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株主総会議案に記載のない取締役の解任

スペイン登記・公証局は2019年7月23日付決定において、マラガの商業及び動産第三登記官による登記拒否に対する不服申立に関し、ある会社の株主総会により採決された特定の決議登記を認めた。 本決定の興味深い点は、株主総会議案に記載ないながらも株主75%の賛成票により採択された共同代表取締役の解任合意である。本決定を分析するためには、スペイン会社資本法第223条「議案にその記載がない場合でも、株主総会においていつでも取締職を解くことができる」を留意する必要がある。 また、本件会社の定款は以下を規定している。 「取締役は期間の定めなくその職務を遂行するものとする。ただし、株主総会によっていつでも解任することを可能とする」 取締役の解任に関する前述の2条項から、我々は次の結論を導くことができる。 株主総会において、常に解任可能である。 株主総会議案に議案として記載する必要はない。 しかし、本件株主総会は上記2条項の拡大解釈をし、共同代表取締役の解任後に新たな共同代表取締役を選任するのではなく、一人取締役会社への組織変更を推進したのである。 そこで本決定は、会社におけるトップ不在、若しくは会社機能の停止を避ける目的で、会社資本法第223条及び、本会社の定款第13条の解釈は、取締役解任及び選任の許諾に関する規定であり、株主総会議案に記載ない場合は会社組織変更に適用されないとしたマラガの登記官の判断を妥当であるとした。 結論として、株主は取締役を解任し新たな取締役を選任することができる一方で、株主総会議案に記載のない場合は、会社組織の変更を行う権限はないとした。(1955年10月19日付決定及び2015年3月6日付決定も上記判断と同様の解釈による。)     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Pedro Blanco va@vila.es   バルセロナ、2019年10月18日

商号の同一性

2019年7月26日付官報において、スペイン登記・公証局は、2019年7月3日付決定を公示した。当該決定は、商号予約にかかる中央商業登記所第IIIの登記官が発行した商号予約の不認可に対してなされた異議申し立てに起因するものだった。本件においては、ある個人が中央商業登記所に対して提出した「Grupo Juinsa, Sociedad Limitada」での商号予約申請が中央商業登記官によって否認された。 申請が否認された主な理由は、既に「Junsa, S.L.」「Junisa Sociedad Anónima」「Juin, Sociedad Anónima」及び「Joinsa, S.A.」という商号が存在すること、すなわち同一商号の存在が認められることであった。 これに対し、商号予約申請者は異議申し立てを行った。 商号の同一性の判断に関し、登記・公証局は、忘れてはならないのは、商号が同一であるときの評価は、一定の安全マージンをもって、特定の法律関係における責任者に従い、評価されるということであると説明した。このため、もし、規定されている基準の解釈(特に、「包括的または付随的な」用語又は表現、意味の不足する記号や接頭辞、明白な発音の類似性といった、大幅な不確定という言葉で覆われた概念についての解釈)が制限的に行われる理由がないのであれば、大幅な緩い解釈や商業登記規則第408条に含まれる基準の2つ以上を同時に適用することを検討する余地もない。この難しいバランスにおいて、商号の同一性の評価がなされなければならず、それら規則の解釈及び適用は、目的論基準に従って、各事案の状況に応じてなされなければならない。 上記の検討を鑑み、本件の問題は申請された商号と登記官によって示された登録済み商号との間に、登記官の申請却下を正当化するに足りる本質的な同一性の存在が認められるかという点に集中する。これには登記済み商号との関係で個別に検討が必要となる。 申請されたJuinsaという商号に含まれる文字列は、登記済商号に含まれるJunsa、Junisa、Joinsaと、少なくとも「Juin」という文字列の類似性が認められるが、類似性はあるものの、全く同一の文字列ではないため、違うものであると識別することができる。それらの間に、識別可能な要素が存在する。文字列に含まれる文法的及び発音的な違いは、それらが明白に区別可能な商号であるかについて、法的識別性の存在という観点から検討されると帰結するのは明らかである。 結果として、登記・公証局は本件異議申し立てを認め、登記官の決定を取り消した。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 露木美加 va@vila.es   バルセロナ、2019年10月11日

