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インターネット及び情報システムの安全に関する新勅令法

2018年9月8日付官報にて新しい勅令法の2018年9月7日勅令法第12号インターネット及び情報システムの安全に関する勅令法が公布され、翌日から施行された。この勅令法は、全面的な視点から、国内とEUとの本分野についての協力体制を容易にし、インターネットや情報システムに影響を与えるような脅威に対する防御策を強化することができるような枠組みを定めることを目的としている。 なお、本勅令法は2016年7月6日付欧州議会及び欧州評議会指令第1148号をスペイン国内法制に置換するものである。 本勅令法の適用対象となるのは、EU域内で事業活動のためにネットワークや情報システムに依存し、かつ、重要なサービスを提供している会社である。また、本勅令法のグローバルな適用を行うために、適用範囲は指令に明白に含まれていない事業分野(特別法制があるにもかかわらず)にも及ぶ。 また、本勅令法は、オンライン・マーケット、サーチエンジン、クラウドサービスといった特定のデジタルサービス業者にも適用がされる。 欧州指令に沿って、本勅令法はネットワーク及び情報システムの保護を保証する必要がある事業分野を特定し、また、当該事業分野における重要なサービスの特定のための手続きや、重要なサービスを提供する主要なオペレーターを定めている。これらは本勅令法の適用対象となる。 重要なサービスのオペレーター及びデジタルサービスのプロバイダは、適切かつネットワーク及び情報システムの安全にとって考えうるリスクに応じた技術対策及び組織対策を採用しなければならない。当該対策を外注することは可能である。 重要サービスのオペレーターは情報安全責任者として個人、団体又は組織を任命し、管轄当局に対して届け出なければならない。情報安全責任者は管轄当局との連絡窓口や技術協力を担う。 デジタルサービスプロバイダは、少なくとも技術の発展と以下の事項を考慮に入れたセキュリティ対策を定めなければならない。 システム及び設備の安全 事故時の対応 継続的対応 監督、監査及び試作 国際的な規則の遵守 本勅令法は、重要サービスオペレーターとデジタルサービスプロバイダに、それらが提供するサービスのために利用されるネットワーク及び情報サービスに生じた事故で、それらサービスに重大な混乱を生じさせるようなものについて、重要サービスに影響を及ぼす可能性のある事象又は事故の届出が予見された時に、届け出ることを要求する。 届出の必要性の判断のため、事故の重要性は少なくとも以下の要素を考慮して判断される。 重要なサービスの混乱により影響を受けたユーザーの数 事故が生じた期間 当該事故の拡大範囲又は地理的範囲 サービスの機能が妨害された程度 経済活動及び重要な会社への影響の範囲 重要サービスの提供における被害を受けたシステム又は情報の重要性 風評被害 この届出義務を怠った場合は、最高で1,000,000ユーロの罰金が課せられる。 露木美加 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年10月5日

