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企業の非財務情報開示義務

2014年10月22日付欧州議会・欧州理事会指令2014/95 /EUは、それまでのEU指令2013/34 /EUを修正するもので、特定の大規模事業・グループ会社に対し、非財務情報及び多様性に関する情報の開示義務を課すものである。本修正の目的は「持続可能性へのリスクを確認し、投資家、消費者および社会全般の信頼を高める」ことであった。 上記をふまえ、年次コーポレートガバナンス報告書の内容は、以下を含むように拡大された。 年齢、性別、障害、トレーニング、職務経験に関連する多様性政策の開示。 非財務情報又は環境、社会、雇用問題、人権及び汚職対策に関する企業の社会的責任に関連する情報開示。 後者の内容には、企業、サプライチェーンあるいは下請け企業(必要に応じて)によって適用されるデューデリジェンス手続きに関する情報と、リスクの識別・評価・検証及び管理のための措置およびその適用方法が含まれていなければならない。 上記の情報提供にあたって、企業は以下の枠組みに基づかなければならない。 国内法の枠組み 環境管理監査制度(EMAS: Eco-Management and Audit Scheme) のようなEU法の枠組み 以下に挙げるような国際法の枠組み a) 国際連合ビジネスと人権に関する指導原則 b) 経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針 c) 国際標準化機構(ISO)発行のISO26000:組織の社会的責任に関する国際規格 d) 国際労働機関(ILO)による、多国籍の企業及び社会政策に関する原則の三者宣言 e) GRIによって策定されるサステナビリティ報告書のガイドライン f) その他 商法、資本会社法及び会計監査法を改正した2017年11月24日付勅令第18/2017号によって、非財務情報・多様性情報開示に関するEU指令はスペイン法に組み込まれることとなった。資本会社の新しい義務は以下のとおりである。 以下に該当する全ての資本会社は、企業の多様性に関する指針および、非財務情報に関する指針を開示しなければならない。 会計監査法に基づき公益団体とみなされる法人。つまり、 a) 証券取引市場での取引が認められている有価証券の発行体、信用機関および監督及び管理下に置かれている保険会社 b) 公的重要性、事業体の規模、従業員数の観点から法令に従って決定される事業体。 c) 親会社が上記a)およびb)に属するグループ会社 上記 のみではなく、以下の条件も満たす場合 a) 1事業年度中の平均従業員数が500名を超える場合 b) 2事業年度連続で以下に挙げる条件を満たしている場合。 i. 資産項目の合計が2千万ユーロを越えている場合 ii. 年間売上高の純額が4千万ユーロを越えている場合 iii.1事業年度中の平均従業員数が250名を超える場合 商法第49条第6項によると、非財務情報には「グループの進化、成果、状況を理解するために必要な情報、少なくとも環境問題及び社会、雇用、人権、汚職対策に関連する活動の影響」を含まねばならない。加えて、以下のものも含める必要がある。 グループの経営モデルの概要 上記商法第49条第6項の問題に関してグループが適用する方針の説明 適用された方針の結果 グループの活動に関連して商法第49条第6項の問題の主要なリスク、必要な場合は、それらの分野においてネガティブな影響を与える可能性があるビジネス関係、製品あるいはサービスについて。かつ、どのようにグループが本リスク管理をするのか 特定の企業活動に関する非財務指標   企業が前述の観点で予見された問題に対していずれの方針も適用しない場合、本件に関し明確で釈明可能な説明を提供しなければならない。 Pedro Blanco より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es 2018年1月12日

スペインにおけるドローン飛行の新規制

世界的ブームを巻き起こしているドローン業界は昨今、その使用方法とセキュリティーに関する規制を必要としている。 問題は規制が業界の成長スピードについていけていないことにある。過去3年の間にドローン関係の会社が3000社も設立されたことにより、これまで施行されていた無人航空機(ドローン)の使用に関するスペイン法第18/2014号は、安全な法的環境の下でのドローン市場の発展促進を目的とした一時的な性格を持つものであったことから、時代遅れになってしまった。 現行の規定は、ドローンを飛行させるための必要条件を最低限に定めていたが、過去数カ月の間ドローン業界が提起してきた潜在的な活動の蓋然性をカバーしていなかった。 そこで、スペイン政府は去る2017年12月15日、この新興の経済活動のさらなる躍進を助けるために現行の法的枠組みを修正する勅令を可決した。同時に、ドローンを用いた活動が安全に実施されるための対策を取り決めた。 新規制の他の対策の中には、ドローンの利用者が今まで許可されていなかった区域での安全な飛行を遂行するための必要要件を規定したものがある。例えば、建物付近、屋外の人が集まる催し物、及び夜間飛行中の航空機の上空飛行がこれにあたる。しかしながら、この種の飛行を行うためには、他の要件に加えて、安全飛行調査を行い、且つスペイン航空安全局(AESA)に前もって承認をうける必要がある。 管制空域における飛行も可能になったが、その際、個人及び団体のトレーニング経験の要件、航空交通サービス提供者とコーディネイトした航空安全性調査及びAESAの事前承認を遵守する必要がある。 他方で、ドローンの製造会社が遵守しなければならないデザイン、製造、メインテナンスに関する側面及び訓練に関して遵守しなければならない要件が特定された。これらの要件は、他の欧州諸国に存在する規制の枠組みと同等の条件になるよう規定された。 当該勅令は、更に、ドローン飛行の娯楽使用に関する対策を含んでいる。航空空域及び市民の安全性の保証を目的に一連の制限を規定した。 新勅令で規定された要件はAESAの監督・管理下におかれることとなり、遵守しない場合は、2003年7月7日に施行された航空安全法の規定に基づき民間航空機の分野における行政罰の対象となった。   付随条項 これに加えて、新規制は公共の安全に関しドローンの飛行にも関わる特別の配慮を与えており、以下のような一連の付随条項を組み込んでいる。 人口過密部及び都市部の上空を飛行する予定の者は、内務省の事前承認が必要である。 公共の安全を理由に、管轄当局は実施される活動に応じて、ドローン飛行を制限することができる。   Hugo Ester より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年1月5日

