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スペインにおいて販売店締約に対し、代理店契約法(1992年5月27日付法律第12号)を類推、および自動的に適用することは、争点となってきた問題である。最高裁判所は近年、このような適用は不適切であると結論づけている。2009年に欧州司法裁判所も、(Turgay Semen/Deutsche Tamoil GmbH事件において)EU指令第86/653号に定める補償制度の適用不可に関連し、同様の見解を示している。

したがって、無期限かつ書面化されていない販売契約の終了および一方的解除の結果について検討する必要がある。このような契約形態は、製造業者と代理店との間に存在する多くの商業関係に該当する。

2023年10月8日付けのスペイン最高裁判所の判決(569/2013号)は、2011年3月15日付けの判決を引用し、無期限の販売契約において、いずれの当事者も契約を終了させる権利を有していることを確認している。ただし、この終了は突然または予期せぬものであってはならず、契約終了を主張する側の行動は、権利の濫用や不誠実、悪意のあるものであってはならない。この点は特に想像業者側の行動に関わる。もしこの権利の濫用があった場合、契約関係は終了するが、損害が生じた場合には損害賠償責任が生じる。

この点に関して、販売代理店の契約違反がある場合でも、製造業者が事前通知なく契約を終了した場合、それが損害の原因となり得ると最高裁は解釈している。なぜなら、事前通知をしないことで、代理店側に行動の修正や方向転換の機会を与えられないからである。損害が生じた場合、その損害は単なる通知が欠けていたことで生じた直接的な損害にとどまらず、逸失利益にも及ぶ可能性がある。

当然ながら、そのような損害賠償は、契約終了に正当な理由がない場合、かつその契約終了が突然かつ予期せぬ形で行われた場合にのみ発生しうる。そして、損害の存在及びその金額の立証責任は販売代理店側が負う。なる推測や仮定では、損害の存在を証明することは認められない。

一方で、供給された製品に対する支払いなどの不履行など契約終了の正当な理由が存在する場合、損害賠償の権利は生じない。そうでなければ、販売代理店の契約違反に基づいて不当な利益が生じることになりかねないからである。さらに、そのような明確な契約違反があった場合でも、製造業者が販売代理店にその義務不履行を是正する機会を与えずに即座に契約を終了したのであれば、それは契約終了時の権利の濫用として解釈される可能性がある。

正当な理由を欠く契約終了を前提とすると、契約終了の事前通知の必要性は、代理店法第25条第2項の直接的・自動的適用から生じるものではなく、不当利得禁止の原則、公平の原則、さらには契約上の信義則(民法第1258条および商法第57条)から導かれる。顧客補償および代理店法第28条に関しても同様である。いずれの場合も、最高裁は、契約終了に伴う損害賠償の考え方について、代理店法の趣旨を類推適用することは認めているが、自動適用は認めていない。いずれにせよ、最高裁は、契約終了に伴う損害賠償の考え方について、代理店法の趣旨を類推適用することは認めているが、自動適用は認めていない。

また、損害賠償請求が認められるか否かは、損害の存在とその金額が立証されるという二つの条件にかかっている。

代理店法に規定された損害賠償ルールの類推適用は、「理由の同一性」が存在する場合にのみ可能である。2014年12月11日付け(697/2014号)および2015年7月9日付け(404/2015号)の最高裁判決では、特にこの点が強調されている。合理的な事前通知がない場合に生じる損害賠償について、明示的な契約がない場合には、民法第1101条および1106条等に従うべきであり、代理店法上の損害賠償制度を直接的に類推適用することはできないとされている。

要するに、確立された判決法によれば、事前通知の不足によって、代理店法第29条に基づいた損害賠償が自動的に認められるということではない。事前通知がなかったかとのによって実際に損害が生じたかどうかは、立証されなければいけない。そしてその立証は、契約関係における忠実義務や信義則に違反したかどうかに基づいて判断されるべきである。この判断には個別の事案ごとの事実や背景の検討が必要である。

2025年5月20日付けの最高裁判決(2220/2025号)は、10年以上継続した口頭での無期限販売契約に関する事案において、過去の判例を詳しく整理した上で、以下のように最高裁の立場を要約している。

(1) 無期限の販売契約においては、いずれの当事者も事前通知なしに契約を一方的に解除する権利を有している。その理由は、契約が「期間の定めのない(sine die)」性質を持っているからである。

(2) しかしながら、正当な理由や契約上の誠実さがない場合においては、事前通知なしの解除は契約解除権の濫用とみなされ得る。

(3) 契約や明示的な規定がない場合において、事前通知の欠如または不十分な通知による損害の補償は、民法第1101条および1106条等に基づいて判断されるべきであり、代理店法の損害賠償制度を単純に適用することはできない。

(4) ただし、「理由の同一性」が認められる場合には、代理店法を類推適用して損害賠償が認められる可能性はある。その損害は、現実損害および逸失利益を含む(通知期間中に期待された利益や財産的増加など)。

例え、これらすべてを考慮しても、この判決では、事案の具体的な事情に応じて判断する必要があり、損害の存在については請求者が立証しなければならないと明確にしている。つまり、代理店法に基づく損害賠償を自動的に適用することはできない。

裁判の対象となったケースにおいては、生産業者による事前通知が代理店法で定められた期間にしたがって行わなかったにも関わらず、最高裁判所は当該法に基づく損害賠償の自動的な適用を否定し、その結果として、第一審及び控訴審の判決を破棄し、損害賠償請求を棄却した。その理由は、販売代理店側が実際の損害の存在を立証できなかったためである。

実際、当事者間で定められていた独占契約は製造業者側に限られたものであり、契約解除が通知された後も、販売業者は他の企業と取引することが可能であった。

さらに、当該製品の売上は全体の2%に過ぎなかった上、製造業者が儲けた事前通知期間の売り上げについても、減少した事実を証明できていなかったのである。

最後に本判決は、仮に損害の存在を認めたとしても、当事者間における過去5年間の平均の月取引額を基礎とした損害賠償がくの計算方法は不適切であると指摘している。なぜなら、このような計算方法では、販売業者が事前通知期間中に製品を無償で得ていたことになるためであり、それは、公正の原則に基づいて構築されている損害賠償という制度の本旨を損なうことになるからである。

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2025年9月5日