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不当な当座貸越条項

当該記事では、スペインのKutxa銀行が有担保ローン契約に規定していた、当座貸越利用の際、若しくは、支払遅延債務にかかる30ユーロの手数料が不当条項であるかの判断を示した2019年10月25日付スペイン最高裁判所の直近の判決(第566/19号)の内容を検証しようと思う。 上記手数料を理解するには、スペイン中央銀行によって規定された以下に挙げる要件を満たす場合、スペインの銀行関連の法令は、前述のような条項をローン契約書に含むことを各銀行に許可していることに留意する必要がある。 -手数料発生は、銀行が、債務者たる顧客に実際に債務の支払請求を実行しているかに係る。 -一つの債務残高に対し、銀行が追加支払い請求を実行したとしても、再度手数料を請求することはできない。例え弁済期日までに弁済がなく、同様のことが何度も連続して起こったとしてもそれは同様である。 -手数料額は定額でなければならず、債務金額の百分率計算であってはならない。 -自動決済の適用は不可。 手数料条項の合法性に基づき上記条件を満たしているケースとして、ここで最高裁判所判決が問題としたのは以下に記載する条文、「(当銀行は)融資若しくはクレジットの各未弁済状況、及び各当座貸越し状況に沿って、顧客に正常化を請求する適切な(正当な記録の存在する)個別措置を実行した場合、延滞債務若しくは当座貸越状態への請求手数料として、30ユーロの手数料を口座決済できる」であった。 本条項の文言を分析した上で、最高裁判所は、「サービス(「適切な措置」)の内容が定義されていないことにより、当座貸越または債務状態が起こった場合に銀行にどのような措置、サービスの提供が義務付けられているのか不明、且つ、当該対応により費用が発生すること、及びその金額も不明である。更には、前述の内容の不明確さは、2つの内容の重複を引き起こす。債務状態であるための遅延利息請求に、当該債務状態であるための手数料を請求することは、改正スペイン消費者・利用者法第85条第5項及び第87条第5項”不均衡な補償及び未提供サービスに対する請求条項”違反に相当する。」と結論付けた。 同様に、銀行による措置の不在、及び措置に係る費用の契約書不記載に関する借主の立証責任にも言及し、これを改正スペイン消費者・利用者法第88条第2項違反であるとし、当該義務は、銀行が負うべきものであるとした。 最後に当該判決は、有担保ローン契約に限らず他のクレジット及び当座預金口座にも適用されることから、無効とされた条項の革新的な性質には注目する価値がある。     本文の詳細に関しては以下までご連絡ください。 Jaime Madero va@vila.es   2019年11月8日 バルセロナ

係争中債権の譲渡について

今回のごく短い記事では、係争中債権の解除請求に関する直近判決、2019年9月13日付スペイン最高裁判所第464/2019号判決を例に係争中債権の取扱いに関し考察することにしようと思う。 債権譲渡に関しスペイン民法第1535条は、以下を規定する。 「債務者は、係争中の債権を売却すること、つまり、支払金額、発生した費用及び、 支払日からの利息債務を譲受人に払い戻すことにより、本債権に対する解除権を有する。 債権は、同債権にかかる係争が提訴され被告によって受理され時から係争中債権とみなされることとなり、債務者は、譲受人の支払請求日より9日以内に解除権を行使することができる」 本件は、2011年法人Aが原告ら(自然人)に対し、結果として未回収となったローンの貸付けを実行したことに発端する。2013年法人Aは本件債権回収裁判を提訴し、両者は数年間にわたる分割 (月) 払いする判決執行に合意した。 2014年法人Aは、本件債権を法人Bに譲渡した。2015年原告らは法人Bに対し、本件債権は係争中債権であるとして債権解除請求を提起した。 第一審、第二審においては、原告の請求が認められた。法人Bが法人Aから購入した債権を原告は取戻す権利を有することに言及し、法人Aに対し価格を払い戻すことで債権は解除されるとの判断を示した。 法人Bは、民法第1535号の解釈に関する最高裁判所判例(1991年2月28日付最高裁第149/1991号判決、2006年2月28日付第192/2006号判決及び、2008年10月31日付第976/2008号判決)を例に、係争中債権のコンセプトに関する判例法主義に反するとして、本件を上告した。 上告人である法人Bは、具体的には、譲渡時には本件譲渡債権に関する判決は確定しており、債務支払い合意に沿って回収が実行されていた。故に、本債権を係争中債権とはみなすことはできないと主張した。 最高裁判所は、民法第1535条は、係争中債権とみなされる起算日(被告による訴状受理日、本件の場合、答弁書提出期間が経過した日)を規定しているものの、完了日を規定しない、と直近の判決にて言及した。そして、係争中債権の完了日を決定するために、1969年12月16日付最高裁判決第690/1969号を引用し、確定判決、若しくは、下級審判決を支持する上級裁判所判決及び債権執行、または当該ケースのように他の取引の合意に至ったことによる債権執行手続きが停止した場合を挙げた。 即ち本件の債権譲渡時には、本件債権は、確定判決によってその存在、執行可能性、金額が確定されていたことから係争中債権としての性質を有していなかったとし、係争中債権としての解除権請求を却下した。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Carla Villavicencio va@vila.es   バルセロナ、2019年10月31日