ブロックチェーンとスマートコントラクト

技術の進歩とそれがビジネスや社会へ適応していくリズムは、立法者が法制度の枠組みを制定するよりも早い速度で進んでいることは明らかである。仮装通貨の管理および仮想通貨に深く関わる「ブロックチェーン」は、そのような状況を表す二つの明確な例である。 ブロックチェーン(分散型ネットワーク)システムは、膨大な量のデータベースを管理するコンピュータネットワークによって生成される信頼および合意に基づいている。 ブロックチェーンは誰にでも開かれているパブリック型の場合もあれば、特定の人物にのみアクセスが限定されるクローズド型の場合もある。いずれにせよ、本システムの特質は、一元的管理者によってコントロールされているのではなく、接続されたすべてのコンピュータはシステム管理に同等に参加する、その非中央集権化にある。本システムは全てのユーザー間で、互換可能なコミュニケーション言語を使用する共通のソフトウェアによって管理される。 オペレーションシステムは暗号化、あるいはアルゴリズムの使用によって保護されている。この使用によりデータの改ざんを妨ぐことができ、ブロックチェーン内において妨害的あるいは不正確な情報が存在しないことを保証する。データベースには、ユーザーが各自実行する取引や登録情報が蓄積され、常に横断的かつ非階層的な変更および拡張にさらされている。同じシステムに接続された全てのコンピュータに共通した手順規定書(プロトコル)が、ブロックチェーン内で実行される取引の不可逆性、ひいては理論上の不可侵性を確立する。 データベースに保管されるブロック台帳は連続的に繋がり合い、仲介がなく、かつ、暗号化されていることに伴い改ざん不可能な条件を持つことにより、本システムは取引を検証する仲介者を要せず、ひいては、法制度上およびビジネス制度上、重要な結果をもたらすことになる。 なぜブロックチェーンの重要性がこんなにも謳われるのか?マス市場におけるブロックチェーンの使用によるダイレクトな結果のひとつは、多様な商取引分野における仲介者の消滅であろう。例えば、金融取引においてブロックチェーンを共有することによって、個人の間で直接支払い、受領が行われるようになると次の二つの事象が起こることが推測される。第一に、支払者の口座に資金があるかどうかを検証する仲介者が排除されること。次に、本取引がほぼ即時に成立するようになること。これは、SWIFT送金の終了さらにはクレジットカードによる支払仲介の終了を意味する。同様のことが信用取引にも言えよう。システムの敏捷性が従来とは異なる業者がこのような取引に参加することを可能にし、従来の金融機関と競合することができるようになるからである。したがって、銀行業界では伝統的なビジネスに並行して、ブロックチェーンをビジネス手段として活用している新しい業者と競い合うために、新しいブランドの立ち上げが待望されている。 ブロックチェーンのアプリケーションの一つに「スマートコントラクト」がある。これは一連の明確に定義された要因が満たされること(以下「条件」という。)で結果が生成されることにより、自動的な実行を可能とする当事者間のデジタル契約のことである。具体的なサービス契約をしたい等の特定のデータをアプリケーションに導入すると、アプリケーションシステムには契約者によって託された条件が登録され、契約者が同意したデータを使用して契約を実行する。一定の条件が発生するとシステムは、合意された内容を実行した結果である処理を自動的に実行するものとする。そこには、賠償金や和解金の支払いなども含まれるだろう。しかし、IT技術者には一見単純に見えることが、当事者間契約の状況や事実関係が曖昧である場合やシステムに導入された確立された要因が正確に一致しない場合などには、法的問題を生じさせることがある。例えば、小包の遅配は賠償の支払いに値するかもしれないが、遅れの理由が明確でない場合や運送会社に明確な非がない場合にも、賠償金を一律に払う必要があるのか、という疑問が生じる。コンピュータシステムはこの場合、たとえ法的に不公平だとしても、一律に実行する事になるであろう。 スマートコントラクトは、契約当事者の意思形成及び意思表示の場面において技術的な第三者の介在を許可することを意味する。我々はこれを、契約者が拘束力を持つ媒体として受け入れ合意した意志をコンピュータコード形式で明示した「デジタル」表現と呼ぶことができよう。コンピュータプログラムは、契約両当事者によって供給されたデータによって成立し、各当事者が合意に達した内容を与える仲介人として機能し、自動的に契約を実行する。しかし、システムが作動するには、法律用語をコンピュータ言語に正確に置き換えなければならず、契約実行システムのコンピュータ化あるいはロボット化は契約当事者の本来の意思の調節を促し、コンピュータ言語の欠如のために、偏向化あるいは単純化を招きかねない。両言語の間には非常に大きなズレが存在することは、すでに周知の通りである。 契約条項のシステム化とは別に、スマートコントラクトは、契約書を法的に特徴付ける最低限の要件である、目的、合意及び原因を持たなければならない。 分散化されたシステムは、契約の目的という点で法律問題の原因になりうる。しかし、少なくとも比較的単純な取引においては、システム自身が、契約目的が合法的なビシネスに属するか否かどうかを特定する能力があると考えるのが理論的である。 他方、スマートコントラクトにおいて停止条件あるいは解除条件は有効かという疑問がある。その答えはNO であるべきである。誰がシステムを管理しているのか、また、契約両当事者が裁判管轄に関する合意を交わしていない場合の裁判管轄はどうなるのか、という疑問は残る。 なりすまし詐欺を避けるために契約両当事者の本人確認の必要性、あるいは、取引に登録されたデータの実証の必要性といった、別の問題も生じている。並行して、コンピュータ間の契約、つまり取引成立に人の介入を要しない契約の場合の法的有効性の問題がある。法的安全性の観点において、とりわけスマートコントラクトがパブリック型ブロックチェーン内で使用される場合に、非常に重要な問題である。これらの問題に対する解決策は、登録データをフィルターに通し、本登録データが変更不可能なステータスを得る前に真性かどうかの検証を可能にするアプリケーションの開発といった技術革新の中にこそ存在する。 スマートコントラクトを商取引に使用する先行事例は存在するが、将来的に大量使用されることでシステムの欠陥が露見した際に、市場の参加者がこの種の契約形態を信頼できるよう、技術リソースの調整が求められることとなるだろう。 また、適切に処理され分析された何百万ものデータの蓄積を持つスマートコントラクトのシステムそのものが、人工知能によって生み出された分析システムに則り判断する、契約当事者に認められたデジタル仲裁人のもと、特定の契約上の紛争をロボット化された形式で解決する未来へと我々を導いていく可能性を、否定することはできない。 Eduardo Vilá より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年12月22日

