会社はその義務を定期的に履行することができなくなったときに支払不能状態となる。その直接的な結果として、当該会社は支払不能状態となったとき、または支払不能状態となることを知ったときから2ヶ月の間に倒産の申立てをしなければならない。
当該期間中に倒産の申立てをしない場合、当該会社の債権者または利害関係人であれば誰でも同会社の倒産の申立てを行うことができる。
倒産決定の効果
会社が倒産手続きに入ると、主として以下の効果が生じる。
- 倒産会社の経営を行う権利及び財産の処分権への介入または一時停止。この結果、倒産会社は自身 の判断のみで支払を行うことができない。
- 倒産決定以前の2年間に結ばれた契約のうち、倒産会社の財産に損害を与えるようなものについては解除される。
- 債権者は、自身の債権を倒産会社に対する自己の債務と相殺することはできない。
- 倒産会社の財産について、新たに執行を始めることができない。
保有債権について、いつ、どのように支払われるのか。
この点は倒産会社とその債権者との間で合意される再生計画に沿って行われるのか、それとも倒産会社が破産手続きに進むのかにより異なる。
再生を目指す場合
再生を目指す場合、倒産会社はその債権者との間で債務免除と弁済待機期間、すなわち、弁済計画についての合意に至るよう進めることができる。再生計画の承認には倒産会社の債務総額のうち少なくとも50%以上の債権を有する債権者の同意が必要である。
データとして、実務においては、後述するように倒産会社が破産した場合には得られる金額は微々たるものであることを鑑み、債権者は50%以上の債務免除に応じるのが通常である。
破産する場合
再生計画が債務総額の50%以上の債権を有する債権者によって承認がされない場合、承認はされたが再生計画の不履行があった場合、または倒産債務者の申立てにより、裁判官は破産手続きの開始決定を出すことになる。破産手続きにおいて、当該破産会社の資産全体が競売によって売却される。
裁判官は、操業中の会社の価値は資産をバラバラにした価値を上回ることから、破産会社の資産の全部をひとまとめにして、生産性のあるユニットとして売却する。
しかし、売り先が見つからなかったり、倒産手続き中に操業を止めてしまったり等、生産性のあるユニットとしての売却が難しい場合には、裁判官はロットまたは個別の資産を売却する競売手続きを行う。
一般的には、生産性のあるユニットとして売却される方が、ロットごとまたは個別に資産が売却される場合に比べて、得られる金額が大きい。 この理由は、商標の価値、特定の契約関係、既存の顧客リストといった無形資産や使用年数に応じて切り離された機械類といった特定の資産は、臨時の競売でスクラップの価値を上回ることがないからである。
倒産会社の資産が事前に廉価で競売にかけられた場合は債権者の利益に反するが、生産性のあるユニットや有用性のある特定の資産を、市場価格を大幅に下回る値段で手に入れることで利益を得る債権者がいる可能性もある。 そのため、そのような利益が存在する場合には、破産手続きの枠内で行われる競売手続きの開催について注視することが必要だろう。
資産売却によって得た金銭の債権者間での分配方法
倒産債務者の債権者の債権はその性質に応じて、優先債権、普通債権または劣後債権に分類される。優先債権の例としては担保によって保証がされている債権があげられる。劣後債権の例としては、倒産債務者と特別利害関係を有する者が保有する債権がそれに該当する。優先債権にも劣後債権にも該当しない債権は普通債権に分類される。
債権の分類に応じて債権の弁済の順序が定まる。まずは優先債権、その後普通債権、最後に劣後債権が弁済される。したがって、例えば会社の資産売却によって得た金銭が優先債権の弁済をする分にまでしか満たない場合には、普通債権と劣後債権の弁済はされないことになる。
各債権の分類は債権の性質によって定まり、当該分類を変更することはできない。しかしながら、債権の分類を変更させるための条件は存在する。例えば、倒産債務者の倒産申立てを行った債権者が有する債権について、倒産申立てへのインセンティブとして、当該債権者が有する債権額の50%を上限として優先債権に分類されることができる。
倒産債務者の取締役は会社債権者に対し、自身の資産をもって弁済しなければならないか。
この点についての回答は、原則としてはノーである。会社は独自の法人格を有しており、会社財産は、それを経営する個人の財産とは独立している。
しかしながら、倒産債務者が支払不能状態となったことについて、会社の会計手続きの懈怠や、会社財産の一部の詐欺的な支出等、経営者の故意または重大な過失が介在すると裁判官が認めた場合には、裁判官は経営者の責任について認める決定を出すことができる。経営者の責任に関する決定は、経営者が会社財産から不適切に得た資産を返却しなければならないこと、及び倒産債務者が被った損害についての賠償義務を示唆する。
結論
各倒産手続きの特異性を個別に見なければならないものの、現実は債権者がその債権の全額について回収するのは非常にまれであると示している。普通債権や劣後債権の場合には特に回収は難しい。
したがって、保有する債権の分類は、債務免除及び長期にわたる弁済待機期間を認める再生計画に賛成するのか反対するのかを決めるうえで、倒産債務者の破産財産を構成する資産の価値評価と同じく、非常に重要である。なぜなら、再生計画を承認しない場合、倒産債務者は破産手続きに入り、その場合債権回収の可能性は劇的に減少するからである。
ヴィラ法律事務所
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2015年5月29日