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企業秘密に関する法律が成立

2018年2月8日に、未公開の技術・ビジネス情報の保護に関する2016年6月8日の欧州議会および理事会の指令第2016/943号を、スペイン国内法に適用するための「企業秘密に関する法」の法案が法務省から提出された後、1年が経過した2019年2月6日、当該法案は上院にて可決され、成立した。 本法律の重要な点を再度確認するために本稿を作成する。法案からいくつか修正がされた点については、言及する。 法案の第1条によると、本法律の目的は企業秘密の保護とされ、企業秘密には「技術・産業・商業・組織・財務上、会社に関連するいかなる情報」と言ったような広範な定義がされている。企業秘密に該当するためには、以下の要件を満たしていなければならない。 秘匿であること。つまり、この種の情報を扱う環境において一般的に知らしめられていないこと、又は、簡単にはアクセスできないこと。 秘匿扱いすることによって、企業の実際の又は潜在的な価値が高まること。 情報の保有者が、秘匿にするための措置を設けていること 本法案第2条は、前第1条項を制限するものとして、合法とみなされる情報の取得方法を以下のように規定している。 発見又は独立して創造した場合 一般的にアクセス又は合法的な所有が可能な製品や対象物を元に、観察、研究、分析、実験して得た場合 従業員及び代表者より情報の使用権利を取得している場合 合法的な事業活動により得た場合 同様に、以下に挙げるようなケースの場合は、企業秘密守秘義務違反は民事訴訟の対象にならないとされる。 マスコミの報道及び多元主義の自由への尊重も含めた表現の自由の権利行使を実行する場合 一般公衆の利益保護の観点で、何らかの違反、不正、非合法的行為を見つけた場合 従業員がその代表者に知らせた場合。ただし、当該代表者がEU又はスペインの法令において認められている合法的な機能の行使の範囲内である場合に限る。 法律で合法であると理解されている利益保護を目的とする場合 他方、同法律案第3条は、不法行為として以下を挙げている。 職業上守秘義務を含むいかなる書類、物体、材料、物質その他の媒体を許可なく取得すること。状況にもよるが、商慣習に反するとみなされるいかなるその他の行為。同様に、人が不法に使用していたと知りながらも、直接又は間接的に職業上守秘義務がある情報を入手することを含む。 不法に取得、あるいは、守秘義務違反によって取得した企業秘密を使用又は公開した場合。 法に違反している製品の製造、供給又は商品化や、当該製品を輸入、輸出、又は仕入れること。 第4条及び第6条は企業秘密の権利保持者に対して当該権利の譲渡又は独占又は非独占的な使用許可の付与の可能性を開いた。 法案第5条では、企業秘密の守秘義務違反に対して取ることができる民事の行為について規定されていた(企業秘密守秘義務違反の宣言、違反行為の停止命令、商品の押収、不法に取得された企業秘密の除去、違反商品の所有権の帰属(この場合、損害賠償金に上乗せされる)、故意又は過失が存在した場合の損害賠償、判決の全部又は一部の公表又は頒布)。しかしながら、この点については第9条に移され、法律第5条は職業上の秘密の共有制度を定めている。 法案の第7条は、上記民事訴訟請求の時効を、行為が行われた時点から3年とする時効について定めていた。しかし、この点は法律では第11条に移され、法律第7条は権利又は権限のない者から、悪意にて職業上の秘密を譲受けた者又は使用許可を受けた者の責任について定めている。 第9条は、当事者適格について定めている。当事者適格を有する者は以下の者である。 企業秘密の所有者 情報を開発・利用をする独占的もしくは、非独占的なライセンスを取得していること明示的に証明できる者。 法律第3章、つまり第20条以降は、第9条の措置に基づき、損害賠償に対応するための十分な安全性を確保しなければならない将来的に起こりうる予防措置を規定している。 最後に、付随条項第5に従い、本法律は近日中になされるであろうスペイン官報での公布がされてから20日後に施行される。 Pedro Blanco Guardado より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2019年2月15日