同意なきCookieの利用

ウェブサイトが、プロバイダーによってウェブサイトを閲覧したユーザーのパソコンに入力されるCookieやファイルを利用し、ネット検索やオンライン取引を促進するために使用していることは知られている。しかし、Cookieは、プロバイダーと協働する会社又はサービスプロバイダーの顧客である会社の広告表示対象になるユーザーの利用態様に関する情報を収集する機能も有している。 一方で、承認を意味する「X」や、その他の隠されたフォーム、同意への誘引フォームが表示されることで、ウェブサイトがユーザーにCookieの利用に関する同意を求めることは、まだ実務上用いられている。 ドイツの民事及び刑事最高裁判所は、欧州司法裁判所に対し、上記のような同意を求める方法が、EUの電気通信産業におけるプライバシー保護法に抵触し得ると解釈するために請願を提出した。本事件はドイツ連邦の消費者団体協議会が原告として申立がなされたものであり、オンラインゲーム会社のPLANET 49を、同社のユーザーのパソコンにCookieを入力することへの同意を表明する欄にあらかじめマークがされた状態で表示していたことを訴えの理由とするものである。 前述の請願に関連して、欧州司法裁判所は、2019年10月1日付判決(C-673/17事件)において、ユーザーの同意はユーザーのパソコンにCookieが置かれるために明示的に表明されなければならないと明らかにした。 さらに、承諾の方法が、既に同意欄にマークがされており、ユーザーが同意を望まない場合はマークを外さないといけないような欠陥があるときは、承諾が適当になされたとは理解されないという判断をした。つまり、ユーザーが欠陥のある同意欄から承諾のマークを消さなかったことをもってユーザーによる承諾とはみなされず、また有効になることはなく、ユーザー自身によって空欄に承諾マークが押されなくてはならない。承諾マークを押すことの必要性は「ユーザーの機器に保管又は参照された情報が個人情報か、個人情報によって構成されているものではないか」とは関係のないものである。求められた情報の種類ではなく、第三者が、ユーザーのパソコンや端末に当該第三者の同意なく、つまり明確で不可欠な同意がないまま、入ることは容認されない。 欧州司法裁判所は、ユーザーによる積極的かつ明確な同意の実施を要求しており、ユーザーの同意が怠慢、混乱、十分な明確性の欠如によってなされた場合、同意とすることはできないとした。なぜなら、もし保護財産が個人のプライバシーであるならば、混乱させ、ユーザーの受動性(又は不安)を利用しようとする意図のあるサービスプロバイダーのメカニズムや罠によって毀損することはできないし、されてはならないからである。(自身又は第三者の)Cookieにパソコンを解放することは、隠されたログイン用パスワードと望まない情報の獲得装置を含む可能性がある。 判決はまた、同意が明示的で特定的でなければならず、オンラインサービスプロバイダーが、Cookieの利用の承諾をすることで特定のゲームやイベントに参加するため(裁判事案のように)や、サービス提供を受けるためなどのために、最初のボタンを押すことをコンピューターデザインソースに組み込むことは禁止しなければならないと確認した。このように黙示的又は間接的であるとみなされる方法は当該裁判所によって否定された。この禁止が、ユーザーが本当の警告を認識していない、又は、ウェブサイト内のマウスポインターのドラッギングが継続するかどうかの動作とみなされるような場合に、Cookieの有効設定への同意が、単に当該サイトを通じた検索を続けることに紐づけられているようなサイトに拡大される可能性があることについて議論の余地はある。我々の見解としては、同意は分離可能性のないサービスの享受と結びつくものであるため、このような実務は受け入れることができない。この障害を解決するために、同意を依頼した後に、明示的な方法で同意が表明されるまでウェブサイト画面は停止されなければいけない。事実、裁判所は、Cookieの有効化のためのユーザーによる同意の表明は不明瞭なもの、誘導されたもの、分かりにくい方法であってはならず、同意を得るために選ばれたシステムはユーザ自身による自発的に同意を行なったことを表示しなければならないとしている。 最後に、ユーザーが基本的決定を行えるためには、Cookie設定を受け入れる決定の結果について、事前に十分な情報を考慮する必要がある。この点、サービスプロバイダーはそのサイトにおいてユーザーに対し、Cookieは当該プロバイダーだけがアクセス可能なのか、第三者もアクセス可能なのかといった、基本的観点を明らかにして知らせなければならない。同様に、Cookieが有効でいる期間も示さなければならないだろう。 判決には含まれなかった追加的な問題は、サイト検索や提供サービスの利用を許可するためにCookieの利用承諾を求める(公的な)サイトの合法性である。このようなケースは、ユーザーに能動的な同意を求めている場合であっても、承諾しない場合は公共サービスを利用できないという点において、ユーザーによる決定は誘導された無効なものであるということができるだろう。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Eduardo Vilá va@vila.es   バルセロナ、2019年10月4日

