2016年7月6日付欧州議会及び欧州理事会規則第2016/1191号は、EU域内でのEU市民の移動に関する公的書類の提出要件を簡略化することを目的としている。

また、EU加盟国間でやり取りされる公的書類の提出及び有効性の事務的要件の簡略化も目指している。

本規則は、加盟国の機関がその国の法に則って発行した書類で、他の加盟国の機関に提出されなければならないものであり、かつ、配偶者の有無、出身、国籍、住所、居住地、結婚歴、犯罪歴等の個人情報に関する事実を証明するものに適用される。他方、第三国が発行した公文書や加盟国が発行した出生に関する証明書の写しには、本規則は適用されない。

「公文書」とは

行政関連書類、司法機関の当局または公務員により発行された文書、公正証書、各種証明書謄本、加盟国の外交官または領事により発行された文書の一切を包含する。

ある加盟国が他の加盟国の当局に公文書の提出を求める場合、当該公文書の提出を求める加盟国は、当該公文書の原本と相違ない旨の証明を付したコピーの提出を併せて要請することはできない。

当該公文書が提出される加盟国における公式言語で、当該文書が作成されている場合、翻訳は要求されない。当該公文書が、出生、生命、死亡、婚姻、配偶者の有無、居住地、犯罪歴に関する文書である場合も、本規則に定められた態様に基づき多言語で作成されていれば、やはり翻訳は要求されない。また、加盟国の法によって認可された者による公正翻訳の場合にも、翻訳は不要である。

署名の真正性、署名者の署名権限の有無、印や印章の同一性、すり替えや偽造の可能性といった、提出された公文書の信頼性が疑われる場合、本規則では各加盟国が指定する中央当局に調査依頼の手続きが設けられており、当該中央当局は5営業日内に回答しなければならない。当該文書の真正性が証明されない場合には、文書提出を受けた機関は当該文書を取り扱う義務を負わない。

個別に問対となる点を除いて、本規則は2017年2月16日から施行される。

 

 

ヴィラ・エドゥアルド

ヴィラ法律事務所

 

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2016年9月9日