つかの間の住居賃貸借法改正

I. 導入 2018年12月19日、2018年12月14日付勅令法第21/2018号「住宅及び賃貸借に関する緊急措置法」が施行されたが、2019年1月22日のスペイン国会下院総会での承認手続きを通過せず、議院の合意によって廃止された。 II. 廃止された法令で導入されていた措置 当該勅令法が有効であった35日の間、勅令法第1章により、1994年11月24日法律29/1994号「都市住宅賃貸借契約に関する法律」(以後「LAU 1994」とする)の様々な規定が改正され、いくつもの措置が適用可能となっていた。その中でも以下の内容は言及するに値する。 a) 賃貸借契約の義務的更新期間について、賃貸人が自然人である場合は5年、法人である場合は7年とした。 b) 黙示の契約更新について、契約期間の満了日又は契約更新期間の満了日で、かつ、義務的更新期間が経過した時点において、当事者のいずれからも賃貸借契約の更新を行わない旨の意思表示がされなかった場合、さらに3年間契約期間が更新されると規定した(2013年に導入され毎年更新に代わるもの)。 これにより、2013年6月4日法第4/2013号「住居の賃貸借マーケットの柔軟化及び推進に関する措置法」による自由化の前に規定されていた期間が回復されることとなっていた。 c) さらに、長期の賃貸借である場合を除き、賃貸人が要求することができる1ヶ月の保証金以外の敷金の上限を2ヶ月分の賃料と固定していた。この敷金は預け金又は銀行保証のいずれかによって提供される。 d) 不動産業者の手数料や契約作成にかかる費用は、賃貸人が法人の場合には賃貸人が負担するものとされていた。ただし、賃借人の直接の指示によってそれらのサービスが契約された場合は除く。 III.  2019年1月24日以降有効な規定 勅令法が廃止されたことに伴い、住居の賃貸借契約は、2013年の自由化により施された改正がされたLAU1994によって再び規定されることになった。 とりわけ、以下について言及する。 a) 賃貸借契約の義務的更新期間は3年に戻ることとなった。 b) 黙示の契約更新については、契約期間の満了日又は契約更新期間の満了日において、当事者のいずれからも賃貸借契約の更新を行わない旨の意思表示がされなかった場合の契約更新期間は1年間に戻された。 賃貸人が要求することができる1ヶ月分の賃料の保証金以外の敷金については、当事者の合意によるものとし、上限がなくなった。 c) 不動産業者の手数料や契約作成にかかる費用は、当事者の合意によって負担する者を定めることとなった(実務においては賃借人とされることが通常である)。 IV. まとめ 賃貸借契約に関する規制がスペインの政治家の議題として予定されている問題であることは疑いようがなく、賃貸人と賃借人の法的地位のバランスを定める短期又は中期の改正を待たざるを得ないだろう。 Carla Villavicencio より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2019年2月1日

