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EUデジタル単一市場における著作権保護

デジタル単一市場における著作権保護に関するEU理事会及び欧州議会指令案は、2018年7月の否決を経て、9月12日付にてようやく承認された。当該新指令の名称が示す通り、オンライン上における著作権の使用を規制するもので、ライセンス及び電子出版プラットフォーム上にて尊重すべきコンテンツ・フィルタリング・システムの確立を定めるものである。 改正指令案の中でとりわけ議論となったのは、第11条及び13条に関するものである。 前指令法案第11条には、EU加盟国内でニュース配信及び新聞を発行する出版社に著作権を認め、第三者が発行物をネット上にて直接又は間接的に再利用する場合、許可又は禁止を可能とする規定があった。同様に、出版物の著作権は、発行翌年の1月1日から起算され20年間保護されると規定されていた。 しかしながら改正指令案は、以下のような案を導入した。 (1) EU該加盟国は、出版社及び著者が、「情報化社会におけるサービスプロバイダ」から「公平」かつ「適切な」報酬を受領することを保証しなければならないとした。当該新要件は、著作権者(コンテンツの出版社及び著作者の両方を含む)が、コンテンツを収集するオペレーター及びニュース・アグリゲータから「手数料」を受領しなければならないことを意味する。 (2) 著作権保護期間は20年間から5年間に短縮される。 (3) 本条にて規定される権利は、遡及適用されない。 これに対し13条の内容は、YouTube、 Facebook、Twitterといった大企業に影響を及ぼす規定であったため、さらに大きな議論対象となった。改正後指令案において以下の内容とされた。 (4) 大量の作品やユーザーの既読機能を保存するオンラインコンテンツ共有サービスプロバイダは、著作権者と公正かつ十分なライセンス契約を結ぶ必要がある。 (5) 上記サービスプロバイダは、「臨機応変かつ効果的な」苦情、異議申立てシステムを確立する必要がある。 本条項は、ビデオ及び著作権保護の対象となるようなコンテンツを配信する巨大プラットフォームに多大な影響を及ぼすが、適用されるのはプラットフォームそのものに対してではなく、配信を行うユーザーに対してである。また、コンテンツフィルタリングシステムは不十分であり、配信後にそれが実施される。 最後に、全ての情報拡散、ニュースのアグリゲータープラットフォームに当該条項が影響を及ぼすわけではなく、小さなプラットフォーム及び、小企業には影響しないことは特記に値する。 他方、ウィキペディアのような保護されていないコンテンツの百科事典や、保護出版物の教材として使用は、適切に出典元が示されている限り、本条項は影響しない。その際、コンテンツの発行元の事務所、会社の名前を示すだけではなく、容易に取得可能な場合は著者名も出典元として記載する必要がある。 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年9月21日 Pedro Blanco

