序論
事業を始める際、なかでも、どのようにして市場において認知してもらいたいかという点を決めることは重要である。この決定は、例えば、どのような名称の商標のもと、自身の商品やサービスを行うのか、どのような名称のインターネット・ドメイン(その重要性は既に明らかである)のもとホームページを持つのかといったことを含むものである。
そもそも、このような決定は、我々自身の判断や創作性にのみ基づくように思われる。しかしながら、この場合、経済的な重要性の有無にかかわらず、過去に培ってきた事業活動や他の国で並行的に行なっている事業活動を特定するための商標やデザインによって、条件づけられていることが通常である。
しかしながら、違う要因にも特別の注意が必要であり、それを遵守しないことは、中期的もしくは長期的に、時間や労力、金銭、市場での評価等、重大な損失をもたらし得るものである。
そのため、たとえプロジェクトを開始するための経済的資源に余裕がない場合であっても、その生じうる不利益を考慮すると、以下に述べる点についての検討を惜しむことのないよう注意されたい。
1.商号
もし、多大な安全性や利点を提供してくれる会社というものを通して、経済活動を行って行くことを決めたのであれば、まずは、その商号を使うことができるのかをチェックすべきである。このマイナーな手続きは商業登記所のおいて行われ、もしその商号に問題がなければ、6ヶ月間、その商号使用の権利を確保しておいてくれる。
2.商標
今日において、ある事業の大部分の価値は、目に見える物、例えば工場や不動産ではなく、目に見えないもの、例えば市場において消費者や使用者が認知している商標といったものをその源泉としている。
そのため、はじめに、市場において他社との識別をしてくれる表象である商標の登録を通して自らの身を守ることが重要である。商標は以下の形で我々を守ってくれる。
(i) 第三者は我々の商標やそれに類似したものを使用することはできない。
(ii) 我々の有する商標は、それまでに登録された第三者の商標を侵害するものではない。
我々は、自身がデザインした商標は、オリジナル又はユニークなはずだと思っている。しかし、起業家は2つの商標の類似性や、消費者の混同を惹起する可能性が、どのような基準で判断されるのかは知らないのが通常である。そのため、このような基準を熟知している専門家によるアドバイスを受けることを推奨する。その目的は、上記(i), (ii)記載の利益を享受すること、及び第三者に与えた損害を賠償するよう命じたり、自身の商標を放棄することを求める判決に至る可能性のある訴訟を避けることにある。なぜなら、上記のような事態が生じると、そのために費やした努力や資金について何ら言及されることなく、自身の市場における評判を大きく毀損することになるからである。
3.インターネット・ドメイン
些細な問題であるかのよう思われがちであるが、大企業は、これまで第三者が有しているドメイン名について、その取得のために多くの金銭を払っており、その登録コストは不条理なものである。このことは、消費者やユーザーがインターネット検索において使用しそうな我々の商標と類似したドメイン名を他者により不当に保持されるという事態を想定しておくことの重要性を示している。
そのため、プロジェクトの初期の段階において、事業活動で使用したい商標を完全なものにするためにも、ドメイン名についてもその使用可否を検討しておくことは重要である。
結論
ほんの少しの時間やリソースをかけるだけで、我々はその事業のクリーンなスタートを切ることができる(会社の商号、商標、ドメイン名)。これらは、我々の努力、行動、事業活動の遂行の質のすべてが、我々の商標や企業の価値を築き上げていくことを、我々に保障するものである。同様に、将来において我々の商標を使う権利や、消費者が我々をインターネット検索する際のドメイン名を第三者に奪われることがなくなることも保障する。
ヴィラ法律事務所
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2014年12月3日