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EUへの不要不急の渡航にかかる制限緩和

2020年6月30日、欧州連合理事会はEUへの不要不急の渡航に関する一時的な規制及びその可能的な緩和についての勧告(以下「本勧告」)を採決した。EU加盟国の国家元首または政府首脳がすべてのEU外の国からEUへの不要不急の渡航に関する一時的な規制を導入することに同意がされた2020年3月17日以降、EUの対外的な国境は封鎖されていた。6月11日、欧州委員会は、2020年7月1日からEUへの不要不急の渡航にかかる制限を段階的に緩和していくためのアプローチを設ける通知を採決した。以降、加盟国は採用されるべき基準及び方法論について議論を重ねていた。 1. 渡航制限が解除される国のリスト及び緩和の基準 本勧告に定められた基準及び条件に従い、7月1日以降、加盟国は以下の国からの不要不急の渡航にかかる規制の解除を始めなければならない。 1)アルジェリア 2) オーストラリア 3) カナダ 4) ジョージア 5) 日本 6) モンテネグロ 7) モロッコ 8) ニュージーランド 9) ルワンダ 10) セルビア 11) 韓国 12) タイ 13) チュニジア 14) ウルグアイ 15) 中国(但し、措置の互恵性が確認されることを条件とする) EUへの不要不急の渡航の規制を緩和すべき国をどのように決めるかは2020年6月11日付欧州委員会通知に定められているEUへの不要不急の渡航にかかる一時的規制適用の第3評価についての方法及び基準を適用すべきとされる。この基準は、経済的・社会的配慮のほか、疫学的状況及びソーシャルディスタンスを含む感染防止策を考慮し、累積的に適用される。 疫学的状況に関しては、上記リストに記載された国々は、特に以下の基準を満たさなければならない。 2020年6月15日時点において、過去14日間における居住者100,000人あたりのCOVID-19の新規感染者数がEUの平均に近いか、それを下回ること 上記と同じ期間における新規感染者数の傾向が、その前の14日間と比べて、安定又は下降していること。 検査の実施、監視措置、連絡先の追跡、感染防止策、治療及び感染症例の報告の側面を含む入手可能な情報及び情報の信頼性を考慮した、COVID-19への包括的な対応がされていること。必要であれば国際保健規則(IHR)の合計平均スコアも参照する。また、上記側面について欧州連合代表部が提供した情報も考慮されなければならない。 また、国ごとに定期的に、互恵性の基準についても考慮することができる。 状況の変化とその結果としての疫学的状況にかかる評価の変化に応じて、既に上記リストに含まれている国について全部又は部分的に渡航制限が解除又は再導入される可能性がある。上記リストにある国の状況が急激に悪化した場合、迅速な意思決定がされなければならない。 渡航制限が継続する国々については、以下のカテゴリーに属する者は渡航制限の対象から除外される。 EU市民及びその家族 EU長期居住者及びその家族 役職による渡航または必要不可欠な場合 EUへの不要不急の渡航にかかる一時的制限をある国の国民に適用するかの決定要因は、規制緩和対象国の居住者かどうかであり、当該国の国籍を有するかではない。 2. 今後の動き 本勧告は法的拘束力を有するものではない。各加盟国の監督機関は本勧告の内容を実施する責任を有する。加盟国は完全な透明性をもって、上記リストにある国に対する渡航制限を段階的に緩和することができる。 いずれの加盟国も、本勧告に従って制限解除の調整がされる前に、特定の国からEUへの不要不急の渡航にかかる制限の解除を決定してはならない。 制限が解除される国のリストは2週間ごとに見直しがされ、上記の基準に基づき包括的な評価が行われた後、欧州委員会及びEUの関連機関との緊密な協議の後、必要に応じて、欧州連合理事会によりアップデートがされる。     更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 露木美加 va@vila.es   2020年7月3日 バルセロナにて  