期限前の弁済条項

2019年9月11日付最高裁判決において、2019年3月26日付欧州高等司法裁判所判決及び2019年7月3日付欧州司法裁判所決定を受けて、担保付ローンの期日前弁済条項の無効が言い渡された。 担保付ローン契約における期限前の弁済条項に関し、欧州司法裁判所は上記判決において以下の通り言い渡した。 消費者との間で締結された契約における不当な条項は、不当とされる部分が抹消されるため、抹消により条項の重要な内容に変更をきたすために原則無効とされるべきであるため、部分的に存続することができないことに配慮する必要がある。問題となるのは、当該条項が契約の重要な性質を形成する場合、当該契約自体が無効となる場合がある点である。 2007年12月10日付第1331 /2007号最高裁判決において、「担保による保証がされた債権は、担保物権に含まれるものと理解されるため、通常の債権ではなく、したがって、法的には異なる取り扱いがなされる。」との宣言がされた。つまり、普通ローンではなく、当該物権によって債権者に与えられる債権の行使の保証を強化するため、特別な性質を有するものである。したがって、仮に長期担保付ローン契約において、債権額を満足させるために債権者に与えられる、被担保物の売却を強制する権利(民法第1858条)という担保権の本質的な権限が制限される場合、保証は変質してその意味を失い、故に契約は無効となる。 仮に契約が無効とされた場合、残債務全額の返済義務や担保権の執行のために法的に予見可能な利益の喪失など、消費者に対し有害な結果が生じる。 このような結果を回避するために、欧州司法裁判所は、2013年の法第1/2013号による改正後の民事訴訟法第693条第2項(2013年改正)を参考にして、裁判所が不当条項を早期弁済条項を認める法規定に差し替え又は統合することを認めた。しかし、最高裁は、担保により保証された消費者へのローンや居住用不動産購入を目的とするローンについては、2019年3月15日付法第5/2019号不動産ローン契約法(以下「LCCI」)を考慮することが適当とした。当該法第24条は強行規定であり、それぞれのケース、又当該条文の詳細によるものの、債権者による契約解除に必要な未払い期間の回数を1度(2013年改正前の第693条第2項)又は3ヶ月(2013年法による規定)から12ヶ月又は15ヶ月へと増やす規定であるため、消費者に有益な内容となっているからである。 つまり、各個別ケースにおける債権者の期日前弁済権限の行使の正当性評価は、以下の一連の要素を考慮に入れつつ、担当裁判官の裁量に任される:基本的性質、義務の不履行自体ではなくその大きさと関連する不履行の重要性、契約期間の長さ、消費者による債務不履行回避の可能性。 最後に、権利濫用により不当として無効が言い渡された条項に基づき行われた担保権の行使手続きのための前述の事項の実務的取り扱いに関し、取得者に占有移転がなされていない場合、以下のガイドラインが示される。 法第1/2013号の施行前に弁済期を迎えたローンについては更なる手続きを行わず、停止しなければいけない 当該ローンの弁済期日が上記法律の制定後の場合、以下のように区別しなければならない。 債務者による不履行が、基準指針としてLCCI第24条に配慮し、重要性要件及び比較要件を満たさない場合、当該手続きは停止されるべきである。 債務者による不履行が、LCCIの予定する重要性に合致する場合は、当該手続きを進行することができる。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Jaime Madero va@vila.es   バルセロナ, 2019年9月27日

