I. 導入
2018年12月19日、2018年12月14日付勅令法第21/2018号「住宅及び賃貸借に関する緊急措置法」が施行されたが、2019年1月22日のスペイン国会下院総会での承認手続きを通過せず、議院の合意によって廃止された。
II. 廃止された法令で導入されていた措置
当該勅令法が有効であった35日の間、勅令法第1章により、1994年11月24日法律29/1994号「都市住宅賃貸借契約に関する法律」(以後「LAU 1994」とする)の様々な規定が改正され、いくつもの措置が適用可能となっていた。その中でも以下の内容は言及するに値する。
a) 賃貸借契約の義務的更新期間について、賃貸人が自然人である場合は5年、法人である場合は7年とした。
b) 黙示の契約更新について、契約期間の満了日又は契約更新期間の満了日で、かつ、義務的更新期間が経過した時点において、当事者のいずれからも賃貸借契約の更新を行わない旨の意思表示がされなかった場合、さらに3年間契約期間が更新されると規定した(2013年に導入され毎年更新に代わるもの)。
これにより、2013年6月4日法第4/2013号「住居の賃貸借マーケットの柔軟化及び推進に関する措置法」による自由化の前に規定されていた期間が回復されることとなっていた。
c) さらに、長期の賃貸借である場合を除き、賃貸人が要求することができる1ヶ月の保証金以外の敷金の上限を2ヶ月分の賃料と固定していた。この敷金は預け金又は銀行保証のいずれかによって提供される。
d) 不動産業者の手数料や契約作成にかかる費用は、賃貸人が法人の場合には賃貸人が負担するものとされていた。ただし、賃借人の直接の指示によってそれらのサービスが契約された場合は除く。
III. 2019年1月24日以降有効な規定
勅令法が廃止されたことに伴い、住居の賃貸借契約は、2013年の自由化により施された改正がされたLAU1994によって再び規定されることになった。
とりわけ、以下について言及する。
a) 賃貸借契約の義務的更新期間は3年に戻ることとなった。
b) 黙示の契約更新については、契約期間の満了日又は契約更新期間の満了日において、当事者のいずれからも賃貸借契約の更新を行わない旨の意思表示がされなかった場合の契約更新期間は1年間に戻された。
賃貸人が要求することができる1ヶ月分の賃料の保証金以外の敷金については、当事者の合意によるものとし、上限がなくなった。
c) 不動産業者の手数料や契約作成にかかる費用は、当事者の合意によって負担する者を定めることとなった(実務においては賃借人とされることが通常である)。
IV. まとめ
賃貸借契約に関する規制がスペインの政治家の議題として予定されている問題であることは疑いようがなく、賃貸人と賃借人の法的地位のバランスを定める短期又は中期の改正を待たざるを得ないだろう。