去る4月5日、日本とスペインとの間でのワーキング・ホリデー・ビザに関する協定に署名がされた。本協定は2017年5月11日付官報でも公示がされた。

現時点においてその効力発生日は具体的になっていないが、当該協定によれば、協定の効力発生のために必要な国内手続きが完了し次第、スペイン・日本の両政府は相手国の政府に対して通報し、双方の通報が受領された日のうち、いずれか遅い方の日から30日目に、当該協定は効力を生ずるとされる。

ワーキング・ホリデー・ビザ申請の要件

協定第1条によれば、ワーキング・ホリデー・ビザの申請のための要件は主として以下の内容である。

  • 主として休暇を過ごすために相手国に入国する意図を有していること(就労を主たる目的としない。)。
  • ワーキング・ホリデー・ビザ申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること。
  • 被扶養者を同伴しないこと(被扶養者も一緒に渡航する場合には個別にワーキング・ホリデー・ビザまたはその他のビザを取得しなければならない。)。
  • 有効なパスポート及び帰国のための航空券又はそれを購入するための十分な資金を所持すること。
  • 相手国における滞在の当初の期間に生計を維持するための相当な資金を所持すること。
  • 滞在終了時に相手国を出国する意図を有し、かつ、滞在中に在留資格を変更しないこと。
  • 以前にワーキング・ホリデー・ビザの発給を相手国から受けていないこと。
  • 健康であることが医療診断書により確認されること。
  • 犯罪経歴を有しないことを申告すること
  • 相手国に滞在する間に、相手国において効力を有する法令を遵守する意図を有すること

上記要件のうち、(v)に定める「当初期間の生計を維持するための相当な資金」について、今後、各国政府内で物価や消費者物価指数、賃料等を考慮し、その基準となる具体的な金額が定められるものと考える。6月20日に在スペイン日本国大使館は、具体的な要件を含むワーキング・ホリデー・ビザに関する情報を公表した。当該情報によれば、スペイン人の若者が日本向けワーキング・ホリデー・ビザを申請するにあたって、上記要件(iv)に関しては、往復航空券を有していない場合には 2,000ユーロ、日本行きの航空券のみを有している場合にはスペインへの帰国用航空券相当額として1,000ユーロを所持していることが必要とされた。また、(v)に関しては、日本の初期滞在費用として十分と認められる額は2,000ユーロと定められた。

滞在可能期間

ワーキング・ホリデー・ビザによって滞在できる期間は入国した日から1年間であり、その間、旅行資金を補うために必要な限りにおいて、相手国の法令に従って就労することが認められる。

発給数

協定によれば、ワーキング・ホリデー・ビザの発給件数は毎年定められるとされており、発給件数には上限が設けられることとなるものと思われる。なお、上述の日本大使館の情報によれば、2017年はスペイン人に対するワーキング・ホリデー・ビザの発給数は250となるとのことである。

 

 

大友 美加

ヴィラ法律事務所

 

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2017年6月23日