“移籍”のコンセプトの変遷と リーガエスパニョーラの契約“終了”条項

去る9月マドリード高等裁判所は、Sevilla F.C.(以下「セビージャ」という。)対 Unión Deportiva Las Palmas(以下「ラス パルマス」という。)間の紛争「ヴィトロ事件」に関する判決を下した。本件は「ヴィトロ」ことビクトル・マチン選手が2017年7月にセビージャからAtlético de Madrid(以下「アトレティコ」という。)へ移籍した際の、ラス パルマスが有する経済的権利に発端する。総額410万ユーロに上るラス パルマスへの支払いをセビージャに命じたフットボール仲裁裁判所(リーガエスパニョーラ機関)の裁定を不服として、セビージャは前述の裁判所に提訴したが、以下の事項を理由に申立ては却下された。 2013年ラス・パルマスとセビージャの間で、ヴィトロ選手のセビージャへの譲渡契約を300万ユーロにて締結した。本契約書第2条第3項には、条件を特定することなく、同選手の将来の「移籍」時にラス・パルマスが移籍金の12.5%を受領するという規定があった。 2017年7月、ヴィトロ選手はアトレティコと合意に至ったため、セビージャとの間に存在する契約の撤回条項(誤って「終了条項」と命名されている)に規定された金額にあたる総額(3,500万ユーロ)を納入する権利を行使した。しかしながらセビージャは、今回の移籍は選手個人の決断によるものであり、彼らがみなす「移籍」には該当しないとして、ラス・パルマスに対し本移籍にかかる規定パーセンテージの金額を支払わなかった。(セビージャ側は「移籍」とは、両クラブと選手の3者間合意によるもの、と主張した) ラス・パルマスは、当該状況を不服としてフットボール仲裁裁判所判断を仰いだ。仲裁裁判所は仲裁過程の中で、問題となっている条項(ヴィトロ選手のセビージャへの譲渡契約第2条第3項にある)「移籍」という文言のコンセプトは広い意味解釈されるべきであり、選手自身による退団の決断と他クラブとの契約等を含む、あらゆる退団理由が当てはまるとみなす、と結論付けた。 上記フットボール仲裁裁判所による裁定をを不服として、セビージャはマドリード高等裁判所に提訴したが、原告側の脆弱性の欠如、仲裁裁定が公序良俗違反に該当しないこと、裁定無効の申立ての性質自体の問題追及の不可能さにより、最終的に却下された。 これにより、セビージャはラス・パルマスに410万ユーロに利子を付した金額及び、仲裁手続き費用を支払うことを最終的に命じられた。さらに、高等裁判所に対する仲裁裁定無効申立て費用も負担することとなった。しかし、当該判決は憲法裁判所で争われる可能性があるだろう。 本件は少なくとも、リーグ定款第92条規定によりフットボール仲裁裁判所に委ねるべき問題に関し、今後クラブと選手間の契約書内における「移籍」のコンセプトを解釈する際に重要な先例になると考えられる。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Andreas Terán va@vila.es   バルセロナ、2019年10月25日

