個人情報保護法(La Ley Orgánica de Protección de Datos – “LOPD”)第3条aは、個人情報について個人を特定する、もしくは識別し得るいかなる情報」と定義している。

上述の内容を明確にした上で、Telefónica社の下請け業者(被告)が前従業員(原告)の解雇事由をTelefónica社に伝えたことを理由に、被告に対し30.000ユーロの損害賠償金の支払いを命じた近時の判例(2015年11月12日付最高裁判決第4686/2015号)について述べたい。

事案の具体的な内容は、2009年に本来であれば無料で提供すべきであったサービスについて原告が誤って顧客に100ユーロを請求したことを理由として被告は原告を解雇したが、その後の訴訟で当該事実が証明されず、結果として不当解雇とみなされた。

その後、原告が通信業界において新たな就職先を探していた際、原告は、問題行動等の理由により採用を見送るべきとされる人物が記載されている “ブラックリスト”に自身の名前が記載されていることを知った。また、ブラックリストに名前が掲載されていたことで、選考プロセスから除外された。

この状況に際し、原告は、前雇用主である被告がTelefónicaに対して解雇事由を通知した結果、原告の名誉毀損され、原告の個人情報保護に関する権利も侵害されたとして、被告に対し訴訟を提起した。

被告が原告の個人情報を実際にTelefónicaに通知したかという点を原告が立証することは困難であったため、最高裁判所は立証の容易性を考慮し、被告に立証責任を転嫁し、被告に、解雇された従業員の個人情報を提供しなかったことの証明を要請した。

上記について立証がされなかったため、最高裁判所は当該情報の提供がされたものと認め、その上で(i)原告の同意なしに当該情報を譲渡することはLOPDに規定されている例外に含まれていないこと、(ii)提供された情報は真実ではなく、情報の正確性についての原則(Principio de calidad de los datos)を尊重していないこと(当該解雇は不当解雇と認定された。)、(iii)原告に対しLOPDにて規定されている情報へのアクセス、訂正、取り消し及び対抗を行う権利を遂行する可能性を与えていないことの3点を理由に、当該情報の提供は違法であると判示した。

前述の結果として、最高裁判所は、被告が個人情報保護法に反する行為を行なうと同時に、被告が事実に反する情報を提供し、原告の社会的評判に悪影響を及ぼすことで原告の名誉を毀損したとして、被告の責任を認め、30.000ユーロの損害賠償金の支払いを命じた。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2015年12月4日