破産財産として競売された不動産の担保抹消登記

2018年7月20日付の登記・公証局の決定は、破産手続きの一環として裁判所による競売で落札された破産財団に属する不動産に担保登記がされていた場合、当該担保の登記を抹消するための要件を明確に示した。 担保の抹消登記は商事裁判所書記官によって作成された裁判所の命令を付して申請されたが、登記官は以下の理由により当該申請を却下した。 担保登記の抹消を行うには、担保権者が破産計画に同意したこと及び当該担保の被保証債権が特別優先債権として弁済されることに関してなされた措置が明確に示されなければならない。提出された当該不動産の競売時の書類には、破産管財人は当該不動産について「担保の設定なし」としており、当該不動産について担保が付されていたことは言及されていない。したがって、被保証債権の債権者宛に当該担保不動産の競売に関する具体的な通知がされた事実が確認できない。 上記の却下理由に対して会社側は、当該不動産の競売は債権者集会で承認された破産計画に従って実施がされ、それについて官報に公示がされており、担保権者はそれらについて特段の異議申し立てを行なっていないことを理由に、担保権者は当該不動産の担保が抹消されることについて認識をしていたと主張し、異議を申し立てた。 登記・公証局は、担保登記の抹消の要件について、以下の見解を述べた。 不動産担保が付された債権が破産手続きの前又は手続き中に消滅した場合には、破産管財人は当該不動産を「担保設定なし」として競売にかけることができると言えるだろう。しかし、公示の原則から、債権者と債務者との間で民法の定める原因に基づき担保が消滅していたとしても、担保の登記が抹消されない限り、担保は対第三者に対して有効に存在し続ける。 また、破産手続きにおいて物権(担保権)が正しく認識されていなかった場合、破産手続きにおいて債権者リストを作成するにあたっては、債権者の届出を元に行われるが、法は届出がされない債権であっても強制的に債権者リストに含めるべき債権を定めており、その中のひとつが登記された担保によって保証された債権である。そして、破産財団において、実際には担保が設定されているにもかかわらず担保の設定なしとされた財産について、それだけをもって当該担保が消滅したことを意味するのではない。 結論として、破産手続きにおいて財産または権利が、実際には担保が設定されているにもかかわらず担保なしとして競売された場合、当該競売は根本的に無効であり、登記官は担保登記の抹消申請を却下しなければならない。登記官は裁判所における手続きが適切に行われたかを評価することはできないが、担保登記の抹消を命じる裁判所の命令において、担保による保証がされている債権の債権者の権利を守るための法的要件を充たしているかを確認することはできる。 本件では、裁判所による担保登記抹消命令において、被保証債権の債権者が破産手続きに個人的に出頭したことも、破産計画が承認された際に被保証債権の債権者に通知がされた事実も、当該債権が特別優先債権として取り扱われたことに関する事項も、当該不動産にかかる競売の結果が当該債権者に通知がされた事実も、記載されていない。したがって、法的要件が満たされていると評価することはできない、として、異議申立てを却下した。 大友美加 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年8月31日

株主の付随的義務

資本会社法第86条第1項によれば、スペインの資本会社は、定款で株主の付随的義務を定めることができる。 2018年6月26日付登記・公証局決定が出されたケースでは、スペインの合同会社の株主が、定款変更について満場一致で可決した。当該定款変更によれば、家族関係を有する者に該当する株主についてのみ、家族株主の取り決めにて合意されたところにしたがって無償で株主の付随的義務を課すとされ、その旨が公正証書に記載された。 当該公正証書は登記のために商業登記所に提出がされたが、登記官は、株主の付随的給付を定める定款の規定が、株主の付随的給付の具体的かつ明確な内容を要請する資本会社法第86条に反することを理由に、登記を認めなかった。そのため、異議申し立てがなされた。 登記・公証局は、まず家族株主の取り決めについては、学説・実務の双方において認められていることを確認した。 その後、資本会社法第86条は株主の付随的義務の「具体的かつ明確な内容」という表現を用いて、当該義務の基本的な特徴を定款で定めることを要求しているとし、その内容を特定するにあたって特別な厳格さの必要性は軽減されるとした。関係者間の関係の明確性及び安定性を確保するために、付随的義務を行う際の基本条件又は基準を定めることは必要となる。そして、民法1271条以降の条文を考慮すると、当事者間で新たに合意を結ぶ必要がない程度に条件が定められている限り、ある一定範囲について未確定であることを認めていると結論づけた。したがって、絶対的かつ全体的に条件や決定が定まっている場合のみならず主要又は大半が定まっている場合も許容されるが、後者の場合には当事者間で新たに合意を行う必要がない程度に基準が定められていなければならない。 本件においては、本件株主の付随的義務は公正証書において完全に特定されており、株主の付随的義務の全体の内容は定款の範囲外で、内容の予測可能な程度に定款で定められており、現在の株主のみならず将来の株主によっても付随的義務の条件や内容を確認されることができると評価された。 結果として、登記・公証局は問題となっていた定款規定について登記可能と判断した。 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 大友美加 va@vila.es 2018年7月27日

