企業が自社の営業秘密の保護に多大な関心を寄せるのには、多くの理由が考えられる。

2016年6月8日付「企業が開示していない知識・技術・情報 (営業秘密) の取得、利用、不法開示からの保護」EU議会及び理事会指令第2016/943号( 以後「営業秘密指令」という)を受けて、スペインは国内法に置換した2019年2月1日付「事業秘密法」を制定し、第1条にて「事業秘密」について、技術、産業、商業、組織、または財務情報を含むあらゆる情報・知識と定義し、次の要件を満たすものとした。

a) 秘密とは、それを使用する集団に所属していない者には一般に知られておらず、簡単にアクセスできないことを指す。

b) 秘密であることが、実際に、若しくは潜在的にしても、ビジネスの上価値があること。

c) 秘密保有者は、秘密の状態を維持することに合理的な措置を採っていること。

従って、「事業秘密」は、ノウハウ、研究開発、イノベーション(特許の有無に関わらず)、式、材料、発見、過程、ビジネスプラン、供給ネットワーク、マーケティング技術、顧客リスト、価格ポリシー等、が該当すると理解される。

同様に、事業秘密法第3条において、事業秘密違反に該当する行為及びこれに対して行い得る民事訴訟について規定している(第8条以下)。

会社は、会社にとって特にセンシティブとみなす情報に関し、その重要性故に、事業上または労使関係の下で許可されている事業秘密の使用を明確に定義することを目的として、法的規定を以外にも、他の会社(プロバイダー、パートナー、営業等)や従業員との契約書に特定の契約条項を組み込むことにより、情報の秘密性を明示的に表示すること適切である。

守秘義務契約若しくは条項の目的は、機密情報と見なされる情報を定義することと、ビジネス関係または雇用関係が持続している間、若しくは関係が終了した後に、秘密維持のために第三者への開示禁止期間を確定することにある(2年、5年、無期限など)。

加えて、罰金条項を規定することにより、守秘義務違反から生じる可能性のある経済的帰結を、スペイン民法の第1152条規定に従い罰金が損害賠償と代替となることを回避するために、罰金が損害賠償の代替とならないことに明示的に同意することを契約書に規定することが推奨される。

前記の措置をとることにより、法廷での守秘義務違反の証明がかなり容易化され、罰金条項の適用によって、実際に引き起こされた損害の事実証明と金額確定からの負担も回避されることとなる。

 

 

ヴィシャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)

ヴィラ法律事務所

 

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2019年11月29日