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会社・株主間の書面のない貸付け

本稿では、2008年にある有限会社が会社の株主の一人かつ共同取締役でもある者に合計で10万ユーロに上る二度の役員貸付を実行した件に関する2018年4月5日付け最高裁判所判決について考察する。本貸付は書面の作成がされることなく実行されており、したがって、弁済期日、つまり、本貸付金についての会社へ返済すべき日が存在しなかった。 会社が株主に貸付を実行してから4年後の2012年8月20日、会社は株主総会を招集した。会社は、本件の債務者である株主に対し当該株主総会招集をスペインにおける内容証明郵便システムであるBurofaxを使用して通知した。株主総会の議題その2は「株主の債務の現状及び弁済請求」であるという記載が本通知にて確認できる。 本件の債務者である株主が不参加であった株主総会にて、現在、会社と株主間に存在する債務は同株主に対する貸付のみであり、元本にこれまでの利息額も合わせると、総額108.111,67ユーロに上ることが確認された。 それから一年後の2013年9月4日、会社は債務者である株主に対し貸付金全額及びこの元本に対する同日までの利息の合計119.371,92ユーロの弁済を請求する裁判を起こした。第一審判決は、本貸付金の存在を認めたものの、利息の金額には認めなかった。しかし、本件債務者に対し、元本の他に、当該訴訟の申立てが提出された日以降に発生した利息及び当該訴訟費用の支払いを求める内容であった。 第一審判決は、本件の対象となっている融資はビジネスローンの性格を持つもので、弁済期限が設けられておらず、よって、弁済請求のためにはスペイン商法第313条規定に基づき、通知受領日より30日後を弁済期限と設定する公証人通知を要するとし、これを理由に前述のような判決を言い渡した。 株主は、上記判決は弁済期限について以下のように規定する民法第1128条に反するとして、高等裁判所に控訴した。 「債務の弁済期限が定められていない場合、債務の性質もしくは状況によっては債務者にとって期限を付与された方が良いと予測される場合は、裁判所がこれを定めることができる」 上記条項を根拠として、株主は、弁済期限の定めがない貸付の場合は、弁済請求を実行するに先立って、裁判所主導ではなく契約当事者のいずれかの要請により、裁判において決定する必要がある、と主張した。 第二審法廷は上記論拠を退け第一審を支持し、貸付金の返済義務、加えて当該弁済請求が提出された日からの利息の支払い義務を認めた。しかしながら訴訟費用に関しては、債務者である株主に負担させるためには会社の債務弁済請求額が全額認められなければならないとし、一審判決を取り消した。第一審では、当該訴訟の申立てが提出された日からの利息の支払い義務を認めたが、原告である会社が請求した利息額については否定がされたからである。 控訴人である株主の観点からすると、第二審判決は要求していない弁済請求訴訟申立てがされてからの遅延利息の支払いを認めており、それは不適切であるとし、最高裁判所に上告した。 最高裁判所は、すべての状況を以下に挙げる論拠により明確にした。 本件は、その事実の性質と状況を鑑みると、返済の期限を設けたくない種類の債務であることは明確であり、よって民法第1128条規定の対象とはならない。 既にいくつかの最高裁判例として存在しているように、公証人通知要件は、広い意味において解釈されるべきであり、結果として、債務の存在及び、弁済請求が行われた時期を証明することのできる他のいかなる形態における通知方法も認めるべきである。よって上記通知日を起点とし、債務返済義務を履行するために30日間という期間を定める。 本件では、上記要件に当てはまるような支払い請求通知は存在せず、単に株主の一人として会社の株主総会招集通知であるBurofaxを受領したのみであった。そして本通知には、株主総会の議題の一つとして株主の債務の弁済請求という議案が含まれていた。最高裁の判決では、株主総会によって株主に対する債務弁済請求を実行することが決議された場合、その後、正式な通知を送付しなければならないとされた。正式通知の送付がなされていない場合は、債務の弁済請求を行うことはできないと理解すべきである、とした。 しかしながら上記の要件は、訴訟手続きの開始となる訴訟申立てにかかる通知の受領日を支払い請求がされた日と捉え、その日から起算して一か月後を返済期限とすることを、排除しなかった。 前述の見解は、利息発生日の判断に影響する。同見解によると訴訟申立て日からではなく、通知が受領されてから30日後に利息が発生することになる。同見解を理由として最高裁は、債務弁済請求訴訟手続きの開始日を起点として30日後に利息が発生するとしたとしても、債務者に利息の支払いを請求した第二審判決に矛盾はないとした。 Hugo Ester 詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es   2018年5月4日

