I.- 序文

2014年3月7日勅令法第4号によりスペイン倒産法の重要な改正がなされた。本改正は、会社の債務の更改を容易にすることを主たる目的としており、特に債務を財務危機に陥った会社の株式に転換することが可能となった。

II.- 主な改正内容

(a)   倒産法第5条Bisにより、倒産債務者の事業活動の継続のために必要であると認められる資産への強制執行について、債務更改の交渉期間中は、執行手続きを停止することを認めることとなった。これは資産や権利に付された担保によって保証がされている債権の執行実務に影響を及ぼすことになる。

(b)   当該債務更改合意に介入しない債権者の権利を害することがない限り、債務更改の合意は取り消すことができない(倒産法第71.2条Bis)。

(c)   担保実務の要請により、資産への強制執行の停止の条件を限定するため、倒産法第56条が改正された。これにより、倒産債務者の事業または企業活動の継続のために必要と思われる資産についてのみ適用されることになる。倒産債務者がその事業継続のために資産を維持する合意がされることによって、アセット・ファイナンス・オペレーションが可能となる。

(d)   本勅令法の施行日から2年間、債務更改同意がされた債権または主債務者や関係者によって一般会計に入れる同意がされた債権は、 倒産手続き外債権として評価されることとなる。なお、増資は除外される。

(e)   債務更改合意書が商事裁判所によって認可されるためには、原則として金融負債の51%以上の同意が必要であり、当該パーセンテージには商事取引債権の債権者や公的機関は含まれない。(従前は75%以上の金融債務の債権者の合意が必要とされていた。)

(f)   債務更改オペレーションによって実施された株式転換によって株主となった債権者は、倒産債務者の特別関係者とみなされることはなく、したがって、当該債権者の有する債権が劣後債権とみなされることはない。

(g)   倒産手続き開始前の時点において、担保付き債権を有する債権者が債務更改合意の効力の延期をすることは許される。

(h)  債務を倒産債務者の株式に転換するために必要な決議要件は軽減される。

(i)    法人税法の改正も行なわれ、倒産法の適用の結果の債務免除及び返済期限については、債務から生じる金融費用を登録し、登録された当該費用が課税標準となる。

(j)    弁済の更新合意を容易にすることを目的として、債務免除、ローン、信用及びその他の債務の一部免除にかかる公正証書に課せられる印紙税が免除される。

III.- 結論

本改正は、担保付き債権を有する債権者の執行可能な資産への強制執行を一時的に停止させることによって、倒産手続き開始前の段階における倒産法第5条Bisの効力を強化することを目指している。

また、本改正は、財政危機に陥った会社に支援を申し入れることを決めた債権者を保護し、債務更改合意の認可のための決議要件を軽減することで、倒産手続き開始決定に先立って債務更改オペレーションが実施されるのを促進することも念頭に置いている。

しかしながら、本改正は、担保付き債権は再生計画において依然として劣後債権として取り扱われるのか、また、企業活動の継続に「必要」と認められる資産とはどのようなものかについて明確にしていないなど、担保付き債権の債権者の権利を制限することに関連していくつかの問題を引き起こすものである。 特に後者については、今後判例によって明らかになることを期待する。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2014年3月26日