株主総会議案に記載のない取締役の解任

スペイン登記・公証局は2019年7月23日付決定において、マラガの商業及び動産第三登記官による登記拒否に対する不服申立に関し、ある会社の株主総会により採決された特定の決議登記を認めた。 本決定の興味深い点は、株主総会議案に記載ないながらも株主75%の賛成票により採択された共同代表取締役の解任合意である。本決定を分析するためには、スペイン会社資本法第223条「議案にその記載がない場合でも、株主総会においていつでも取締職を解くことができる」を留意する必要がある。 また、本件会社の定款は以下を規定している。 「取締役は期間の定めなくその職務を遂行するものとする。ただし、株主総会によっていつでも解任することを可能とする」 取締役の解任に関する前述の2条項から、我々は次の結論を導くことができる。 株主総会において、常に解任可能である。 株主総会議案に議案として記載する必要はない。 しかし、本件株主総会は上記2条項の拡大解釈をし、共同代表取締役の解任後に新たな共同代表取締役を選任するのではなく、一人取締役会社への組織変更を推進したのである。 そこで本決定は、会社におけるトップ不在、若しくは会社機能の停止を避ける目的で、会社資本法第223条及び、本会社の定款第13条の解釈は、取締役解任及び選任の許諾に関する規定であり、株主総会議案に記載ない場合は会社組織変更に適用されないとしたマラガの登記官の判断を妥当であるとした。 結論として、株主は取締役を解任し新たな取締役を選任することができる一方で、株主総会議案に記載のない場合は、会社組織の変更を行う権限はないとした。(1955年10月19日付決定及び2015年3月6日付決定も上記判断と同様の解釈による。)     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Pedro Blanco va@vila.es   バルセロナ、2019年10月18日

商号の同一性

2019年7月26日付官報において、スペイン登記・公証局は、2019年7月3日付決定を公示した。当該決定は、商号予約にかかる中央商業登記所第IIIの登記官が発行した商号予約の不認可に対してなされた異議申し立てに起因するものだった。本件においては、ある個人が中央商業登記所に対して提出した「Grupo Juinsa, Sociedad Limitada」での商号予約申請が中央商業登記官によって否認された。 申請が否認された主な理由は、既に「Junsa, S.L.」「Junisa Sociedad Anónima」「Juin, Sociedad Anónima」及び「Joinsa, S.A.」という商号が存在すること、すなわち同一商号の存在が認められることであった。 これに対し、商号予約申請者は異議申し立てを行った。 商号の同一性の判断に関し、登記・公証局は、忘れてはならないのは、商号が同一であるときの評価は、一定の安全マージンをもって、特定の法律関係における責任者に従い、評価されるということであると説明した。このため、もし、規定されている基準の解釈(特に、「包括的または付随的な」用語又は表現、意味の不足する記号や接頭辞、明白な発音の類似性といった、大幅な不確定という言葉で覆われた概念についての解釈)が制限的に行われる理由がないのであれば、大幅な緩い解釈や商業登記規則第408条に含まれる基準の2つ以上を同時に適用することを検討する余地もない。この難しいバランスにおいて、商号の同一性の評価がなされなければならず、それら規則の解釈及び適用は、目的論基準に従って、各事案の状況に応じてなされなければならない。 上記の検討を鑑み、本件の問題は申請された商号と登記官によって示された登録済み商号との間に、登記官の申請却下を正当化するに足りる本質的な同一性の存在が認められるかという点に集中する。これには登記済み商号との関係で個別に検討が必要となる。 申請されたJuinsaという商号に含まれる文字列は、登記済商号に含まれるJunsa、Junisa、Joinsaと、少なくとも「Juin」という文字列の類似性が認められるが、類似性はあるものの、全く同一の文字列ではないため、違うものであると識別することができる。それらの間に、識別可能な要素が存在する。文字列に含まれる文法的及び発音的な違いは、それらが明白に区別可能な商号であるかについて、法的識別性の存在という観点から検討されると帰結するのは明らかである。 結果として、登記・公証局は本件異議申し立てを認め、登記官の決定を取り消した。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 露木美加 va@vila.es   バルセロナ、2019年10月11日