事情変更の原則を理由とした契約の変更

事情変更の原則、又は「事情が変わらない間は」という一般法理は、契約両当事者が自由意志に基づき同意した内容に大きな影響を与えるものであるため、最近まで取り扱われることはさほど多くなく、裁判においても適用されることは少なかった。2008年の金融危機は事情変更の原則を広範に適用する判例傾向は生じたものの、あくまでも例外の範囲内であった。 Covid-19パンデミック及び非常事態宣言を受け、スペインではこの傾向に何らかの変更が見受けられており、裁判においても事情変更の原則の一定の規則性をもった適用が始められている。例えば、2020年4月30日付マドリード第一審裁判所判決第60号及び2020年4月29日付サラゴサ第一審裁判所判決第3号などである。これらの決定は、事情変更の原則に則って、予防措置の申請を認めた。1つ目の事件では、Jumboローンの実行手続きについて取り扱われた。本件では債権者が、債務者が特定の財務比率を満たしていないことを主張し、契約の解除を求めていた。裁判官は債務者の請求を認め、問題の根底が解決されるまでの間の契約解除手続き、支払期限及び支払を停止させた。2つ目の事件では、サラゴサ裁判所は予防的措置として、緊急事態宣言中における未払いを理由とした保証債権の実行を停止させた。 上記2事例は、事情変更の原則の適用を支持している点において、現時点では重要な決定となる。特に、マドリード裁判所の判決は、当該原則を制限的な基準で用いることを克服することが妥当であると評価し、2014年10月15日付最高裁判決で既に述べられているように「各事案における具体的な状況に配慮」する必要があると指摘している。また、重要かつ予見不可能という事実があるような場合には、事情変更の原則の概念の「標準的な適用」を広げるべきであるという意味で、2013年1月17日及び18日付及び2015年7月25日付最高裁判決のガイドラインに従った。それら判決においては、2008年の深刻な経済危機に応えるものであったが、その他の同等もしくはより深刻な場合にも同じことが言えるだろう。Covid-19パンデミックに対応する緊急事態宣言中のビジネス展開に関する政府による合法な規制は、非常に重要な予測不可能な経済的結果をもたらしたほか、その結果、上述の裁判所は事情変更の原則の一般的適用を尊重した。サラゴサ裁判所判決の事案において、簡潔に移動制限(この最終的な結果として売上減少が生じたとされている)から引き起こされた問題に言及されているのみであって、パンデミックの状況を特定の事案に結びつけるような望ましい議論が深く詳細にされているわけではないことは述べておかなければならない。 しかしながら、事情変更の原則を主張する場合に、例えば「金融危機」や「パンデミック」といったように、それを一般的に引き合いに出すことを制限しないことを要請しているため、裁判所は引き続き慎重な姿勢を維持している。全体的な状況が具体的な事案に与える真の影響を証明しなければならない。つまり、主張する状況の変更から生じた契約の大幅な負担となったものが何であるかを証明しなければならない。またもう一つの要件として、「状況の著しい変化により、法外なアンバランスが生じていること、及び両当事者の予想の範囲外であること」が存在しなければならない(2016年10月24日付トレド県裁判所判決及び2019年11月7日付マドリード裁判所判決)。 上述の2020年4月30日付マドリード第一審裁判所判決第60号において、Covid-19パンデミックは予見不可能で、予防的措置を申請した債務者の経済状況に「強烈な」インパクトを与えるものであると宣言されていることは特筆に値するだろう。「強烈な」という用語の使用は、2020年3月14日以降に承認された勅令法その他の法令の結果、個人の移動の制限や企業の一時的閉鎖といった実質的な変更を意味したことを示している。そこでは、当事者の一方が、通常又は通常とは異なったとしてもそこまで大幅に違わないような環境であれば履行することができたであろう契約の重要な部分を履行することができなくなったという状況が存在する。パンデミックは全ての人に同程度の影響を及ぼしたわけではないため、同様にこの「強烈」性の程度の決定は事案に応じて分析されなければならず、たとえそれが不可抗力であったとしても、あらゆる契約関係に同じ結果をもたらす必要はない。おそらく契約関係のほぼ全てが影響を受けるものの、与えられるインパクトが、必要とされる強烈性の程度を全てのケースにおいて満たしているとは限らない。 事情変更の原則の適用にかかる上述の判決及び決定は、約7年の期間をカバーしており、裁判所が契約の変更を以前に比して例外的なものではなく、世界が一般的に経験している不安定さのためにより頻繁に生じる状況の著しい変化に照らして分析すべきものとして検討する傾向を強調している。しかし、事情変更の原則の適用への開放性は、契約合意内容の不変性に対する信頼と、当事者の自由の原則及び当事者自身の行為の原則の信頼をある程度損なうものでなければならない。それは、契約は変更されない、又はほとんど変更されることはないものではないという感覚を与えるかもしれない。したがって、おそらく「予測不可能なことを予見する」又は契約当事者間の関係を法外な形で変更し、契約署名時の状況に大幅に影響を及ぼすような予期せぬ出来事が生じた場合の影響に関する契約条項を新しく設けることを検討すべきだろう。 Covid-19パンデミックによる非常事態宣言が発令される直前に出された2020年3月6日付最高裁判決は、事情変更の原則の適用を可能にするような予期せぬ状況の特徴を以下のように概説している。 a) 契約の変更を引き起こし、結果的に契約の解除を引き起こす可能性のある状況の変更は、契約の目的が果たされないリスクを大幅に増大させるほどの大きさでなければならない。 b) 状況は予測不可能なものでなければならない。契約当事者が、当該状況が生じるリスクを明示的又は黙示的に想定していた場合、または、契約の状況や性質を考慮した場合に当該リスクは合理的に予測可能であるため、当事者が当該リスクを負うべきであると考えられる場合には、予測不可能ではないものと理解される。 c) 予測不可能な状況は長期、通常は継続的な契約において生じる可能性があるが、短期契約(例えば1年)においては生じない。 Covid-19パンデミックの状況は、原則として、特定の契約合意内容の変更を正当化するための根拠として主張ができるが、因果関係の要素が不足しているため、そのような主張は、単に状況が誘発されたことに限定する場合には、支持を得ることはないだろう。具体的な事案に応じて議論を行う必要があり、パンデミックの一般的なインパクトと一方契約当事者の主張及び契約上の義務の履行が困難な状態を生じさせた具体的な影響の間の関係性を示さなければならない。次に、そのような状況が発生した場合、紛争解決のために法的手続きを起こすリスクを軽減のために、結果を予見するための契約式(部分的な契約更新メカニズムや、合理的な損害賠償金を伴う契約の解除といった)を確立することを推奨する。     更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 Eduardo Vilá va@vila.es   2020年6月26日バルセロナにて

