I. 導入
経済金融省(Ministerio de Economía y Competividad)により提出された専門サービスに関する法律の草案は、医療、法律、教育、経済及び技術の専門家に影響を及ぼすものである。本稿は法律の専門家にとっての予測し得る重大な変更点について述べる。
II. 全セクターにおける変更点
全分野が共通に影響を受ける主たる変更点は以下のとおりである:
– 特に厳格な証明が求められる職種について業規制の軽減及び一般的に業規制が定められる領域の明確化
– 特に厳格な証明が求められる職種について登録義務の軽減
– 各協会(義務的なもの及び自主的なもの双方)の規則の現代化
– スペイン国内における効率化の原則、すなわち各自治州において法律が定める要件を充たし、協会に登録する者は誰でもスペイン全土で当該専門活動を行なうことが認められる。
III. 法務分野における重要な変更点
1. 専門家協会の数の減少
現在83ある法律専門家の協会団体が、各県の協会団体が排除されることで、大幅に減少される。新しい規則によると、協会団体は各自治州レベルで存在することとなり、県レベルでの協会団体はいくつかの例外に留まる。
2. 弁護士業と検事業との兼職禁止の排除
手続きの簡略化及びコストの削減を目的として、弁護士業と検事業との兼職禁止を排除することが盛り込まれた。兼職禁止は他のヨーロッパ諸国では存在しないことも排除の要因の一つである。経済金融省は、その根拠として、「いくつかの国において弁護士と検事の兼業が認められている事実を考慮すると、裁判における代理と防御の活動が同一人によって行なわれるべきであることが正当化されるわけではない。」としている。したがって、草案は弁護士が検事協会への登録なしに検事としての職務を行なうことを認める内容となっている。
3. 弁護士登録のために国家試験合格の要件を課す。
専門サービスに関する法律草案は、弁護士及び検事の職務につくことについて定める2006年10月30日法第34/2006号を改正するものでもある。マスターを修了することで国家試験を受けずに弁護士または検事として登録できることを定める内容とし、法学部卒業者はマスターを取得することで弁護士または検事になる門戸が開かれることになる。
4. 裁判官の面前において、または裁判所において活動を行なわない限り、弁護士登録は義務ではない。
法律草案によると、弁護士登録が義務化されるのは裁判手続きにおいて代理人を務める弁護士に限られ、弁護士全般に義務化されるのではない。したがい、裁判においてクライアントの代理人を務める意図がない弁護士は弁護士登録を消去することも可能となる。
IV. 結論
専門サービスに関する法律の草案は、法律分野において大きな変化をもたらすことを期待している。特に、検事と弁護士の兼業禁止の排除は、検事・弁護士双方の日常業務に影響を及ぼすだろう。しかしながら、このような変化を目的とする草案を扱うにあたり、影響を受ける職業から多くの抗議があることを鑑みると、計画されている変化の全てが実現するかについては未だ定かではない。
ヴィラ法律事務所
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2013年1月17日