商事案件の調停

スペイン政府は調停の促進法の法案を最近公示した。 将来の規定はいくつかの法を改正するものであり、その目的は、特定の紛争について、初期の解決手段として訴訟手続きの枠外で紛争を解決する手段としての調停制度の対象となるような体制を整え、裁判所の負担や過剰な負担を軽減することである。 この新制度は、現行の自主性によるのではなく、紛争当事者に対して調停での解決を義務付けるものである。法案では「軽減された強制」と呼ばれ、強制力を隠すために遠回しの表現がされている。なぜなら、調停は訴訟手続きへアクセスするための必要な手続き費用となるためだ。 予定されている法案では、法第5/2012号民事及び商事事件の調停に関する法が改正される。調停の期間が延長され、30自然日とされる。訴訟手続き過程を開始する前に両当事者間に調停による解決を義務付ける商事案件は、以下となる。 (a) ディストリビューション契約 (b) 代理店契約 (c) フランチャイズ契約 (d) 商品及びサービスの供給契約 しかしながら、これらは「個別交渉の対象である場合に限る」との条件を定めている。 「個別の交渉」として解釈されるべきものが何であるかの規定がなく、当該言及の不明確さには驚かされる。最終的に法案が可決された場合、最終版の条文においては、この点が明確に規定されていると信じたい。 法案では、「調停が試みられた」とみなされるためには、裁判所への訴え提起前の6か月の間に、まず調停人の前で情報交換セッションを実施し、次に解決を模索するセッション(同日開催も可能)がされなければならないとしている。当事者は個人的にセッションに出席しなければならず、当事者が法人の場合は、法定代理人又は代理権限を持つ者が出席しなければならない。 調停人は、法務省又は自治体管轄の場合には自治体の、調停人及び調停機関の登録簿に登録されていなければならない。 当事者のいずれかが合理的な理由なく情報交換セッションを欠席した場合、申請された調停を放棄したものとみなされる。 この法案は、よく考えられてはいるものの、驚くべき無邪気なミスを犯している。第一に、法案作成者が経験と商事実務の見地に足りていないことが明らかである。個人間に生じた小規模な商事事件や、国際企業間、大規模又は中規模企業間の紛争を取り扱うことができない。また、当事者間での友好的な解決に至る道が途絶え、当事者双方が訴訟手続きに訴える場合(すなわち、第三者に当事者間の見解の相違を解決してもらうことを決めた場合)、当事者の意思により解決することができなかったことが第三者(特に資格のある調停人でなければ)によっても達成されないことは明らかである。したがって、少なくとも、この規則は、当事者が裁判所に訴え提起を行う前段階として調停手続きを行わなければならないための金額の範囲を定めなければならないと思われる。 また、この法案は訴訟手続き中の調停についても規定する。つまり、裁判に先立ち調停が行われなかった場合で、裁判官が調停での解決が可能と考える場合、あらゆる民事及び商事事件の裁判の最中に調停が行われることを可能とする規定である。原告及び被告が申請しない限り、調停によって訴訟手続きが中断することはない。裁判官は民事及び商事事件の調停に関する法令の定める手続きに則り、調停人を指名する。 裁判外手続きによる紛争解決の制度は、特に商事事件については、あくまで当事者の自主的な意思による代替手段であり、そうあるべきだと考える。それを義務付けることは調停の性質に反するものである。訴え提起前に、問題となっている事案についての能力及び理解を備えているか疑わしく、かつ、調停が自主的なものである場合に当事者の信用を預けていない第三者に対して主張を提出する義務を当事者に課すことで、当事者の訴訟手続きを利用する権利が損なわれる。他方、相当な金額又は性質の紛争の多くにおいて、調停人は当事者がそれまでに試した解決方法よりも優れた解決策を提案することはできないことは明らかである。加えて、調停人が、裁判官や弁護士よりも当該事件を評価し判断をする能力に長けていると期待するのは、特に案件が複雑である場合には、合理的ではない。 訴訟手続き又は調停人による介入のいずれが当事者間の紛争解決手段として適切であるかは、マーケットで活動する代理店同士の関係を通常規定する常識や実用主義に基づき定まるものである。 義務的な調停は多くのケースにおいて、最終的な判断を得る手続きに、長くうんざりとする遅れを生じさせるものと思われる。この遅れは、その後の回復が難しいだろう損害を生じる可能性があり、また、望む望まないは関係なく、訴訟手続きが始まる前に当事者間に紛争があること及びその主張内容が明らかになってしまう。政府により提案がされた方法は私人間における紛争でそれほど高額に及ばないケースであれば一定の合理性がある。しかし、商事事件全般に調停を義務付けることは、司法行政に死することはなく、費用と複雑さを生じさせることになるだろう。最終的に、訴訟件数の減少や利用可能な保証の強化を予測できる合理性があるかどうか見直す必要があるだろう。ただ単に当てはまらないと考えるだけではなく、さらなる遅れと究極的には訴訟手続きを利用する基本的な権利の制限という障害としてマーケットに受け止められる可能性がある抑止手段となり得ると考える。 Eduardo Vilá より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2019年1月25日

