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2026年6月23日付スペイン最高裁判所民事部判決第989/2026号(ECLI: ES:TS:2026:2710、rec番号第5079/2023号)は、全株主総会(JUNTA UNIVERSAL DE SOCIOS)とされた総会の議事録が存在しない場合、実際に全株主が出席したことの立証責任は会社にあると結論づけた。さらに、決議公正証書の存在のみではこれを立証するには不十分であるとし、全株主総会へ全ての株主が出席していなかった場合、決議無効請求権の履行に時効が存在しないことを改めて確認している。

本件の背景

本件有限責任会社は、2014年7月7日付にて全株主が出席した総会を開催したと主張していた。同社における資本金は、自然人1名(4%)および2つの商業法人(各々34%、62%)に分配され、同2法人はそれぞれが一人取締役によって代表されていた。

本件会社によれば、総会では、一人取締役の辞任および後任の選任が満場一致で承認され、決議内容を公証する権限が付与された。同日、退任する取締役と新任の取締役は公証人の面前に出頭し、決議内容を公正証書化した。

総会の議事録は作成されなかった。4% 、及び34%の持分を保有する株主は、決議に異議を申立て、いかなる総会にも出席していないと主張した。

タラゴナ市第1商事裁判所は、この請求を棄却した。同裁判所は、請求権の消滅に関しては認めなかったが、総会欠席の立証責任は原告側にあるとの判断を示した。

同県の高等裁判所は、第1審を斥け、決議無効を宣言した。議事録の欠如を理由に、原告らの総会出欠に関する立証責任は会社側にあるとし、証人尋問では十分な確実性を認めることができなかった、とした。

会社は訴訟手続き違反を理由に上告した。

立証責任

 本件会社はスペイン民事訴訟法第217条を根拠に、株主総会欠席についての立証責任は原告側にあると主張した。

最高裁判所は資本会社法第178条に基づき、全株主総会(Junta universal)は、全発行済み株式に呼応するすべての株主本人が、あるいは代理人を介して出席し、かつ出席者全員が総会の開催および議題を満場一致で承認した場合にのみ有効に成立する、との判断を示した。

同裁判所はさらに、総会への全員出席があっても、議事録作成義務が免除されるわけではないことを指摘した(資本会社法第202条および定款施行規則第97条)。議事録の欠如それ自体は総会開催や決議の無効性を決定づけるものではなく、他の手段による立証が可能である。しかしながら、総会の実際の開催、およびその決議内容の立証責任は会社に帰属する。なぜなら、  決議記録について実際に法的義務を負うのは、経営機関を通じての会社自身であるからである。

同裁判所は、取締役らが公証人の面前で必要な宣誓を行うだけで、実在しない決議の登記を可能としてしまうことがあってはならない、という根本的な論拠をもって本判決を説明付けた。

本判決は以下の2基準を支持した。

  • 否定的事実に関する法理。否定的事実を立証すべきではなく、それを主張する者とは反対の肯定的事実を立証すべきである。この場合、肯定的事実とは、全株主が総会に出席したかどうかである。
  • 証拠の入手可能性と立証の容易性。誰が総会に出席したかを立証するにあたり、会社の方が株主よりも有利な立場にある。

最高裁は、会社が出席者の署名入り議事録を提出している場合、立証責任は異議申立人側に移り、当該文書または署名の虚偽性の立証責任を負うという、重要な点を補足している。

公正証書および登記の価値

 会社は加えて、高等裁判所は決議を公示した公正証書を不合理に評価したと主張していた。

最高裁は、公文書は、記載事実、行為、または状況、その日付、および関与者の身元についての完全な証拠となるが、宣誓内容の真実性の立証をしない、という公正証書に関する法理に改めて言及した。

本件において、公正証書は、特定の人物が特定の日付に公証人の面前に出頭し、取締役によって発行された決議証明書を提出したことは証明できうる。しかし、総会開催の事実、あるいは全株主総会としての要件、とりわけ全発行済み株式の保有者全員が出席していたことを証明するものではない。

同様の理由により、商業登記所への登記事実もこの結論を変えない。公文書への信頼性は、登記書類そのものには及ぶが、その内容の真実性には及ばない。誰も異議を唱えない限り公証人認証がされている書類の、登記実行は可能であるが、その真実性に関する責任は、それを作成・提出した者に属し、請求がある場合には立証せねばならない。

同様に、同裁判所は、原告会社の1社を代表していた退任取締役が公証人の面前で宣誓を行ったこと自体は、自然人である株主が全株主総会に出席したことを単独で証明するものではないとも判断した。さらに、退任取締役が辞任を希望していたことを示す電子メールの事後の評価についても、不合理とは見なしていない。同取締役は、株主総会の決議としてではなく、新任の取締役からの連絡に基づき、自身がもう取締役ではなくなったと認識していた、と証人として証言していた。

実務上の推奨

(1)    全株主総会においても、常に議事録を作成すること。全株主の総会出席は、当該義務を免除するものではない。議事録がなければ、会社は全株主の出席を立証できないリスクを負うことになる。

(2)    議事録に署名し、代理出席を適切に記録すること。会社が総会出席者による署名入りの議事録を提出した場合、当該文書または署名の虚偽性を立証しなければならないという立証責任は異議申立人に移る。株主総会の開催、および決議事項について全会一致の承認であったことを明示的に記録するとともに、本人出席でなく代理出席株主についても記録しておくことを推奨する。

(3)    公証人認証、および公正証書の登記は、議事録に代替されない。これらは公証人役場への面前出頭、および証明書提出を証明するが、総会が全株主の出席の下で開催されたことを証明するものではない。

(4)    リスク長期化の可能性。ある株主の欠席により総会が実質的に全員出席ではなかった場合、決議無効請求権に時効が発生しない。本リスクは、経営機関の変更、その後の経営機関による行為において特に重要であり、会社取引上のデューデリジェンスの局面から留意する必要がある。

(5)    異議申立人となる株主は、自身の出席を否定し、証明書の真正性に異議を唱えるだけで十分となり、否定的事実の立証の必要はない。ただし、主張を裏付ける事前の証拠収集は推奨される。

Shameem Hanif Truszkowska

ヴィラ法律事務所

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2026年10月2日