I.     2012年3月21日最高裁判所判決

2012年3月21日付最高裁判所判決は、継続的供給契約から生じる債権の区分の基準を定めた。

本案件において、電力会社は破産状態となった会社への供給契約を解除することを要求していた。当時点において破産会社は、破産手続き開始決定以前に生じた債務を負っていた。電力会社は破産会社に対し、電力供給を停止する旨通知した。しかしながら、商事裁判所は、破産会社の事業継続のために契約は継続すべきであるとし、電力会社に電力の供給を停止しないよう求めた。電力会社は商事裁判所に対し、契約の解除を行なうか、または、代替手段として、契約の継続をし、破産手続き開始決定以前及び以後に生じた債権について共益債権とすることを求めた。

商事裁判所裁判官は、供給契約の有効性を示したうえで、破産手続き開始決定以前に生じた債権については破産債権として理解されるべきであり、それ以後に生じた債権についてのみ共益債権と考えるべきであると示した。

ムルシア地方裁判所が本判決を再確認した。

しかしながら、最高裁は地裁の判決を破棄し、以下の判決を言い渡した。

A) 電力供給契約は継続的供給契約と理解されるべきである。

B) 破産手続き開始決定以前または以後に生じた債権は、上述の電力供給契約の性質から、共益債権とみなされるべきである。 

本判決の理由は以下のとおりである。

1)    電力供給会社は契約の解除を要求しているが、被告は、契約解除の法的根拠が存在しているにもかかわらず、供給の維持が必要であると考えている。

2)    継続的契約の解除権は、破産手続き開始決定以前に債務不履行が発生した場合、すなわち、本件のような場合に実行することができる。しかしながら、本件においては、当該請求は却下されるべきである。

3)    破産法(Ley Concursal)第62.3条は、たとえ解除原因がある場合であっても、裁判官は、会社再生のために、破産会社が支払うべき債権を共益債権としたうえで、契約の継続を命ずることができるとしている。破産会社がその事業を継続していけるようにするために、契約の継続を命ずる。

4)    破産法第84.2条を見ると、破産手続き開始決定以後も有効に続く未払い債務がある契約で、破産会社の負担で給付されるべき債権は、共益債権とみなされるべきである。

5)    潜在的破産債権(破産手続き開始決定以前に生じた債権)は、やむを得ない理由により有効な契約を維持することを理由に共益債権に変わり、原告から契約解除権を奪うという意味で、破産会社の機能を維持するために原告に求められる犠牲といえる。 


II. 結論

したがって、 本判決は、破産手続き開始決定以前に生じた電気料金債権も、当該決定以後に生じた債権も、共益債権とすべきであるとの命令で終えている。

共益債権は一般破産債権よりも弁済を受ける可能性が高いことは確かであるが、債権が共益債権に区分されたからといって、弁済が保証されるものではないという意味で、本案件の勝訴は実際のところ、現時点ではさほど意味をなさないであろうことは留意されたい。 


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エドアルド・ヴィラvila@vila.es

2012年7月5日