日EU戦略的パートナーシップ協定及び経済連携協定

2018年8月24日付の欧州連合(EU)官報(オフィシャルジャーナル)において、欧州連合(EU)と日本の戦略協定の調印に関する欧州連合理事会の決定が発表された。 この協定の第1条では、両締約者が政治的な協力及び分野別の協力並びに共同行動を促進することにより、両締約者間の全般的なパートナーシップの強化、両締約者間の協力並びに国際機関及び地域機関並びに国際的な場及び地域的な場における協力、国際の平和及び安定への共同貢献、共通の価値及び原則、具体的には、民主主義、法の支配、人権及び基本的自由の促進に共同で貢献することを目的とする、とされている。 各条項の合意は、上記の目的の非常に多様なトピックに渡るものであり、以下に司法及び立法分野での協力に関連するものを紹介する。 (1) 司法協力 EU及び日本は、司法協力関連でこれまでに締結された条約に関連して、民事及び商事に関する司法協力を強化することを約する。 また、刑事に関する共助に関する日本とEUとの協定を強化促進する。 (2) 資金洗浄及びテロリズムに対する資金供与との戦い 両締約者は、普遍的に認められた基準を考慮しつつ、犯罪収益の洗浄のため又はテロリズムに対する資金供与のために利用されることを防止するに当たり、情報の交換等により、協力を促進する また、EU加盟国及び日本の双方が属している国際金融活動作業部会の規定についても言及している。 (3) 租税 租税に関する良い統治を促進するため、国際的に確立された租税基準を遵守し、両締約者は本分野での協力の範囲を広げる。特に、第三国に対し、透明性を高め、情報の交換を確保し、及び有害な租税上の慣行を撤廃するよう奨励する。 (4) 両締約者は、国際刑事裁判所及び適当な場合には国際連合の関連する決議に従って設置される裁判所を 通ずること等により、国際重大犯罪の捜査及び訴追を促進するために協力する。 また、この協定には、危機管理、不拡散と軍縮体制の強化、開発政策、災害管理と人道援助、科学、技術とイノベーションにおける協力、産業協力、 環境、観光、気候変動、及び農業と漁業が含まれる。 これまでの合意に加えて、2018年7月17日に、欧州連合(EU)と日本は経済協定(EPA)に署名した。 この協定は、欧州議会と日本国会によって批准された後、2019年に発効する予定であり、ヨーロッパ地域と日本の間の貿易関係に非常にプラスの影響を与えるものと思われる。 この協定により、両当事者間の貿易障壁と商業的関税障壁が軽減される。 当初は、製品の関税の約85%が免除され、その後一定期間が経ったのち、ほぼ100%の関税が免除される。欧州委員会のデータによると、最大1,000億ユーロにも及ぶコスト削減となる。 この協定より最も影響を受ける商業分野は、医薬品、健康製品、農産食品、自動車、輸送機器である。 欧州委員会によると、同協定のおかげで、欧州生産率は0.76%まで増加すると予想されており、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの調査によると、欧州連合(EU)の対日輸出への影響は3分の1まで増加する可能性があり、欧州連合(EU)の雇用と失業率にも非常にプラスの効果があるだろう。 同協定によって欧州連合(EU)と日本が、経済的及び政治的関係の新たなステージに突入したことは間違いない。 欧州連合(EU)と日本政府間の和解、経済関係の強化、相互投資の増加、司法レベルでの協力の強化などが今後期待できそうだ。 Pedro Blanco より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年8月24日

商業登記所における株主総会決議の無効、提訴期間及び登記

登記・公証局は2018年5月30日付けの決定第8053号にて、株主総会決議に瑕疵がある場合には、たとえ決議無効確認の訴えの提訴期間を経過していたとしても、商業登記所はその登記を拒否するとの判断を示した。 2017年4月11日、マドリード商業登記所に以下の株主総会決議が記載されている公正証書が登記のために提出された。 (1)株主総会開催地はバレンシアであった。 (2)本株主総会には行使できる議決権の54.32%の株主が参加した。 (3)本株主総会において、会社の解散及び清算貸借対照表が、満場一致で決議された。 2017年4月27日マドリード商業登記所は、以下の記載事項に瑕疵があるとして、前述の公正証書の登記を拒否する決定を通知した。 本件会社の定款第11条で、解散決議の採択と清算貸借対照表の決議に必要な定足数は株主の70%と定めるのに対し、本株主総会の出席株主数はわずか54,32%に過ぎなかった。 本会社の定款では、本店所在地以外での株主総会の開催の可能性を規定しておらず、バレンシアにおける株主総会の開催は認められるとは言えない。 したがって、本会社株主総会のバレンシア開催は、資本会社法第175条に違反する。 当該公正証書の適正な審査のためには、株主総会の全議事録の提出を要する 本件決議証明書には、発行日の記載がない。 同公正証書は、2018年1月25日、マドリードの商業登記所に改めて登記申請のために提出された。登記申請時に、2018年1月8日付の清算人の一筆が添付され、そこには以下に述べる理由に基づき本件決議の定足数は株主の70%という定めに従う必要はないと記載されていた。 本会社は解散事由に該当する状態にあった 株主総会決議から既に一年が経過しており、決議無効確認の提えの期間を過ぎていることから、当該瑕疵は補正されたと理解できる。 2018年2月15日商業登記官は二度目の審査通知を発行し、本株主総会議事録の全文を提出したことによりその部分の瑕疵は補正されたが、本決議証明書には発行日が未記載であること、定足数および株主総会開催地に関する瑕疵は引き続き存在するとし、本公正証書の登記を拒否した。 2018年3月14日、公証人Joaquín Borrell García氏は2018年2月15日付け却下決定通知に異議を申し立てた。García氏の論拠を以下に挙げる。 本件株主総会決議は、決議無効確認の訴えの提訴期間が満了していることにより、すでに有効性が確認されたとみなされる。これにより本決議は撤回不能となり、あらゆる面で法的有効性を保有することとなる。商業登記所は新たな法的現実を受け入れるべきである。 本件事実は公の秩序に関するものではなく、ゆえに資本会社法第205条第1項の違反に当たらない 提出された決議証明書は、会社の取締役の証明者としての権限により、決議に異議申し立てがなかったという十分な証拠となりうる。 最終的に2018年3月15日に登記官は自身の審査を再確認し、本件を登記・公証局に公示した。以下に登記官の説明を記す。 本件決議の無効性に関し異議の申し立てがなかったとしても、ここで問題となるのは、異議申立人であるGarcía氏が論拠としているように、決議無効確認の訴えの提訴期間満了をもって商業登記所での登記を行うことができるとして良いのかという点である。 決議無効確認の訴え提訴期間満了が存在したかどうかは、公正証書の提出によっては明確にはならない。また登記官は権限の性質上確認することができず、その確認は裁判所に属するものである。 本件株主総会決議は、公の秩序に関するものではないと判断することはできない。当該判断も裁判所に属するものである。2007年最高裁判所判決第596号は「株主総会決議の分野における公の秩序という概念は不確定であると言え (…)当該決議が株主総会に不参加の株主及び少数株主保護への攻撃と推測される場合に適用される、としている。 本件異議申立書は、決議の無効性確認の提訴期限満了と、決議の有効性を混同している。決議の無効性確認の提訴期限満了はすなわち無効性を取り消し、有効に取り変わるものではなく、無効性の確認請求という形では異議申し立てができなくなるだけである。 決議の無効性が確認された場合、取締役は法の遵守を要求され、株主総会にて決議を取り消す、あるいは必要な場合には、法に沿うように、該当する決議に代わるような決議を採択するなどの必要なアクションを取る必要がある。 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 Pedro Blanco va@vila.es 2018年7月6日

