カタルーニャ州政府は、州内の住宅規制の大幅な変更を導入する2つのカタルーニャ州政令を最近制定した。当該政令は、住宅権関するカタルーニャ州法律第18/2007号(以下「カタルーニャ住宅法」という)を修正するものとなる。
本政令第1/2025号では、自然人・法人に関わらず賃貸物件の所有者に影響を与える様々な措置を導入した。主要措置を以下に記す。
1. 住宅アクセスの間接差別の禁止
カタルーニャ住宅法第45条を改正し、住宅関連の件に関する間接差別の禁止を強化した。当該差別は、「ある規制、計画、慣例的もしくは契約条項、個人間の合意、一方的な決定、模擬的な契約もしくは詐欺契約、一見中立的な基準または慣行が、住宅アクセス権の行使において、他者と比して特定の個人に不利益を与えると判断される」場合に発生する。ただし、措置に客観的かつ合理的な正当性を認める場合は、差別とはみなされない。
- 賃貸価格高騰地域における規制
賃貸価格高騰地域(以下、「摩擦地区」という)と判断された地区における賃貸価格の設定方法を定め、カタルーニャ住宅法第59条を改正した。この地区の住宅家賃は、カタルーニャ州政府が承認した基準賃料システム、または、該当する場合は、前回の賃貸契約の賃料に基づいて設定されるべきことが規定される。
3. 賃貸物件入居者募集の透明性の向上
カタルーニャ住宅法第61条を改正し、広告や賃貸契約書に最低限必要な情報の記載、具体的には以下のデータ記載が義務付けられる。
– 過去5年間の物件賃料の推移(該当する場合)
– 物件が摩擦地区に所在する場合は基準賃料
-大口不動産物件所有者の場合、その旨の記載
– 民法が義務付けるその他データ
- 摩擦地域の賃貸契約への新規義務
カタルーニャ住宅法第66条を改正し、現在、住宅市場上の摩擦地区とされた地区に所在する住宅の賃貸契約書には、以下の情報記載を義務づけた。
– 前回の賃料もしくは基準賃料
– 貸主が大口不動産所有者であるかどうか
– 契約目的(一時契約、長期契約)
– 居住適合証明書およびエネルギー効率証明書
– カタルーニャ政府の基準賃料であることを証する書類
5.違反に対する新たな罰則
カタルーニャ住宅法第123条および第124条を改正し、賃貸関連規制に違反する貸主に対する制裁が強化される。
以下のケースは、非常に重大な違反とみなされる(制裁金90,001ユーロから900,000ユーロ)
– 規制が認可する賃料より30%以上多く請求した場合
– 契約目的(期間)を偽り、実際は常居住契約であるのに、一時契約であるかのように装った場合
– 規定外の不動産管理料や契約書作成料を請求した場合
以下のケースは、重大違反とみなされる(制裁金9,001~90,000ユーロ)
– 規制が認可する賃料より高い(ただしその差額は30%未満)賃料を請求する場合
– 契約書に基準賃料もしくは前回家賃の記載がない場合
– 貸主が大口不動産所有者であるかどうかの記載がない場合
- 賃貸物件の募集広告への管理強化
カタルーニャ住宅法第124条を改正し、賃貸広告には以下の記載を義務付ける。
– 基準賃料または前回賃貸契約時の賃料
-貸主が大口不動産所有者であるかどうか
- 規制回避目的の詐欺的契約の禁止
カタルーニャ州消費者法に、詐欺的な仮契約を回避のために新たな制裁を追加する。賃貸契約に、一時的契約であることの明記がない場合、常居住用と推定する。一方、一時的賃貸借契約が通常の住宅法の賃貸規則を適用しないための口実であったことが証明された場合、貸主は制裁を受ける可能性を定める。
他方でカタルーニャ政令第2/2025号は、行政の優先交渉権を拡大する措置を導入するとともに、大口不動産保有会社登録簿を作成する。
1. 大口不動産所有会社登録簿の作成
本登記簿は行政的性質を有し、カタルーニャ住宅庁に属する。本政令の発効後、大口不動産所有会社は、所有する物件数を住宅庁に通知する義務を有すが、正式な登録は、当該登録簿に関する特定の規則が承認された時点で行われる。
2. 行政の優先購入権と買戻権
大口不動産所有者が摩擦地区に所在する不動産の売却意思を有す場合、行政機関が優先購入権を有する。さらに、この売却意思を行政機機関に提示することなくすでに売却が実行された場合、行政は買戻権を有する。
本措置は、摩擦地区に所在する登記簿に登録された大口不動産所有者が所有する、すべての住宅物件に適用される。新築された住宅を個人が使用するために売却する場合には、この措置は適用されない。
3. 規制発効前に摩擦地区で住居物件売却をした場合
大口不動産所有者登録に関する規則が未承認である期間中に、摩擦地区に所在する住宅物件売却を希望する法人は、所有する住居の数を記載した登録証明書(売却証書に添付)を提出する義務を有す。
ヴィラ・オスカル (Oscar Vilá)
ヴィラ法律事務所
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2025年3月14日