パラソーシャル合意:コンセプトと限界

パラソーシャル合意とはある会社の社員(株主)間における合意であり、内部関係を捕捉する目的で、定款に定められていない問題について定めるものである。パラソーシャル協定は、署名した社員の自主性に基づく会社自治の最大限の表現であり、その根底を確認することができるものである。 会社資本法(LSC)第28条において以下の通り定められている。「第28条 自主的自治。法に反せず、選択した会社の種類の構成原則に矛盾することがない限り、公正証書および定款には、発起人が適切であると判断した全ての合意及び条件を含むことができる。」 また、スペイン民法(以下「民法」)第1225条では以下の通り規定されている。「第1255条 法や道徳に反し、また治安を乱すことがない限り、契約当事者は適当と判断した合意、条項及び条件を定めることができる。」 パラソーシャル合意は、民法に根拠を求めることで商法の厳格性を回避することを可能としている。パラソーシャル合意は民法上の義務及び契約の一般理論を適用することで、契約の性質を有している。同様に、民法第1091条「契約によって生じた義務は、当事者間において法的拘束力を有し、当該定めのとおり履行されなければならない。」の規定に従い、パラソーシャル合意に署名した株主間において法的拘束力を有する。 しかし、LSC第29条が以下のとおり規定するとおり、パラソーシャル合意はそれに署名した株主が属する会社に対して対抗することはできず、また従って、第三者に対しても対抗することはできない。「LSC第29条 限定協定 株主間に限定された合意は会社に対して対抗することができない。」 パラソーシャル合意の有効性に関し、民法第1261条に定める契約の有効性に関する必要条件(1)合意(2)目的(3)原因の他に、法、道徳、及び公共の利益のを尊重することが義務付けられている(民法第6条に関連して民法第1255条)。 同様に、前述のLSC第28条は、「会社の種類原則」に反しないことという必要条件を追加している。この原則は、立法者により明確にされていない不確定な法的コンセプトではあるが、学説の大半は、予め明記されているか解釈によるものであるかを問わず(例を挙げると、株式会社は必ず公開会社であり、責任限定会社は非公開である)、ある種の会社に限定的に適用可能であるような必須の規定のように定義している。逆説的に言えば、パラソーシャル合意はLSCの規定や、会社定款にすら反することも可能と言えるかもしれない。 つまり、パラソーシャル合意の有効性を決定するには、会社の種類及び矛盾する命令的規定(該当する場合)に配慮するとともに、各条項を分析しなければならない。       より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Carla Villavicencio va@vila.es   2019年9月20日 バルセロナ

非金銭出資による株式引受金の払込み

2019年7月11日、スペイン登記・公証局は、株式引受金の払込み及び増資にかかる公正証書の登記について、マドリード第19商業登記官がこれを拒否したことに対する異議申し立てに起因して、決定を公表した。本件においては、株式会社(Sociedad Anónima)が商業登記所に対して、非金銭出資による株式引受金の払込み及び増資にかかる公正証書を登記するために提出した。しかしながら、登記官は、株式引き受け金が非金銭出資による場合には、資本会社法第69条に定める例外的な条件に該当しない限り、同法第67条に定める独立した専門家によって作成されたレポートが添付されなければならないことを理由に、当該登記について否定した。 申請会社は当該決定について異議申し立てと行い、当該会社は一人会社であり、当該一人株主によって決議がされていることから、株主の利益については保護がされており、資本会社法第67条の目的である法的利益の保護は守られており、専門家によるレポートを省略することができ、取締役によるレポートで代替可能であると主張した。 登記・公証局は、資本会社法第67条の目的(非金銭出資による場合の独立した専門家によるレポートが求められる理由)は、見せ金や出資に用いられる非金銭資産について過剰な評価がされることを避け、資本金が正しく構成されることを保証することにあると説明し、法的保護を受けるのは株主の利益のみならず、特に会社の債権者の利益も保護されるとし、したがって、増資が一人会社の一人株主によって決議されたことをもって専門家によるレポートを省略することができると結論づけることはできない、と判断した。 結果として、登記・公証局は本件異議申し立てについて却下し、登記官の決定を確認した。   より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 露木美加 va@vila.es   2019年9月6日、バルセロナ

