外国投資家がスペイン王国を相手として、世界銀行の傘下組織である投資紛争解決国際センター(ICSID)を通じて申立てを行なっている27の国際投資仲裁のうち2つの申立てについて、最近裁定が出された。当該紛争は、2013年にスペインが再生可能エネルギー発電システムに対する助成金をカットしたことに端を発する。
・Masdar とスペイン王国間のケース(ICSID仲裁裁定 事件番号ARB/14/1号) Masdar Solar社 及びWind Cooperatief U.A.社の申立てにより、スペイン王国に対して起こされた仲裁申立て
2018 年5月18日、John Beechey氏、Gary Born氏及び Brigitte Stern教授によって構成された仲裁法廷は、スペイン王国に対し、6450万ユーロにのぼる額を損害賠償金として申立て人に対し支払う旨の判断を下した(申立人の請求額は1億6500万ユーロだった)。また、2014年6月20日より仲裁裁定日までの上記損害賠償額に対する利子(年利0.906%)及び、仲裁裁定日から実際の支払日までの上記損害賠償額に対する年利1.60%の支払いも義務付けた。
・Antin とスペイン王国間のケース(ICSID仲裁裁定 事件番号ARB/13/31号), Antin Infrastructure Services Luxembourg S.à.r.l社 及びWind Antin Energia Termosolar B.V.社の申立てにより、スペイン王国に対して起こされた仲裁申立て
2018 年5月18日、Eduardo Zuleta氏、Francisco Orrego Vicuña氏及び J. Christopher Thomas 氏によって構成された仲裁法廷は、スペイン王国に1億1200万ユーロを損害賠償金として申立人に対し支払うように裁定した(申立人の請求額は2億1800万ユーロだった)。また、上記損害賠償額に対する年利2.07%の支払い及び2,07%の累積利息の支払いも義務付けた。
現時点においては、まだ上記直近の2つの裁定に関する内容の詳細が公表されてはいないが、両裁定ともに、2017年5月4日に裁定されたEiser社 とスペイン王国の間のケースの仲裁裁定(ISCID仲裁裁定 事件番号ARB/13/36号)を支持するものだと言えよう。上記仲裁裁判はJohn R. Crook教授、Stanimir A. Alexandrov 博士及びCampbell McLachlan QC教授によって構成された仲裁法廷で行われ、スペイン王国に対し1億2800万ユーロにのぼる額を損害賠償金として申立人に対し支払う(申立人の請求額は2億9800万ユーロだった)旨の裁定を下した。当該仲裁裁定については、2017年5月19日付の当事務所の記事で触れている。
ヴィジャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)
ヴィラ法律事務所
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2018年6月29日