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サービス提供契約における早期解約による違約金の税務上の取扱いは、税務総局(DGT) や欧州司法裁判所(CJEU)の判例において繰り返し分析の対象となってきた。直近2025年4月28日付で税務総局が発行した税務照会V0757-25は、所有者管理組合は、供給契約で合意された契約期間を遵守しなかったことに対する違約金として、ガス供給業者に支払うべき金額に対し付加価値税(VAT)の課税について取り扱う。税務総局の分析に基づき、この基準が他の分野、例えば不動産賃貸などにも応用が適用可能かどうかという疑問が生じている。

税務照会で検討された事例において、所有者管理組合は、一方的、且つ期間満了前に、業者と締結したガス供給契約を解約し、最低契約期間を遵守しなかったことに伴う違約金として供給業者に一定額を支払う義務を負うこととなった。

従来、税務総局はこの種の契約早期解約による賠償金は、— 実際に対価を構成する場合を除き— 付加価値税の対象となる取引には該当せず、単なる損害賠償に過ぎなかった。行政法上の学説では、2020年以前の欧州司法裁判所の判決(C-215/94 Mohr事件及びC-384/95 Landboden事件)に基づき、このように理解されてきた。

しかしながら、税務総局はこの基準は欧州司法裁判所の相次ぐ判決、特に2020年6月11日の判決(C-43/19、Vodafone Portugal事件)を受けて変更されたことを指摘している。当該判例は、サービス提供契約が最低継続期間および顧客に対しより有利な条件を規定している場合、   契約の早期解約に伴い事業者が受け取る金額は、付加価値税の対象となるサービス提供の報酬となっていると主張している。この金額は、契約が満了に至っていれば支払うことになっていたであろう月々の料金と本質的に同等の性質と目的を有し、契約した商品または役務を顧客に提供する代わりに、供給業者に対し最低報酬を保証している。

同様に、税務総局は2024年11月28日の欧州司法裁判所判決(C-622/23、RHTB事件)を引用し、この基準を工事請負契約および同状況における逸失利益をカバーする違約金にも拡大適用している。

結論として、契約期間や有利な条件が設定されたサービス契約において取り決められた早期解約による違約金の金額は、早期解約が発生しない場合に供給業者が受け取る金額と同等である場合、付加価値税の課税対象の一部となるということに至った。

そこで疑問が生じる。  この基準は、不動産賃貸借契約の早期解約により違約金を支払わなければならないとされているケースに適用可能かという点である。

貸主が課税対象者、つまり定期的な賃料に付加価値税が課され、各期間ごとに徴収される場合、不動産の賃貸借も付加価値税の対象となる役務提供に該当する。

税務照会から得られた基準を適用すると、賃貸借契約に最低継続期間の合意と早期解約の場合の違約金規定が存在する場合、違約金として借主が貸主に対して支払う金額は、該当期間賃貸物件を提供する報酬と同等である。これは役務を提供する貸主に対する最低限の報酬を保証するものである。

この条件下での違約金は、契約で取り決められた全体的な対価の一部を構成している。このように、供給契約に対して税務総局が決定を下し、欧州司法裁判所が前述の事案で強調したように、借主が支払う違約金の金額は、付加価値税の対象となり、貸主は当該税金を転嫁し、課税対象収入として申告する義務を負う。

以上のことから、不動産の借主が支払う早期解約の違約金は、その性質が純粋に補償的であり、実際に提供された役務の代償とは無関係であることが証明できる場合を除き、付加価値税の対象となる報酬であると結論づけられる。ただし、除外事由に当たるかは、分析された税務照会により、制限的に解釈されることになる。税務上の不確実性を回避するため、違約金の発生原因と構成要素を契約書に詳細に明記することが推奨される。

 

 

ルビオ ジョアン ジュイス (Joan Lluís Rubio)

ヴィラ法律事務所

 

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2025年12月12日