COVID-19影響下における年次計算書類の作成・承認及び提出期限

I. 導入部 「非常事態宣言下の法人特別措置(I) (II)」と題する直近の記事では、2020年3月17日付勅令法第8/2020 号第40、43条に定められ、同日から施行されることとなった司法上の法人に適用される特別措置に関して概説したが、3月31日付勅令法第11/2020 号(4月2日施行)にて(1) (3) (4) (6)で概説した措置の一部が修正されることとなった。 5月26日付スペイン勅令法第19/2020号は、COVID-19の影響緩和を目的に、農業、科学、経済、雇用、社会保障、税務の分野での補足的措置を採択したものだが、最終規定第8番目を追加する必要があろう。これは、年次計算書類の作成期間の計算方法、株主総会での承認及び該当商業登記所への提出に関する、既述の勅令法第8/2020号第40条 (3) (6)を置換するものである。 II. 2020年6月5日付法文・公文書管理局決定 法文・公文書管理局は、2020年3月17日付勅令法第8/2020号第40条3項、5項の解釈に関する判断を示した2020年6月5日付決定において、以下の見解を示した。 a) 2020年3月17日付勅令法第8/2020号第40条3項に規定された年次計算書類作成にかかる3ヶ月という期間は、2020年6月1日を開始とし、2020年8月31日に終了するものとする。 b) 2020年3月17日付勅令法第8/2020号第40条5項に規定された、作成年次計算書類の株主総会承認にかかる最長2ヶ月という期間は、2020年10月31日をもって終了する。 c) 商業登記所規則第378条1項に規定される、年次計算書類の提出義務の不履行の結果としての登記簿閉鎖の回避を目的として付与される期間1年間は、2021年5月31日をもって終了する。 III.結論 従って、今年は上記に示した日程に留意し、計算書類の承認期間が2020年10月31日に終了するという意味ではないことを理解した上で、計算書類を提出する必要がある。なぜなら年次計算書類の承認にかかる2ヶ月という減少された期間は、いずれの日付であれ作成された日からカウントが開始されるからである。     更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 Carla Villavicencio va@vila.es   2020年6月19日バルセロナにて

雇用契約を有する取締役:控除対象経費

本稿では、個人所得税申告時において食事手当、交通費、及び維持・生活費として取り扱われる従業員が受け取る諸手当の正当性に関する近時の最高裁判例を検証する。 2020年5月18日付スペイン最高裁判決第429/2020号案件は、ある有限責任会社(S.L.)の出資持分の一部を有する従業員かつ取締役である者が、複数年の個人所得税の申告について会社から支払われた交通費及び維持・生活費に関する追加書類の提出を、税務署から求められたことに発端した。 本件に関しては、2つの争点が生じた。1つ目は、当該費用が実際に存在することの証明責任が誰に生じるのかの決定、2つ目は、立証責任という効果において従業員と取締役が同一人物であるという事実の重要性を明らかにすることに関連する。 上記1つ目の争点について最高裁は、「支払額が課税対象か非課税かの立証責任は納税者に帰属するという原則に基づくものの、2つの関係性が生じることとなる。つまり税務署と納税者を結びつける主たる関係と、税務署と納税者の給与支払者/源泉徴収義務者とを結ぶ付随関係とに分けて明確にしなければならない。後者の関係の性質上、納税者にはない証明手段を給与支払者が持つ場合、管轄当局である税務署は後者に立証責任を負わせるという一般ルールの調整措置に言及する必要があろう。これは、証拠へのアクセシビリティの原則を根拠とする。」との見解を示した。 上記に関連し、最高裁は税務当局に対し、当該費用の証明は従業員ではなく雇用主が実行すべきであるとした。給与支払者/徴収義務者たる雇用主は、当該コンセプトによる支払が、特定の日時・場所での出張費用と一致していることを証明する義務を有しているためである。納税者は、確定申告書に会社が発行した源泉徴収票を添付する義務を負うにとどまる。税務当局がこれでは十分ではないと判断するのであれば、雇用主にこれを通知しなければならない。 本件紛争解決において提起された第二の争点は、給与受領者である者が、給与支払会社の従業員であると同時に、取締役である場合であることに関連する。 当該争点においては、高等裁判所は、税務当局及び第一審判決と一致しない見解を示した。第一審は、本件解決のためには、当事者が会社の取締役であるという事実は、非常に重要な要因であるとした。さらには、給与支払会社の取締役であるという事は、当局が追加提出を要請した全ての書類にアクセス可能であり、従って、適切な注意を持って自身の管理下にあった全ての書類をもって依頼に応じる書類を作成、提供するべきであった、としていた。 最高裁判所は、第一審判決及び税務署は、本案件の当事者に対し、取締役の地位が前述の理由で追加書類提供義務を負うことを警告することせずに、税務当局が状況理解のために必須と判断した補完的情報を求めたとした。つまり、自然人としての納税者に対し請求した上で、取締役であることを理由に法律上要求可能である以上の情報を求めたことを批判したのである。 結果、高等裁判所判決は、単に同一人物が給与支払会社の取締役と従業員を兼任していることを理由に、上記の立証責任に関する一般原則を必然的に変更する義務を否定した。同一人物に前記事情がある場合、例えば、出張費支給の対象となる出張の必要性の判断に、対象者の会社における地位が関係するのか、税務当局の要求の内容等、具体的な事案を検討し、一定の側面を考慮する必要があるとしたのである。 最高裁判所は、税務署に対し、納税者に自然人としての納税義務を課しているにもかかわらず、後から当事者が会社の取締役であることを理由に提供された情報では十分ではないとして、法律が要求するよりも多くの書類提出を義務付けることはできないと明確に結論づけた。   更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 Jaime Madero va@vila.es   2020年6月12日バルセロナにて