同意なきCookieの利用

ウェブサイトが、プロバイダーによってウェブサイトを閲覧したユーザーのパソコンに入力されるCookieやファイルを利用し、ネット検索やオンライン取引を促進するために使用していることは知られている。しかし、Cookieは、プロバイダーと協働する会社又はサービスプロバイダーの顧客である会社の広告表示対象になるユーザーの利用態様に関する情報を収集する機能も有している。 一方で、承認を意味する「X」や、その他の隠されたフォーム、同意への誘引フォームが表示されることで、ウェブサイトがユーザーにCookieの利用に関する同意を求めることは、まだ実務上用いられている。 ドイツの民事及び刑事最高裁判所は、欧州司法裁判所に対し、上記のような同意を求める方法が、EUの電気通信産業におけるプライバシー保護法に抵触し得ると解釈するために請願を提出した。本事件はドイツ連邦の消費者団体協議会が原告として申立がなされたものであり、オンラインゲーム会社のPLANET 49を、同社のユーザーのパソコンにCookieを入力することへの同意を表明する欄にあらかじめマークがされた状態で表示していたことを訴えの理由とするものである。 前述の請願に関連して、欧州司法裁判所は、2019年10月1日付判決(C-673/17事件)において、ユーザーの同意はユーザーのパソコンにCookieが置かれるために明示的に表明されなければならないと明らかにした。 さらに、承諾の方法が、既に同意欄にマークがされており、ユーザーが同意を望まない場合はマークを外さないといけないような欠陥があるときは、承諾が適当になされたとは理解されないという判断をした。つまり、ユーザーが欠陥のある同意欄から承諾のマークを消さなかったことをもってユーザーによる承諾とはみなされず、また有効になることはなく、ユーザー自身によって空欄に承諾マークが押されなくてはならない。承諾マークを押すことの必要性は「ユーザーの機器に保管又は参照された情報が個人情報か、個人情報によって構成されているものではないか」とは関係のないものである。求められた情報の種類ではなく、第三者が、ユーザーのパソコンや端末に当該第三者の同意なく、つまり明確で不可欠な同意がないまま、入ることは容認されない。 欧州司法裁判所は、ユーザーによる積極的かつ明確な同意の実施を要求しており、ユーザーの同意が怠慢、混乱、十分な明確性の欠如によってなされた場合、同意とすることはできないとした。なぜなら、もし保護財産が個人のプライバシーであるならば、混乱させ、ユーザーの受動性(又は不安)を利用しようとする意図のあるサービスプロバイダーのメカニズムや罠によって毀損することはできないし、されてはならないからである。(自身又は第三者の)Cookieにパソコンを解放することは、隠されたログイン用パスワードと望まない情報の獲得装置を含む可能性がある。 判決はまた、同意が明示的で特定的でなければならず、オンラインサービスプロバイダーが、Cookieの利用の承諾をすることで特定のゲームやイベントに参加するため(裁判事案のように)や、サービス提供を受けるためなどのために、最初のボタンを押すことをコンピューターデザインソースに組み込むことは禁止しなければならないと確認した。このように黙示的又は間接的であるとみなされる方法は当該裁判所によって否定された。この禁止が、ユーザーが本当の警告を認識していない、又は、ウェブサイト内のマウスポインターのドラッギングが継続するかどうかの動作とみなされるような場合に、Cookieの有効設定への同意が、単に当該サイトを通じた検索を続けることに紐づけられているようなサイトに拡大される可能性があることについて議論の余地はある。我々の見解としては、同意は分離可能性のないサービスの享受と結びつくものであるため、このような実務は受け入れることができない。この障害を解決するために、同意を依頼した後に、明示的な方法で同意が表明されるまでウェブサイト画面は停止されなければいけない。事実、裁判所は、Cookieの有効化のためのユーザーによる同意の表明は不明瞭なもの、誘導されたもの、分かりにくい方法であってはならず、同意を得るために選ばれたシステムはユーザ自身による自発的に同意を行なったことを表示しなければならないとしている。 最後に、ユーザーが基本的決定を行えるためには、Cookie設定を受け入れる決定の結果について、事前に十分な情報を考慮する必要がある。この点、サービスプロバイダーはそのサイトにおいてユーザーに対し、Cookieは当該プロバイダーだけがアクセス可能なのか、第三者もアクセス可能なのかといった、基本的観点を明らかにして知らせなければならない。同様に、Cookieが有効でいる期間も示さなければならないだろう。 判決には含まれなかった追加的な問題は、サイト検索や提供サービスの利用を許可するためにCookieの利用承諾を求める(公的な)サイトの合法性である。このようなケースは、ユーザーに能動的な同意を求めている場合であっても、承諾しない場合は公共サービスを利用できないという点において、ユーザーによる決定は誘導された無効なものであるということができるだろう。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Eduardo Vilá va@vila.es   バルセロナ、2019年10月4日