EUにおける新個人情報保護規則

近年に生じた技術の変化を受け、欧州議会及び欧州委員会は、存在する大きなリスクから個人情報を保護するために欧州の法制を現代化させるに至った。この法令の現代化は、新個人情報保護規則(以下「新規則」という。)として実現した。 新規則は2018年5月25日からすべてのEU加盟国において適用が開始される。つまり、国内法規への変更手続きを要しない。企業は新規則の規定を守るために必要な措置を取り始めなければならない。 新規則の大きな革新は、以下の2つの要素に分けることができる。 1)率先した責任の原則 個人情報取扱い責任者は、個人情報の取り扱いが新規則に則っていることを保証し示すために、技術的及び組織的に適切な措置を講じなければならない。この原則は、取り扱うデータ、その目的及びデータ取扱いの種類について組織が分析することを要請している。 2)リスク管理 新規則遵守を保証するための対策を講じるにあたって、データ取扱いの性質、環境、状況及び目的のみならず、個人の権利及び自由に対するリスクについても配慮しなければならない。 このリスク管理の観点から、新規則は、個人の権利及び自由に対する高いリスクが存在する場合に取るべき対策及びリスクのレベル及び種類に応じて適応させるべき対策について定めている。 既存の原則の発展 一般的に、新規則は新しい原則を導入するものではなく、既存の原則をより効果的な方法で発展させている。 1) 許可がない以上は禁止 明白に許されていない限り、個人データのいかなる取り扱いも禁止される。新規則において、この禁止の原則はいかなる種類の個人データについて同様に適用される。 2) 目的の限定 企業がデータの収集・編集することができるのは、特定の目的の場合に限られる。このため、データの取得を開始するときにはその目的を定めなければならず、将来の使用についても予め検討しなければならない。 3) データの最小化 事前に定められた目的を果たすために必要な範囲でのみデータの収集が可能である。これにより、過剰なデータ収集を防ぐ。 4) 透明性 利害関係人に対する情報は簡潔かつ透明で理解しやすく、アクセスも容易で、明瞭かつシンプルな言語でなければならない。従前は正確かつ透明でなければならなかった。 5) 守秘義務 企業は顧客の個人データを、技術的及び組織的な盗難から守る義務を有する。これは新しい規定である。情報の盗難が発生した場合、予測可能なリスク及び保存されたデータの種類にとって技術的組織的対策が適切であったことが重要となる。 企業の個人データ取扱い主任者 欧州指令第95/46号は、データ保護の主任者の業務に焦点があてられていた。しかし、新規則では、データ取扱い事業の登録や実際に行う取扱いに適用されるセキュリティ対策の決定といった、個人データ取扱い主任者の義務も含まれている。 企業に関連するものとして、たとえ主たる事業活動がデータ取扱いと関連していないとしても、新規則は、10人以上の個人情報を取り扱う場合にはデータ取扱い主任者を1名おかなければならないとしている。これは中規模の企業に大きく影響を及ぼす。 さらに、新規則では、個人情報保護責任者はデータ取扱い主任者と契約を結ばなければならないと定められている。加えて、新規則はこの契約が含まなければならない内容についても定めている。 また、個人情報保護責任者は、適用すべき対策及びその方法を定めるために、実施するデータ取扱いのリスクの評価を行わなければならない。取り扱うデータに応じて分析の方法は異なるが、大きな組織は存在するリスク分析メソッドを使用した分析をすべきであろう。 データのセキュリティ評価に関する通知 新規則はデータのセキュリティ評価(またはデータのセキュリティ破綻)について広範に定義しており、これには「譲渡、保管又はその他の形態又はコミュニケーションもしくは情報へのアクセス権が無いものによるアクセスにおいて取り扱われた個人情報の破壊、損失又は不慮または故意の変更」を生じさせるような事象のすべてが含まれる。実務においては、顧客情報が入ったノートパソコンの紛失、ある組織のデータベースへのアクセス権のない者によるアクセス(従業員である場合も含む)、又は不慮の情報の消去といったものが、新規則の規定に従ったセキュリティ違反に該当するだろう。 情報セキュリティ違反が生じた場合、企業は当該情報の破損を認知した時点から72時間以内に情報保護管轄機関に通知をしなければならない。 Hugo Ester より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年3月23日