連結決算書類にかかる商法改正−財務外状況報告書−

2018年12月28日付法律第11/2018号商法、資本会社法及び会計監査法を改正する法律の施行により、商法の改正第44条は連結決算書類を構成する書類として新たに財務外状況報告書を追加した。 I.作成が義務付けられる会社 連結決算を作成する会社が以下の要件に該当する場合には、事業報告書に財務外状況報告書を含めなければならない。 a) 当該事業年度におけるグループ会社の従業員数の平均が500人を超える会社 b) 監査関連法令に基づき公共の利益団体であるとみなされる会社、または、連続する2事業年度の間、各事業年度末日において下記の少なくとも2つの状況に該当する会社 (i) 連結資産の総額が20,000,000ユーロを超える (ii) 各事業年度の連結税引き後利益が40,000,000ユーロを超える (iii) 各事業年度における従業員数の平均が250人を超える 企業グループの設立から最初の2事業年度においては、グループ筆頭会社が初年度の決算日時点で上述b)の3つのうち少なくとも2つの状況に該当し、かつ、a)の状態に該当する場合には、すべての子会社を含み、事業活動を行うすべての国に関する財務外状況報告書の作成が義務づけられる。 II. 財務外状況報告書の内容 財務外状況報告書には以下の内容が含まれる。 a) グループのビジネスモデルに関する概要説明 b) リスク及び重要なインパクトの特定、評価、回避、予防及び緩和のためにグループに適用されるデュー・ディリジェンス手続き及びその評価及び管理(どのような対策を採用するかも含む)に関する方針の説明 c) これら方針の効果。これには、方針導入後の進展の追跡及び評価を可能とし、かつ、会社及びセクター間の比較を容易にするような、財務外の結果にかかる重要な指標を含まなければならない。 d) グループの事業活動に関連して生じる主なリスク e) 会社の具体的な事業活動にとって適切な、財務外状況に関する重要な指標 また、財務外状況報告書は下記に関する重要な事項を含む。 (i) 環境問題に関する事項 (ii) 社会及び従業員に関連する事項 (iii) 人権保護に関する事項 (iv) 会社に関する事項 (v) その他重要と考えられる事項 上記の事項のいずれかについてグループ会社に適用される方針が存在しない場合には、会社は財務外状況報告書内で、その理由を明確に説明しなければならない。 III. 株主総会による承認 財務外状況報告書は、株主総会に独立した議案としてその承認のために提出がされなければならない。 IV. 公示 財務外状況報告書は、無償にて公共に供されることとなり、事業年度終了日から6ヶ月以内に会社のホームページに掲示がされる。掲示期間は5年間とされる。  露木 美加 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2019年1月18日

配当不足に基づく株主の退社権の条文改正

参照記事 特定ブランド名の下でなされる排他的ガソリン供給契約の価格操作 最高裁判例 配当金の分配及び株主の会社離脱権 (II) 2011年に資本会社法第348条bisが導入された。当該条文は、商業登記所に会社の登記がされてから5年目以降、株主への配当が、会社の目的の実施による前事業年度の利益の3分の1以下である場合、株主の退社権を認めるものである。 財務のサステナビリティ(持続可能性)と株主の利益追及の要求にある種の不均衡を生み出すだろうと多くの会社は考えたため、本bis条項は論争を招いたが、2017年1月1日付で施行されることとなり、決して少なくない数の紛争を引き起こす結果となった。 失われた均衡を再構築することを目的とした本件第348条bis条項改正法案がスペイン官報に掲載された後、最終的に、2018年12月28日付法律第11/2018号資本会社法を改正する法律が公布された。以下の表は、当該条文の主要な変更をまとめたものである。 改正後 改正前   会社の定款に本条に反する規定を設けることが可能。           定款で本条に反する規定を設けることの可否について言及なし     配当は、前事業年度の法的に配当可能な利益の少なくとも25%以上でなければならない。ただし、これは、過去3年間に遡って黒字を出している場合に限る。     配当は、全事業年度の会社目的の事業の遂行により得、法的に配当可能な利益の少なくとも3分の1以上でなければならない。   直近5年間の配当が、当該期間における法的に配当可能な利益の少なくとも25%相当である場合には、株主の退社権は生じない。   本項に定める内容は、当該株主に属する、株主の決議及び責任にかかる異議申し立て権に影響を及ぼすものではないものと理解される。         特段の言及なし   第348条bis第1項に含まれる株主の退社権の要件の廃止又は修正は全株主による同意が必要となる。ただし、当該株主決議に賛成をしていない株主の退社権が認められている場合は除く。       特段の言及なし   連結決算が義務付けられている会社間の場合、支配会社の退社権に条件が設けられる。     特段の言及なし   本条の規定は、以下の場合には適用されない。(1) 上場会社又はセカンダリーマーケットでの取引が認められている株式の発行会社 (2) 民事再生中の会社、再融資の合意又は事前の再生計画の提案に基づく支援に向けた交渉が始められた会社、又は、裁判外の支払い合意にかかる交渉が始められた会社、(3) 民事再生手続きにおいて取消し不能となる条件を満たすような再融資合意に至った会社、(4) スポーツ株式会社     本条の規定は上場会社には適用されない。 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 Pedro Blanco va@vila.es 2019年1月11日