期限前の弁済条項

2019年9月11日付最高裁判決において、2019年3月26日付欧州高等司法裁判所判決及び2019年7月3日付欧州司法裁判所決定を受けて、担保付ローンの期日前弁済条項の無効が言い渡された。 担保付ローン契約における期限前の弁済条項に関し、欧州司法裁判所は上記判決において以下の通り言い渡した。 消費者との間で締結された契約における不当な条項は、不当とされる部分が抹消されるため、抹消により条項の重要な内容に変更をきたすために原則無効とされるべきであるため、部分的に存続することができないことに配慮する必要がある。問題となるのは、当該条項が契約の重要な性質を形成する場合、当該契約自体が無効となる場合がある点である。 2007年12月10日付第1331 /2007号最高裁判決において、「担保による保証がされた債権は、担保物権に含まれるものと理解されるため、通常の債権ではなく、したがって、法的には異なる取り扱いがなされる。」との宣言がされた。つまり、普通ローンではなく、当該物権によって債権者に与えられる債権の行使の保証を強化するため、特別な性質を有するものである。したがって、仮に長期担保付ローン契約において、債権額を満足させるために債権者に与えられる、被担保物の売却を強制する権利(民法第1858条)という担保権の本質的な権限が制限される場合、保証は変質してその意味を失い、故に契約は無効となる。 仮に契約が無効とされた場合、残債務全額の返済義務や担保権の執行のために法的に予見可能な利益の喪失など、消費者に対し有害な結果が生じる。 このような結果を回避するために、欧州司法裁判所は、2013年の法第1/2013号による改正後の民事訴訟法第693条第2項(2013年改正)を参考にして、裁判所が不当条項を早期弁済条項を認める法規定に差し替え又は統合することを認めた。しかし、最高裁は、担保により保証された消費者へのローンや居住用不動産購入を目的とするローンについては、2019年3月15日付法第5/2019号不動産ローン契約法(以下「LCCI」)を考慮することが適当とした。当該法第24条は強行規定であり、それぞれのケース、又当該条文の詳細によるものの、債権者による契約解除に必要な未払い期間の回数を1度(2013年改正前の第693条第2項)又は3ヶ月(2013年法による規定)から12ヶ月又は15ヶ月へと増やす規定であるため、消費者に有益な内容となっているからである。 つまり、各個別ケースにおける債権者の期日前弁済権限の行使の正当性評価は、以下の一連の要素を考慮に入れつつ、担当裁判官の裁量に任される:基本的性質、義務の不履行自体ではなくその大きさと関連する不履行の重要性、契約期間の長さ、消費者による債務不履行回避の可能性。 最後に、権利濫用により不当として無効が言い渡された条項に基づき行われた担保権の行使手続きのための前述の事項の実務的取り扱いに関し、取得者に占有移転がなされていない場合、以下のガイドラインが示される。 法第1/2013号の施行前に弁済期を迎えたローンについては更なる手続きを行わず、停止しなければいけない 当該ローンの弁済期日が上記法律の制定後の場合、以下のように区別しなければならない。 債務者による不履行が、基準指針としてLCCI第24条に配慮し、重要性要件及び比較要件を満たさない場合、当該手続きは停止されるべきである。 債務者による不履行が、LCCIの予定する重要性に合致する場合は、当該手続きを進行することができる。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Jaime Madero va@vila.es   バルセロナ, 2019年9月27日

