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会社の組織構造は、会社法(コーポレイト法)の中心的な柱の一つを構成する。これによって、経営と監督の機能の分割、責任負担、および統制メカニズムの制度化を定める。ドイツにおける会社法は、経営機関と監査機関の間で厳格な人的・機能的分離を定める二元制を採用する。これに対し、スペイン会社法は、主にこれらの機能は単一の経営機関に集中する一元制を採る。当該構造的相違は、特に大企業が危機に面した場合に、実践的な重要性を帯びる。

会社の経営機関と監督機関が別々に存在することが、二元制の特徴である。ドイツ株式会社(AG)の場合、経営機関は取締役会(Vorstand)に属し、ドイツ有限会社(以下、「GmbH」)の場合は取締役(Geschäftsführung)に属する。監督機能は、独立機関である監査役会(Aufsichtsrat)に委ねられる。この体系的な分離には、業務執行機関自らがその行動を管理するのではなく、外部の独立した監督下に置くことを保証するという目的がある。この状況下では、監査役会はしばしば「中間者」と表現される、経営陣と出資者/株主の間で活動する、管理・調停機関として機能する。

当該システムの設定は、特にGmbHの場合に顕著である。一般的にGmbHは、取締役によって代表され、監督は通常、株主総会を通じて行われる。GmbHにおいて監査役会の設置は、「三分の一参加法」(Drittelbeteiligungsgesetz:ドイツの労働法および会社法)または「共同決定法」(Mitbestimmungsgesetz)規定において設置が義務付けられている場合、もしくは、GmbHの定款に、任意監査役会と呼ばれる監査役会の自主的な設置を定める場合以外は、義務付けられていない。任意監査役会の設置には、定款に、いわゆる条項と呼ばれる明示的な規定が必要である。これにより、株主には、総会の簡易決議による監査役会設置する可能にする。

ドイツ三分の一参加法(DrittelbG)第1条第1項第4号は、監査役会における代表権と従業員の役割を段階的に定めるが、これによると、通常従業員500人以上のGmbHでは監査役会設置を義務付ける。その場合、監査役会の構成は、会社の従業員数によって決まる。三分の一参加法は、監査役会構成員の3分の1を従業員が指名し、残りを株主が指名することを定める。監査役会は最低3名で構成される必要がある。従業員数が500人未満、且つ定款に任意監査役会を定めない場合、経営陣の監督は専ら株主総会が行うことになる。

従業員2,000人以上のGmbHの場合には、共同決定法を適用し、男女同数の構成員からなる監査役会設置が義務付けられる。監査役会構成員の半数は従業員が指名し、残りの半数は株主が指名する。監査役会の規模は従業員数に基づいて決定される:従業員10,000人未満会社では12名、20,000人未満会社では16名、20,000人以上の会社では20名と定める。

GmbHにおける監査役会の職務および責務は、原則として、ドイツの株式会社法(Aktiengesetz)に定める。これは、同法の適用に言及する三分の一参加法第1条第1項第3号、共同決定法第 25 条第 1 項第 3 号、および有限会社法(GmbHG)第 52 条第 1 項に展開する。

GmbH監査役会の主な職務は、以下を含む。

i. 取締役への監督は、誤りの検出を目的とした事後的監査と、有害な逸脱の防止を目的とした事前的管理の両方を含むと理解される。特に重要な関連法は、株式会社法第90条および第111条。

ii. 同様に、監査役会は、取締役に対する損害賠償責任の追及、株式会社法第111条第4項に基づく同意留保の設定、内部規則の承認、および監査役会の議長の選任を行う権限を有する。

iii. 監査役会メンバーは、忠実かつ慎重な監督者としての注意義務をもって職務を遂行しなければならず、書面による守秘義務、広範な忠実義務を負い、常に会社の利益のために行動しなければならない。

iv. 利益相反は、例えば、影響を受ける事項に関する決議や投票を控えるなど、適切に開示・処理されなければならない。

ドイツの二元制は、株式会社(以下、「AG」)においてさらに顕著となる。取締役会と株主総会に加え、監査役会は株式会社の第三の中核機関を構成する。立法者は、株式会社法第76条に基づき、取締役会に非常に幅広い経営裁量権を付与する一方で、株主の影響力は意図的に制限する。株主には、取締役会構成員の選出も、直接の解任もできない。