電子メールによる株主総会の招集

2019年7月19日、スペイン登記・公証局は、会社の定款変更、特に株主総会の招集方法及び電子メールによる招集の可能性に関連した定款第21条の変更のための会社の決定に関する公正証書の登記について、アストゥリアス商業及び動産第一登記所がこれを拒否したことに対する異議申し立てに起因して、決定を公表した。 なお、改正された条文は以下の内容であった。: «第21条。すべての株主総会は、ユニバーサルな郵便サービスや全ての株主による招集通知の受領を保証する他のオペレーターにより行われる、個別かつ書面でのあらゆるコミュニケーション方法(電子的手段を含む)によって、招集のために指定された住所、または会社に記録されている住所(株主名簿に記載されている場合にはその住所、それがない場合は株主の地位取得の権利証書又は文書に記載されている住所)または、各株主により提供され、株主名簿にも記載されている電子メールアドレス(招集通知メールの開封確認付き。開封確認要請が拒否された場合は、システムによりメールが返信されない限り、開封確認がされたものと同じ効果があるものとする。)にて招集されなくてはならない。いずれにせよ、招集通知の内容はスペイン資本会社法第174条の規定に適合しなければならず、株主総会開催日の少なくとも15日前に送付されなくてはならない。合併や会社分割の場合は、株主総会開催日は、通知が最後の株主に送信された日付から少なくとも1カ月の期間を要するものとする […]»。 商業登記所は2014年10月28日のスペイン登記・公証局の決定の内容及びスペイン資本会社法第173条2項に準拠して、開封確認を求めない電子メールによる株主総会の招集を行うシステムは受け入れられないとして会社の定款変更についての公正証書の登記を拒否した。 前述の商業登記所による拒否は、公正証書の発行者である公証人により的確に疑問視され異議申し立てがされた。公証人は、株主が電子メールを提供した時点から、これを会社とのコミュニケーション手段として受け入れていると理解されなければならないと主張し、有効性は株主の独占的な裁量に委ねることはできないため、株主による電子メールの開封確認がない場合、そこから導き出される結果は株主の責任であり、株主が引き受けなくてはならないと付け加えた。 スペイン登記・公証局は異議申し立てがされた登記拒否の判断の撤回を支持することで本件議論を解決した。問題となっている電子メールによる通知システムは、株主への電子メールによる通知の受領を合理的に正当化でき、電磁的通信の現状において受領証明は、例えば<<送信確認>>の手段を通じて取得できることから、十分であると考えなくてはならない、とした。 最後に、スペイン登記・公証局は、条文のうち「未確認」に関する部分について、通知がシステムにより返信されない限りは確認の効果を生じ、提案されているシステムの効果を弱めない点を追加し、前述の電子メール開封確認の提供を拒否する株主の妨害態度よりも手続きが優先され、そのような場合には、当該株主は株主総会招集通知の欠如を証明することが義務付けられるだろう、と述べた。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Pedro Blanco Guardado va@vila.es   2019年8月30日 バルセロナ

EU入国管理官網の創設

EU各国における移民流入の増加及び懸念は、不法移民に関する規制を保証し、可能な限り人道的措置を整えることができるよう、EU加盟国間の協力を保証するような規則を導入する必要性をもたらした。 2019年6月20日欧州議会及び欧州理事会規則第1240号により、EU入国管理官網の創設を通じて加盟国、欧州理事会及びEU機関から第三国に送られた入国管理官同士の協力及び協同を強化するため、一連の規則が設けられた。 入国管理官の職務 本規則に基づき、入国管理官は以下の職務を担う。 i) 派遣地における管轄機関によって定められた責任の範囲内で負うべき職務及び個人データ保護関連の諸規定を含む法令の監視 ii) EU法及び国際法の一般原則としての基本的人権に基づいた職務(人権関連の問題も含む)。弱者に対して特別な配慮をし、移民流入の種類の様相を考慮する。 iii) 実務上、戦略上、またはその両方の理由で有用となり得る情報の収集 iv) 入国審査官同士及び適切な関係者と、管轄機関及び第三国の関係者に対する能力開発活動の提供の調整 v) 知識及び能力開発のため、以下に出席することができる (a) イレギュラーな状況における第三国の身元及び国籍の特定及びその送還、及び適切かつ可能な場合には再入国のための支援 (b) EUでの定住を容易にする目的での国際的な保護が必要な人物の身元確認 (c) 身元確認及び合法移民の受け入れに関してEU及び各国が講じる措置の導入支援 (d) 不法移民の防止及び検出、移民の不法輸送防止及び人道的扱いを目的とした、移民入国管理官網内及び各加盟国の管轄機関との間のコミュニケーションにおいて各自の職務遂行により取得した情報の交換 入国管理官網(現地または地域)の創設 同一国又は地域に配置された各加盟国の入国管理官は、適切な場合にはEU加盟国ではない国の入国管理官も含めて、当該地又は地域の協力及び協同のための入国管理官網を構築するものとする。これら連絡網の範囲内で、入国管理官は具体的に以下のことを行う。 i) 定期的なミーティング及び必要な場合に行うミーティング ii) ミーティングやセキュリティが保証されたインターネット上情報交換プラットフォームを通じた情報及び実務経験の交換。 iii) 国際保護へのアクセスに関する経験についての情報交換(適切な場合) iv) 商業輸送業者とのコミュニケーションにおいて採用される拠点の調整(必要な場合) v) 基本的権利、人道的取り扱い、不法な移民輸送、文書偽造又は第三国における国際保護へのアクセスといったテーマに関する共同特別訓練への参加 vi) 第三国にて勤務する外交官及び領事館員のための情報提供及びトレーニングコースの企画 vii) 戦略的観点から、重要情報の収集及び提出方法に関して共通のフォーカスを採用する viii) 第三国及びその隣国における類似連絡網への定期的なコンタクトの構築 役員会の設置 この入国管理官網の制度として、役員会が設置される。この役員会は各加盟国の代表者1名、欧州委員会の代表者2名、国境沿岸警備機関の代表者1名、Europolの代表者1名及び欧州難民支援事務所の代表者1名から構成される。 役員会は、EUの機関から提供された状況及び分析についてのグローバルな観点に基づき、以下の職務を担う。 i) 2年毎の活動プログラムの採用を通じた活動の優先順位及び予定表の作成(当該活動支援のために必要な予算も含む。) ii) 適切な場合に、2年毎の活動プログラムの修正を提案する目的で、活動実施状況を検証する。また、連絡網提供者の任命及び第三国の管轄機関との協力の範囲内で行う入国管理官連絡網の設置の進捗状況についても検証を行う。 iii) 2年毎の活動報告書の作成 iv) 毎回の役員会の前になされる派遣入国管理官名簿の更新 v) 派遣に関して空白地の特定及び入国管理官派遣の可能性についての表明 情報交換プラットフォーム 関係者の各機能との関係で、各入国管理官につき、入国管理官、役員会メンバー及び連絡網の構築者はあらゆる情報及び戦略はインターネット上の安全な情報交換プラットフォームに掲載され、交換されることを保証する。この情報交換プラットフォームは役員会との同意に基づき欧州理事会によって創設され、欧州理事会によって維持がされる。 施行日 本規則はEU官報で公示された7月25日から20日後に施行される。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。…

