欧州連合(EU)組織とその共通権益をより発展させるための加盟国の責任は、政策統一及び共通戦略の特定が困難なこと、また問題を迅速に解決できないことを理由に妥協されがちである。しかしながら、法的分野においては、例えば我々の以前の記事「EU内の会社登記情報の相互接続の進展」(1)(2)で触れたように、加盟国間で、情報共有を容易にしようとする動きが見受けられる。

6月30日付EU官報(DOUE:Diario Oficial de la Unión Europea)で、2017年6月14日付で決定された欧州議会及び欧州理事会指令第1132/2017号「会社法の特定の側面に関する指令」が公示された。当該指令の目的は、法的安全性及び、企業と第三者との関係における権利の保護をより強化するために、各加盟国の間に存在する会社法の制度の相違を統一することにある。

本指令は現行6指令、EEC指令第82/891号、EEC指令第89/666号、EC指令第2005/56号、EU指令第2011/35号及びEU指令第2012/30号を統合するものとなる。

新EU指令の主な目的は、以下の通りである。

  1. EU条約第54条第2項によって規定されるような、加盟国内で設立された会社の株式保有者、及び第三者の権益保護のために、株式会社設立、資本の維持及び修正に関する加盟国内の法律を調整すること。
  2. EU条約第54条第2項によって規定されるような、加盟国内で設立された会社の株式保有者及び第三者の権益保護のために、株式公開について、株式会社あるいは有限会社によって締結された義務の有効性あるいは無効性に関して法律を調和すること。
  3. 他国の法律が適用される特定の種類の会社が、加盟国内で支店を設立する場合の株式公開要件
  4. 株式会社の合併
  5. 国境を越える株式会社の合併
  6. 株式会社の分割

当該指令によって保証された加盟国内の法調和措置は、株式会社にとって特に重要である。というのも、株式会社は加盟国の経済活動において特に重要な役割を果たしており、国境を越えて広がりを見せているからである。

さらに同指令は、株式会社の定款及び株式会社設立に関する公正証書が満たさなければならない要件を調和し、全ての関係者が会社が持ち合わせる本質的な特徴、とりわけ総資本の正確な構成を知ることができるよう、EU全体でこれらの要件を均一化することとなる 。

上記のような措置により、新指令はEU内における会社設立の自由を達成するために会社法の足並みをそろえ、自由貿易に関する基本的な権利を適用することを目指している。

 

 

エステル・ウゴ (Hugo Ester)

ヴィラ法律事務所

 

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2017年7月14日