通常、高級ブランド品の製造元は、自社製品の高級感を損なわないよう、一連の要件を満たした正規の販売店によって構成される精選された販売店ルートを通して販売する。
第三者のサイトでのインターネット販売がブームとなり、今日、次に述べるような問題が製造元と販売者の間で生じている。2017年7月末、欧州連合裁判所は、第三者のサイト経由の高級ブランド品販売を契約上禁ずることに関するWahl法務官の見解を発表した。
前述のプレスリリースは、ドイツの高級化粧品会社の一つであるCoty Germany及びその認可販売店の一つParfümerie Akzenteの案件に関し、法的効力のない意見を表明したものである。
2012年以降Coty Germanyは、自社の販売店契約に、ネット上での製品販売に関して、認可済み販売店の「電子ショウウィンドウ」のみを通しての販売、つまり、正規販売店のウェブサイトを通してのみの販売、更には、販売時には製品の高級感を尊重することという条項を新しく加えた。その結果、Coty Germanyは、上記の新契約条項により、未認可の第三者のサイトにおける製品の販売を明示的に禁止したことになる。
Coty Germanyは、Parfümerie AkzenteがアマゾンにおいてCoty Germanyの製品を販売していることを認識し、2012年に導入した販売店契約の修正条項の受け入れを拒否されたことを受け、第三者のサイトにおけるCoty Germanyの製品販売停止を求めて、ドイツの裁判所に提訴した。
ドイツの法廷は、この種の案件は十全に議論されるべきであるとみなし、当該禁止がEU各加盟国の独占禁止法に適合するかどうかの明確な判断を求めて、本案件を欧州連合裁判所に移転した。
欧州連合裁判所にはすでに前例として、高級ブランド製品の「ラグジュアリーなイメージ」を守るために精選された販売網を選択することは、原則として、競争を防止、制限、あるいは歪める(カルテル行為)ような禁止行為にあたるものではないとした2011年10月13日付判決C439/09が存在する。
Wahl法務官は、第三者のサイトにおける製品の販売禁止契約条項もまた、以下のような条件を満たせば、カルテル行為には該当しないとの見解を示した。
- 製品の性質による。
- 統一的に設定される。つまり、精選された販売店ネットワークの構成店全てに対して設定される。
- 区別なく適用する
- 必要以上に制約しない
Wahl法務官は、当該条項は合法であるだけではなく、本案件のように製品の品質とイメージの向上のために、製造業者や他の認可販売業者によって費やされた投資及び企業努力を他の販売業者が享受するのを妨げるようにすることによって、販売業者間の寄生問題を解決し、競争促進にもつながる、と続けた。
当該措置を比例原則の側面から考慮しても、Wahl法務官は、アマゾンのようなサイトでの販売を禁止するのは、インターネット上での販売を完全に禁止にしたのではなく、高級品にふさわしいような環境の保証がないサイトでの販売を禁止しているのみであり、行き過ぎとはいえないとの見解を示した。
最終的にWahl法務官は、製造元Coty Germanyが契約書上で前述のような販売制限条項を設けることはカルテル行為にあたるかどうかについて、 同氏の意見では同禁止条項が(i)小売業者の顧客の制限、あるいは(ii)エンドユーザーへの受動的販売の制限、にはあたらないことを理由に、2010年付欧州委員会規則第330/2010号に規定されている複雑な免除制度の対象となる、との見解を示した。
ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)
ヴィラ法律事務所
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2017年8月11日