2012年7月19日のEU裁判所判決は、PIE OPTIEK SPRLがBUREAU GEVERS, S.A.に対してヨーロッパ・インターネット・ドメイン登録所ASBL(European Registry for Internet Domains ASBL)と起こした訴訟において、先にブリュッセル控訴裁判所(Cour d’appel de Bruselas)によって提起された問題について言及した。

PIE OPTIEKはコンタクトレンズ、眼鏡その他の眼科関連の商品のインターネット販売を行なっているベルギーの会社である。「Benelux」という商標の権利者であり、「Lensworld」という文字商標も含まれる。PIE OPTIEKは自社のホームページを運営している(www.lensworld.be.)。

BUREAU GEVERSは、ベルギーの工業所有権コンサルタントである。

WALSH OPTICALはニュージャージーに本店を構えるアメリカの企業であり、当該会社もまた、コンタクトレンズや眼鏡等の製品のインターネット販売業を営んでいる。WALSH OPTICALは1998年から自社のホームページwww.lensworld.comを運営しており、「Benelux Lensworld」という商標の権利者であったが、当該商標の登録は2006年10月30日に取り消された。

WALSH OPTICAL の要請により、BUREAU GEVERSはEURidに対して«lensworld.eu»のインターネット・ドメインの登録を自身の名前で(ただし、WALSH OPTICALの代理人という立場で)登録の申請を行なった。当該ドメイン名は、2006年7月10日付でBUREAU GEVERSに与えられた。

PIE OPTIEK は、チェコ共和国の仲裁裁判所の面前における第一審、その後のブリュッセル第一審裁判所、さらに続くブリュッセル控訴審裁判所において、当該割り当てに反対した。

上記訴訟においては、商標ライセンス契約の目的は、当該商標が登録されている製品またはサービスについての業務を行なう権限に制限する必要はなく、当該商標の権利者の権利の全部または一部(ドメイン名の登録権限も含む。)を意味するのか、について争われた。

したがい、問題となったのは「前権者のライセンシー(Licensees of prior rights)」という法の定める言葉が意味するところに、商標の権利者であることなしに、単にある特定の商標名が付されているドメイン登録のための権限を権利者から与えられた者を含むのかという点であった。

裁判所は当該問題について否定し、商標権、ドメイン名または当該商標に類似するものの権利者の代理として自身の名前で登録を行なう権限を与えられた会社は、「前権者のライセンシー(Licensees of prior rights)」とはみなされないと解釈すべきであるとした。

また、裁判所は、EU内に会社または営業所を有する会社のみが前権についてライセンシー権を有することを確認した。結果として、登録済みヨーロッパ商標に類似する登録商標を有している外国の会社が、ドメイン登録目的のみの権限を与えた代理会社経由でドメイン登録を行なう場合、EU居住者またはEU内に営業所を有する会社によって登録された商標に優先しないことになる。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2012年11月9日