会社の役員報酬の配分に関する考察

多くの場合において、会社の取締役の報酬を適切に配分するための方法をどうすべきかの問題が生ずる。 役員報酬に関しては以下の三つの異なる規制に留意する必要がある。 a) 会社の定款 b) 株主総会の承認 c) 取締役会決議 スペイン資本会社法によれば、取締役の役員報酬は、会社定款に定めがない限り、無償とされる。取締役がその職能に対し受領すべき報酬の一もしくは複数の概念によって、報酬システムは決定される。具体的には、当該概念は、以下のうちの1つ以上から構成されることとなる。 a) 固定報酬 b) 取締役会出席に対する日当 c) 利益の分配 d) 参照可能な指標もしくは一般的なパラメータを持つ変動報酬。 e) 株式報酬、または業績に連動したインセンティブ報酬。 f) 解任が取締役の義務違反によるものではないことを条件に、退職金として支給 g) 適切と判断される貯蓄・積立型システム。 すなわち、取締役の職務の有償/無償、及び、取締役会の構成員の受領する報酬額に言及することなく、いかなるコンセプトに基づき報酬が支払われるのかを定めるのである。 続いて、定時株主総会において、全取締役が受領すべき年間報酬総額の上限を決定し、当該金額は、その変更が承認されるまでは有効とする。取締役間における報酬の配分は、株主総会において同意がない限り、取締役自身達の決定によって定められることとなる。取締役会設置会社の場合は、各取締役に帰属する権限及び責任を考慮の上、取締役会にて決定されるとする。 上記は、以下を意味することとなる。 a) 取締役会構成員の人数変更を含む取締役再編の際、(報酬の分配を希望する場合は)株主総会における承認報酬金額と、分配を定めた取締役の決定の両方を見直す必要がある。 b) 取締役会構成員の人数変更がない取締役再編の際、旧報酬分配方法が取締役個人に関連付けられていた場合は、新たな分配合意を要する。 この意味において、2018年2月26日付最高裁判決において設けられた基準を参照すべきである。 当該判決は、法の文言がそれを定めない以上、取締役間で差異を設けるべきではないと結論づけている。結果として、代表取締役も取締役会構成員の一人である以上、株主総会がその報酬について承認をすることを前提に、他の取締役と同額の報酬を受け取るべきであるとした。つまり、経営組織の報酬額の上限は代表取締役の報酬額を含むものであり、いくつかの企業においてこれまでなされていたような、取締役会の承認により株主総会で承認されたものとは別の役員報酬を定める余地はない。 また、役員がどのようなコンセプトで報酬を受けるのかを明確にするため、最高裁は報酬を受ける職能は、審議機能と執行機能の双方であると結論づけた。正確には以下の内容となる。 a) 取締役のみが執行機能の委任を理由に報酬の受領が可能となる。 b) 委任行為は権限の保有を認める余地がないことを示唆するため、執行機能は取締役の役職の固有のものであるとする。 多くの企業が、会社定款では取締役の職務は無償とするのにもかかわらず、同一人物に上級管理職という別の役職を理由に報酬を支給するが当該様式は正しいとは言えない。それどころか、当該報酬は会社の税務上、重大な問題を引き起こしかねない。 報酬を受領する取締役にとって、理想的な条件は以下のようなものとなる。 a) 取締役は自営業者として社会保険登録がされている b) 取締役の報酬について定款に定めがある c) 株主総会は役員報酬総額について承認をしている d) 株主総会によって承認された役員報酬額の分配について経営組織(取締役会)の決定が存在する e)役員に選任される前に上級管理職としての雇用関係(それが存在する場合)は、ケースに応じて一時停止または解消される。上記を損なうことなく、判例よると、一般の雇用関係による勤続期間の継続は認められている。しかしながらマネジメント機能とは明確に区別されなければならない 上記のいずれかの条件を満たさない場合、会社にとって重大な結果をもたらすことになりかねないため、社内でイレギュラーな状態を把握した場合には、速やかに状況を改善することを推奨する。   更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 Andreas Terán va@vila.es   2020年6月5日バルセロナにて