ドイツ株式会社法は、株主の財産的利益保護のために、監査役会の設置を義務付ける。監査役会は、取締役会メンバーの選任および解任の権限を有し、少なくとも半年毎に1回、上場企業の場合は少なくとも半年毎に2回開催される定期的な会議を通じて、取締役会の活動を監督する。監査役会の同意留保は、ドイツ株式会社法第111条に基づく監督のための予防的手段である。

監査役会は、自らの裁量により、取締役会メンバーに対する責任追及措置の実施を決定し、年次決算および監査の精査、事業リスクの監督、企業の戦略的発展の支援、また、特に持続可能な事業発展に留意した、コーポレートガバナンス原則の策定に参加する。

実用上、本システムの重要性を示す一つの好例として、2015年以降に発生したフォルクスワーゲン社が起こした大規模な産業事件「ディーゼルゲート事件」を挙げる。本件では、フォルクスワーゲン社が数百万台の車両に違法な不正装置を搭載し、排出ガス試験を操作して試験条件下では法定基準を満たすようにしていたが、実際の走行時には基準を満たしていなかったことが明らかになった。

本件においては、取締役会は技術的決定の執行に責任を負う一方で、監査役会は取締役会を監督し、リスクの早期特定という任務を担っていた。同意留保の適切な設定、適切な取締役会監督の実行、取締役会メンバーに対する責任追及措置の検討といった問題は、監査役会の役割が事後的な監督機関であると同時に、将来を見据えた監視機関であることを浮き彫りにしている。

本件は、以下に挙げる法的観点から、上場株式会社において二元制がいかに機能するかの例として特に重要と考えられた。

  • 業務執行責任は、フォルクスワーゲン株式会社の取締役会が担った。(株式会社法76条に則る)
  • フォルクスワーゲン株式会社の監査役会は、監督、リスク管理、戦略的支援、ならびに取締役会メンバーに対する責任追及措置の検討、および必要に応じた実施を担った。(株式会社法111条に則る)

結果として、ドイツでは監督不備、同意留保、コーポレートガバナンス構造、および取締役会や監査役会メンバーの民事責任について激しい議論が巻き起こった。

ドイツでは、原則として協同組合(Genossenschaften)も、二元制を採用する。協同組合は、執行理事会及び監査役会を設置する義務を有す。ただし組合員が20名以下の協同組合に限り、定款の定めにより監査役会の不設置を決定できる。この場合、法令に別段の定めがない限り、総会が監査役会の権利及び義務を引き継ぐことになる。

ドイツの二元制とは対照的に、スペインでは一元制が採用されていることには言及した。つまりスペインでは、経営機関と独立監督機関の間に厳格な人的分離が存在しないコーポレートガバナンスモデルを採用している。スペインの資本会社、特にドイツAGに相当するSociedad Anónima(S.A.)およびGmbHに相当するSociedad Limitada(S.L.)の管理および代表は、唯一の執行機関である取締役会、あるいは1人、もしくは複数取締役によって実行される。取締役会メンバーは、執行と監督業務の両方を担い、制度的に独立した監督機関は存在しない。

多忙な執行業務に対応するため、スペイン法上では取締役会書記役という役職を設けている。資本会社法第529条第8既定に基づき、取締役会は書記役および必要に応じて1人以上の副書記役を任命できる。ただし、コーポレイト法上の一般規定と上場企業に対する特別制度とは区別の必要がある。経営機関に関する基本的な規則は資本会社法に定め、非公開株式会社および有限会社に適用する。資本会社法第529条第8既定は、上場株式会社にのみ適用され、取締役会の構成、運営及び内部組織に関する特定のコーポレートガバナンス要件を定める。これらの規定は、経営と監督機関の構造的分離、つまり二元制を定めるものではなく、単一機関による統制メカニズムの機能強化の表明である。取締役会のメンバーが書記役となることも可能であり、その場合、書記役としての特定の職務に加え、他の取締役と同様の第三者に対する会社責任を負う。しかしながら実務上は、当該職務は通常、企業法務事務(corporate housekeeping)の専門知識を持つ弁護士、もしくは非取締役の者が担う。

