個人納税者が会社を使用して行う節税対策に関する絶え間ない議論に終止符を打つために、スペイン国税庁(AEAT)は、当該使用に関するガイドラインを確立する声明を以下のように発表した。
まず国税庁は、個人納税者が会社を介して業務の提供をすることに全く問題はなく、合法であるとの見解を示した。そのため、問題となっている会社が予定されていた業務を提供するために十分な手段を持っているか、又はそれらを実際のオペレーションで利用したかどうかについて、各ケースを具体的に検討する必要があるとした。会社の使用の限界は通常見せかけの会計において見つかる場合が多い。加えて当該会社によって行われた取引の市場価格の評価も考慮に入れるべきである。
ある会社を介して個人が職業上の活動を実行することは合法であるとしても、当該活動が会社の事業内容に一致していない場合、スペイン国税庁はあらゆる種類の事業の法的有効性を自動的に受容する義務はないとしている。最も一般的なケースは、賃貸借契約書や使用譲渡契約書が存在しないにも関わらず、住居や車両等の会社の資産が、個人出資者(会社の所有者)の使用下に置かれることである。同様に、当該資産を使用するにあたりかかる経費、及び、レジャー旅行、贅沢品購入費、家内代行等の経費やその他生活費等の同出資者の個人的経費を計上するケースも一般的である。
国税庁は、個人所得税の申告回避を目的として、個人の経費を会社に負担させるような前述した行動の全ては、規則に反すると規定する。また、会社は数多くの消費税控除を行うことができるが、個人所得税申告の際は、会社の場合のような消費税控除はできないということを示した。
さらに国税庁は、そのような経費負担を正当化するための偽契約書(賃貸借契約書、業務提携契約書等)及び、会社の事業に関わりのない会社を介して実行される個人経費計上や投資に言及した。
個人納税者が会社を介して業務を提供することは合法としながらも、国税庁は、結果として得られる所得申告は真実に沿って適切に行わなければならず、脱税を意図してはならないという立場を維持した。
「個人出資者(会社の所有者)による会社の資産もしくは権利の所有・使用は、上記資産の所有及び使用権がこれに応ずる法的権利によって保護され、事業の本質に沿って税申告が行われているのであれば、それ自体が法規制の対象ではない。」としている。
テラン・アンドレアス (Andreas Terán)
ヴィラ法律事務所
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2019年4月5日