株主総会及び取締役会の オンライン開催

スペイン資本会社法に定める一般原則では、会社の業務執行機関の会議、もしくは社員/株主の会議は、構成員または代理人の出席によって開催される、としている。しかし「出席」という用語は、明示的には示さずとも、物理的な出席を意図するように推測される。 上記は、会社資本法第182条が例外的に株式会社及び株主総会の場合に言及し、出席者の身元が保証可能であることを条件に、株主が電磁的方法を用いての(具体的手段の明示なく)株主総会への出席を承認していることからも確認できる。加えて、法律は上記方法による出席が、会社の定款に規定されていることを要求する。株式会社の条件や制限を考慮すると、立法者は当該条文を例外措置として規定したと理解すべきである。ある株主がオンライン参加することは、株主総会への物理的な出席のメリットを損なうものではない。当該措置は、健全な総会運営のためにより多くの株主の出席が必須であるにもかかわらず、出席不可能な株主が多数存在する会社をサポートすることを目的としている。純粋には第182条の条文は、株主総会のオンライン開催を定めるのではなく、従来の株主総会への株主のオンライン参加を規定している。 他方会社資本法には、取締役会開催に関し同様の方式についての言及はないが、このような空白の存在のために、規制のための条文の制定の実現可能性を考える必要がある。 スペイン資本会社法が制定された2010年当時の通信・遠隔接続の状況を考慮すると、このような立法の柔弱さは、時代錯誤であるとも言えよう。どこにいても接続可能となった今日、この問題が会社資本法の歴代の改正で採択されなかったのは驚くべきことである。パラドックスではあるが、会社資本法第173条は、株主総会の招集通知を会社のホームページに掲載することで総会を開催可能とすると定めている。そのため、会社経営の利益を考慮する上で是正すべきこの分野には、一定の不均衡が存在することとなる。 社員/株主総会及び取締役会も含む業務執行機関会議の分散的・電磁的開催についての法制定を支持する理由は多くある。第一に、法律には当該方法による開催可能性についての言及はないため公式にではないが、会社は長年に渡りビデオ会議によって取締役会を開催してきたことを実務は示している。電磁的方法での株主総会開催を可能とすれば、旅費の削減、スケジュールの柔軟化を可能とし、社員/株主(及び役員)の積極的な参加を促進する。上記は、一般原則としての会議開催はバーチャルであるべきであると規定するのではない。しかしこのような技術上の解決は、結果として会議開催を容易にする様々な可能性を提供し、会社にとって明白な利益となる。 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに関連し、2020年3月14日に公布された非常事態宣言関連の政府が発表した措置の1つは、自宅での隔離である。当該措置を含む勅令は、年次会計書類作成のための取締役会や、計算書類の承認や重要な決議のための株主/社員総会が多く開催される時期に制定された。自宅隔離の強制は、これらの機関、特に取締役会の開催の多くに麻痺状態を生じさせたことにより、緊急の措置を講じる必要があった。そこで、3月17日の勅令第8/2020号において(当該記事を執筆時点では、施行中となる)、会社の定款には明示的な記載はなくとも、非常事態宣言発令中は、取締役会や株主総会のオンライン開催(複数の電話会議若しくはビデオ会議による)が認められることとなった。この場合、オンライン会議開催は原則に対する例外ではなく、むしろ非常事態宣言下であることにより、当該状態継続中に開催される会議に関しては、当該開催方法が既定のフォーミュラとなった。 オンライン会議開催のためには、どのような要件を満たすべきか? (a) 技術的な手段としては、テレビ会議または複数の電話会議であること (b) 出席者全員が会議出席のために必要な技術的手段を持っていること。 (c) 書記役は、出席者全員の身元を確認しなければならない (d) 書記役は、総会もしくは会議が終了後即時、議事録を参加者に送付しなければならない いかなる場合も、オンライン上で開催された総会もしくは会議は、会社の登記本店住所で開催されたものとみなされる。 立法者は、応急措置として生み出された故に、当該適用は非常事態宣言発令中に限定され、暫定的なものであることを宣言する。「スペインにおいて恒久、唯一のものは、暫定的なものである」という表現は、通常、即興の否定的な意味合いを有するが、最終的に当該措置が会社関連の規制に適切に組み込まれることとなれば、この機会に望ましい効果をもたらす可能性がある。当該フォーミュラは概念的に有効且つ時代に則した措置であり、特に取締役会に関して言えば、執行機関のより良い組織化に貢献する。会社資本法第245条は、少なくとも四半期ごとに1回の取締役会開催を義務付けるが、世界各地に散在する役員の現実とは実務的には相容れない。電磁的方法での会議開催は当該状況に解決策を与え、さらに、取締役会を物理的に開催せずに議事録が作成される状態にも解決策を与える。これは現実と法の調和、及び厄介な問題からの解放を意味する。 勅令法第8/2020号第40条の条文が少し唐突であるため、当該措置の実行時に現場にて疑問や問題が生じていることにも言及すべきであろう。疑問の一つは、出席者の身元確認のシステムにあり、特に取締役会では非常に重要な機密事項が議論、決定されるために特別な配慮を要する。第三者によるなりすましや不正な介入は、深刻な結果を招く可能性がある。このようなリスクと不確実性が存在するために、顔認証や、取締役会の出席者が個別に強要なしに出席していることの合理的な検証が物理的に不可能な、電話による多人数会議の実施は好ましくないと考える。株主総会または取締役会の書記役に法により課せられた任務遂行は、不可能もしくは非常に困難である。特に、株主間及び会社役員間の関係が良好でない場合、不正行為が適時に発見された場合、会議自体が無効になったり、開催が無効と判断されたりする。 もう一つの疑問は、このバーチャルな取締役会開催形式が、業務執行機関にも適用されるのか、それとも取締役会にのみ限定されるのかということがある。 また、取締役会での守秘義務の確保についての懸念が存在する。バーチャル会議への無許可な第三者の受動的な介入は、経営戦略計画や企業秘密などの機密情報や専有情報の漏洩につながる可能性がある。会議中の第三者による不要な介入(「ハッキング」)のリスクを減らすために、セキュリティ対策は必須となる。法律は、出席者特定の重要性を説くが、会議開催のセキュリティについては言及がない。 バーチャルシステムでは、上記リスク軽減若しくは排除のために、デジタル署名認証を利用して、株主総会または取締役への安全なアクセスゲートウェイの使用を義務付けるなど、一定の技術的サポートを要する。これは、出席者特定義務における、立法者が規定する書記役の過剰な責任の一部を軽減するものとなろう。しかし当該権限の遂行の際の、デューデリジェンスの基準はどこにあるのかという疑問も生ずる。 議事録の送付についても同様のことが言える。勅令法第8/2020号は、書記役が会議終了後直ちに各出席者に電子メールで議事録を送付することに言及する。内容暗号化の必要性を確認するか、もしくは暗号化及び制限されたアクセス方法で、社員/株主が会社のウェブサイト上にて議事録の内容を参照できるようにすることが望ましい。 最後に、取締役会及び株主総会をオンライン開催する方式が最終的に会社法制化されるのであれば、出席者の身元、自発的且つ個人的な参加、および自由意志を最大限いかした権利行使の条件に特に留意し、合理的な安全性と機密性を提供することを目的とした技術的支援やパラメータを伴う必要がある。その逆は、不正行為や紛争につながり、この解決策によって得られることを意図した利益とは逆の効果をもたらす可能性がある。     更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 Eduardo Vilá va@vila.es   2020年5月29日バルセロナにて