スペイン資本会社法の改正 資本金入金証明

2018年12月28日付スペイン商法、資本会社法及び会計監査法を改正する法律第11/2018号は、特に資本会社法(LSC)の重要な事項をいくつか修正した。以下にその改正事項のうちの二つを説明する。 1.資本会社法の改正。資本金入金証明。 スペインにおける有限会社(Sociedad Limitada)の設立は、資本金の入金を証明する振込証明書提出する義務が撤廃されたことから以前より簡略化されることとなる。 スペインでの有限会社の設立時には、創業出資者は最低3,000ユーロの資本金の払込みが求められる。そのためにはまずスペインの銀行に口座を開設した後、資本金の入金が必要となる。今回の法改正以前は、本段階で、銀行側に資本金の払込証明書の発行を申請しなければならなかった。その後、公証人役場での会社設立時に、本払込証明書の原本を公正証書に含めることが義務付けられていた。 法律11/2018号は上記を改正し、資本会社法第62条第2項に以下の条文を追加することで、有限会社設立時に資本金払込証明書を提出する義務を撤廃した。「設立発起人が公正証書において、会社および会社の債権者に対し実際の出資分(持分)を限度に責任を共同で負うことを宣言している場合は、実際の出資金の払込を証明する必要はない」 当該例外は、株式会社には適用されず、今後も払込証明書の提出を義務とする。 商法改正 商法第44条第1項及び第6項は、グループ会社(商法第44条及び第49条)及び関連会社(資本会社法第253条及び第262 条)に、非財務情報を経営報告に含める義務を追加した。 最後に、資本会社法第276条及び第348 条も今回改正されたが、今後の記事で詳述することとする。 Hugo Ester va@vila.es

