2025年10月20日付最高裁判所民事部判決第1448/2025号は、株主名簿の確定的効力と、その不当な名義書換拒絶から生じる影響という会社実務において極めて重要な問題を取り扱っている。最高裁判所は、株主名簿が会社運営において果たす本質的な役割を強調し、株式や持分の実質的保有者と株主名簿に記載された状況との間に不一致がある場合について、会社の総会決議取消の正当性について判決を下した。
株主名簿(libro registro de socios)(株式会社(sociedad anónima)では「株式台帳」(libro registro de acciones nominativas)と呼ばれるは、すべての資本会社(株式や持分によって資本が構成されたスペインの会社形態の総称)において義務付けられている会社の書類である。そこには、株式または持分の原始的な所有権およびその後の譲渡、ならびにそれらにかかる物権の設定、差押えその他の負債が記載されている必要がある。その目的は3つあり、株主の識別、内部関係の透明性の保証、そして、株主としての地位に内在する権利と義務の行使を正当化する手段として活用することである。
株主名簿の書き換えは、株主資格の権利変動を生じさせる性格のものではないが、重要な法的効力を有する。会社と株主の関係においては、書き換えは反証可能な推定として機能するため、会社は株主名簿に記載されている者だけを株主として認める。ただし、真の所有者がその責めによらない事由により記載されていないことが証明された場合には、この推定は裁判によって覆される可能性がある。名簿の管理、保管及び書き換えは、会社の取締役の義務で、委任はできず、これに違反した場合、法的責任及び重大な結果が生じる可能性がある。
今回判決が言い渡された訴訟は、メキシコのIconos Nacionales S.R.L. de Capital Variableを原告とし、Real Murcia Club de Fútbol S.A.D.に対して行われたものである。原告は、84.2%の株式の実質的保有者であるにもかかわらず、株主総会での出席と投票を妨げられたと主張して、2018年9月4日に開催された株主総会、及び、そこで採択された決議の無効確認を請求した。原告が株主総会から排除された背景は、原告の所有権が確固たる仲裁の裁定により証明され、スペイン・スポーツ高等委員会の認可を裏付けるものであるにもかかわらず、会社が原告を株主名簿に記載することを拒否したことに基づいていた。
株主名簿の法的機能
最高裁判所は、株式台帳への記載の性質と範囲について詳細な分析を行った。すなわち、スペイン資本会社法第116条第2項は、「会社は、当該台帳に記載されている者のみを株主とみなす」と定めている。従来、学説と判例では、この記載が権利変動を生じさせる性質を持つのか、それとも単なる宣言的性質なのかについて議論されてきた。
裁判所は、確立された判例法に従い、記載は権利変動を生じさせるものではないが、会社に対して本質的な正当化機能を果たすことを確認している。この正当性は、「反証可能な推定の効力」をもって、能動的側面(会社上の権利の行使)と受動的側面(義務の負担)の両方で機能する。したがって、株式の実際の正当な取得を裏付ける十分な証拠が存在する場合、司法審査は、取締役会による書き換えの不当な拒絶を覆すことができるとした。
株主名簿の書き換えの不当拒絶による影響
この事例は、Iconos Nacionalesの所有権を証明する明確な裁定が存在しているにもかかわらず、Real Murciaの取締役会が株主名簿の書き換えを拒否したことで、株主総会における支配株主の不当な排除を引き起こしたことを浮き彫りにしている。これにより定足数が変更され、支配株主の利益に反する決議、特に、経営陣の支配権を強化し、支配株主の支配を弱めるために計画された増資決議が可決されることとなった。
裁判所はこの件について断固とした姿勢で、当該行為が、瑕疵のある会社決議は無効となるといった当然の結果をもたらすことを指摘している。裁判所によれば、会社は、適切な書き換えを行わなかった結果に対する責任を問われるべきであり、それには、決議の無効だけでなく、状況の原状回復、及び、関連する名簿上の記載の取消しも含まれる。
取締役の不可欠な義務としての書き換え
最高裁判所は、株主名簿の取扱いは、無意味な形式的なものではなく、会社の法的安全性と株主の権利保護の本質的な保証となるものであるとする。誤った判断や恣意的な判断は、その後の会社手続きの無効を招く可能性があるため、取締役は、書き換えの法的要件、及び、定款上の要件の検証を慎重に行わなければならない。
分析対象となった本件において、原告は書き換えに必要な要件は全て満たしていること、また、反対当事者による反論については、確定した仲裁の裁定に対して書き換を拒むことはできないことが認められた。
このように、会社実態の反映を不当に拒絶することは、影響を受ける株主の権利を脆弱にするだけでなく、総会決議の無効や取締役に予期せぬ責任を負わせることなる。
ルビオ ジョアン ジュイス (Joan Lluís Rubio)
ヴィラ法律事務所
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2026年1月16日