2018年4月26日、欧州委員会はオンライン上のフェイクニュース対策にかかる一連の措置を公表した。FacebookやCambridge Analyticaが最近公表した内容で、選挙の状況においてどのように個人情報を取得することができるかが判明し、民主主義の過程を保証するために適切な方法を考える良い契機となった。欧州委員会はヨーロッパの価値とセキュリティを保護するためにフェイクニュース対策のための第一歩を講ずる。

フェイクニュース対策の一連措置

欧州委員会が提案した一連のフェイクニュース対策のうち、以下のものは言及に値するだろう。

(1) フェイクニュースに関する行動規範

7月までに、第一歩として、オンライン・プラットフォームは、以下を目的とした共通の行動規範を作成し、採用しなければならない。

(i) 提供された内容、特に政治色のある広告の透明性の確保。例えばこの種の広告提供の目的の範囲を制限し、フェイクニュースのベクトルが入り込むのを減らす。

(ii) アルゴリズム機能についてより大きな透明性を提供し、第三者による確認が可能なものとする。

(iii) ユーザーが、他の観点から書かれた記事を見つけやすく、かつ、アクセスしやすい環境を作る。

(iv) フェイクアカウントを特定し、クローズさせるための対策を講じ、「ゾンビ」アカウントの問題に対処する。

(v) 情報の検証・調査を行う者及び公的機関が永続的にフェイクニュースをコントロールできる権限を与える。

(2) 情報の検証のためのヨーロッパ独立ネット

共通の業務メソッドを制定し、より良い行為についての情報交換をしEU全域のデータの確認を可能な限り行うために努力する。情報検証者は「情報検証ネットワーク(International Factchecking Network)」のメンバーから選ばれ、国際情報検証行為規範に従う。

(3) フェイクニュースについてセキュリティが施されたオンライン・プラットフォーム

情報検証者や関連した学術研究者が国際データの収集や分析を行うためのネットワーク及びEU域内のアクセスをサポートするためのプラットフォームの構築を行う。

(4) メディア・リテラシーの促進

メディア・リテラシーが高いレベルにあることは、すなわち、EU市民がオンライン上のフェイクニュースを見抜き、インターネットの内容について批判的な視点で見ることができることを意味する。この目的で、欧州委員会は情報検証者及び民間団体が教育機関や教育者向けの教材を作成し、「メディア・リテラシー週間」を制定することを助成する。

(5) 選挙の弾力性を保証するためのEU加盟国の支援

日増しに複雑になるサイバーの脅威、特にオンライン上のフェイクニュースやサイバー・アタックからEU加盟国を保護する。

(6) オンラインの自主的な個人特定システムの促進

トレーサビリティ及び情報提供者の特定を改善し、オンラインの交流や情報及び情報源の信用性を高める。

(7) 情報の質及び多様性の支援

欧州委員会は、多元的、多様性かつ持続可能なメディアの環境を保証するためにジャーナリズムの質を維持する支援を高めることを加盟国に伝えた。欧州委員会は2018年に、データを取り扱うニュース・メディアを通じたEU関連事案にかかる質が確保されたニュースの作成及び拡散のための提案のための会議を招集する予定である。

(8) 調和された戦略コミュニケーション方針

この方針は、欧州委員会によって作成がされ、オンラインのフェイクニュースに関する現在及び将来のイニシアチブと各加盟国のイニシアチブとが組み合わされる予定である。この方針は、ヨーロッパに関する偽情報に対峙しEU内外のフェイクニュースに抵抗するためになされる流布行為を含む。

次のステップ

欧州委員会は、近日中に複数の関係者で構成されるフォーラムを招集し、オンライン・プラットフォームや広告業、大手広告会社を含む関係者間の有効な協力のための枠組みを作成し、フェイクニュース対策への努力について協調して高めていくことを保証する。このフォーラムの最初の成果物は2018年7月までに公表され、同年10月までにその効果が測られる「フェイクニュースに対する行為規範」となる予定である。

2018年12月までに欧州委員会はそれまでの進展についてのレポートを発行する。当該レポートでは継続したモニタリングと予定された活動の評価を保証するための更なる対策が必要かどうかについても検証する。

 

 

大友 美加

ヴィラ法律事務所

 

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2018年5月11日