非常事態宣言下の労働関連特別措置 (II) – 一部ERTE –

2020年5月13日付官報にて、2020年5月12日付スペイン勅令法第18/2020号「雇用保護のための社会的措置」が公布された。2020年3月17日付スペイン勅令法第8/2020号の施行から数週間が経過し、段階的に経済を再活性化する必要を受け、この新しい勅令法は、段階的規制緩和の展望及び経済活動の段階的な再開を考慮し、企業が「新しい日常」に移行すること、雇用を維持すること、そして、労働者を保護することができるようにするために必要なダイナミックな適合ができるようにするための、一連の措置を提供することを目的としている。 本勅令法によって、主に以下の措置が導入される。 不可抗力期間の延長 本勅令法の施行日(公布日と同日)以降、(i) 先の勅令法第8/2020号第22条に基づきERTE手続きを行っている企業で、かつ、(ii)当該規則で定められている原因により事業を再開することができない企業は、2020年6月30日までCOVID-19による不可抗力の状態が継続する。 一部ERTE及び従業員の再稼働義務 先の勅令法第8/2020号第22条に基づきERTE手続きを行っている企業は、当該規則で定められて原因下においてその事業を部分的に回復することができるようになった時点以降、2020年6月30日まで、一部不可抗力状態にあるものとみなされる(一部ERTE)。このような企業は、その企業活動のために必要な方法で、勤務時間の短縮による調整等を優先しながら、ERTEの影響を受けている従業員を再稼働させ始めなければならない。 ERTEを一部ERTEに移行するには、企業は労務管轄機関に対し、承認済みERTEの全部または一部についての放棄を当該放棄の効力日から15日以内に届け出なければならない。また、企業はスペイン公共雇用サービス機関(SEPE)に対して、ERTEの影響を受けている従業員の一部または全部についてのERTEの適用終了にかかる変更届を提出しなければならない。この場合、適用が終わる人数または各自の勤務時間に対する部分的勤務のパーセンテージを伝えなければならない。 種類の変更 企業がERTEの種類を不可抗力によるERTEから、一部ERTEではなく、客観的(経済的、技術的、組織的または生産的)理由に基づくERTEへと変更をしなければならない場合には、当該企業は不可抗力によるERTEが有効であるうちに手続きを開始することができる。客観的理由に基づくERTEが不可抗力によるERTEの終了後に始まる場合、客観的理由によるERTEの発効日は不可抗力によるERTEの終了日に遡及する。これにより、二つの別のERTE手続きが継続することになる。 社会保険料に関する特別措置 事業再開できずにERTEが継続する企業については、2020年2月29日時点での従業員数が50人未満の場合には5月及び6月の会社負担分の社会保険料の全額が、従業員数が50人以上の場合には75%が免除される。 ERTEを一部ERTEに移行する企業については、以下のパーセンテージ及び条件にて会社負担分社会保険料が減免される。 a) 勤務を再開する従業員について 従業員数が50人未満の企業については、5月は85%、6月は70% 従業員数が50人以上の企業については、5月は60%、6月は45% b) 勤務を継続する従業員について 従業員数が50人未満の企業については、5月は60%、6月は45% 従業員数が50人以上の企業については、5月は45%、6月は30%   おすすめの記事: 非常事態宣言下の 労働関連特別措置 (I)     更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 露木美加 va@vila.es   2020年5月22日バルセロナにて  