株主の退社権行使と株主総会による事前承認の要否

ある合同会社(Sociedad Limitada)の取締役は、会社に生じた利益の全てを資本準備金にするとの利益処分案を株主総会に提案した。当該提案は承認可決されたが、株主の一人が、当該利益について配当に回し、資本準備金に回す金額は多くても利益の半分にしたいとして、反対票を投じた。当該株主は会社に対して資本会社法第348条に従って少数株主の退社権の行使の通知をし、当該通知において、自身が保有する株式の価値評価を目的とする株主総会の開催を要請した。当該株主は上記通知を繰り返し行ったが会社から回答を得られなかったため、資本会社法に定められている商業登記所を通じた手続きを開始すると告げた。 このことが会社に通知されると、会社の取締役は当該株主の要請に対して異議を申し立てたが、商業登記官は会社の異議を認めず、商業登記規則第363条に従って、株式の価値評価のための鑑定人を選任する旨の決定を行った。 上記商業登記官の決定について、会社は登記・公証局(DGRN)に対し不服申立てを提出した。 DGRNは2018年3月13日付の決定において、会社の主張内容を以下の3つに分類した。 株主の退社権の根拠について管轄を有するのは裁判所であり、商業登記官ではない。 株主の退社権について株主総会は何の宣告も行なっていない。 本件株主の退社権行使は脱法行為であるのではないかとの疑念を抱いている。 そのうえで、DGRNは各主張についての見解を述べ、最終的には会社の主張を認めなかった。 上記主張のうち株主総会の事前の宣告についてDGRNは、最高裁判所判例によれば、株主の退社権の行使は、法がその行使の可能性を認めている株主に独占的に帰属するものであるとした。そして、株主による退社権の行使に先立って、株主総会や取締役会からの承認をする必要がなく、当該権利の行使について会社に通知がされれば、資本会社法第353条及びそれに続く条項の定めるところに従い、その効力が発生すると示した。つまり、株主の退社権行使は、株主総会や経営組織の事前の決定や審議に条件付けられるものではなく、株主総会が合意したところに従わなければならないものでもないと結論づけた。 大友美加 詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年6月15日