取締役の報酬とその定款自治

地方高等裁判所及び公証・登記局は今日までの判決、決定において、資本会社の取締役の報酬に関し、二つの異なる制度が存在するという姿勢を示してきた。これは以下のように解釈されていた。 取締役の報酬に関する規定である資本会社法(Ley de Sociedades de Capital)第217条は、取締役の機能、つまり意思決定や監督業務にかかる報酬についてのみ言及している。 取締役会の権限委譲に関する規定である資本会社法第249条は、執行権者の機能、つまり、会社の通常業務にかかる報酬についてのみ言及している。 取締役に対する二重の報酬システムによって、取締役の報酬は定款自治の範囲に委ねられていると理解されており、従って、報酬の上限金額は株主総会による承認の対象である一方、当該報酬の制限は代表取締役の執行権機能への報酬に影響を及ぼさないため、特別決議による承認は取締役会によって行われ、株主総会の承認対象とされていなかった。 2015年9月10日付、バルセロナ商事裁判所第9法廷に、商業登記所の登記拒否についての異議申し立てが提起された。拒否された登記項目は以下である。 取締役の職務は無報酬とする。ただし、取締役会が存在する場合、取締役会によって執行取締役の執行権限の行使について必要と認める場合には、株主総会の承認も、定款における報酬に関する特別な規定がなくとも、資本会社法第249条第2項の規定の適用による。 上記条項にしたがえば、代表取締役の執行取締役としての報酬は、定款自治も株主総会の承認も必要とせず、前述の報酬制度の二重性を継続することになる。 しかしながら商業登記所は、定款自治の原則を侵害していることを理由に条項の登記を拒否した。原告の主張を退けた第一審の判決を不服とし、控訴した第二審では第一審の判決を覆し原告の主張を認められた。登記官はこれを不服とし、本件を上告した。2018年2月26日付最高裁判所判決第98/2018号は、以下の論旨に基づき、前述の報酬の二重構造性を否定した。 本二重構造は「執行取締役の報酬の透明性を著しく損ない、株主の権利、特に少数株主の権利に悪影響を及ぼす」なぜなら、取締役の報酬決定における株主総会の重要な役割を制限することになるためである。 代表取締役の報酬が一番重要になるのは、取締役会の設置時である。従って、会社の定款自治の適用がされず、さらに資本会社法第217条第4項に規定する要件、つまり、取締役の報酬の比例性原則も適用されるというのは合理的ではない。 取締役という役職には、審議・監督役としての権限とともに、執行役としての権限も付与されており、それらの権限の区別を要さない。 取締役を選任する場合、一人あるいは数人のメンバーへの執行権限の委譲を行うが、しかしながら、これらの権限は、すべての取締役もしくは、彼らの権限の「委任」を決定する取締役会に固有のものであり、よって、取締役の業務に差異はなく、それ自体の規制が必要となる。 資本会社法第217条は、取締役もしくは委任型執行役員かによって差別的に適用すべきではなく、同時に、資本会社法第218及び9条も、全ての代表取締役の報酬に適用できると理解する。 a) 両方の条項は第217条項およびその解釈と密接に関連しているため、第218条および第219条が取締役の報酬制度に適用可能である場合、第217条もまた適用されるべきである。 b) 両条項において定款自治の要件が参照として反復されているため、資本会社法第217条も、これを規定する。 取締役の報酬システムの統一の結果として、執行取締役への報酬の分配の際には、以下の点に留意する必要がある。 定款には、無償もしくは報酬の出る役職について明記し、同時に、役職概念に基づいて決定する報酬システムを設定する。 非上場会社においては株主総会の決定により取締役の年間報酬の上限額を定める。資本会社法第249条第4項IIおよび第249条補足i.規定に従い、多数の合意をもっての採決を損なうことなく開催する。 異なる権限を有する取締役間の報酬の分配は、合意により決定する。取締役会において決定する場合、各役員の権限及び責任を考慮しこれを決定する。 結論としては、執行取締役の報酬は、定款自治に従うものであり、従って、定款において規定された限度内である必要があり、その報酬額は、株主総会で毎年承認される必要がある。 Pedro Blanco より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es 2018年3月9日