選択的ディストリビューション契約: 非正規の第三者サイトにおける販売の禁止

2017年12月6日、欧州連合司法裁判所は、オンライン販売に関する契約上の制限に関して、非常に重要な判断を示した(事件番号第230/16号)。 本事件は、Coty Germany GmbH(高級化粧品製造会社)とParfümerieAkzente GmbH(販売代理店)との間の紛争に関して、フランクフルト高等裁判所(ドイツ)から欧州連合司法裁判所に照会がなされたため審理がされた。Cotyは、ディストリビューターがCotyによって認められていないインターネット・プラットフォームを使用して同社の商品を販売することを禁止する条項を、既存の選択的ディストリビューション契約に加える修正をしようとした。これに対しAkzenteは、当該契約の修正を拒否し、Amazon.de(ドイツアマゾン)を通じてCoty商品の販売を行った。その結果としてCotyは、当該販売行為の差し止めを求めてAkzenteを訴えたが、ドイツの第一審はこの訴えを退けた。Cotyはこれを不服としてフランクフルト高等裁判所に控訴し、同裁判所は、本契約修正条項がEU法制度およびEU判例法に沿っているかを判断する予備判決を欧州連合司法裁判所に求めた。 本件に関連して4つの質問が提起され、欧州連合司法裁判所の判断は、以下に述べる3つの重要な論点に集約される。 (1)   欧州連合機能条約(Treaty on the Functioning of the European Union “TFUE”)第101条第1項によれば、高級品の選択的流通網は、以下の条件を満たす限り、禁止されない。 販売業者は質に関する特性及び選択的な流通ルールの客観的基準に基づいて選択され、当該基準はすべての潜在的な販売業者に一律に課されること 製品の性質上、品質保持及び適切な使用を確保するために、上記のような選択的な流通ネットワークを要すること 規定される基準が、必要限度を超えないこと 欧州連合司法裁判所は、製品(この場合は化粧品)の威信と高級イメージを保持する必要性は、選択的 ディストリビューション契約の枠組みにおける販売制限の存在を正当化するとし、当該見解は2011年10月13日付ピエール・ファーブル判決に矛盾しないとみなした。 (2)   本件で問題となっている条項は、製品が認可された販売業者へ販売、関連付けられることを保証し、それによって、製品自体の品質イメージ及び高級イメージが保持されることを保証する。上記はさらに、ディストリビューション契約に定められた合意された販売条件に沿った適切な販売環境の保証をも含むものである。仮に製造業者との契約及び商業的な関係に拘束を受けない非認可の第三者サイトを通して製品販売がされた場合、適切な販売環境は保証されない。 このような条項は消費者が同製品に対して持つ高級イメージの保持に一貫して貢献し、ひいては同製品の主要な特性の保持にも貢献する。 同様に、2011年10月13日付ピエール・ファーブル判決とは異なり、本条項はインターネット上の販売を絶対的に禁止するものではないことは、強調されるべきである。すなわち、本条項は、高級イメージ保持のために必要限度を越えない、との判断を示した。 また、欧州連合司法裁判所は、約90%の電子商取引が、流通業者自身のオンラインショップにおいて行われているという最近の調査結果も考慮した。 上述を鑑み、問題となった契約条項は、(i) 商品の高級イメージを保持することを目的とし、(ii) 一律に適用され(差別的に適用されてはならない)、(iii)追及される目的に照らして相当であることから、欧州連合機能条約(TFUE)第101条第1項の観点において合法であると判断されるべきであるとした。 (3)   第三の問題は、当該契約条項が、 EU規則第330/2010号に定められる特に重要な制限の一つに該当し、欧州連合機能条約(TFUE)第101条第3項を理由として、当該EU規則に基づく一括適用免除の規定の恩恵を受けられるのかという点であった。 欧州連合司法裁判所は、当事者間で合意された選択的ディストリビューション契約は、ディストリビューターが第三者のサイト上及びネット上の検索エンジンで商品の広告をすることを許可し、消費者が公式の「オンライン」ディストリビューターが販売する製品を容易に見つけることができることを認めているとの見解を示した。 したがい、当該契約条項が特定の種類のインターネット販売を制限したとしても、それは(i)EU規則第330/2010号 第4条 b におけるディストリビューターの顧客の制限や(ii)同規則第4条 cにおける最終消費者への受動的販売の制限には該当しないとした。   欧州連合司法裁判所は、本判決によって、製造業者が、自社製品の高級感及び品質イメージを維持する重要性及び権利を強調し、選択的流通契約の枠組みにおける制限的措置の合法性を認めたといっていいだろう。これは、前述の製品が非公式の第三者サイト上で販売されることによって、製品の重要な特質が危険にさらされないようにすることを保証することを意味する。 現時点で明確に言えないのは、第三者サイトが製品の品質と高級イメージ保持の期待基準を満たしている場合には、当該契約条項は法的根拠を失い、販売差し止めを強制できなくなるのか、という点であろう。 Eduardo Vilá より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es 2017年12月8日

専門職法人制度 : 場合と理由

専門職法人とは、大学卒業資格や専門資格が必要とされる専門的活動を共同で行うことを事業目的とする法人をいい、当該事業を行うには、事業内容に応じた大学の卒業資格および専門家協会への登録(エンジニア、医師、建築家、弁護士、会計監査人等の専門職がこれに該当する)が必要とされる。 専門職法人は、法の定めるいかなる種類の会社の形態を備えることができるが、特別法として2007年3月15日のスペイン法第2/2007号(以下、「専門職法人法」)の適用を受ける。 前述の専門家の集団が専門職法人を形成すべきどうかを判断するためには、事業目的と専門職法人の構成を考慮しなければならない。 (a)専門職法人法第1条第1項及び第2項によれば、専門職法人の事業目的は、共同で 専門的事業を遂行することのみでなければならない。 したがって、事業目的を定義する際には、具体的な活動の羅列、詳述あるいは要約を避け、特定の専門職を共同で遂行することのみの記載に限ることを推奨する。前提として、専門職法人は専門的な性質を持たない事業活動を目的とすることはできないからである。2017年10月31日付、公証・登記局の直近の判断においても、上記見解を支持している。 (b) 専門職法人の構成に関して、専門職法人法第4条は、最低条件として、資本および議決権の過半数、又は純資産及び非営利法人の社員数の過半数は、専門資格を有する社員で構成されなければならないと定める。同様に、専門職法人の代表機関の構成員の少なくとも過半数以上は専門資格を有する社員でなければならない。上記条件を満たさない場合、この専門職法人は解散されなければならない。 他方、専門職法人に関する特別法の存在は、専門的なサービスを必要とする第三者に対し有利な追加的保証を提供する。 したがって、専門職法人に関する問題の中で最も注意を払うべきものの一つは、専門的サービスの提供に介入した法人及び専門家の両者に、社員か否かにかかわらず、対外的に連帯責任を負わせる特殊な体制にある。専門職法人法第11条は、専門職法人に対し民事上の責任に対応する保険への加入義務を規定している。 また、付随条項第2条は、前述の責任に関する特殊な体制を拡大適用するもので、2名以上の専門家が専門職法人法による専門職法人を組織することなく専門的職業の遂行を共同で行った場合にも適用される。これにより、万が一責任が追及されるような場合に不正があってはならない活動について、連帯責任があることで、サービスを要する者に特別の信頼を与えることとなる。 Carla Villavicencio Goula より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年12月1日

