スペイン最高裁(民事第1法廷)は、2016年11月23日付けの判例において、請求書の支払い期限が60自然日を超える内容で当事者が合意した契約書について、法的に無効であることを宣言した。
前提事実
本件は、下請業者が元請業者に対して、既に行った業務にかかる未払いの請求書と遅延利息の支払いを請求する事件である。
根本的な問題として、商事行為における支払い遅延防止法(2004年12月29日法第3号)(以下「支払い遅延防止法」)で定める支払い期間の限度に関する解釈が争われた。当該法は2010年7月5日付法第5号(改正支払い遅延防止法)と2013年7月26日付法第11号(起業家支援及び雇用の促進の増大の刺激策に関する法律。以下「起業家法」)によって改正がされている。
従前の法令
支払い遅延防止法第4条は、支払い期限の決定は両当事者の合意に委ねており、合意がない場合には30日を支払い期限とすると定めていた。
2010年7月5日付の改正支払い遅延防止法により、期日が過ぎた請求書の未払い、支払い遅延や支払い期日の延長と大企業による中小の下請企業に対する立場の濫用を避けるために「両当事者の合意」の可能性が狭められた。
起業家法による改正後は、当該第4条は、概して言うと、以下の内容となった。
一般規定: 債務者が守るべき支払い期限は、契約書において支払い期限を特に定めていない場合には、商品を受領またはサービスの提供を受けた日から30日後とする。
もっとも、両当事者の合意によって当該期限を延長することができるが、いかなる場合においても60自然日を超える期限で合意をすることはできない。
この期限の上限は強制規定であり、60自然日を超えるような支払い期限の合意は、法的に無効となる(民法第6条第3項)。
例外: もし法、または契約において、商品またはサービスが契約内に記されたものに適しているかどうかを検証するための承認または確認手続きが設けられている場合、その手続きは当該商品またはサービスの提供を受領した日から30自然日以内に実施されなければならない。この場合、請求書または支払い請求が商品またはサービスの承認または確認よりも前になされた場合であっても、支払い期限は商品またはサービスの承認または確認がされた日から30日となる。
この場合、法定の支払い期限は、商品の引渡しまたはサービスの提供日から数えて90自然日まで延長することができる。
関連実務
請求書の支払い期日は、それらが未払いとなった場合には、債権者から債務者に対して期日を迎えた旨の通知も通達も要することなく、主たる金額の請求に契約または支払い遅延防止法の定めに従った遅延利息が加算される。この利息は、法定の支払い期限の上限に従って生じ、同時に 60自然日を超えるような支払い期限にかかる両当事者の合意は無効となる。
結論
最後に、最高裁は、いかなる形式においても、これら支払い期間に反するような内容の条項または契約実務について事前に異議を申し立てなかったという事実のみだけで、契約行使の過程における請求を妨げる行為を形成しない。それは、債権者が、合意であれ法定であれ、条件の合法性を法的に見直す権利を行使することを妨げるものは何もないからである、とした。
ビジャビセンシオ・カルラ(Carla Villavicencio)
ヴィラ法律事務所
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2016年12月9日