ヨーロッパの港湾

欧州議会及び欧州理事会規則2017年第352号はスペイン及び欧州の港湾システムを大きく変えるものと考えられる。 本規則は、2019年3月24日に施行されるが、異なる欧州の港間の競争を促進するものであり、世界レベルでの競争力を強化する狙いがある。概して言えば、加盟国の経済を強化するための新たな物流ネットワークを構築することを目的として、港湾システム及び物流システムの様々な局面において改善するものである。 本規則は第1条で港湾システムに設けられる変更について定めている。   港湾サービスの提供のための枠組みを設ける。本規則で規制される港湾サービスとは以下のものである : 燃料の供給、荷物の操作、係留、乗客へのサービス、貨物の残留物及び船舶廃棄物の回収、水先案内、タグボート。 財務の透明化及び港湾サービスと港湾インフラの使用料に関する共通ルールを設ける。 上記2.にあたる措置は、とりわけヨーロッパ港湾管轄当局間の透明性及び自由競争を促すような法的枠組みの確立に資することになり、ひいては、ヨーロッパの港湾を国ごとの港湾施設ではなく、同じ法制度に則る、統合、統一、調和されたヨーロッパの港湾施設とみなされるようにするといった本規則の制定目的の実現に寄与するため、最も重要なものとなる。 本規則おける最も重要な点を以下に挙げる。 1. 港湾サービスの提供に関して、本規制第3条は、同サービスを提供する市場へのアクセスには様々な要件が課されることとしており、サービス提供者数の制限や、公共サービスの義務をサービス提供者に対し課すことが可能となり、さらには、内部オペレーターに関しても規制を設けることができる。 2. 本規則の適用は、EU加盟国の自国内の労働、労働規約に影響を与えることはない。つまり、本規則を自国法に適用するに際して、一般的に、自国の労働法、労使協定及び労働者の権利を尊重しなければならない。 3. 本規則第3章は、財務の透明性及び自治性を規定する。つまり、管轄当局、港湾施設の管理機関及び港湾サービスを提供する他の団体の間における財務関係は以下に挙げる点において、透明性の高い会計処理を求められている。 a) 港湾施設管理者の管理下にある公的資金 b) 公的企業もしくは公的金融機関の仲介によって公的機関の管理下にある公的資金 c) 上記公的資金の最終的な使用用途 4. 透明性に関しては、業者選択手続きの開示もまた重要となる。以下に挙げる点を保証するために、公共サービスの提供者を義務付ける一連の事例が確立されている。 a) 全ての利用者へのアクセス b) 年間を通してのサービスの提供 c) 安全性 d) 環境保護 e) 領土的結束 5. さらには、有効な競争にさらされていないサービス提供価格及び、第6条第1項b)に規定されている、透明な方法で、公正かつ区別なく、提供されるサービスに見合ったサービス価格を港湾サービス提供者が設定するように義務を課す。 6. EU加盟国は、いかなる時でも様々な港湾インフラの使用料を確定する義務がある。こうすることで、港湾サービスの管理者が以後重ねてサービス料を徴収することを妨げることに結びつく。 本規則は、スペイン及びヨーロッパの港湾・物流システムに大きな変化をもたらすものとなろう。スペインのように大規模な物流インフラ、良好な港湾ネットワーク、低価格を持つ国は、規則の施行時に、国外の輸入ネットワークから透明性と競争力を持つ商品の入荷拠点とみなされるように、2019年までの本規則を導入の機会を利用するべきである。 Pedro Blanco Guardado より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es 2018年2月2日

