資本会社の発展過程において、出資者や株主からの出資は、特に会社の収支の均衡を回復するために、多様な目的で頻繁に利用される経済的手段である。
これは、株式資本の増資のように時間の要する形式的な手続きを避け、会社の純資産を簡潔、迅速かつ柔軟に増やす方法である。
しかしながら、当該出資に関する特定の会社取引の合法性について、その法的、会計的性質に起因する疑問が生じている。その中に、スペイン資本会社法第301条(リンク)に基づく株主出資を通じて、出資額を資本金に組み入れる資本構成の操作取引がある。
具体的には、一人、もしくはそれ以上の株主/出資者のうち、株主総会、及び取締役会の両方で過半数を占める者による債権の資本化による増資を承認する株主総会決議の合法性が問題視されている。当該増資は、取引に参加しなかった、あるいは、決議に反対した少数出資者の持分を希薄化するといった重大で即時的な効果をもたらすことになる。
実際、資本会社法第301条は、債権は完全に流動性があり、かつ請求可能なものである場合、債権の相殺による増資の実施を認めている。したがって取引完了のためには、以下に挙げる3要件を全て満たしていることが必要である。
a) 会社に対する債権であること
b) 債権は、完全に流動的かつ請求可能なものであること。すなわち、金額が確定しており、かつ債権者である出資者に対する支払期限が到来している必要がある。
c) 当該債権に関するデータが会社の会計記録と一致していることが明示されている、経営陣による報告書が提出されていること
b)、c)の要件を分析することには、a)の要件を満たしている場合にのみ意味がある。したがって、増資対象となる出資が、会社法第301条規定の観点から真の意味での債権なのかどうかを検討すべきである。
株主出資は、スペイン会社の帳簿においては勘定科目コード118へ仕訳できる。株主出資の債権の資本化による増資の有効性を支持する者は、帳簿価格と債権額が一致し、関連報告書の提出があれば、3つの要件が満たされ、取引が実行可能であると主張する。
勘定科目118に仕訳けるためには、以下に挙げる株主出資の形式的要件を明記する必要がある。
(i) 会社への出資の確実な組み入れ、もしくは、該当債務の免除
(ii) 出資者の身元、および出資持分比率
(iii) 金銭出資の金額、現物出資価格もしくは債務免除価格の決定
(iv) 純資産増加の根拠、もしくは客観的理由
これらの要件は、2019年3月5日付スペイン会計監査院(el Instituto de Contabilidad y Auditoría de Cuentas)決議に規定され、2024年2月27日付最高裁判所判決(リンク)および直近の2025年11月18日付バルセロナ県高等裁判所判決において既に言及がある。
この必要情報は、株主/出資者総会の議事録で確認できる。そのためには、事前に株主総会を招集、開催し、決議を承認する必要がある。しかしながら、出資は任意であり、会社の株や出資持分保有という形での対価を伴わないため、資本会社法は、この出資が必ずしも株主/出資者総会承認される必要はないと定めている。この点は、後述する内容において重要な意味を持つ。
その性質上の観点から、まずは会社の貸借対照表の勘定科目コード118への仕訳を定義する会計、あるいは税務基準を参照せねばならない。続いて、当該法律行為が出資者に仮定的な債権または償還請求権を付与するかどうかを分析する必要がある。
企業会計原則(Plan General de Contabilidad)は、科目コード118に該当する株主の出資について「会社の所有者または株主が、他の勘定科目に計上されていない取引に基づき提供した資産。すなわち、資産あるいは提供サービスに対し、会社側は対価を構成せず、負債とされない場合に限る(…)。」と規定する。「会社」という用語の法的曖昧さの枠組みを超えて、これらは自発的な出資であり、その出資行為は、対価の受領や融資のような債権の確立を目的としたものではないことは明らかである。
2016年5月9日付スペイン税務総局事前照会回答( la Consulta Vinculante de la Dirección General de Tributos)は、これを「1人、もしくはそれ以上の株主が、対価なしに金銭、現物、または権利を会社の自己資本に拠出することによる所有権移転を伴う法律行為」と定義している。これは資本金の撤回不能の原則あるいは「返還不能」であることから導かれる「確定的な拠出」を指す。この定義が強調する本質は、移転性かつ不可逆性の要素であり、資産または権利を会社に提供するという行為の一方向性を反映している。これは、出資者が会社のために提供した資産価値を失ったり、損なったりすることを必ずしも意味するものではなく、その価値に対し、売却などの流動性事態が発生した場合に現金化することが可能な、抽象的権利に変換されることを意味する。
以上のことから、株主による勘定科目118への出資は自発的なものであり、会社の純資産に組み込まれるため、出資者の個人資産から会社資産への所有権移転を意味することがわかる。この移転は、返還権や利息のような対価を伴わない所有権変更を意味する。会計上、貸借対照表の純資産に変換することで、会社資本に充てられないため、準グループ11(準備金、及びその他の資本性金融商品、ならびに発行プレミアム、準備金および純資本性金融商品)に分類されるが、会社の負債・債務(貸借対照表準グループ15から19)とはみなされない。実務上の観点から、出資が債権であると解釈される場合、主要株主が資本の出資を行う唯一の目的と意図が、後にそれを資本金へと変換し、その変換を通して少数株主の持分を希薄化させることにあるような歪んだ状況が生じかねない。また、当該増資は、資金拠出者且つ増資推進者である株主によって、過去に提供した金銭その他の資産の「償還」権利によって正当化できる主張により、主要株主による濫用を理由とする会社法第204条に基づく訴訟の行使に必要な要件の成立を回避しようとする可能性がある。まさにそれが会社に対する債権であると理解されるためである。
要するに、勘定科目118出資は、出資者に対する債権や、会社に対する負債として理解することはできない。したがって、債権ではないために、資本会社法第301条に定める増資による資本化の対象にもなり得ない。この点について、2025年11月18日付バルセロナ県高等裁判所第15部判決は、バルセロナ商事裁判所第7部判決を破棄し、会社の取締役員である筆頭株主が、勘定科目118上で実施した金銭的出資を株式資本へ変換することで資本金を拡大するという株主総会の決定を無効とする判決を下した。
ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)
ヴィラ法律事務所
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2026年1月30日