過去10年間で、顧客のレビューや意見は、企業のレピュテーション、競争力、持続可能性にとって最も影響力のある資産の一つとして定着した。Google、TripAdvisor、Yelp、ソーシャルメディア、eコマースサイトなどのプラットフォームは、ユーザーの評価を消費者の購買決定プロセスの重要な要素に変えた。最近の統計によると、消費者の大多数はサービスを利用したり製品を購入したりする前にレビューを参照しており、これらの意見は特定のサプライヤーの選択に直接影響を与えている。
ホスピタリティや観光業から小売業、専門サービス業に至るまで、あらゆる業界の企業にとって、レビューは認知度と信頼性を高める戦略的な原動力となっている。今日、高い評価と肯定的なコメントは、より多くの顧客を引き付けるだけでなく、検索エンジンの順位を最適化し、ブランド力を強化し、保証と品質に対する認識を高めることにもつながっている。
しかし、この新しいデジタルパラダイムには、偽のレビューや誤解を招くレビューという重大なリスクも伴う。ボット、競合他社、または不純な動機を持つユーザーによって生成された虚偽のコメントは、ビジネスに対する世間の認識を歪め、レピュテーション上や経済的な損害をもたらす可能性がある。
レビューの重要性
(i) 購入決定への直接的な影響
レビューは社会的な証言として機能する。消費者は、従来の広告よりも他のユーザーの体験をより信頼する傾向がある。肯定的な評価は、製品やサービスを選択する決定的な要因となる一方、たとえ少数であっても否定的な評価は、潜在的な顧客を遠ざける可能性がある。
(ii) デジタル上の可視性への影響
検索アルゴリズムやレコメンデーションアルゴリズムは、関連性の高い検索結果に企業を位置付けるために、ユーザーの評価を考慮に入れる。つまり、レビューを適切に管理することは、レピュテーションの向上だけでなく、ビジネスのオンラインでの存在感を高めることにもつながる。
(iii) 継続的改善のためのフィードバック
商業的な影響以上に、レビューは運営面や顧客対応面に関する定性的・定量的情報を提供する。強みや改善点を特定し、内部プロセスの最適化や顧客ロイヤルティの向上を促進する。
しかし、レビューが経済的に決定的な要素となったことで、その操作も重要性を増している。市場への影響が大きければ大きいほど、レビューを不正に使用する動機も大きくなる。このような状況の中で、フェイクレビューという現象が発生している。
フェイクレビューの影響
(i) 競争の歪み
フェイクレビューは、市場の認知を操作し、競合他社を有利にしたり、誠実な企業を不当に傷つけたりする可能性がある。これは、個々のレピュテーションだけでなく、市場の健全性や消費者の信頼にも影響を及ぼす。
(ii) レピュテーション上および財産上の損害
虚偽の否定的なレビューが殺到すると、ユーザーの信頼が損なわれ、売上が減少し、危機管理やデジタル評判の管理に多大なリソースを投じることを余儀なくされる可能性がある。観光やホスピタリティなどの業界では、オンラインの意見プラットフォームへの依存度が高いため、その影響は特に深刻になりうる。
(iii) 消費者の混乱
レビューが実際の体験を反映していない場合、消費者は信頼性の低い情報を受け取り、真実の情報に基づかない購入決定をしてしまう。これは、消費者の権利と商業関係の透明性を損なう。
法的対処:顧客対応に関する法 10/2025
これらの課題を踏まえ、スペインの議会は、近時、2025年12月26日付顧客対応サービスを規制する法10/2025を可決し、2025年12月27日に官報に掲載された。この法は、顧客サービスの質に関する多くの規定の中でも、消費者が投稿するレビューの真実性を保証し、オンライン上の不正行為に対する法的手段を提供するための具体的な措置を導入している。
(1) 最近の体験に関連するレビュー
この法では、投稿日から過去30日以内に購入または利用した商品やサービスに関するレビューのみを投稿できると定めている。この制限は、消費者の実際の最近の体験に基づく意見であることを保証し、不正または無関係なコメントの可能性を減らすことを目的としている。
(2) 反論権および削除要求
新しい規制の重要な要素は、企業が、レビューが真実ではないことを証明した場合、反論権を行使し、レビューの削除を要求できることである。そのためには、コメントの投稿者自身が製品を購入したりサービスを利用したりしていないこと、あるいはその内容が虚偽または偽りであることを、確固たる証拠をもって証明する必要がある。
この変更により、根拠のない内容によって事業の評判が損なわれ、競争力が低下する事態に対して、事業主の立場が強化される。
(3) 透明性と評価システム
この法は、レビューを管理する企業に対して、レビューの信頼性を確認するシステムを導入し、消費者が入手できる情報の信頼性を保証することを義務付けている。また、ユーザーレビューの取り扱いを含む、顧客サービスの品質を確認するための定期的な評価と監査も義務付けられている。
(4) 制裁制度
法10/2025に基づく義務(レビューや顧客対応に関する義務を含む)に違反した場合、消費者関連法違反や行政処分となる可能性がある。これは、企業がレビュー管理のベストプラクティスや効果的な仕組みを導入するさらなる動機となる。
企業はフェイクレビューに対してどのように対応すべきか?
新たな規制の枠組みにおいて、企業は自社のデジタル上のレピュテーションを守るための明確な方針と手順を策定することが望まれる。
(1) レビューの継続的なモニタリング
関連プラットフォームに投稿された意見を追跡するシステムを構築することで、不審なレビューや明らかに虚偽のレビューを早期に発見することが可能となる。
(2) 販売実績や体験の証拠の保存
法10/2025に基づきレビューの削除を正当化するためには、そのコメントが実際の体験と一致しないことを証明する文書による証拠(請求書、提供サービス記録、消費の証拠など)を用意することが不可欠である。
(3) 透明性が高くプロフェッショナルな対応方針
疑わしいレビューに対して、プロフェッショナルで理にかなった、透明性の高い対応を行うことは、他の消費者の認識を改善するだけでなく、品質と真実性に対する企業の取り組みを示すことにもなる。
(4) 専門的な法的アドバイス
特に、フェイクレビューが大量にある場合や、企業の重要な意思決定に影響を与える場合など、複雑な状況が発生する可能性があるため、堅固なコンプライアンス戦略を策定し、レピュテーションや制裁のリスクを回避するには、専門的な法的アドバイスを得ることが重要である。
結論
デジタル化が進むエコシステムにおいて、顧客レビューはあらゆるビジネスにとって最優先の戦略的要素である。消費者の意思決定やブランドに対する全体的な認識に与える影響力から、積極的かつ倫理的、そして現行の規制に準拠した管理が求められる。
顧客対応に関する法10/2025 は、企業にレビューの真実性を保証することを義務付ける法的枠組みを導入し、フェイクレビューに対抗する仕組みを提供し、消費者保護を強化している。これらの義務を顧客対応方針に組み込むことは、法的要件であるだけでなく、デジタル上のレピュテーションを強化し、ユーザーの信頼を高め、市場における持続可能な競争優位性を確立する機会でもある。
ハニフ・シャミム (Shameem Hanif)
ヴィラ法律事務所
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2026年3月6日