違反した場合に刑罰が科されるような義務の場合、他に合意がされていない限り、当該義務について不履行となった場合に実施される科刑は、損害賠償と遅延利息の支払いに代わるものである。

これらの刑罰規定に関して、最高裁の確立した判例により設けられた民法第1154条 「債務者による主たる債務の一部のみまたは不完全な履行の場合には、裁判官は刑罰の量を公正な観点から修正することができる」との規定 を考慮しなければならない。

最高裁判所判例の流れを汲み、民法第1154条は「裁判所による刑罰の緩和は、債務者が主たる義務の一部のみまたは不完全に履行した場合にのみ可能であって、支払遅延に基づき刑罰が科される場合のように、両当事者が、刑罰が科されることについて熟考できるようなケースで直接かつ明確に刑罰が適用される場合ではない。」としている。2009年12月29日最高裁判決第839号においても、これまでの判決と同様に上記見解が示された。したがって、従来の判例では、契約に定められた刑罰が金銭の支払義務の全部あるいは一部の不履行または不完全履行に基づき適用される場合には、裁判所による刑罰の修正を否定していた。

しかし、直近の2017年1月25日の判決において、裁判所による刑罰の修正にかかる見解について例外が示された。それは、契約書において定められた刑罰であっても、(i)債務の全額が未払いであっても、損害賠償額がこの債務額よりも圧倒的に上回る金額である場合で、かつ、(ii)当該債務が生じた時点で予見できなかった状況の変化があった場合に、裁判所による刑罰の修正が認められるというものである。

同様のケースにおける民法1154条の適用を正当化するために、最高裁はその判決において、当該義務の不履行について刑罰条項に定められる金額が、刑罰が科される義務の不履行によって生じた損害額よりも大きいという事実のみでは足りないことを説明している。

この判決は、実際の損害額と刑罰の額との差額が異常なまでに乖離しているような場合には、契約締結時には予見不可能だった事情が存在し、契約締結時に合理的に予見可能であった損害とは根本的に分けて考えるべきであって、 Sunt Servanda 原則(当事者の合意が守られるべきとする原則)と民法第1154条の類推適用による裁判所による刑罰の緩和は両立可能であるとしている。

最高裁判決は、裁判所による刑罰の修正のために、実際の損害額を刑罰の金額が異常に上回ることの立証責任を債務者に課した。

最後に、最高裁は、債務者は、債権者が実際に被った損害の金額についての立証責任を債権者に転嫁することを目的として資本会社法第217条第7項の「立証の可否」を引用することができないと述べた。

 

 

エステル・ウゴ (Hugo Ester)

ヴィラ法律事務所

 

より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。

va@vila.es

 

2017年3月3日