企業の非財務情報開示義務

2014年10月22日付欧州議会・欧州理事会指令2014/95 /EUは、それまでのEU指令2013/34 /EUを修正するもので、特定の大規模事業・グループ会社に対し、非財務情報及び多様性に関する情報の開示義務を課すものである。本修正の目的は「持続可能性へのリスクを確認し、投資家、消費者および社会全般の信頼を高める」ことであった。 上記をふまえ、年次コーポレートガバナンス報告書の内容は、以下を含むように拡大された。 年齢、性別、障害、トレーニング、職務経験に関連する多様性政策の開示。 非財務情報又は環境、社会、雇用問題、人権及び汚職対策に関する企業の社会的責任に関連する情報開示。 後者の内容には、企業、サプライチェーンあるいは下請け企業(必要に応じて)によって適用されるデューデリジェンス手続きに関する情報と、リスクの識別・評価・検証及び管理のための措置およびその適用方法が含まれていなければならない。 上記の情報提供にあたって、企業は以下の枠組みに基づかなければならない。 国内法の枠組み 環境管理監査制度(EMAS: Eco-Management and Audit Scheme) のようなEU法の枠組み 以下に挙げるような国際法の枠組み a) 国際連合ビジネスと人権に関する指導原則 b) 経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針 c) 国際標準化機構(ISO)発行のISO26000:組織の社会的責任に関する国際規格 d) 国際労働機関(ILO)による、多国籍の企業及び社会政策に関する原則の三者宣言 e) GRIによって策定されるサステナビリティ報告書のガイドライン f) その他 商法、資本会社法及び会計監査法を改正した2017年11月24日付勅令第18/2017号によって、非財務情報・多様性情報開示に関するEU指令はスペイン法に組み込まれることとなった。資本会社の新しい義務は以下のとおりである。 以下に該当する全ての資本会社は、企業の多様性に関する指針および、非財務情報に関する指針を開示しなければならない。 会計監査法に基づき公益団体とみなされる法人。つまり、 a) 証券取引市場での取引が認められている有価証券の発行体、信用機関および監督及び管理下に置かれている保険会社 b) 公的重要性、事業体の規模、従業員数の観点から法令に従って決定される事業体。 c) 親会社が上記a)およびb)に属するグループ会社 上記 のみではなく、以下の条件も満たす場合 a) 1事業年度中の平均従業員数が500名を超える場合 b) 2事業年度連続で以下に挙げる条件を満たしている場合。 i. 資産項目の合計が2千万ユーロを越えている場合 ii. 年間売上高の純額が4千万ユーロを越えている場合 iii.1事業年度中の平均従業員数が250名を超える場合 商法第49条第6項によると、非財務情報には「グループの進化、成果、状況を理解するために必要な情報、少なくとも環境問題及び社会、雇用、人権、汚職対策に関連する活動の影響」を含まねばならない。加えて、以下のものも含める必要がある。 グループの経営モデルの概要 上記商法第49条第6項の問題に関してグループが適用する方針の説明 適用された方針の結果 グループの活動に関連して商法第49条第6項の問題の主要なリスク、必要な場合は、それらの分野においてネガティブな影響を与える可能性があるビジネス関係、製品あるいはサービスについて。かつ、どのようにグループが本リスク管理をするのか 特定の企業活動に関する非財務指標   企業が前述の観点で予見された問題に対していずれの方針も適用しない場合、本件に関し明確で釈明可能な説明を提供しなければならない。 Pedro Blanco より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es 2018年1月12日