EUのフェイクニュース対策

2018年4月26日、欧州委員会はオンライン上のフェイクニュース対策にかかる一連の措置を公表した。FacebookやCambridge Analyticaが最近公表した内容で、選挙の状況においてどのように個人情報を取得することができるかが判明し、民主主義の過程を保証するために適切な方法を考える良い契機となった。欧州委員会はヨーロッパの価値とセキュリティを保護するためにフェイクニュース対策のための第一歩を講ずる。 フェイクニュース対策の一連措置 欧州委員会が提案した一連のフェイクニュース対策のうち、以下のものは言及に値するだろう。 (1) フェイクニュースに関する行動規範   7月までに、第一歩として、オンライン・プラットフォームは、以下を目的とした共通の行動規範を作成し、採用しなければならない。 (i) 提供された内容、特に政治色のある広告の透明性の確保。例えばこの種の広告提供の目的の範囲を制限し、フェイクニュースのベクトルが入り込むのを減らす。 (ii) アルゴリズム機能についてより大きな透明性を提供し、第三者による確認が可能なものとする。 (iii) ユーザーが、他の観点から書かれた記事を見つけやすく、かつ、アクセスしやすい環境を作る。 (iv) フェイクアカウントを特定し、クローズさせるための対策を講じ、「ゾンビ」アカウントの問題に対処する。 (v) 情報の検証・調査を行う者及び公的機関が永続的にフェイクニュースをコントロールできる権限を与える。 (2) 情報の検証のためのヨーロッパ独立ネット 共通の業務メソッドを制定し、より良い行為についての情報交換をしEU全域のデータの確認を可能な限り行うために努力する。情報検証者は「情報検証ネットワーク(International Factchecking Network)」のメンバーから選ばれ、国際情報検証行為規範に従う。 (3) フェイクニュースについてセキュリティが施されたオンライン・プラットフォーム 情報検証者や関連した学術研究者が国際データの収集や分析を行うためのネットワーク及びEU域内のアクセスをサポートするためのプラットフォームの構築を行う。 (4) メディア・リテラシーの促進 メディア・リテラシーが高いレベルにあることは、すなわち、EU市民がオンライン上のフェイクニュースを見抜き、インターネットの内容について批判的な視点で見ることができることを意味する。この目的で、欧州委員会は情報検証者及び民間団体が教育機関や教育者向けの教材を作成し、「メディア・リテラシー週間」を制定することを助成する。 (5) 選挙の弾力性を保証するためのEU加盟国の支援 日増しに複雑になるサイバーの脅威、特にオンライン上のフェイクニュースやサイバー・アタックからEU加盟国を保護する。 (6) オンラインの自主的な個人特定システムの促進 トレーサビリティ及び情報提供者の特定を改善し、オンラインの交流や情報及び情報源の信用性を高める。 (7) 情報の質及び多様性の支援 欧州委員会は、多元的、多様性かつ持続可能なメディアの環境を保証するためにジャーナリズムの質を維持する支援を高めることを加盟国に伝えた。欧州委員会は2018年に、データを取り扱うニュース・メディアを通じたEU関連事案にかかる質が確保されたニュースの作成及び拡散のための提案のための会議を招集する予定である。 (8) 調和された戦略コミュニケーション方針 この方針は、欧州委員会によって作成がされ、オンラインのフェイクニュースに関する現在及び将来のイニシアチブと各加盟国のイニシアチブとが組み合わされる予定である。この方針は、ヨーロッパに関する偽情報に対峙しEU内外のフェイクニュースに抵抗するためになされる流布行為を含む。 次のステップ 欧州委員会は、近日中に複数の関係者で構成されるフォーラムを招集し、オンライン・プラットフォームや広告業、大手広告会社を含む関係者間の有効な協力のための枠組みを作成し、フェイクニュース対策への努力について協調して高めていくことを保証する。このフォーラムの最初の成果物は2018年7月までに公表され、同年10月までにその効果が測られる「フェイクニュースに対する行為規範」となる予定である。 2018年12月までに欧州委員会はそれまでの進展についてのレポートを発行する。当該レポートでは継続したモニタリングと予定された活動の評価を保証するための更なる対策が必要かどうかについても検証する。 大友美加 詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年5月11日

少数株主の監査人選任申請権

スペイン資本会社法第265条第2項は、計算書類の監査が義務付けられていない会社について、その発行済株式の5%以上を有する少数株主は、会社の本店所在地を管轄する商業登記官に、事業年度終了日から3ヶ月を経過する前であればいつでも、当該事業年度に係る計算書類の監査をするための監査人の選任を要請することができると定めている。 この少数株主の監査人選任要請の権利と会社の自主的に選任した監査人とで競合した場合について2018年2月20日付け決定において登記・公証局が見解を示した。 本事案では、計算書類への監査が義務付けられていない会社が自主的に監査人を選任し、その登記がされていた。しかしながら、当該監査人は定年により退任することとなったため、結果として2014事業年度の計算書類の監査を行うことができなかった。 他方、会社の少数株主は2014事業年度の計算書類について監査人選任の申請を商業登記所に提出したが、既に会社によって監査人が選任されその登記がされており、少数株主の利益は保護されているとして、当該申請は却下された。 2017年11月6日、会社は2014事業年度計算書類の監査のため新たに監査人を選任したが、当該選任にかかる登記申請が商業登記所によって却下された。 商業登記所は、少数株主の権利を守るため、会社による監査人の選任が認められる要件として、(i) 会社による監査人の選任が少数株主の監査人選任申請よりも前であること、及び(ii) 監査人の登記がされ、又は少数株主に監査報告書の提出がされる等、少数株主の権利が保証されていることが必要として、会社による新たな監査人の選任は上記の(i)を満たさないため、少数株主の権利を害し、認められないと判断した。また、既に選任された監査人が監査を行うことができない場合には、新たな監査人を選任する管轄は商業登記官にあるとした。 これに対し会社から異議が申し立てられたため、登記・公証局へと判断が送られた。 登記・公証局は、少数株主の監査人選任申請の権利について、以下の見解を示した。 (i) 法は少数株主に対して商業登記官によって選任される監査人による計算書類の監査請求権を与えているが、この権利は絶対的なものではなく、それ自身の規定により、申請期間や行使の法的適格において、制限が課せられている。 (ii) 少数株主について保護法益が存在しない場合には、資本会社法第265条第2項の前提が損なわれる。 (iii) 資本会社法第265条第2項の目的は、会社から独立した専門家による会計監査を請求する権利を少数株主に与えることで、会社の組織内における少数株主の地位の強化を図ることにある。監査人が登記官によって選任されていようと、会社によって選任されていようと、会計監査登記がされた監査人が、監査規程やその他の監査活動を規定する規則に基づいて監査をするのであれば、少数株主の監査人選任請求権を認める法の目的を害することにはならない。 そして、本事案では会社による監査人の選任は少数株主の監査人選任申請がされるよりも前になされ、登記もされていることから、この時点以降、少数株主の利益は保護されているとした。また、選任されていた監査人が定年退職し、会社がその後任として新たな監査役を選任したとしても、上記結論に何ら変わりはないとした。 大友美加 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年4月6日