パラソーシャル合意:コンセプトと限界

パラソーシャル合意とはある会社の社員(株主)間における合意であり、内部関係を捕捉する目的で、定款に定められていない問題について定めるものである。パラソーシャル協定は、署名した社員の自主性に基づく会社自治の最大限の表現であり、その根底を確認することができるものである。 会社資本法(LSC)第28条において以下の通り定められている。「第28条 自主的自治。法に反せず、選択した会社の種類の構成原則に矛盾することがない限り、公正証書および定款には、発起人が適切であると判断した全ての合意及び条件を含むことができる。」 また、スペイン民法(以下「民法」)第1225条では以下の通り規定されている。「第1255条 法や道徳に反し、また治安を乱すことがない限り、契約当事者は適当と判断した合意、条項及び条件を定めることができる。」 パラソーシャル合意は、民法に根拠を求めることで商法の厳格性を回避することを可能としている。パラソーシャル合意は民法上の義務及び契約の一般理論を適用することで、契約の性質を有している。同様に、民法第1091条「契約によって生じた義務は、当事者間において法的拘束力を有し、当該定めのとおり履行されなければならない。」の規定に従い、パラソーシャル合意に署名した株主間において法的拘束力を有する。 しかし、LSC第29条が以下のとおり規定するとおり、パラソーシャル合意はそれに署名した株主が属する会社に対して対抗することはできず、また従って、第三者に対しても対抗することはできない。「LSC第29条 限定協定 株主間に限定された合意は会社に対して対抗することができない。」 パラソーシャル合意の有効性に関し、民法第1261条に定める契約の有効性に関する必要条件(1)合意(2)目的(3)原因の他に、法、道徳、及び公共の利益のを尊重することが義務付けられている(民法第6条に関連して民法第1255条)。 同様に、前述のLSC第28条は、「会社の種類原則」に反しないことという必要条件を追加している。この原則は、立法者により明確にされていない不確定な法的コンセプトではあるが、学説の大半は、予め明記されているか解釈によるものであるかを問わず(例を挙げると、株式会社は必ず公開会社であり、責任限定会社は非公開である)、ある種の会社に限定的に適用可能であるような必須の規定のように定義している。逆説的に言えば、パラソーシャル合意はLSCの規定や、会社定款にすら反することも可能と言えるかもしれない。 つまり、パラソーシャル合意の有効性を決定するには、会社の種類及び矛盾する命令的規定(該当する場合)に配慮するとともに、各条項を分析しなければならない。       より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Carla Villavicencio va@vila.es   2019年9月20日 バルセロナ