個人情報保護法案

11月10日、スペイン政府は閣議において個人情報保護にかかる組織法案を下院に提出することを承認した。この法案は、2016年4月27日付欧州議会及び欧州理事会規則第679/2016号の規定をスペイン法制に適用するためのものである。当該規則は、2018年5月25日に施行予定である。2017年3月24日付当事務所の記事においても当該規則について述べている。 当該欧州規則はその主たる目的の一つとして、欧州各国の規則の間に存在する取り扱いの齟齬を取り除くこととしている。また、情報技術の急速な発展及び情報化・グローバリゼーション社会の急速な発展に伴い生じている現象に対応する 個人情報保護規定の適用を目的としている。 スペインにおいては、個人情報の保護は憲法で守られている基本的人権の一つであることから、本法案は、本人による同意の制度及び個人情報の取扱いや手続きの面でいくつかの新しい規定を導入している。 未成年及び故人の情報 他の欧州諸国の規定に合わせる形で、個人情報取り扱いの同意が必要となる年齢を13歳まで引き下げる。 故人の個人情報の取り扱いについては、その相続人の申請に従う。黙示の同意という形式は排除され、影響を受ける側による明白かつ同意に肯定的な行為がなされなければならない。また、秘密保持義務についての表明もされなければならない。 直接的に得た個人情報が不正確であった場合、個人情報取扱主任者が当該情報の修正又は削除のために合理的な方法をとったのであれば、当該個人情報取扱責任者は責任を免れる。 個人情報取扱いに関連する問題は、影響を受ける者の情報取り扱いに関する情報を受ける権利に関して透明性の原則を採用しており、アクセス権、修正要求権、削除要請権、取り扱い制限権、データ・ポータビリティの権利及び異議申立て権について明確に考慮に入れられている。 差別的状況の回避 差別的な状況が生じることを回避するため、イデオロギー、支持組合、宗教、性的指向、人種または民族、及び信条といった特別な保護に値する情報の保持が禁じられることは変わらない。これらのカテゴリーにおいては、取り扱いを行うための条件として関係者の同意のみでは十分とされない。 また、新しい個人情報保護法は、立法者が、個人情報取扱主任者が定められた要件を満たすという法的利益の優先や信用情報システムを推定したと見られる規定を採用している。 同時に、新個人情報保護法は、監視カメラや広告排除システム(ロビンソン・リスト。広告統計機能)に関連した、公共の利益の存在が考慮される状況にかかる規定やプライベート・セクターでの内部告発制度にかかる規定を設けている。 その他の新しい点 その他の新しい点のうち、特筆すべきは個人情報保護責任者の強化だろう。個人情報保護責任者は個人または法人であり、指名された者の情報を管轄当局であるスペイン個人情報保護局(AEPD)に届け出なければならない。 手続きに関しては、パブリック・セクター、プライベート・セクターともに自己制御メカニズムの存在が促進され、個人情報の取扱いから生じる潜在的な責任追及に備え、それらが不履行の隠蔽のために消去されることを予防し、個人情報が裁判所、検察その他AEPDのような管轄機関によって利用可能な状態であることを保証するようなブロック義務を導入する。 国際間の個人情報のやり取り 欧州規則は、EU域内市場における活動の結果である国境をまたいだ個人情報の流通の増加によって生じている状況について、急速な情報技術の発展とグローバリゼーションにより、個人情報が情報取扱会社にとって重要なリソースとなっていることを考慮した対応をするものである。 この状況に面し、個人情報が複製され、よりアクセスしやすく、より容易に処理されやすくなった一方、その使用や使用目的の管理がより難しくなったことによるリスクが増加した。 大友美加 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年11月17日

