2017年8月30日付の官報にて、関連会社との取引及びタックス・ヘイブンと評価される国や地域との状況にかかる報告書となる様式232を承認する命令HFP/816/2017号が公布された。
2015年1月以降に始まった事業年度について、大々的な法人税法の改正がされ、関連会社との取引に関しては、新しい文書の作成が義務付けられた。しかしながら、本命令が目的とするのは報告義務であり、上記文書作成義務とは異なるものである。
本報告義務の根拠となる条文は、法人税法規則第13.4条である。従来は、この義務は法人税申告時の様式200内に含まれる表への記載によって履行されてきた。しかし、2016年1月以降に始まる税年度からは、当該義務は法人税申告用様式から新しい専用様式へと移される。この変更の理由は以下の2つである。
- 内容が単なる報告にとどまる表については、関係を有する者又は会社との取引を報告する義務がある会社にのみ提出が求められる報告書に含めるのが適切であること。
- 法人税申告様式から報告用の表を削除することは法人税申告提出に間接的に伴う税務負担を軽減することにつながること。
上記と同様の理由から、タックス・ヘイブンと評価される国や地域に関連する取引及びその状況に関する報告も、これまでは様式200に含まれていたが、新たな様式232へと移される。
様式のフォーマット
様式232はデジタルフォーマットでのみ利用可能である。
報告義務者
1)様式232及び「関係人又は関係会社との取引にかかる報告」欄への記載
以下の者が義務付けられる。
- 同一関係人又は同一関係会社と、一税年度内の総取引金額が、マーケットの価値に従い250,000ユーロを超える場合
下記a)又はb)の取引を関係人又は関係会社と行う法人税納税者及び恒久的施設を通じて活動を行う非居住者所得税の納税者
a) 同一関係人又は同一関係会社と、一税年度内の総取引金額が、マーケットの価値に従い250,000ユーロを超える場合
b) 法人法第3条及び法人税規則第16.5条の定める特定の取引が行われる場合には、当該取引個別の取引高が一税年度で100,000ユーロを超える場合。
しかしながら、以下の取引については「関係人又は関係会社との取引にかかる報告」欄への記載は義務付けられない。
- 税務上連結している同一グループに属する会社間で行われた取引
- 経済的利益のグループ化により税務上連結している同一グループに属するメンバー又は会社と行われた取引
- 有価証券の売却又は取得にかかる公的オファーの範囲で行われた取引
なお、同一の関係人又は同一の関係会社との総取引金額のいかんによらず、同一の種類かつ同一の評価方法を用いている取引で、それらの総取引額が当該税務年度における当該会社の取引高の50%以上である場合には、常に様式232及び「関係人又は関係会社との取引にかかる報告」欄への記載が義務付けられる。
2)様式232及び特定の無形資産から生じた収入の減額適用がされる場合の「関係人又は関係会社との取引にかかる報告」欄への記載
納税者が関係者又は関係会社へ特定の無形資産の譲渡を行った結果としての収入を得たことを理由に当該減額の適用を申請した場合にのみ、記載が義務付けられる。
3)様式232及び「タックス・ヘイブンと評価される国又は地域に関連した取引及びその状況」欄への記載
納税者がタックス・ヘイブンと評価される国又は地域において取引を行った場合又は有価証券を保有した場合には、その金額に関係なく報告が義務付けられる。
提出期限
様式232の提出は、提供する情報が含まれる税務年度終了後10ヶ月以内に提出しなければならない。
2016年内に始まり2016年12月31日以前に終了した税務年度については、提供する情報が含まれる税務年度終了後に訪れる11月1日から11月30日までを提出期間とする。
大友 美加
ヴィラ法律事務所
より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。
2017年9月15日