2016年8月30日、欧州連合 (EU) はアップル社のアイルランドでの納税は国家補助に関するEUの法令に反していると発表した。アップル社はこの方法で130億ユーロもの違法な税優遇利益を得た。国家的な補助を規制する欧州の法令によれば、本件は違法な援助であり、アイルランドはアップル社に追徴税を求めなければならない。

本テーマの背景として、2016年9月2日当ホームページに『タックスルーリング』の記事を掲載した。

欧州競争局長マルグレーテ・ヴェスタジェは以下のように言及している。「EU加盟国は特定の会社を税制上優遇することはできない。これはEUの国家的な補助に関する規制のもとで違法だからである。欧州委員会の調査によって、アイルランドはアップル社を不当に税優遇し、長年にわたって他社より非常に低い額の税を納めることを容認した。この優遇措置によってアップル社は2003年ヨーロッパで生んだ利益の1%を法人税として支払い、2014年には0,005%までその税率を下げた。」

2014年6月から行われた欧州委員会による国家的な補助に関する調査により、アイルランドがアップル社に対して行った2件の税予告(タックスルーリング)にかかる決定が明るみに出た。この調査結果によれば、アップル社は1991年以降、傘下の企業であるアップル・セールス・インターナショナルとアップル・オペレーションズ・ヨーロッパという実態をもたない二社に売上を計上するという方法で、支払うべき税率を大幅かつ人為的に下げた。

この方法により二社が計上したほぼすべての利益が『アドミニストレーション・センター』に分配された。しかし、アドミニストレーション・センターは書類上でしか存在せず、そのような利益を計上することは不可能だったはずである。アドミニストレーション・センターに分配された当該利益は、現在は無効となっているアイルランドの税法に従えば、どの国においても課税対象とならなかった。

同じ税制度に準ずる他の会社に比してアップル社を著しく優遇するこれらの事件の違法性は、EUの国家的な補助規制に照らせば明白である。しかし、それらの事件自体がその事件に関連する財務決定の名宛て人とはならなかった。

結果として、欧州委員会による初回の情報提供の要請を行った2013年から遡って10年分の違法な国家的な補助の回収を命じることができる。これはつまり、アイルランドがアップルから、アップルが2003年から2014年に支払うべきだった130億ユーロと利息分を回収しなければならないことを意味する。2015年にアップルはアイルランドにおける会社組織を変更したため、当該財務の決定は現在の会社には適用されず、回収の対象期間は2014年までとなる。

この回収は罰金の性質を有するものではなく、すでに生じた競争の歪みを排除するための措置である。

アイルランドは欧州委員会のこの決定を不服とし、アイルランド議会の承認を得て、欧州司法裁判所に異議申し立てをする予定である。この場合、アイルランドはいずれにせよ違法な国家的な補助の回収手続きをしなければならないが、欧州司法裁判所における訴訟手続きが終わるまで、回収した金額について供託することができる。

 

 

ピナ・ポール (Pina Pohl)

ヴィラ法律事務所

 

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2016年9月30日