株主総会の招集後の議案変更−取締役会決議の要否-

資本会社法第166条によれば、株主総会の招集決定権は、清算中の会社を除き、法により会社の取締役に独占的に属する。 本稿で取り扱うテーマの事案は次のとおりである。 株式会社(Sociedad Anónima)で、取締役会の決議に基づき招集が決定された株主総会について、招集通知が官報に公示された後、少数株主から議案について補足要請があった場合、当該招集内容の変更に関して取締役会決議を行う必要があるのかが問題となった。 この点につき、登記・公証局(DGRN)の2018年1月31日付決定は、株式会社が株主総会を招集した場合、資本会社法第172条のいうところの招集内容の変更について、資本会社法は、取締役会の事前の決議を求めているかどうかの検証が不可欠であるとし、次のとおり検証している。 – 資本会社法第166条により、株主総会の招集権限は、法によって独占的に取締役に与えられている。 – 株主総会の招集権、議案の作成及び議案の提出権は委譲することができない。 – 法はこの権限を共同体としての取締役に与えており、各人に与えているのではない、したがい、取締役会が経営組織である会社においては、取締役会の決議という形で招集を決定しなければならない。 – 株主総会決議は、法の定める定足数を充たしていることのみならず、議案を含む事前の招集手続きが合法に行われていることを条件として有効に成立する。 – 株主総会招集権限が取締役会にあるということは、もし取締役会が開催されない場合、その意思は取締役会議長や取締役のうちの一人によって補われることはできず、法的手続きによる株主総会の招集を行わなければならない。そうでない場合、招集無効として、当該招集に基づいて開催された株主総会で行われた決議も無効となる。 – この取締役会の独占的な株主総会招集権は、資本会社法第172条に定める株主による招集内容の補足要請がある場合にまで拡大される。2013年10月1日付登記・公証局の決定は類似の案件について、以下のように述べている。「経営組織は法により株主総会招集権を独占的に与えられている。これは、5%以上の株式を保有する少数株主の要請がある場合にも同様である。」したがって、本件においても、取締役会の一員の資格で単独で招集を行う余地はなく、常に取締役会として定款の定める定足数に従った決議により招集を行わなければならない。 結論として、株主総会の招集手続きに不備が見受けられる場合または株主総会決意が無効であるような場合には、登記官は当該会社の決議内容の登記を却下せざるを得ないと示した。 大友美加 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es 2018年2月23日  

