2022年3月25日付スペイン官報にて、2022年3月7日付法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)決定が公示された。当該決定は、ある合同会社(S.L.)の株主総会決議にかかる公正証書の登記申請を、マドリード商業登記所登記官が株主総会招集手続きに瑕疵があるとして却下したことに関するものである。

本事案において、ある会社の経営体制が共同代表取締役制度に変更されたが、当該変更がされる直前に、当該会社の一人取締役であった共同代表取締役の会社が、特定の人物に広範囲の権限を与える委任状を作成した。これに対して、他方の共同代表取締役が、共同代表取締役制度を回避する行為と主張し、当該委任状の取り消しを申請する文書を商業登記所に提出した。

タラゴナ商業登記所の登記官は、以下の理由から申請された登記について実施しないことを決定した。

「登記官が一方的に委任状を取り消すことは適切ではない。なぜなら、委任状の取消しは現職の経営組織にその管轄が属するからであり、加えて、請願登記に関する原則においては、法令又は規則に定められている場合を除き、職権によるキャンセルを認めていない。」

これに対して、下記の2点を主張し、異議申し立てがされた。

  • 当初において、取消し対象となる商事委任状は、資本会社法第231条に基づき株主総会の承認が必要となる利害関係人が受任者とするものであることから、作成され登記がされるべきではなかった。
  • 他方共同代表取締役が取り消したいとしている商事委任状を無効化する可能性が認められなければ、当該委任状は取り消し不可能な状態となる。

公文書管理局は、本件異議申し立てを却下し、商業登記官の評価を支持した。その理由は以下の通りである。

「本事案において、代理人の地位が共同代表取締役の地位となった場合における他方の共同代表取締役の意思で当該委任状を取消すことの可能性にかかる議論はされておらず、また、この点について適切になされた論争がされたことを確認することすらできない。なぜなら、商業登記官はそのような不測の事態について述べていないからである。登記官の通知で記載されていることは、委任状を取消す権限は会社の経営組織にあること、委任状の登記を職権で取り消すための権限に欠けること、及び請願において求められている行為は、最悪の場合、請願原則違反を伴う可能性があることである。」「その他については、提出された請願書がその内容に関する要件を満たしていたとしても、商標第18.1条及び商業登記規則第5.2条に述べられている公文書による登記の原則から導き出される要請を満たさなければならない。」

 

ヴィラ法律事務所

 

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2022年5月13日