去る9月11日付スペイン国会官報に「行政倫理に関する基本法案」が掲載された。同法案は、下院運営委員会による緊急手続きを経て、財政・公務員委員会に付託されたものである。スペイン連立政権は、当該法案に「国家汚職防止措置」の大部分の具体化を試みた。同法案には、有限責任会社(la sociedad de responsabilidad limitada)の持分譲渡制度の中核部分の商業登記所への移管を含む、資本会社法(勅令法第1/2010号)の大幅な改正が盛り込まれていた。
現行制度上、持分譲渡は、これを公正証書化することによって正式に成立する。しかしながら同法案に言及があるように、商業登記所への持分の個別登記はない。つまり、会社が保管する株主名簿に持分保有者は記載されるが、登記によって外部に公示することはない。本法案の前文趣旨説明において、「当該状況は、出資者に債務がある場合の持分差押えや質権設定を困難にし、持分の実質的保有者、すなわち会社の実質的支配者の確認の障害となるといった、一連の透明性の欠如という問題」の発生を指摘してした。
当該問題解決のため、同法案は、各有限責任会社に当てられる登記簿とは別に、商業登記所内に特別なセクション設置を予定していた。そこには、当初の持分保有者、持分の任意もしくは強制的な譲渡、物権、および差押え等が登記されることになる。つまりこれにより、登記事項に新たな「構成的効力」の付与という大きな進展がもたらされることになる。登記所への登記がない限り、出資持分の譲受人は、会社に対しても第三者に対しても、持分保有者としての地位を主張することはできない。会社は、登記簿記載者のみを持分保有者として扱うべきであり、したがって、他者に配当金を支払ったとしても、配当義務は消滅しない。定款に登記免除や、登記の効力を弱めたりする条項を定めたとしてもすべて無効となるため、本要件の回避はできない。相続の場合、相続人または遺贈受取人は相続の事実によって持分保有者となるが、会社に対して権利を行使するためには、その取得を登記する必要がある。
さらに、本法案は、持分実質的保有者の追跡可能性を強化する。実質的保有者でありながら登記簿に登記のない者には、保有者としての権利行使をさせない。さらに、このような保有者の指示に従って採択した決議については、その指示に基づく投票が決定的な役割を果たした場合、決議無効の主張を可能とする。
登記上の文書記録形式の再編に伴い、登記適格性については、新たに当事者らが、電子私文書もしくは公正証書の2つの手続き方法から選択することを可能とした。電子私文書については、両当事者が適格電子署名にて署名をし、法的安全・公文書管理局が承認した様式に準拠しなければならないとした。その場合、持分譲受人、またはその代理として有限責任会社の代表者は、スペイン不動産・商業・動産登記所協会の電子本部内に設けられたプラットフォームを通じて、商業登記所への登録手続きを行う必要がある。後者、公正証書の提出を選択した場合、当事者の請求を要さずに、公証人自身が認証当日に電子認証謄本を登記所に送付する。
既存の有限責任会社には、法律施行から1年以内に、最新の持分保有者に関する電子証明書の登記所への提出が、求められることになる。当該義務を履行しない場合、取締役の解任・辞任、会社解散に係る、および裁判所命令により記載のある登記事項以外の登記簿が閉鎖される。
資本会社法改正案第105条には、データへのアクセスに関して、公的機関、所管当局、会社、株主、および物権または担保権の権利者に対し、現行および過去のデータへの無償アクセスを認めることを定めるとしていた。第三者については、登記官が正当な利害関係を有すると認めた場合に限り、現行データにアクセスでき、一般公開は必須情報に限定されていた。
結論として、改革が実行された場合、商業登記所が株主の資格証明の場となり、実質的支配者の特定が強化されることになる。その結果として、公証人の役割は2つの選択肢のうちのひとつとなるという見直しがなされ、有限責任会社には新たな手続き上の義務が課されることになっていた。しかしながら、本法案は、スペイン国会の解散(10月5日付王令第806/2026号、6日付に官報に掲載)および11月29日の総選挙の実施決定のため保留となった。審議中の案件は、両院の解散に伴い失効することとなる。したがって、総選挙後に誕生する新政権が本改革を再開したい場合、閣議で法案を再度可決し、新国会に提出することが必要となる。
Arturo Cabellos
ヴィラ法律事務所
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2026年10月9日