インフルエンサーとの契約留意事項

ブランドのサイズにかかわらず、現在のマーケティング戦略の潮流の一つに、インフルエンサーマーケティングがある。しかしながら、現状ではインフルエンサーとの契約に対する業界の配慮が欠けている。 ブランドが、スポーツ選手、歌手、モデルといった著名人を使用し、より影響力のある広告を介して商品を大衆に届かせようとすることは何ら目新しい事ではないが、現在の傾向は、さほど有名でなない顔を好む傾向があり、それでも以前と同様に効果を生んでいる。 しかしながら、当該関係の中で忘れられがちなのは、契約の存在である。 インフルエンサー達は、広告上のエンゲージメント観点から疑いなく重要な媒体である。彼らはアドバイス、生活スタイルや生活習慣を提供することにより全ての消費者グループのプロファイルを動かすことができる。しかし企業間の関係ではないため、最低限の成功保証を得るための両当事者のコミットメントを書面に規定する事は、重要視されていない。 広告パートナーシップ契約時の重要な留意点は、以下となる。 条件及び価格 広告の目的・内容をできる限り詳細に記載し、その結果、金銭かその他の方法であるかは 別として、受領すべき対価を明確にする必要がある。 画像の著作権 インフルエンサーとの契約におけるブランド画像の著作権の譲渡は、最も重要な留意点の一つとなる。期間を限定する必要があり、使用回数に関しても制限される場合がある。このような制限は、インフルエンサーとの関係性に非常に重要な側面となる。長期にわたるブランド画像の使用権の付与は、明らかに、契約報酬とは不均衡なブランドの利益が発生することとなる。契約書に無期限と記載のあることが多いブランド画像の使用権の付与は、乱用的である。 当該見解は何年か前にスペイン最高裁判所判決内で明言されている。使用権の付与は、常に取消し可能な同意であり、無期限に付与されると理解することはできないとみなしている。故に、ケースに即して期間が限定される必要があり、その場合でも、当事者は同意を取消す権利を失わないとした。しかしながら、当該ケースでは、一定の損害が発生する可能性がある。 参照すべき記事[SNS上で取得画像の無断公開について] 法令遵守 インフルエンサーとの契約においては、広告契約の締結の際と同様、広告業基本法、情報社会サービス及び電子商取引法等の法令を遵守しなければならない。 上記は、偽装、不当広告に陥らないために、特定の実用的な義務を伴う。特に、ここで取り扱うインフルエンサーは、情報発信時に、その情報が広告コンテンツであることをコンテンツ/出版物の中に明確な痕跡を残す必要がある。これは例えば、#ad、#advertising、#advertising というのハッシュタグを加えるだけの簡単な行為で事足りる。にもかかわらず、多くのユーザーはこの義務の履行を忘れ、その場合管轄官庁から最大3万ユーロの罰金を科せられる可能性がある。 同様に、広告協会の自主監視機関に関するブランドの義務を忘れてはならない。例えインフルエンサーとの契約を通じてであっても、すべての広告キャンペーンにおいて、広告協会団体が発行する規制に従う義務がある。 知的財産権 ここでは、コンテンツに関する権利に言及する。広告目的に作成されたコンテンツの権利の所有者が誰となるのかを明確にすることが重要となる。つまり、コンテンツがブランドに帰属する(TVCM撮影の場合と同様に、出演者はCMコンテンツの権利を保持しない)場合と、インフルエンサーに帰属する場合がある。しかし、現在では、コンテンツの露出や再生をコントロールするのはインフルエンサーであり、コンテンツの所有権はインフルエンサーにあるのが一般的とされている。 データ保護 最も物議を醸している別の側面は、広告の一環としてのプレゼント等の抽選の開催時に、規制を守らずに参加者からデータを収集しているケースである。データ保護規則を遵守するためには、該当する会社がデータを処理・使用することを事前に必ず対象者に知らせなければならないことを念頭に置いておく必要がある。これには、各案件と使用するプラットフォームに合わせた通知を作成する必要がある。サイト経由で定期購読を義務付ける文例を選択するのとは、少し異なる。 結論  多くの場合、パートナーシップの報酬もしくはブランドが得る利益は比例して低い。しかしながらそこから生じる結果は非常に重要となり得る。疑問が生じた場合には、保証のためにも適切なアドバイスを受けることを忘れてはならない。また契約書はできる限り書面にすべきである。そうすることで、将来的な誤認識の回避が可能となり、確固とした根拠を持って異議を申し立てることが可能となる。     更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 Andreas Terán va@vila.es   2020年5月15日 バルセロナにて

非常事態宣言下の法人特別措置 (III)