消費者紛争調停:EU指令2013/11 の置換

欧州における消費者の法的保護は、以下に述べる二つに区分化された段階を経て長い道のりを歩んできた。 消費者に関わる様々な原則と権利の認識 前項で認識された消費者の権利を行使するための適切な取り決めの確立 現在、我々は第2段階にあり、欧州議会及び欧州理事会は、消費者保護が完全に実現するように様々な規則を発行し始めている。 2013年5月21日付欧州議会及び理事会指令第2013/11号は、EU内に居住する消費者に対し、いかなる加盟国内に設立された会社との紛争を解決する可能性を、消費者紛争の裁判外紛争解決の手続きを提供する機関を通じて保障することを各加盟国に義務付けている。 当該任務の遂行のために、上記機関は管轄当局による認可を自主的に申請することができる。管轄当局は、本指令に定められたすべての要件の達成に関する分析と評価を行った後に決定を下す。 消費者紛争の裁判外紛争解決に関する2017年11月2日付スペイン法第7/2017号は、前述のEU指令をスペイン国内法に置き換えるものである。第1条によれば、本法の目的はEU加盟国に居住する消費者に対し、独立性、公平性、透明性、有効性及び迅速性に基づく質の高い裁判外紛争解決のメカニズムへのアクセスを、EU指令によって付与された原則を維持するために、保証することである。 本法第1条には、以下のように、裁判外紛争解決機関の認可のための最重要要件が規定されている。 裁判外紛争解決機関はスペイン国内に設置されなければならない。 同機関は、恒久的に存在しうる機関であることが記された定款あるいは運営規定を持ち、市民が簡単にアクセスできるようでなければばらない。また、ここには、運営及び資金調達に関する情報及び、機関が解決する紛争の種類、紛争解決の手続に関する情報、紛争解決担当者の任命方法、紛争解決担当者の資格及び経験に関する情報も併せて織り込まれていなければならない。 同機関は国内あるいは国境を越えた消費者紛争を解決しなければならない。 同機関は、独立性、公平性、透明性、有効性、迅速性および公正性の原則を尊重せねばならない。 裁判外紛争解決手続への参加は、両当事者による自主的なものでなければならない。 同機関は、両当事者に対して、弁護士又はリーガル・アドバイザーを選任することは義務的なものではないこと、及び、弁護士を任命する場合には、訴えの提出から3日以内に同機関に知らせなければならないことを知らせる義務を負う。 紛争解決手続費用は、無償である。 手続へのアクセスはシンプル且つ簡単に識別可能であること。オンラインアクセスも可能であること。 紛争解決手続前に消費者と会社間で、法的拘束力のある結果をもたらさない手続に従うことを目的として結ばれた合意は、消費者を拘束しない。 紛争解決手続の結果は、請求の申請日から、あるいは手続開始のために必要な書類がすべて受領された日から最長90日以内に発表される。 スペイン法によれば、管轄当局は機関を認可した後、本機関の情報をスペイン消費·食糧安全·栄養局(Agencia Española de Consumo, Seguridad Alimentaria y Nutrición)に送付し、スペイン国内に存在する機関のリストに加えることとなる。当該リストは、上記官庁のウェブサイト上で簡単に閲覧可能となる。また、この情報は同機関がヨーロッパの認可機関としてリストに追加され、欧州理事会のウェブサイト上で発表されることを目的として欧州理事会にも送付される。 今後EUの消費者は、どの加盟国に居住しているかにかかわらず、裁判外紛争解決システムへのアクセスを確保することができることとなる。それは、消費者のような脆弱なグループにとってさらなる保護となりうるだろう。 Pedro Blanco Guardado より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年11月10日