スペイン法上の観点からは、一元制は、組織の柔軟性、責任所在の明確性という利点をもたらすと考えられている。異なる機関間の調整が不要であるため、意思決定プロセスの迅速化が可能である。同時に内部統制面では、二元制よりも、取締役の責任義務、外部監査、資本市場の透明性要件(特に上場企業の場合)によってより強く保証される。したがって、統制の有効性は、機関が構造的に分離している場合よりも、取締役個人の誠実さ、資質、独立性に大きく依存する。

スペイン一元制も含む現コーポレートガバナンスの推奨枠組みでは、統制を強化する目的で、多くの場合「CEO」と呼ばれる最高経営責任者と取締役会議長(Chairman)の分離がますます推進、もしくは実践されている。しかしながら、経営機関の構造的一元制は維持される。EUおよび欧州経済領域(EEA)内での越境活動、特にEU加盟国内の本社移転の簡便性のために設置した会社形態である欧州会社(ラテン語の”Societas Europaea”を略して「SE」)は例外的な制度である。スペイン国内に設立された欧州会社は、二元制か一元制かの統治構造の選択を可能とされる。二元制を選択した場合、監査役会は基本的に株式会社の監査役会に相当し、欧州起源の参加・共同管理に関する規則によって補完される。

本比較分析から、ドイツにおける会社設立の際には、法人形態及び経営機関の選択が極めて重要となることが判る。とりわけ、従業員数次第で、共同経営に関する強制規則の適用や監査役会の設置義務が決定する。二元制は、より高い透明性、統制力、法的安定性を提供するが、組織的な要件もより厳しくなる。ドイツで会社設立を試みる者は、責任リスクやコーポレートガバナンスの欠如の回避のため、当初からこれらの構造を考慮する必要がある。

会社組織の構造とは別に、定款は、利害関係者の会社と従業員間の関係における期待値を形成する。ドイツでは、監督機関への労働者代表の正式参加により、経営陣と従業員間のコミュニケーションが、一時的、もしくは対立的なものにならないことを保証する。従業員参加の目的は、定期的な情報交換、会社財務状況に関する相互理解、そして会社決定の予測可能性の向上等、永続的な関係の構築促進にある。

スペインでは、会社と従業員の関係は、状況的相互関係であると言える。会社の意思決定や監督プロセスに従業員の関与はないため、経営陣と従業員間の交流は、労働法関連の特定の措置や経済的調整においてのみ生じる。したがって、当該関係は継続的調整というよりも、具体的交渉により特徴づけられる。本構造においては、多くの場合、会社決定は外部圧力と認識する一方で、労働者は主に労働法や適用労働協約に基づき行動するといったように、相互認識に影響を与える。

両システム間の相違は、個々の法的規範よりも、会社と従業員間の関係性の長期的構築においてより顕著であることが分析により明らかになった。ドイツモデルは、定期的な交流に基づく正式な手順を踏んだ近接制による安定性を促進する一方、スペインシステムは、発生案件に応じより機能的である傾向がある。こうした異なる論理は、コミュニケーションや信頼、紛争の力学に影響を与えるが、必ずしも一方の制度が他方よりも優れていることを意味するわけではない。むしろ、会社設立が常に社会秩序を創出し、組織構造の直接的な範囲を超えて影響が広がっていることを、この比較は示している。

二元制と一元制は、コーポレートガバナンス上異なる構造的アプローチを採用していることが、比較から判明する。ドイツ法は、経営と監督機能の機関分離を制度的に定めるのに対し、スペイン法はこれらの機能が単一経営機関に統合されている。いずれのモデルも、適切なコーポレートガバナンス保証のための独自の仕組みを備えており、それぞれが異なる法的、経済的、文化的状況に適応する。国際的に活動する企業や投資家にとって、組織構造、意思決定プロセス、責任分担への影響のために、これらの相違への理解は非常に重要であるといえよう。