フランチャイザー登録: 2018年12月付にて廃止

スペインにおけるフランチャイズ制度とは、合意又は契約に基づき、フランチャイザーと呼ばれる会社がフランチャイジーと呼ばれる別の会社に、製品やサービスを商品化する独自のシステムを運営する権利を譲渡する事業活動と理解される。 2018年12月8日以前は、自然人又は法人(スペインで設立されていない第三国の会社を含む。)がスペイン国内でフランチャイザーとして事業活動を行う場合には、その事業活動開始より3か月以内に、フランチャイザー登録に届け出なければならなかった。1996年1月15日付法第7/1996号小売業に関する命令(以後「LOCM」という。)及び2010年2月26日付勅令第201/2010号フランチャイズ事業及びフランチャイザー登録簿へのデータ届出に関する規則(以後「RD 201/2010」という。)に規定される、データの届出及びフランチャイザーとしての登録の義務を遵守しなかった場合、LOCM第63条第1項により、重大な法律違反とされた。 しかしながら、2018年12月8日付スペイン官報(B.O.E.)にて2018年12月7日付勅令法第20/2018号スペイン産業と商業部門の競争力の強化のための緊急措置 (以後「RD 20/2018」という。)が公布・施行され、スペイン産業と商業部門の競争力強化を目的に、一連の措置が講じられた。それには損失を伴う販売(仕入れ価格以下の販売)の制限、フランチャイザー登録及び遠隔販売登録の廃止等が含まれていた。 したがって、商事のセクターについては、RD 20/2018により、これまでLOCM第62条で定められ、RD 201/2010によって規定されていたフランチャイザー登録が廃止された。 フランチャイザーのオンライン登録は2016年に開始されたが、基盤となるアプリケーションに重大な欠点があり、ユーザーにとっては複雑かつ操作しづらい仕様になっていたため、登録義務者が克服したはずの障害と要求を生み出すこととなった。 また、フランチャイズ登録所が唯一確認をしていたのは、フランチャイザーである会社が商標権の所有者又は商標を使用する権利を保有していることであり、この点は既にスペイン特許商標庁によってカバーがされていた。他方、フランチャイズ登録所の職員は、フランチャイザーより提出された商標以外のデータについて裏付けを取っていなかった。 上記を鑑み、会社に対する障害を排除し、経済活動を促進し、資源を合理化するために、RD20/2018第1条a)及びc)は、フランチャイズ事業の開始をフランチャイザー登録所に通知し、毎年のデータ更新義務規定違反に関するLOCM第65条第1項r)及びフランチャイザー登録に関するRD 201/2010のいくつかの条項を明確に廃止した 。 代わりに、*フランチャイザーが将来のフランチャイジーに対し、フランチャイズ契約又は事前合意書の締結、あるいは将来のフランチャイザーからフランチャイジーに対するいかなる支払いが行われる最低20日前には、書面にて、フランチャイズ網に加盟する意義を認識した上で加盟を自由に決定するために必要な情報を開示する義務は維持される。契約前に開示される上記情報には、特に、フランチャイザーの主要識別データ、事業活動内容の説明、フランチャイズ事業の目的 フランチャイズ事業の内容と特徴、運営状態、フランチャイズ網の構造と展開、その他フランチャイズ契約締結にあたって重要な要素となる情報が含まれる。当該義務に関しては、2018年11月2日付Hugo Ester氏の記事に詳述があるので、参照されたい。 *1996年1月15日付法第7/1996号小売業に関する命令 (LOCM)第62条第1項  Carla Villavicencio より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年12月28日