移転価格 : 国別報告書交換に関する多国当局間協定について

経済協力開発機構(OECD)の勧告に従いスペインは、 2015年勅令第634号法人税規則を定めた2014年勅令法第27号法人税法に 、他の経済的データとともに税務当局への納税法人税に関する「国別」報告書の提出義務を追加した。 両規定によれば、2016年1月1日以降、以下に当てはまる企業は上記報告義務を有する。 A) スペインに住所を有する多国籍企業のうち以下の二つの条件を満たす場合 前会計年度で売上高が750百万ユーロを超えている場合 企業グループが市場支配的地位を有する場合 B) 自動的情報交換に関する租税協定が締結されていない地域に住所を有する子会社を持つ場合 上記義務と関連してスペインは2016年1月、税源侵食、過度な節税計画及び人為的企業利益移転に対抗するBEPS計画を定める税務当局間の多国間協定に署名した。同協定への署名により、署名国の税務当局は、協定が既に発効している国の税務当局及び国際的な企業グループが存在する国の全ての税務当局に「国別」報告書を速やかに送付することを約束することとなる。 同協定により2017年9月以降、政府間情報共有システムが有効になり情報交換が自動化される、と定められているため、当局間の自動的情報交換は既に開始されているはずである。 同協定は以下を規定する。 情報交換の期間と方法。各国当局は多国籍グループ企業の会計年度の最終日から15ヶ月以内に報告書を交換しなければならない(初年度は例外的期間として18ヶ月とする) 他国当局の報告書に過誤を見つけた場合の伝達及び是正措置の方法。 機密保持義務、データ保護および情報の適切な使用。 各国関係当局間の協議手続方法。 2017年7月6日現在EU主要加盟各国、中国、ロシア、及び日本などを含む65カ国が既に当該協定に署名し、更に多くの新規国が署名予定にある。当該協定の適切な運用のために、各国は以下のうちどの方法をとりたいかの意思を伝える必要がある。 非相互司法共助(国当局は国内の多国籍企業からの情報を報告するが、他国からの情報は受けない)あるいは、相互司法共助(国当局は多国籍企業からの情報を報告し、かつ他国からの情報も受ける)のどちらを希望するのか。 当該協定をすべての署名国との間に適用するのか 、あるいは特定の国とのみ情報交換を希望するのか。 国際社会は、不正行為や国際的な税制の多様性を利用した過度な節税計画を伴うビジネス慣行を回避する必要性を認識している。 当該協定の適用開始は、多国籍企業グループによる脱税撲滅のための大きな一歩であり、署名国間の租税情報の交換を簡素化することで、脱税の発覚をも簡素化するであろう。 今後多国籍企業グループは、納税義務履行に大きな注意を払わなければならないであろう。 Pedro Blanco Guardado より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年10月6日    

EU商標に関する新規制

2016年3月23日、従来の欧州共同体商標規則を改正する欧州連合(EU)規則第2015/2424号が施行された。当該改正規則には、新たに欧州連合知的財産庁(EUIPO)となった管轄官庁の名称変更、欧州連合商標(EUTM)となった欧州共同体商標を表す名称変更および商標の手数料システムの改定が、他の改正とともに含まれる。 他方、従前の規則には、二次法による実装が必要な条項が複数含まれており、これらは2017年10月1日に施行予定となっていた。最終的には、欧州連合商標に関する規則の特定の条項を実施するための細則を欧州連合(EU)実施規則第2017/1431号において規定し、欧州委員会委任規則第2017/1430号によって補完されることとなっている。 上記二つの規則の主要な改正点を、以下に3つ掲げる。 商標の視覚的表示とその種類 EU証明商標 手続きの変更 商標の視覚的表示要件条項は今後必須要項ではなくなり、一般的に利用できる技術を使用すれば、あらゆる形式で表記することが可能になった一方、その最終的な表示形態は明確かつ正確で不備の無いこと、わかりやすい場所に読み易く示され、且つ耐久性と客観性を備えることが求められる。 本改正の目的は、利用者の法的確実性を高め、手続き時の異議申立件数を減らすことにある。 そのために、実施規則第3条は、技術要件を含む、最も一般的な種類の商標の提示のための規範および特定の要件を確立する。 最も頻繁に利用される種類の商標の技術要件の要約を以下の表に示す。 商標の種類 説明の要否 フォーマット要件 名称 否 指定なし 造形 否 JPEG 形状 否 JPEG OBJ STL X3D 位置 随意 JPEG パターン 随意 JPEG 色彩 (単色) 否 JPEG 色彩 (二色以上) 随意 JPEG 音声 否 JPEG MP3 (最大2 Mb) 動き商標 随意 JPEG MP4 (最大20 Mb) マルチメディア 否 MP4 (最大20 Mb) ホログラム 否 JPEG MP4…