非金銭出資による株式引受金の払込み

2019年7月11日、スペイン登記・公証局は、株式引受金の払込み及び増資にかかる公正証書の登記について、マドリード第19商業登記官がこれを拒否したことに対する異議申し立てに起因して、決定を公表した。本件においては、株式会社(Sociedad Anónima)が商業登記所に対して、非金銭出資による株式引受金の払込み及び増資にかかる公正証書を登記するために提出した。しかしながら、登記官は、株式引き受け金が非金銭出資による場合には、資本会社法第69条に定める例外的な条件に該当しない限り、同法第67条に定める独立した専門家によって作成されたレポートが添付されなければならないことを理由に、当該登記について否定した。 申請会社は当該決定について異議申し立てと行い、当該会社は一人会社であり、当該一人株主によって決議がされていることから、株主の利益については保護がされており、資本会社法第67条の目的である法的利益の保護は守られており、専門家によるレポートを省略することができ、取締役によるレポートで代替可能であると主張した。 登記・公証局は、資本会社法第67条の目的(非金銭出資による場合の独立した専門家によるレポートが求められる理由)は、見せ金や出資に用いられる非金銭資産について過剰な評価がされることを避け、資本金が正しく構成されることを保証することにあると説明し、法的保護を受けるのは株主の利益のみならず、特に会社の債権者の利益も保護されるとし、したがって、増資が一人会社の一人株主によって決議されたことをもって専門家によるレポートを省略することができると結論づけることはできない、と判断した。 結果として、登記・公証局は本件異議申し立てについて却下し、登記官の決定を確認した。   より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 露木美加 va@vila.es   2019年9月6日、バルセロナ

電子メールによる株主総会の招集

2019年7月19日、スペイン登記・公証局は、会社の定款変更、特に株主総会の招集方法及び電子メールによる招集の可能性に関連した定款第21条の変更のための会社の決定に関する公正証書の登記について、アストゥリアス商業及び動産第一登記所がこれを拒否したことに対する異議申し立てに起因して、決定を公表した。 なお、改正された条文は以下の内容であった。: «第21条。すべての株主総会は、ユニバーサルな郵便サービスや全ての株主による招集通知の受領を保証する他のオペレーターにより行われる、個別かつ書面でのあらゆるコミュニケーション方法(電子的手段を含む)によって、招集のために指定された住所、または会社に記録されている住所(株主名簿に記載されている場合にはその住所、それがない場合は株主の地位取得の権利証書又は文書に記載されている住所)または、各株主により提供され、株主名簿にも記載されている電子メールアドレス(招集通知メールの開封確認付き。開封確認要請が拒否された場合は、システムによりメールが返信されない限り、開封確認がされたものと同じ効果があるものとする。)にて招集されなくてはならない。いずれにせよ、招集通知の内容はスペイン資本会社法第174条の規定に適合しなければならず、株主総会開催日の少なくとも15日前に送付されなくてはならない。合併や会社分割の場合は、株主総会開催日は、通知が最後の株主に送信された日付から少なくとも1カ月の期間を要するものとする […]»。 商業登記所は2014年10月28日のスペイン登記・公証局の決定の内容及びスペイン資本会社法第173条2項に準拠して、開封確認を求めない電子メールによる株主総会の招集を行うシステムは受け入れられないとして会社の定款変更についての公正証書の登記を拒否した。 前述の商業登記所による拒否は、公正証書の発行者である公証人により的確に疑問視され異議申し立てがされた。公証人は、株主が電子メールを提供した時点から、これを会社とのコミュニケーション手段として受け入れていると理解されなければならないと主張し、有効性は株主の独占的な裁量に委ねることはできないため、株主による電子メールの開封確認がない場合、そこから導き出される結果は株主の責任であり、株主が引き受けなくてはならないと付け加えた。 スペイン登記・公証局は異議申し立てがされた登記拒否の判断の撤回を支持することで本件議論を解決した。問題となっている電子メールによる通知システムは、株主への電子メールによる通知の受領を合理的に正当化でき、電磁的通信の現状において受領証明は、例えば<<送信確認>>の手段を通じて取得できることから、十分であると考えなくてはならない、とした。 最後に、スペイン登記・公証局は、条文のうち「未確認」に関する部分について、通知がシステムにより返信されない限りは確認の効果を生じ、提案されているシステムの効果を弱めない点を追加し、前述の電子メール開封確認の提供を拒否する株主の妨害態度よりも手続きが優先され、そのような場合には、当該株主は株主総会招集通知の欠如を証明することが義務付けられるだろう、と述べた。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Pedro Blanco Guardado va@vila.es   2019年8月30日 バルセロナ