商号の同一性の判断基準

スペインにおいて商事会社を設立する際にまずしなければならないことは、新設の会社のための商号が既存の会社の商号と同じものでないことの証明書の申請である。 スペイン資本会社法及び商業登記規則は、会社の商号は、既に登記がされている既存の会社の商号と同一であってはならないと定めている。 2017年11月27日付登記・公証局決定が出された本件事案において、「Tu Gestoría en Línea」という商号の申請に際し、既に「Gestión de Líneas」という商号の会社が存在し、これらの商号は相当程度一致することから、登記官が当該商号申請についての使用を認めなかった。これに対し、申請者は、申請した商号を使用する予定の会社は既存の会社とその目的を異にし、発音も異なることを主張し、異議を申し立てた。 登記・公証局(DGRN)は本件に関し、商号が唯一かつ新しいものであり、錯誤を生じさせない限り、会社は商号を自由に選択することができることを確認した。そして、商号の同一性といった場合には、法がそれを禁止する目的、すなわち、商事会社間の商号の混乱を避けるという目的に基づいて解釈するべきであり、したがって、完全一致の場合に限るのではなく、商号に用いられる言葉の目的、意味、概念、発音の類似といった商号間の混乱を生じさせるような諸要素を考慮し、「ほぼ一致」又は「相当程度一致」場合には、商号の同一性を認めるべきであると述べた。 ただし、商号が完全に一致又は相当程度一致することを禁止するのであって、単に類似性がある商号を禁止するものではないと説明した。 上述を鑑み、登記・公証局は、商号のテキストに合致が存在しない場合には、登記済み商号に加えられた又は除かれた、商号間で異なる記号又は要素によって、商号に混乱を生じさせ得る類似性の感覚を破壊しないような状態が認められることを同一性の判断基準とすることが合理的であると示した。 本件においては、申請された商号と既存商号との間に、異なる商号であるというに足りる十分な要素(文法的な使用法の違いや発音の違い等)が存在することが認められ、結果として商号申請者の異議が認められた。 Mika Otomo より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es 2018年1月19日  

個人情報保護法案

11月10日、スペイン政府は閣議において個人情報保護にかかる組織法案を下院に提出することを承認した。この法案は、2016年4月27日付欧州議会及び欧州理事会規則第679/2016号の規定をスペイン法制に適用するためのものである。当該規則は、2018年5月25日に施行予定である。2017年3月24日付当事務所の記事においても当該規則について述べている。 当該欧州規則はその主たる目的の一つとして、欧州各国の規則の間に存在する取り扱いの齟齬を取り除くこととしている。また、情報技術の急速な発展及び情報化・グローバリゼーション社会の急速な発展に伴い生じている現象に対応する 個人情報保護規定の適用を目的としている。 スペインにおいては、個人情報の保護は憲法で守られている基本的人権の一つであることから、本法案は、本人による同意の制度及び個人情報の取扱いや手続きの面でいくつかの新しい規定を導入している。 未成年及び故人の情報 他の欧州諸国の規定に合わせる形で、個人情報取り扱いの同意が必要となる年齢を13歳まで引き下げる。 故人の個人情報の取り扱いについては、その相続人の申請に従う。黙示の同意という形式は排除され、影響を受ける側による明白かつ同意に肯定的な行為がなされなければならない。また、秘密保持義務についての表明もされなければならない。 直接的に得た個人情報が不正確であった場合、個人情報取扱主任者が当該情報の修正又は削除のために合理的な方法をとったのであれば、当該個人情報取扱責任者は責任を免れる。 個人情報取扱いに関連する問題は、影響を受ける者の情報取り扱いに関する情報を受ける権利に関して透明性の原則を採用しており、アクセス権、修正要求権、削除要請権、取り扱い制限権、データ・ポータビリティの権利及び異議申立て権について明確に考慮に入れられている。 差別的状況の回避 差別的な状況が生じることを回避するため、イデオロギー、支持組合、宗教、性的指向、人種または民族、及び信条といった特別な保護に値する情報の保持が禁じられることは変わらない。これらのカテゴリーにおいては、取り扱いを行うための条件として関係者の同意のみでは十分とされない。 また、新しい個人情報保護法は、立法者が、個人情報取扱主任者が定められた要件を満たすという法的利益の優先や信用情報システムを推定したと見られる規定を採用している。 同時に、新個人情報保護法は、監視カメラや広告排除システム(ロビンソン・リスト。広告統計機能)に関連した、公共の利益の存在が考慮される状況にかかる規定やプライベート・セクターでの内部告発制度にかかる規定を設けている。 その他の新しい点 その他の新しい点のうち、特筆すべきは個人情報保護責任者の強化だろう。個人情報保護責任者は個人または法人であり、指名された者の情報を管轄当局であるスペイン個人情報保護局(AEPD)に届け出なければならない。 手続きに関しては、パブリック・セクター、プライベート・セクターともに自己制御メカニズムの存在が促進され、個人情報の取扱いから生じる潜在的な責任追及に備え、それらが不履行の隠蔽のために消去されることを予防し、個人情報が裁判所、検察その他AEPDのような管轄機関によって利用可能な状態であることを保証するようなブロック義務を導入する。 国際間の個人情報のやり取り 欧州規則は、EU域内市場における活動の結果である国境をまたいだ個人情報の流通の増加によって生じている状況について、急速な情報技術の発展とグローバリゼーションにより、個人情報が情報取扱会社にとって重要なリソースとなっていることを考慮した対応をするものである。 この状況に面し、個人情報が複製され、よりアクセスしやすく、より容易に処理されやすくなった一方、その使用や使用目的の管理がより難しくなったことによるリスクが増加した。 大友美加 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年11月17日