EU加盟国の裁判管轄 : 自然人と法人

エストニアの最高裁判所(Riigikohus)は、裁判管轄権の有無の判断を求める上告審を結審する前に、CJEU(欧州司法裁判所)へ管轄権に関する解釈判断を仰ぐ決定を下した。 上告審に至った経緯は以下である。エストニアの企業Bolagsupplysningen OÜは、エストニアに利益拠点を維持しながら、ビジネス活動の主な拠点はスウェーデンにあった。ある時点で、スウェーデンの商工会連Svenks Handel ABのウェブサイトに同会社がブラックリストの一員として掲載され、それに反応して1000にも上るコメントが記載されることとなり、同社の評判が著しく傷つけられることとなった。 これらの事実及び生じた損害に基づき、Bolagsupplysningen OÜはスウェーデンの商工会連に対する訴訟をエストニアの裁判所に申し立てた。同社の請求は以下の二点である。 連盟のウェブサイトに掲載されている情報及びコメントの削除 損害賠償として634,99ユーロの支払い 本案件はエストニア最高裁判所まで争われ,すでに前述したように、同裁判所は欧州司法裁判所に、被害を被ったのが法人であった場合のブリュッセル. Ⅰ規則(欧州議会及び理事会規則No 1257/2012)第7条第2項の適用の有効性、法人の場合における「利益拠点」の定義を明確にする、などの判断を求めた。 第一の点に関して、ブリュッセル. Ⅰ規則第7条第2項は以下のように規定する。 「EU加盟国内に住所を有する者は、…(2)民事上の不法行為または準違法行為に関わる案件の場合、損害が発生した場所または発生する可能性がある場所の裁判所の所在する他の加盟国で訴訟を起こすことができる」 言い換えると、違法行為または準違法行為問題においては、原告は、被告の住所所在地を管轄地とする住所に関する一般規定であるブリュッセル. Ⅰ規則第5条か、あるいは、損害が発生したあるいは発生する可能性がある場所で損害賠償請求できるとする特別な要件を規定した第7条第2項の間で選択することができる。この場所に関しては、過去の判断において欧州司法裁判所は、人が「利益拠点」を持つ所と解釈している。 これまでは、上記解釈は自然人にのみ適用され、法人への適用を検討されたことがなかった。故にエストニア最高裁判所は審議を行う前に、予備判決を求めたのである。結論を言うと、EU法務官Bobek氏の意見(同氏の意見は、欧州司法裁判所の予備判決の判断の基準として供される)は法人への適用に肯定的であった。Bobek氏は、(自然人か法人かによって)異なる基準を適用するのは正当ではないとした。なぜなら、そのような差異は、自然人が訴訟手続きにおける「弱者」という仮定に基づいているからである。しかしインターネット時代になり、自然人によるオンライン上の情報掲載は以前より格段容易になり状況は変わった、と同氏は述べた。 第2の点に関しては、EU法務官の同氏の意見では、損害が発生する行為がなされた場所は、法人の評判が著しく損なわれた場所でもありうる。必然的にその場所は、法人が利益拠点を有する場所を意味する、とした。この場所の特定には、 Bobek氏は、売上高及びに顧客数、他の専門家とのコンタクトの数など要素として考慮すべきだとした。最後に同氏は、法人が複数の利益拠点を持つ可能性があることを明確にしており、この点を強調するために、原告は、利益拠点の中でも原告のニーズに最も適した場所で訴訟を起こす選択肢を有する、とした。 EU法務官の好意的な意見を考慮しつつ、欧州司法裁判所は近日中に、予備判決に提起された問題に対し最終判断を示さなければならない。欧州司法裁判所の判断も間違いなく肯定的なものになるであろうと予測される。同判断は、自然人あるいは法人であろうと、裁判管轄の決定基準は均一化すべきという流れに貢献することとなろう。   Pedro Blanco Guardado   より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年7月21日