破産管財人の会計書類承認義務

2019年6月13日付の決定において、登記・公証局(DGRN)は、破産管財人の前事業年度の計算書類を提出する義務に関する非常に興味深いケースについての判断を下した。当該事案にて決定が出された前提事実は以下の通りである。 破産手続き中のDPÑANA TURÍSTICA, S.L.の管財人は、2017事業年度の計算書類を作成し2019年1月4日に商業登記所への登録のために提出した。提出された一件書類を精査の後、マドリード商業登記所登記官Jesús María Del Campo Ramírez氏は以下の理由に基づき、計算書類の登録を却下した。 「商業登記規則第112条、第8条及び第366条及び登記・公証局決定12/03/06号が要請する、計算書類を承認する株主総会議事録の決議証明書が提出されていない。」 上記商業登記所の却下通知について、2019年3月15日、倒産法第46条第1項の規定によれば、会社が破産・清算中である場合には株主総会による会社の計算書類の承認がされた旨の証明書の提出は不要であり、破産管財人が計算書類の作成を行い、必要な場合には計算書類の監査を受けるとされているだけで、計算書類の登録に先立って株主総会の承認がされなければならないという必要性に関する規定はない、との主張のもと、異議申し立てがなされた。 会社が破産中である場合に計算書類が承認されなければならない義務が残るのかと言った問題は学説の議論で何度も取り上げられてきたが、登記・公証局は、提出された異議申し立てを却下し、資本会社法第272条、第371条第3項及び第388条第2項の適用がされる旨を確認した。 しかし、本事案とは関係ないとしたうえで、登記・公証局は、その決定において、会社が破産手続き中の場合に、破産管財人がその報告書において記載した情報によってすべての利害関係人の保護が保証されるのであれば、当該手続きの担当裁判官は「事件の具体的な状況(株主と破産管財人間での紛争やオーバーコストの発生等)に即して」会社の計算書類承認義務を免除することができる可能性があると付け加えた。   より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Pedro Blanco Guardado va@vila.es   バルセロナ、2019年7月25日

Facebookの「Libra(リブラ)」は通貨か、デジタル資産か?

