず新設会社の50%以上の資本を保有するある自然人によって前年度の活動が行われていた場合
(iii) 新設会社が、スペイン商法第42条規定における同一の企業グループ(以下「グループ会社」という)の一部を構成する場合
(iv) 新設会社を資産管理会社とみなす場合
本稿における分析は、上記ケースの(iii)に該当する、新設会社がグループ会社に属する場合は軽減税率適用不可、というケースに焦点を当てる。具体的には、新設会社が、他会社の実質的支配者である個人によって保有されている場合は、グループ会社とみなせるかどうかを検討しようと思う。
グループ会社は軽減税率適用外とした立法者の目的は、不正、濫用防止にある。特に、実際はグループに属しているが形式上は新設会社を装うことによる既存事業の継続防止を意図していた。当該制限が設けられない場合、同じ経営者による複数の会社を通じての事業活動展開を妨げるものは何もなく、2年毎に継続的に会社設立をし、法人税の軽減税率を無期限に享受することを可能とする。
商法第42条はグループ会社を「支配」に基づき定義し、ある会社が直接もしくは間接的に他の会社を保有する、あるいは支配できる場合に成立するとしている。したがって、本条文を額面通りに受取ると、グループ会社として存在するには、グループを構成する事業体の支配主体が法人である必要がある。結果として、当該規定の厳格な解釈では、原則として、法人(商業会社)ではなく自然人によって会社の支配が行われている場合には、グループ会社の存在は認められないことになる。しかしながら、スペイン最高裁判所は、支配に言及することは、支配会社が被支配会社の出資持分の過半数を保有するといった実質的保有のケースを超越し、グループという概念を拡げるものであるとの見解を示している。そして、当該概念には、権利取得や契約締結により支配会社が財務・商業戦略および意思決定プロセス全体に対して決定的な影響力の行使を可能とする権限を付与される場合など、間接支配のケースも包含するとした。
公共調達、あるいは破産手続等の案件分野においてグループ会社の存在を判断するにあたり、最高裁判所は、支配権の行使者または行使可能者が商業会社である必要はないことをすでに明確にしている。したがって、商法42条1項の文言上の支配において、グループのトップに商業会社、もしくは自然人等のその他の主体が存在しているかどうかは問題にならない。
法人税法第29条第1項における「グループ会社」の概念(すなわち新設会社に対する法人税の軽減税率の適用)に関して、最高裁判所は現時点では判断を示していない。
2024年付にて、アンダルシア州高等裁判所は、1自然人によって支配される新設会社に軽減税率を適用すべきかどうかが争点となったケースの審理をした。当該自然人は、同時に、過半数の持分を間接的に保有する他の会社も支配していた。
アンダルシア州高等裁判所は、税務当局の見解を支持し、以下のように意見を述べた。
「株主/出資者と経営機関間の同一性、ならびにその他関連する事実やすべての状況の同時発生は、経営上の意思決定への関与が存在することを決定づけ、異なる事業体の行為に対する支配性を明白にする(…)。したがって、十分な根拠に基づき、支配関係にある、つまり商法第42条上のグループ会社であると結論づけ、軽減税率の適用を認めない」
結論として、アンダルシア州高裁判決は、自然人が会社の株主、かつ間接的ではあったが取締役でもあったことから、商法42条の規定に基づくグループ会社関係が存在すると結論付け、これにより法人税の軽減税率の適用不可であるとの判決を下した。
判決は上告され、最高裁判所によって受理されている。受理決定において、最高裁は、他の分野では「グループ会社」の概念についてすでに判断を下しているものの(引用判決を参照)、その判断は各事例の文脈に限定されたものであり、新設会社に対する法人税の軽減税率の適用に関するケースに同様の論理を自動的に適用することは不可能であると指摘した。つまり、法人税法第29条1項上の「グループ会社」をどのように解釈すべきかの最高裁判所判決が未だペンディングとなっている。
上記から、アンダルシア州高裁判決の提示した論拠と最高裁判所が他の事例において示した商法第42条関連の解釈との間には整合性が存在する。したがって、本件にかかる今後の最高裁判決は、アンダルシア州高裁の見解を支持するものである可能性が高いと予測する根拠が十分にあると分析する。
ルビオ・ジョアンルイス (Joan Lluís Rubio)
ヴィラ法律事務所
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2026年 2月27日