企業に課される新たなグローバル基準の義務 : LEIコード

2018年1月3日、改正金融商品市場指令 (Mifid II : Markets in Financial Instruments Directive) がヨーロッパで発効になる。 規制改革の中でも、当該新EU規制は、金融機関の弁済能力に関する監督規定にスペイン法制度を適用させるための緊急措置に関する2013年11月29日付スペイン法14/2013号に規定されている通り、金融市場取引(株式の発行や購入確定あるいは変動利付債権の売買、店頭デリバティブ、仕組債、等)に参加を望む全ての取引主体(会社、団体、財団等)に、取引主体識別コード(以下「LEIコード」) の取得を義務付けている。 LEIコードは世界共通の識別番号で、国際標準化機構(ISO)が定めたISO17442に基づき、20桁の英数字コードで成り立ち、以下に挙げる二つの主要な機能を持つ。 1- 金融取引当事者の取引主体の識別 及び 2- 金融市場における情報要件の遵守 LEIコード導入目的は、金融取引上、各参加者が想定するリスクの実態を正確かつ完全に把握することで、システミックリスクの測定及び監視を改善することにある。 LEIコードの識別という特質に加えて、3段階で構成された以下の機関が、当該システムを支える。 規制監視委員会(以下「ROC」): 4特定地域(アメリカ、アジア太平洋、アフリカ及びヨーロッパ)の公的機関から成り立つLEIコードの最終監督機関。スペインはスペイン国立銀行(Banco de España)を通して、設立以来の正式メンバーである。 世界共通取引主体識別団体 Global Legal Entity Identifier Foundation (以下「GLEIF」): 国際的中央運営機関(COU)として指定された民間非営利団体。ROCの監督下、システム管理任務を委任されている。統一運用基準の適用、合意原則に沿ったLEIの実装と使用、市場における進歩的な運用促進を保証する責任がある。 LEI付番機関(以下「LOU」):ローカルレベルでLEIを実装する公的あるいは私的機関。取引主体にLEIコードを指定し、LEIコードに付随する照会情報の登録機関として機能する。 LEIコードの取得に関してスペインでは、以下の特徴が挙げられる。 スペインにおいてLEIコードの指定および管理を行うLOU機関は、商業登記所となる。 LEIコードは、スペイン法務省宛の電子申請によって取得可能である。申請番号を受領後、申請主体者の法定代理人が番号の入った本申請書類に署名し、LEIコード取得手数料の支払証明書と共に商業登記所に提出しなければならない。 登記官は、様々な公的情報源から入手可能な情報に基づいて、照会情報の有効性を検証せねばならない。さらに登記官は、申請主体者が有効なLEIコードを既得済みではないか、また同申請者による進行中の別の申請がないかを確証しなければならない。認定プロセスの最長期間は15営業日となる。申請主体にLEIコードが割り当てられると、申請書に示された担当者の電子メールアドレスにLEI証明書が送信される。その瞬間から、本LEIコードは有効となる。 LEIコードは、発行日あるいは最終更新日から一年間有効となる。取引主体は次回の更新日前にLEIコードの更新申請を行うこと、また関連する情報をアップデートすることが義務付けられている。取引主体が次回更新期日として設定された期日より前に更新を行わない場合、LEIコードは「期限切れ」という状態に変更される。 取引主体の法定代理人がLEIコードの申請者自身でない場合のため、2017年4月11日付法務省登記・公証局(Dirección General de los Registros y del Notariado)の決定では、第三者代理申請における申請代理人の情報提供を最低限とする旨が規定されている。 LEIコードをスペインのLOU機関にて一括申請及び更新できる可能性も考えうる。一括申請により、異なる取引主体のために一度に複数の申請を行うことが可能となる。 LEIコード取得が義務付けられていながら未取得である、あるいは取引主体が運営する事業体を通じて投資サービス事業体または信用機関に未通知であることが判明した場合、最終的には金融市場での取引が不可能となることはよく知られた帰結である。 Marc Martínez より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年11月17日

