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独占販売業者とは、特定地域における特定製品、もしくはサービスを提供・販売する権限を付された唯一のディストリビューターを指す。当該業者はEU競争法の、特に垂直的協定に関するEU規則第2022/720号、反競争的慣行を制限するEU規則第330/2010号の適用対象となる。

Laila Medina欧州連合司法裁判所法務官は、直近1月9日付にて、ベルギー・アントワープ高等裁判所からの予備判決請求(案件番号C-581/23)についての最終的な判断を示した。当該予備判決請求は、垂直的協定、具体的には、あるディストリビューターが独占的に販売権を有する地域における、他社の能動的な販売活動の禁止に関する判断であった。

一方当事者Beevers Kaas社は、1993年締結の独占販売契約に基づき、オランダのCono社製ベームスターチーズのベルギーおよびルクセンブルグにおける独占販売店である。他方で、ベルギーとオランダでスーパーマーケット・チェーンを展開するAlbert Heijn社は、ベルギーとルクセンブルグ以外での販売用にCono社からベームスターチーズを購入していた。

両当事者間の紛争は、Beevers Kaas社が有するベルギーにおける独占販売店としての権利に直接的または間接的に影響を及ぼすような行為をAlbert Heijn社が行い、ベルギー市場のルールや慣習を侵害していると非難したことから発生した。

Albert Heijn社は本件申立てに対し、ディストリビューターは、EU競争法が禁止する能動的な販売(active sale)の禁止を、我々に課そうとしていると反論した。さらに、独占販売契約は、サプライヤーに対し他のバイヤーによる能動的な販売から独占販売店を保護する義務を課していない、そして本件は転売禁止に関する競争法の要件も満たしていないと主張した。

両当事者間では、本件独占販売契約がEU規則第330/2010号に定める「並列義務要件」(the parallel imposition requirement)を遵守しているかどうかついて意見が対立した。本要件は、あるディストリビューターに欧州経済地域内に割り当てられた独占的販売地域において、他のすべてのディストリビューターまたはバイヤーによる能動的な販売から独占的販売業者を保護することをサプライヤーに義務付けるものである。アントワープ高等裁判所は、欧州連合司法裁判所にこの点についての先決裁定を求めた。

本件法務官は、明示的には表明されていないものの、EU規則 第330/2010号 第 4 条(b)(i)には「並列義務」の要件を含むことを 欧州連合司法裁判所 が認めるべきであると提案した。同時に、法務官は、この観点は独占販売契約に対してのみ適用されると指摘した。

並列義務要件の遵守について、本件法務官は、独占的販売業者保護のためには、独占的販売業者以外のバイヤーに対し、サプライヤーが黙示的もしくは明示的に能動的販売を禁止することを受け入れなければならないとの判断を示した。

法務官は、他のバイヤーが能動的販売を見合わせるだけでは、ある販売業者に独占的販売権を付与した地域内での能動的販売を禁ずる合意が存在することを証明するには不十分であるとし、サプライヤーが当該禁止をバイヤーに要求し、バイヤーが受諾したことを示す必要があると結論づけた。さらに、サプライヤーには、ブロック免除申請期間中、並列義務要件を満たすことを証明し、能動的販売禁止協定が反競争的とみなされることを回避する義務が課された。

 

ヴィラ・オスカル (Óscar Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2025年1月31日