ロボットの法的人格

「ロボット」という定義は時間と共に進化してきた。伝統的にはデジタル革命が起こるまでは、ある限定的な任務や作業を人間がプログラムした指示に従い実行することが可能な、才知に長けた機械という理解がなされていた。 今日、上記定義は部分的には正しいが、不十分であるといえよう。従来のロボットの概念と現在の概念の大きな相違は、今日の最新式かつ洗練されたロボットは、ロボット自身が数式とアルゴリズムに従って直面する状況に応じて決断を行うことにある。この例として、自動運転車両が加速、減速、停止、障害を避けるタイミングを決定したり、人身事故か物損事故を引き起こしたのかを判別したりする事が挙げられる。これら一連の決断には、人間の意志が直接介入することなく、事前にプログラムされた指示に従い絶え間なく自動的になされる。更に一歩踏み込んで、人工知能が組み込まれているロボットを、人間に類似した知覚、感知、識別、決定方法が適用されていると理解することにについて考察しよう。こう理解すると、人工知能を装備したロボットは、状況に応じて行動パターンを生成するために、自身の経験や提供される事例に基づき「学習する」能力を備えていると言える。当該経験的かつ統計的システムにより、ロボットは異なる可能性の中から「識別」をし、一つを選択することを可能する。このプロセスに人工知能をプログラムした人間は参加しない。人工知能はまた、人間の感情に非常に近いが(今のところ)倫理的および道徳的要素を欠く「抽象的」な能力をも備えている。要約すると、人工知能はロボットが自身で学習すること及び、非常に自発的・独立的にともいえる形で決定することを可能とし、これは人間の「自由意思」と同等にも見なすことができる独立性の特徴を示す。 法的又は倫理的実体とは、権利と義務を持つ一個人と定義され、それは一人以上の自然人によって形成されたものとして存在する。「知的」ロボットは一法人としての性質を備えているが、根本的に機械とその所有者又はプログラマーとの間の独立した属性のために法人の定義には則さない。知的ロボットは、 自発的なエネルギー供給を享受できる。言い換えると、自給自足と自己修復機能を有する。 行動能力を有する。 自身で決断することができる おそらく数年のうちに、初期プログラミングの指示に基づいて、自由意思および倫理的に識別すると能力を有する人工知能を備えたヒューマノイドが登場するであろう。彼らが人間とは異なる性質を有することにより、自然人としての地位を獲得出来ないことは明確である。 しかし、ヒューマノイド又は知的ロボットのこれらの特質は、彼らを定義する際に法的問題を提起する。というのも、自然人でも法人でもないながらも人間とほぼ同様の方法で決定や識別したりすることができ、所有者及びプログラマーから独立して行動することもできるため、資産や単純な機械として識別することもできない。結果的に我々は、ヒューマノイド又は知的ロボットは固有の法的地位と権利と義務を有する「機械人間」または「人間機械」という新しい概念を作り出す方向に向かうであろう。 通常ヒューマノイドとは、人間に共通した特徴でもある可動性と相互作用の機能を有した知的存在であり、人の役に立つために存在していると考えられている。根底では、ヒューマノイドは現代の奴隷の一種ともいえ、歴史のある特定の時期に存在した自然人の奴隷と同様であると言える。しかし、人間の奴隷が識別力と自由意思をもって自身の主人に反抗・行動したのと同様に、ロボット奴隷も人間に類似した人工知能を授けられていれば、自身の主人の指示に反抗、無視したりすることに至る可能性がある。今のところロボットの寿命と行動は所有者によって特定されているが、知的ロボットが初期プログラミングにて規定された枠組みから外れ(たとえそれが基盤にあろうとも)、所有者から独立して自身の決断によって行動するようになれば、一般に社会や特に商品交易で実現される行動は法的帰結を持たなければならないであろう。 知的ロボットはそれほど遠くない将来、日々の社会、労働、そして商業的な関係に組み込まれることが求められている。そしてこの機械対人間の間の相互作用は、人間とロボットの間に権利と義務を生み出すこととなる。例えば、一般的なプログラミングの枠組みの中で、知的ロボットは所有者のあずかり知らぬところで所有者の厳密な指示に関係なく他のロボットとオンライン契約を結ぶに至る。こうした独立した行為が、単にロボットに責任を持つ自然人又は法人の責任の領域にあるかどうかを考慮する必要が出てこよう。本行為は、商業的要因のひとつまたは委任者の責任と受容することができるだろうか。現在のところ人工知能を有するロボットの能力は、大半の人間に及ばないが、能力が人間に追いつくのは時間の問題である。とすると、知的ロボットはで自然人や法人とは異なる「機械人間」の立場を取得するべきである。 さらにその行動が単なる指令や基本的にプログラムされた目的に対応する時に、しかしその行為がロボットによって作成されたアルゴリズム計算に基づいてもしくは、プログラマーや所有者から独立した、自身の学習能力のプロセスのおかげで行われた場合、権利と義務を付与することができるかどうかを考察する必要があろう。 Eduardo Vilá 詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年12月21日

法令改正と定款規定: 株主総会招集の方法

スペイン株式会社(S.A.)の株主総会の招集については、現行法令である資本会社法第173条に規定がされているが、原則及び登記・公証局(DGRN)の前例に基づけば、すべての株主による連絡の受領が保証される限り、定款の定める内容が常に法令に優先するとされる。 2018年12月3日付官報で公表された登記・公証局の決定において、定款の定めとは異なる方法で招集された株主総会のケースで当該招集方法の有効性について検討がされた。 本件においては、ある株式会社の株主総会が、その定款で株主総会の招集は官報に公示すると定めがあったにもかかわらず、株主全員からの受領確認付証明郵便によって招集がされた。この株主総会の承認事項について公正証書を登記しようとしたところ、登記官は招集方法が定款の定めと異なることを理由に、登記を却下したため、会社が異議申立てを行った。 先に述べたとおり、株主総会の招集については、定款の定めに厳格に従わなければならず、定款の定めが法令に優先する。 これまで173条は度重なる改正がされ、現在の内容に至っている。これらの改正の背景には、招集手続きの簡易化とコストの最小化を図る立法者の目的があった。なお、本件において当該会社の定款規定は現行法の改正が行われる前に定められたものであった。 登記・公証局は本件会社の定款に、すべての株式が記名株式である場合には、取締役会は招集通知の公示を、各株主に対する法の許す形態での書面による連絡に代えることができる、との定めがあること、及び、本件会社の定款は株主総会の招集は、株主全員が会社の文書にて確認できる連絡先住所において受領が保証されるのであれば、個別かつ書面による連絡によって実施できるべきであると指摘した。本件については、株主総会の招集は株主全員に対して受領証明付き証明郵便による通知により行われたが、現行法の規定及び定款の目的と精神によれば、定款の解釈に反するところはないとした。 最後に登記・公証局は、定款の内容の一部又は全部に影響を及ぼすような法令の改正がされた場合には、単なる法の効力により新たな法が定款の内容に優位すると考える必要がある場合があることを確認し、定款の規定が新しい法令と両立できない場合は例外とされることを確認した。 露木 美加 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年12月14日