消費者紛争調停:EU指令2013/11 の置換

欧州における消費者の法的保護は、以下に述べる二つに区分化された段階を経て長い道のりを歩んできた。 消費者に関わる様々な原則と権利の認識 前項で認識された消費者の権利を行使するための適切な取り決めの確立 現在、我々は第2段階にあり、欧州議会及び欧州理事会は、消費者保護が完全に実現するように様々な規則を発行し始めている。 2013年5月21日付欧州議会及び理事会指令第2013/11号は、EU内に居住する消費者に対し、いかなる加盟国内に設立された会社との紛争を解決する可能性を、消費者紛争の裁判外紛争解決の手続きを提供する機関を通じて保障することを各加盟国に義務付けている。 当該任務の遂行のために、上記機関は管轄当局による認可を自主的に申請することができる。管轄当局は、本指令に定められたすべての要件の達成に関する分析と評価を行った後に決定を下す。 消費者紛争の裁判外紛争解決に関する2017年11月2日付スペイン法第7/2017号は、前述のEU指令をスペイン国内法に置き換えるものである。第1条によれば、本法の目的はEU加盟国に居住する消費者に対し、独立性、公平性、透明性、有効性及び迅速性に基づく質の高い裁判外紛争解決のメカニズムへのアクセスを、EU指令によって付与された原則を維持するために、保証することである。 本法第1条には、以下のように、裁判外紛争解決機関の認可のための最重要要件が規定されている。 裁判外紛争解決機関はスペイン国内に設置されなければならない。 同機関は、恒久的に存在しうる機関であることが記された定款あるいは運営規定を持ち、市民が簡単にアクセスできるようでなければばらない。また、ここには、運営及び資金調達に関する情報及び、機関が解決する紛争の種類、紛争解決の手続に関する情報、紛争解決担当者の任命方法、紛争解決担当者の資格及び経験に関する情報も併せて織り込まれていなければならない。 同機関は国内あるいは国境を越えた消費者紛争を解決しなければならない。 同機関は、独立性、公平性、透明性、有効性、迅速性および公正性の原則を尊重せねばならない。 裁判外紛争解決手続への参加は、両当事者による自主的なものでなければならない。 同機関は、両当事者に対して、弁護士又はリーガル・アドバイザーを選任することは義務的なものではないこと、及び、弁護士を任命する場合には、訴えの提出から3日以内に同機関に知らせなければならないことを知らせる義務を負う。 紛争解決手続費用は、無償である。 手続へのアクセスはシンプル且つ簡単に識別可能であること。オンラインアクセスも可能であること。 紛争解決手続前に消費者と会社間で、法的拘束力のある結果をもたらさない手続に従うことを目的として結ばれた合意は、消費者を拘束しない。 紛争解決手続の結果は、請求の申請日から、あるいは手続開始のために必要な書類がすべて受領された日から最長90日以内に発表される。 スペイン法によれば、管轄当局は機関を認可した後、本機関の情報をスペイン消費·食糧安全·栄養局(Agencia Española de Consumo, Seguridad Alimentaria y Nutrición)に送付し、スペイン国内に存在する機関のリストに加えることとなる。当該リストは、上記官庁のウェブサイト上で簡単に閲覧可能となる。また、この情報は同機関がヨーロッパの認可機関としてリストに追加され、欧州理事会のウェブサイト上で発表されることを目的として欧州理事会にも送付される。 今後EUの消費者は、どの加盟国に居住しているかにかかわらず、裁判外紛争解決システムへのアクセスを確保することができることとなる。それは、消費者のような脆弱なグループにとってさらなる保護となりうるだろう。 Pedro Blanco Guardado より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年11月10日