Facebookは、2020年春にリブラという名称の「仮想通貨」を発行予定であることを発表した。 既にブロックチェーン技術に基づいて開発された多くの仮想通貨(以後デジタル資産のコンセプトにより近いと考える「暗号資産」という名称を用いる。)が市場に流通していることもあり、当該ニュースはさほど目新しくはない。しかしながら、Facebookの発表は、とりわけ、セキュリティシステムの欠如への懸念と国の通貨統制に与えるインパクトへの様々な興味や関心を引き起こした。その主な理由は、当該プロジェクトのスケーラビリティ(拡張可能性)にある。リブラが発行されれば、Facebookの現ユーザーだけではなく、Uber や SportifyといったFacebook関連プラットフォームの顧客を含むと20億人以上がリブラを即時使用可能となる。商品やサービスの即時決済や、従来の銀行に比べて非常に低いコストでの送金を可能とするリブラの市場や社会への浸透は、急速なものとなることが予想される。リブラの持つスピード性及び経済性は、ブロックチェーン技術に依拠しており、おそらく全てではないにしても、多くの取引仲介者が、リブラによって排除されることとなろう。加えて、これまで銀行の取引対象でなかった、または、銀行と取引関係になかった何億もの市民が、リブラを利用することができることになるだろう。 さて、リブラはどのように機能し、いわゆる他の暗号資産との相違はどこにあるのか。 「リブラ」とは、リブラによって実行される取引が、中央集権・プライベート型ネットワークで検証されるDLT環境(共有台帳技術)ブロックチェーン技術によって作成されたデジタルバリュー単位を識別するブランド名称である。ビットコインのように分散・パブリック型DLT環境にて管理し、組織や中央管理者が存在しない形で無限数のノード (NODO: 節点)の一つ一つの価値を検証する他の暗号資産に対して、リブラは、中央集権・プライベート型DLTを使用し、取引価値を検証する役割を担う企業が、選択されたノードとして行動し、運営する。これらの選択されたノードは他のノードよりも高価値を有する可能性があることを示唆する。上記企業には、UBER、VISA、MASTERCARDやPAYPALが名を連ねる。リブラプロジェクトは最大で100社の企業が認可ノードとなることが期待されている。したがい、リブラにおいては、取引を検証する認可ノードが誰なのかを決定するのは管理権者であることから、分散型ではない。ブロックチェーンの所有者が管理者として、ノードの数及びその配列を決定する事になる。 分散型DLTの場合、サイバー攻撃の成功率は非常に低い。対照的にプライベート型の場合、特定数のノードを集中攻撃でき、サイバー攻撃が成功した場合、暗号資産の運営自体が崩壊する可能性があるため、非常に脆弱な状態にある。 リブラの使用は、Facebookユーザーに限られておらず、UBER やEbayといった他のプラットフォームのユーザーにも門戸が開かれており、不換貨幣の代わりに商品やサービスの代金支払いをリブラにて可能にすることは言及に値する。 従来の法定貨幣とリブラ間の交換は、Facebookの設立する「カリブラ」という子会社が管理するデジタルウォレットアプリを使って行われる。当該アプリはFacebookアプリの一部を構築するが、リブラはオープンソースのブロックチェーンに基づいているため、開発者がプラットフォームに統合できるアプリを構築することを妨げず、独立したアプリとして変更システムにアクセス可能となる。カリブラは、リブラ協会と呼ばれるリブラ管理者団体が認可する暗号資産取引所との間で、リブラと従来の通貨の取引を、ユーザーが手数料を支払うことで保証するような合意に至るであろう。しかしながら、システム上、他の暗号通貨との取引を許可するかどうかは不確実である。 リブラが従来の意味における「通貨」のコンセプトに合致するためには、市場価値が適度に安定していることが不可欠である。そのために、リブラの本質的価値は、株券や既存の不換貨幣、株式市場の価値によって裏付けることとなろう。当該メカニズムがどのように機能し、どの通貨や証券がリザーブ資産に含まれるのか、詳細は明らかになっていない。 リブラの統治部門については、Facebookによると、認定された最大100企業が各一票ずつ決定権を有する協会を設立し、スイスに本拠地を設置する。本リブラ協会は、以下の3要件のうち2つを満たす企業が参加可能となる。a)年間500万ドル以上の売上を有する、b)2,000万人以上の顧客を有する、又はc)各業界で世界上位100社に入る評価を有する。例え各参画企業が1票を有するとしても、Facebookはプロジェクトの先導者であることからも、また、他の協会メンバー企業との相互依存や、顧客関係からも常にプロジェクトの中で大きなウェイトを占めることになるだろう。議決権や決裁票、他のメンバーの承認又は解任のための意思決定メカニズムが存在するかどうかは不明である。協会の各メンバー企業は、プライベート型ノードの操作を可能とするために、年1000万ドルの資金を提供する必要がある。加えて、リブラが世界的な暗号資産として認知されるために尽力することを約束しなければならない。 