競業避止義務違反による 取締役の解任

商事会社の取締役は、その職務遂行のために以下のような固有の義務を有する。 ・忠実義務 ・利益相反取引の回避義務 両義務ともスペイン資本会社法第230条に規定された一般的な原則であり、必ず遵守しなければならない性質を有し、両義務を制限するような定款条項は無効とされる。 上記の前提をふまえた上で、本稿では2018年9月26日にバルセロナ県高等裁判所にて判断されたDIVERIS PUNT(会社)のケースの判決を検証する。DIVERIS PUNTの取締役は以下の者によって構成されていた。 自然人: José M.氏 法人A: J.A.J, S.L.(有限会社) 法人B: PROMOCIONES JE, S.L.(有限会社) 訴状によれば、上記の取締役は資本会社法第230条に規定された禁止条項に違反する行為を行なったことを理由に訴えられた。 José M.氏及びJ.A.J, S.L.社は、法人取締役であるPROMOCIONES JE社が、 (i) PROMOCIONES JE, S.L. 及びETYSD, S.L.といったDIVERISと同様の会社目的を持つ二つの会社の取締役を兼務していることにより、利益相反に該当する、 (ii) DIVERIS PUNTが実施している建設工事をETYSD, S.L.に請け負わせたことは競業避止義務違反にあたる として、同法人取締役を訴えた。 法人取締役PROMOCIONES JE社は、本件の原告は被告(法人取締役PROMOCIONES JE)が、PROMOCIONES JE, S.L.及びETYSD, S.L.の一人取締役であることを当初より認識しており、実際株主たちは、原告が土地を提供し、被告がETYSD, S.L.を通して工事を請け負うことに合意していた、と反論した。 第一審は、DIVERIS設立時にはすでに、被告が取締役を兼務している会社の活動は行われていたために、本件は競業避止義務違反に該当しないとし、訴えを棄却した。実際、PROMOCIONES JEはDIVERISの出資持分の50%の保有者である。原告は被告がDIVERIS以外にもさらに二つの建設会社の取締役に就任していること、および、ETYSD, S.L.が工事を請け負うことになることも認識していなかったと控訴した。 バルセロナ県地方裁判所は、法人取締役の法的解任のためにはすでに判例が数例存在しており、資本会社法第230条に則って、忠実義務違反行為や会社に害となるような行為を証明する必要はなく、以下に挙げる点を証明すれば良いとした。 被告はある有限会社の取締役であること。 それと同時に、雇用者(自営業)もしくは被雇用者(取締役ではある必要はなし)として、で経営する会社の会社目的と同様、もしくは類似の業務を行っていること。 2で言及した業務の実施に関し、経営する1. の会社の社員総会にて承認を得ていないこと。 バルセロナ県地方裁判所は、しかしながら、法人取締役が経営する会社の会社目的と同様、もしくは類似の業務を行う場合の社員総会の承認は明示的でなければならず、本件に関しては、DIVERISの株主が100%の出資持分を取得すれば、J.A.J, S.L.が建設工事を行う土地を提供することで、被告は、いずれかの建設会社を通じて、建設工事を請け負うことになる、と示した。 上記合意は、自身及びJ.A.J, S.L.の代理人として行動したJosé M氏によって受け入れられた。 バルセロナ県高等裁判所は、本件訴えは善意の原則に反し、自身の行動の原則に反するものであると結論づけた。 Hugo Ester より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年12月7日