カタルーニャ: 憲法155条の適用と実務的側面

去る2017年10月27日、スペインの上院議会は、憲法で定める義務の遵守を目的として、憲法第155条の適用を過半数で採決し, スペイン中央政府がカタルーニャにおいて一連の措置をとることを承認した。カタルーニャ州知事への要求に対する返答がなかったため、スペイン中央政府は上記措置を数日前(10月21日)に上院議会に提案していた。本条項適用は例外的な措置にあたり、1978年憲法が採択されて以降、適用されたことがない。それ故に、今回の措置を採るにあたっては、その実行方法及び手段について多くの疑問が未解決のままとなっている。 しかしながら、スペイン中央政府は、法的および政治的な問題に関連して非常に重要な決定を下した。10月27日の上院議会において憲法155条の適用が採択されると、同日、スペイン政府は臨時閣議を開き、一連の解決措置について閣議決定を行った。その中には、カタルーニャ自治州州知事及び州政府閣僚の即時解任、州議会の解散及び州議会議員の総選挙を2017年12月21日に実施することが含まれていた。したがって、現時点において、以下に述べるように、カタルーニャ州には自治政府は存在せず、その機能は中央政府が担っている状態にある。 前述の上院議会による決議は、8つの留保と細かい点を除き、中央政府が提案した措置の大部分を承認するものだった。 最終的に承認された措置は10月27日に発効されている。当該措置は5つのブロックに分かれている。 a) カタルーニャ州知事、副知事及び州政府閣僚に対する措置 前述したように、10月27日をもって、州知事、副知事を含むカタルーニャ自治州政府のすべての閣僚が解任された。彼らの機能は、現在、スペイン中央政府又はこの目的のために中央政府によって設置された機関 によって担われている。  b) 州政府の行政機関に対する措置 カタルーニャ州政府は行政組織として引き続き機能する。行政機関は解散せず、機能の停止も生じない。しかしながら、スペイン政府が設置した機関が作成した、権限行使のための規定を定める指針の下に行動する。また、行政機関の行動は常に事前連絡又は事前承認の対象とされ、連絡や承認なしで行われた決定や行動は無効となる。同時に、いかなる州政府の役職者、責任者及び一般公務員の解任、並びに、州政府の公的団体及び公的機関の解散が可能となる。  c) 行政機関の活動に関する措置 自治州警察は、スペイン政府の指揮下に置かれることとなる。 国家治安部隊(スペイン国家警察及びグアルディア・シビル)のカタルーニャ配置が可能になり、必要であれば自治州警察を置き換えることができる。 経済および財政面では、スペイン政府は、税金及び予算の面で必要な権限を行使することができる。つまり、中央政府が予算を決定し、地方税の回収を管理する。 これらの措置は、独立分離主義のプロセスのために公的資金が回収・使用されることを回避するための措置である。 電気通信およびデジタル・サービスに関するカタルーニャ州政府の機能はスペイン政府に属することとなる。同措置は、スペイン政府によるカタルーニャ公共放送及び公共ラジオ放送のコントロール又は保護の獲得を意味する。また、 カタルーニャ州政府に属していた 電気通信フレームワーク、データベースおよび情報のコントロールもスペイン政府が行うことになる。   d) カタルーニャ州議会への措置 上記の措置の有効期間、かつ、2017年12月の選挙によって誕生する新しい州議会が開催されるまで、州議会議長は州知事候補者の提案や、州知事選任の審議及び投票を行うことはできない。  e) クロスセクター的措置 法的観点から見ると、上院議会が承認した措置に反して施行、実行される規定、行為および決定の無効性を宣言する条項は、特に興味深い。ここで疑問となるのは、 そのような行為及び決定がスペイン政府によって採択された措置に反することを、誰がどのように宣言するのかである。いずれにせよ、そのように宣言された行為及び決定は無効であり、何らの効力も生じない。 他方、事前に承認がされていない条項や、これら例外的措置の適用のためにスペイン政府によって設置された機関に同意されたところを満たさない条項は、カタルーニャ州政府官報(カタルーニャ自治州政府及び州議会の規則及び決定を公示する発行物)において公示することができない。規則や法規定の公示は、法の有効性が導入されるための必須条件として知られている。カタルーニャ州政府官報を管理することにより、国の上院議会の承認した措置に反する法規定が意図せず公示されることを防ぐことを目的としている。 カタルーニャ州知事及び副知事に与えられている自治州政府の組織形成の機能は、スペイン政府又はその代理のために設置される組織又は役職者が担うこととなる。したがって、これらの措置を遵守するために、スペイン政府によって設置される組織等は、カタルーニャ内に組織を設置し役職者を任命することができる。また、同じように見えるかもしれないが、本件措置が遵守されることを保証するために、分離独立プロセスにおいて重要な役割を果たした部署の責任者は解任される。 また、 カタルーニャ州政府が、憲法の遵守又は本件措置に基づいた行動を行う公務員又は職員に対して懲戒処分を課す場合、それらは法的無効であり効力を有しないことは特筆に値する。したがって、スペイン政府が採択した措置に反する又は矛盾するような命令に従わなければならないと考えた公務員は、保護されることとなる。 また、スペイン政府は、このような案件の関係者に対して、行政、刑事又は財産上の責任を課すことができる。 本件措置の効果的な適用のために、スペイン政府又はスペイン政府によって設置された機関や責任者は、国または自治州の懲戒規定に基づいて、カタルーニャ議会及びカタルーニャ州行政機関の責任者、公務員、職員に対する懲戒権限を行使することができる。   本件措置の適用期間は、新しくカタルーニャ州政府が組閣されるまでとされているが、スペイン政府は上院議会に修正を要求できる。当該修正は事の成り行きによっては、政府の締め付けが緩くなったとも厳しくなったとも理解されるだろう。他方、現在の状況を引き起こした原因が終了した場合、スペイン政府は本件措置の終了時期を早める可能性がある。 スペイン上院議会は、スペイン政府が提案した措置に細かく色分けを施した。つまり、状況がどのように発展するかに応じて適用を調整する、本件措置の「適切かつ責任ある」適用を促し、現状のような例外的な局面に対処するにあたって節度と慎重さを呼びかけている。 Eduardo Vilá より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年11月3日