リブラを支える技術としてFacebookは、中央集権・プライベート型ブロックチェーンを選択した。これに対する主な議論は基本的に技術・実用面にある。分散型ブロックチェーンでは、取引を検証するには幾千にも上るノードの合意が必要となり、多くの時間とエネルギーを要するため即時の大規模な取引を実現できない。他方、中央集権的DLTではノード数は限られているため、これが可能となる。しかし、当該暗号資産は、取引を検証するために事前に認定されたノードを管理する組織の管理対象となるというマイナス面も有する。すでに言及したように、分散型ブロックチェーンは管理主体を持たない。中央集権型ブロックチェーンは、ノードは「信頼できる」ものというベースが存在し、不確定数の匿名ノードの取引承認を模索する必要はない。しかし、誰が認定ノードの信頼性を決定するか、どの独立機関が認定ノードを監督するのかを問う必要がある。したがって、将来的に世界的規模な暗号通貨になろうとするリブラの管理が、少数の企業とその監督者の手の上にあることは懸念事項である。別の言い方をすれば、これまで国家は中央銀行を通じて金融政策を統制してきたが、大規模な暗号資産の誕生は本特権を著しく侵害することになろう。また暗号資産リブラ協会が、従来の金融政策に決定的な影響を与える可能性や通貨の管理者として国家を置換する可能性すら否定できない。 リブラの誕生に関連して考慮すべきもう一つの側面は、市場統制への影響及び市場の自由競争を妨げ、制限するような、リブラ協会の一端を担う企業への権力の集中である。つまり、リブラを使用する顧客を獲得・保持するために企業はリブラに関わることを希望し、そのためにリブラが提案する特定のアクセス条件を受諾する必要がある。それは煩わしいことであると同時に、競争の制限をする可能性がある。同様に、Facebookはこれを否定しているが、技術的観点からリブラの貸付を実行することは暗号資産運営の当然の帰結であり、技術的にも可能である。その場合、リブラ及びリブラ参画企業は、銀行的な役割を果たすこととなるが、従来の銀行のような厳密な意味での規制対象とならないことは、市場に深刻な歪みを生むこととなり、無規制状態を正当化するのは相対的に困難となろう。 また、リブラが収集する主に個人機密に属する大量のデータを考慮する必要がある。リブラ取引データとリブラ関連企業のプラットフォームのデータとの交差は、巨大かつ価値の高いデータベースを生成する。本データは、ユーザーの好みや傾向について、非常に詳細かつセンシティブな個人情報で構成されることとなる。我々は、当該データはどのように管理されるのか、誰がアクセスする権利を有するのか、ユーザーはデータの転送に関し正当な報酬を得るのかを問わなければならない。一方、分散型ブロックチェーンの取引が実質的に履歴取り消し不可能であるのに対し、リブラのような中央集権型ブロックチェーンの取引は履歴変更が可能となる。当該可能性はデータ操作及びリブラを利用した詐欺を誘発しかねない。 現時点では、暗号資産を従来の意味における通貨として扱うことは現実的ではなく、デジタル資産としてのみしか議論することはできない。許容価値の安定性が欠如し、一般的に商品やサービスの支払い手段として許容されていない暗号資産は、従来の法定通貨の特徴要件をまだ満たしていない。しかし、立法者がリブラの誕生及びその後の発展を許可するのであれば、近い将来そのような状況になりえると考えない理由もない。その場合、誰が立法者の役割を果たすのだろうか。現在Facebookはアメリカ政府とリブラ発行に関し交渉中であるが、リブラが発行された場合の世界的レベルにおける社会的及び金融政策に与える即時的なインパクトを考慮すると、アメリカ政府の許可のみで十分であるかは大きな疑問である。リブラに対する立法者の介入は、本暗号資産の本質の定義に焦点をあてる:リブラを通貨とするか又は「証券」として扱うかによって、自動的に特定かつ制限的な法律の枠組みに挿入される。直近では暗号通貨による資金調達「ICO」が株式市場の法規制の対象となった時にそのような状態が生じた。これは、その終わりを意味した。なぜなら、ICO募集の開始の手続きが長期かつ高コストの対象となり、スピード性・経済性といったICOの本質的価値を喪失する結果となったからである。しかし、暗号資産が単なるデジタル資産として扱われる場合、証券や従来の意味の通貨ではなくとも(現行の法律では)市場での使用や交換に支障はない。これまでのところ立法者は、暗号資産での取引量が絶対的に少ないこともあり傍観者の立場をとっている。しかしその巨大なスケーラビリティ故に、リブラプロジェクト構想においてリブラは、通貨として誕生するのではなく、特定の商業環境における商品及びサービス決済のデジタル資産として存在し、国家の監督・統制を可能にするフォーマットにコンセプト自体が準拠することを期待する。そしてその最終的な外郭と性質を決定するのは、おそらく市場そのものとなるであろう。     より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。 Eduardo Vilá va@vila.es   バルセロナ、2019年7月12日