I.- 導入

2012年10月29日付法第7/2012号「税務及び予算関連規則の修正及び脱税防止及び阻止への対応強化のための 金融関連規則の適合のための法律」(以下「脱税防止法」という。)は、脱税防止のために一連の施策を講じることを目的として制定された。現金による支払いの制限は、脱税防止法により導入された施策のうちのひとつである。

II.- 現金による支払い制限

脱税防止法により、取引における現金での支払いは、当事者のいずれか一方が企業の名において、または職務の一環として当該取引を行なう場合には、2,500ユーロ(外貨である場合には相当額)以上であってはならない。しかしながら、支払いを行なう者がスペインの非居住者である個人であって、企業活動または職務とは関係なく私的に当該取引を行なうことが証明される場合には、当該上限額は15,000ユーロ(外貨である場合には相当額)となる。

物品の引き渡しやサービスの提供といった、何回かに分けて行なわれる取引や支払いであったとしても、各取引または支払いの総額について上限を超えていないか確認される。

III.- 制限違反及び罰則

  • 当該上限の違反は重大な規則違反を構成する。
  • 違反がある場合において、上限を超えて支払われた金額の一部または全部の支払者・受領者双方ともが違反者となる。両者は連帯して違反についての責任を問われる。なお、当該違反についての時効は違反をしてから5年である。
  • 罰則は、上限を超えて現金で支払われた部分をベースに計算がされ、当該超過部分の25%を罰金として課される。罰金は罰金額が確定した翌日から5年間で時効となる。
  • 当事者のうちいずれか一方が違反のあった取引について自主的に当該取引が行なわれてから3ヶ月以内に税務署に届出た場合、当該届出を行なった一方当事者に対して罰金は課されない。

IV.- 適用範囲

現金決済への上限は、2012年11月19日より施行がされており、施行日以降に行なわれる支払いのすべてに適用がされる。施行日以前に行なわれた取引についても、支払いが施行日以降に行なわれる場合には適用がされる。

 

 

大友 美加

ヴィラ法律事務所

 

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2014年2月6日