I.- 導入

去る2013年3月14日、最高裁判所民事部第一部会は、判決第216/2013号をくだした。同判決では、有限会社の持分保有者(以下、便宜的に「株主」という。)二名が、当該会社の子会社に職業上のサービスを提供する義務を課されている場合に、当該株主が当該サービスの提供を終了することで会社から自主的に離脱することの可否について議論がされている。

II.- 本件の経緯

LICEA 2003, S.L.社のA種持分を保有する二名の株主は、他の株主との考えの相違を理由に、PRIVARY, A.V. S.A.U.(前述の会社の子会社で、職業上のサービスの提供を受けていた。)での役職を辞任した。その後、当該二名の株主は、会社の定款第6.3条に従い、自己の有する持分の他の株主による取得またはその償還を行うために、LICEA 2003, S.L.社の株主総会の招集を申請した。しかしながら、株主総会が開催されると、それらの提案は却下された。

当該二名の株主は、会社の定款第6.3条違反及び現行の資本会社法第346条に該当する有限会社法第95条、第96条違反を理由に、株主総会の決議に抗するための訴訟を起こすことを決めた。バルセロナ商事裁判所第5法廷はその第一審で原告の訴えを却下したが、両名は控訴し、バルセロナ高等裁判所は当該訴えを認めた。

III.- 最高裁判決

最高裁はバルセロナ高等裁判所の判決に対してLICEA 2003, S.L.社が行った上訴申立てについて、以下を理由に却下した。

  1.  有限会社の株主自治により、自身の特有の必要性に応じた制度を採用することが認められており、有限会社法第12条、今日の資本会社法第28条は非典型的な条項を容認している。
  2. 株主が会社からいつでも離脱することができることは法により明確に認められており、また、法は株主がいつでも会社から離脱する権限を、持分の自主的な譲渡を禁ずる条項の有効性よりも優先している(有限会社法第30.3条、今日の資本会社法第108.3条)。
  3. 自主的な会社からの離脱にかかる条項の容認は、民法第1256条に反するものではない。なぜなら、会社契約の有効性は株主一人の自由意思によるものではなく、また、株主が無期の契約から一方的に離脱する権利の行使は限定されているからである。
  4. 会社定款が特定の株主による付随的なサービスについて規定している事実は、当該有限会社が個人的かつ契約的な性質を有することを示している。本件のように、当該付随的サービスが会社またはグループ内の一企業のための株主個人による業務によって構成される場合は、とりわけである。このことは、付随的なサービスを構成する他人のためのサービスの提供を自主的に終了する場合に、株主に一方的な離脱権を与える定款の規定の正当性を裏付ける。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2013年6月21日