I. 導入部 「非常事態宣言下の法人特別措置 (I) (II)」と題する直近の記事では、2020年3月17日付勅令法第8/2020 号第40、43条に定められ、同日から施行されることとなった司法上の法人に適用される特別措置に関して概説したが、3月31日付勅令法第11/2020 号(4月2日施行)にて(1) (3) (4) (6)で概説した措置の一部が修正されることとなった。 上記勅令法にて言及されなかった問題の一つに、会社のカンパニーブックの合法化手続きに関連して上記措置が与えるインパクトがある。 II. 法的枠組み 事業主が会計、その他の事項に関する特定のカンパニーブックを提出する義務はスペイン商法第25、26条に規定されている。 カンパニーブックの電子的方法による提出は、商法第27条3項、商業登記規則及び第333条2、3項、及び企業家及びその国際支援に関する2013年9月27日付法第14号第18条1項を適用するための2015年2月12日付 法文・公文書管理局 (公証・登記局より改称) 発行のカンパニーブック合法化手続きに関する指示によると、事業年度の終了日の翌日から4ヶ月以内に義務付けられている。 スペインの大多数の企業では、2020年4月30日に当該4ヶ月の期限が終了したこととなった。 III. 2020年4月10日付法文・公文書管理局決定 しかしながら、法文・公文書管理局は2020年4月10日付決定において、COVID-19の経済的・社会的影響に対処するための緊急臨時措置を定めた2020年3月17日付勅令法第8/2020号第40条規定とカンパニーブック合法化手続きに関連し、その影響に関する判断の中で、2020年3月17日付勅令法第8/2020号第40条3 項に規定されている年次計算書類の作成期限の停止は、ここに明示的に言及されてなくとも、カンパニーブック提出義務にも適用されると理解されるべきである、との見解を明確にしている。 法文・公文書管理局は上記決定の根拠を、以下のように説明した。 年次計算書類の作成義務とカンパニーブックの合法化義務の期限は法律ではリンクされていないが、前者及び後者の期限は会計年度末を基準としており、計算書類が作成された後、カンパニーブックが合法化のために作成されるという非常に密接な関係にある。 当該カンパニーブックが、決算日における会社の会計状況を反映していることを考慮すると、当該合法化の期限及び年次計算書類の作成期限を関連づけるのは論理的であるといえよう。上記を鑑みて、計算書類の作成期限が延長され、それに沿って義務とされているカンパニーブックが作成されると理解することは、本合法化を要求する本質的な理由に叶う意味を持つ。 IV. 結論 結果として、本非常事態宣言解除後(現時点では、非常事態宣言下にある)には、以下の要因を考慮する必要があろう。 a) 2020年3月14日時点にて、既に計算書類の作成期限が経過していた会社:該当する会社は非常事態宣言による手続き停止の影響を受けず、よってカンパニーブック合法化義務に関する一般的な規則が適用される。 b) 会社の決算日が非常事態宣言解除後(解除確定した時点)である場合は、一般的な規則に従ってカンパニーブック合法化を行う義務を有する。 c) 2020年3月14日時点にて、計算書類作成期限が終了していない(スペインの大多数の会社がこれに準ず)会社は、非常事態宣言解除後4ヶ月以内にカンパニーブックの合法化申請を行うことを可能とする。 前記のいずれも、いまだ非常事態宣言下にあるとしても、すでに正当に用意したカンパニーブックの適切な合法化を意図としている会社の行為を妨げるものではないことをここに注記する。   Carla Villavicencioが作成しました。   更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 Vilá Abogados va@vila.es   2020年5月8日 バルセロナにて

株主間契約による法的取引への拘束力

本稿では、2020年2月20日付スペイン最高裁判所判決にて争点となった、株主間契約の到達点と限界に関する分析を行う。 第一に、具体的案件を検証する前に、株主間契約とは何かを明確にする必要があろう。高等裁判所の判例を参照すると、株主間契約とは、複数の株主が、法律や定款に特別に規定された条項を使用せずに、会社の法的関係側面におけるつながりを強制的に規制することを意図とした契約であると定義できよう。 当該契約の有効性に関し、1951年7月17日付にて公布された株式会社法に、株主間の内密合意を無効と規定していたのとは異なり、現行のスペイン資本会社法第29条は、「株主間で内密にされている契約は、会社に対して強制力を持たないものとする」としており、無効とはみなされておらず、適切に告示されていない場合には、強制力を有しないという注意書き付きで今日には容認されている。 その有効性と限界につき、判例は、当事者の自律的な意思を尊重している限り有効であると追記している。2012年10月23日付最高裁判所判決第616/2012号は、当該契約は会社の定款や株主総会決議に依らず、スペイン民法第1255条「契約当事者は、法律、道徳、公序良俗に反しないことを条件に、適切と思われる合意、条項、条件を設定することができる」という契約の制限に従うことを明らかにしている。 問題はこのプロトコルが、定款に則っていない、あるいは定款に実装されていない、若しくは公表されていない場合に発生し、上記判決で検討されたケースでは、株主間契約に含まれていた株式の譲渡可能性の制限が定款には含まれていない場合に発生した。 当該観点に関し、以前の判決及び本最高裁判決は、株主間契約を違法とみなすには、それ自体が株主総会決議に反するだけではなく、同時に法律、定款に違反している、もしくは、会社の一株主もしくは複数の株主や第三者の利益を害していることが必要となるとの判断を示した。 係争案件において原告は、株主総会決議だけではなく、一連の法的取引(一部の株主による株式のスワップ、売買、贈与)に異議を唱えようとした。異なる株主間における常に同割合での株式保有をグループ会社内で義務付けた、株式の自由譲渡を制限するメカニズムを通じて、創業家株主達が死亡した際にグループ会社の秩序ある承継を目的として数十年前に締結した株主間契約に、被告が反しているというのが原告の論拠であった。 スペイン資本会社法第207条規定にあるように、持分(有限)会社に関し、会社出資持分の譲渡制限を会社定款に記載する事を可能とする法規範は確かに存在する。しかしながら、株主間契約に規定されていた条件には、当該制限には限度がなく、株式の特定分配を恒久的に維持する事を意図していたことと理解すべきである。 上記を踏まえた上で、最高裁は、上記に説明したような無期限且つ恒久的な制限は特定の法規範(資本会社法第107条)に違反するだけではなく、契約の自由、個人の自由、及び財産処分の自由等の社会通念の法的性質の基本原則に違反することになるとして、その適用を拒否する立場を明確にしている。   更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。 Jaime Madero va@vila.es   2020年4月30日バルセロナにて