去る2018年11月20日、2018年11月2日付勅令第1364/2018号が施行された。この勅令は2017年11月15日付欧州指令第2017/2012号を国内法制に導入するためのものであり、本勅令によって重度の危険のある特定電気機器及び電磁的機器の使用制限に関する2013年3月22日付勅令第219/2013号の一部改正がなされた。
I. 規則の目的
本勅令は、重度な危険性のある電気及び電子機器(以下「AEE」という。)の使用制限についての基準を設けることを目的としている。
基本的には、金属(鉄及び非鉄)、プラスティック、ガラス及びその他の材料(木材、ゴム、厚紙等)で廃棄物となった時にリサイクルや価値評価によって再利用しやすいものについての取り扱いを規定し、環境保護の効率を改善し、新しい資源の消費を抑えることを目的としている。
II. 適用対象者
本規則は、AEEの製造業者、輸入業者及びディストリビューターといった、その処理を行う業者に対して適用がされる。
III. 適用対象となるAEE
2013年勅令第219/2013号(及びその後の改正勅令第1364/2018号で改正がされていない)で網羅されているAEEの分類は以下の通りである。
- 大型家電
- 小型家電
- 情報機器及び通信機器
- 消費機器
- 照明器具
- 電気及び電子器具
- 遊具、スポーツ器具、趣味道具
- 衛生商品
- 監視及び管理用機器(産業用監視及び管理機器も含む)
- 自動販売機
- 上記のいずれにも含まれないその他のAEE
IV. 「その他のAEE」の適用に関する経過規定
上記の最後の、その他一切を含めるような分類は、2005年2月25日付勅令第208/2005号「電気及び電子機器及びその廃棄処理に関する規則」には含まれていなかった(この勅令は2005年から2013年まで施行されていた[1])。勅令第219/2013号はそれらを含んでいたが、他方で、経過規定において、規則の完全な施行を念頭に、その「商流に入れること」を2019年7月22日まで認めている。
EUマーケットにおけるAEEの最初の取引と理解される、より広く一貫性のある「マーケットへの導入」とは対照的に、「商流に入れる」という用語の使用は、EUマーケット内で商事行為として行われるディストリビューション、消費又は使用のためのAEEが無償となると解釈され、注意を引いた。
これは、2019年7月22日以降は、勅令第219/2013号の基準を満たさないAEEのマーケットへの初回の導入及び商事取引でのそれらの供給、消費又は使用が禁止されることを意味する。
V. 「取引」から「マーケットへの導入」へ基準の変更
しかしながら、上述の勅令第219/2013号の経過規定第1条は、勅令第1364/2018号によって削除されたため、2019年7月22日以降に禁止がされるのは、廃止された勅令第208/2005号で適用範囲に入っていなかったAEEの「市場への導入」ということになり、その「取引」ではなくなった。
このことは、規則の適用を受けるマーケットのプレイヤーが、2019年7月以降に勅令第219/2013号の技術標準を満たしていない在庫を売るためのマージンを与えることになるだろう。ただし、当該在庫は当該期日以前にEUマーケット内に導入されていなければならない。
ヴィジャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)
ヴィラ法律事務所
より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。
2018年11月23日
[1] 廃止された勅令第208/2005号は、2003年1月27日付欧州議会及び欧州委員会指令第2002/95/CE号「重度の危険性のある電気及び電子機器の使用制限に関する指令」及び2003年1月27日付欧州議会及び欧州委員会指令第2002/96/CE号「電気及び電子機器の処分に関する指令」を国内法制化するためのものだった。勅令第219/2013号は2011年6月8日付欧州議会及び欧州委員会指令第2011/65/EU号「重度の危険性のある電気及び電子機器の使用制限に関する指令」を国内法制化するためのものだった。