会社の本店移転の容易化― 2017年10月6日勅令法第15号

2017年10月7日付の官報にて、2017年10月6日勅令法第15号「企業の国内における移転に関する緊急措置」(以下「勅令法」)が公布された。この勅令法により、改正資本会社法第285条第2項の修正がされる。 改正資本会社法第285条第2項は、会社が国内で本店移転を行う場合、会社の定款に異なる規定が設けられていない場合に限り、その決定権限は経営組織(取締役や取締役会)にあると規定している。 この条文の解釈において、二つの解釈の見解が存在していた。そのうちの一つによれば、経営組織が本店移転の権限を有することについて「異なる定款の規定」とは、株主総会が本店移転について決める権限を有していると定款に規定があることである、と解釈された。他方の見解によれば、会社の定款で単に補足規定を複製さえすれば、国内の本店移転の決定権限が経営組織に属することに関する株主のその時々の自主性が示されているといえる、と解釈された。この解釈に従えば、「異なる定款の規定」は、改正資本会社法の施行後に、改めて経営組織に本店移転決定権限を与えない旨の明確な意思表表示をする定款変更がされた場合にのみ、存在することになる。 今般の勅令法は、(i) 改正資本会社法第285条第2項は、原則として会社が国内で行う本店移転の決定権限は経営組織に属するとしていること、そして、(ii) もし株主が会社の本店移転の決定権限は株主総会が持つべきだと考える場合には、経営組織に権限が属することを明白に否定する定款変更を行わなければならないことを目的としている。 本勅令法が施行される結果、改正資本会社法第285条第2項の規定は以下のとおり修正される。 「前項の例外として、経営組織は国内で行う本店移転の決定権限を有するものとする。ただし、定款にそれと異なる規定がある場合を除く。経営組織が本店移転の決定権限を有さないことを定款で明確に定めている場合のみ、定款にそれと異なる規定がある場合と解される。」 さらに、本勅令法は経過規定として、以下の定めを置いている。 国内での本店移転にかかる決定権限が経営組織に属さない旨を明確に宣言した定款変更が、本勅令法の施行後に承認された場合のみ、定款に異なる規定があるものとみなされる。 つまり、現行の定款で本店移転の権限は株主総会に属する旨の規定を置いている会社であったとしても、当該定款の規定が本勅令法の施行後に定款に盛り込まれたのでない限り、当該定款の規定は国内における本店移転については効力を有さず、したがって、経営組織が決定権限を有することになる。 本勅令法は官報での公布日の翌日、10月7日から施行された。 Mika Otomo より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年10月20日