会社の本店移転の容易化― 2017年10月6日勅令法第15号

2017年10月7日付の官報にて、2017年10月6日勅令法第15号「企業の国内における移転に関する緊急措置」(以下「勅令法」)が公布された。この勅令法により、改正資本会社法第285条第2項の修正がされる。 改正資本会社法第285条第2項は、会社が国内で本店移転を行う場合、会社の定款に異なる規定が設けられていない場合に限り、その決定権限は経営組織(取締役や取締役会)にあると規定している。 この条文の解釈において、二つの解釈の見解が存在していた。そのうちの一つによれば、経営組織が本店移転の権限を有することについて「異なる定款の規定」とは、株主総会が本店移転について決める権限を有していると定款に規定があることである、と解釈された。他方の見解によれば、会社の定款で単に補足規定を複製さえすれば、国内の本店移転の決定権限が経営組織に属することに関する株主のその時々の自主性が示されているといえる、と解釈された。この解釈に従えば、「異なる定款の規定」は、改正資本会社法の施行後に、改めて経営組織に本店移転決定権限を与えない旨の明確な意思表表示をする定款変更がされた場合にのみ、存在することになる。 今般の勅令法は、(i) 改正資本会社法第285条第2項は、原則として会社が国内で行う本店移転の決定権限は経営組織に属するとしていること、そして、(ii) もし株主が会社の本店移転の決定権限は株主総会が持つべきだと考える場合には、経営組織に権限が属することを明白に否定する定款変更を行わなければならないことを目的としている。 本勅令法が施行される結果、改正資本会社法第285条第2項の規定は以下のとおり修正される。 「前項の例外として、経営組織は国内で行う本店移転の決定権限を有するものとする。ただし、定款にそれと異なる規定がある場合を除く。経営組織が本店移転の決定権限を有さないことを定款で明確に定めている場合のみ、定款にそれと異なる規定がある場合と解される。」 さらに、本勅令法は経過規定として、以下の定めを置いている。 国内での本店移転にかかる決定権限が経営組織に属さない旨を明確に宣言した定款変更が、本勅令法の施行後に承認された場合のみ、定款に異なる規定があるものとみなされる。 つまり、現行の定款で本店移転の権限は株主総会に属する旨の規定を置いている会社であったとしても、当該定款の規定が本勅令法の施行後に定款に盛り込まれたのでない限り、当該定款の規定は国内における本店移転については効力を有さず、したがって、経営組織が決定権限を有することになる。 本勅令法は官報での公布日の翌日、10月7日から施行された。 Mika Otomo より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年10月20日