定時株主総会の招集・無効

定時株主総会としてではなく開催される株主総会の招集は、株主総会自体が有効に成立するように、法律もしくは会社の定款の規定に則って行われなければならない。具体的に言うと資本会社法(LSC)第173条がこれに該当し、同条において会社のホームページにおける公告の掲載義務が補則される以前には、商業登記所の官報(BORME )及び県内で一番の発行部数を誇る日刊紙の一つに株主総会招集についての掲載を行う義務を規定していた。 本稿では、2017年9月20日付最高裁判所判決を検証する。本件は設立以来全ての株主総会を定時株主総会として開催していたある株式会社が、2011年3月9日付で臨時株主総会を招集したことに発端する。本招集は、BORME及びセビージャの日刊紙「コレオ・デ・アンダルシア」へ公告が掲載された。 2011年3月9日開催の臨時株主総会には、当時代表取締役の一人であったコルネリオ氏のみが参加した。 コルネリオ氏以外の株主はこれを不服とし、本株主総会決議及びその結果としての登記記載項目の無効確認の請求を会社に対して起こした。コルネリオ氏は原告の申し立てに対し、本会社は当時、株主総会で決議が成立しない状態にあり、従来の定時株主総会の開催・決議という手順を踏むことが不可能であったとした。それ故に、前述の法律条項(資本会社法第173条)で規定する臨時株主総会の招集方法に則り、総会を招集したと反論した。 本件の第一審判決は、本無効株主総会の招集方法は、長年の会社の経営方法に比して全く新規の方法であり、他の共同代表取締役を会社の業務執行機関から解任することを目的にした株主総会であったことを理由に、原告の申し立てを認めるものだった。結論を言えば、本臨時株主総会の開催及び決議の無効確認がなされた。 コルネリオ氏は第一審判決を不服として、セビージャ県の法廷に控訴を申し立てが、同法廷は第一審判決を支持し、これを棄却した。第二審判決によると、本臨時株主総会は法規定に則って招集されてはいるものの、以下の理由に基づき代表取締役であるコルネリオ氏側に明確な権利の乱用が認められるとした。 (i)  通常、会社の株主総会の開催は口頭で全員一致により合意していたので、株主総会の招集をBORME及び会社住所のある県域内における大手日刊紙に公示を掲載する費用をかける必要性が認められなかった。 (ii)  招集した取締役は善意で行動すべきであり、総会の招集方法に変更があったこと及び、今回は法律で規定されている通常の手続きを踏む旨を他の株主に通知すべきであった。 (iii)  上記のように行動しなかった故に、権利の乱用があったとする。 (iv)  資本会社法第173条株主総会の招集に関する規定の目的は、株主に総会開催及び議事内容を確実に通知することにある。 (v)  最後に、直接の通知方法が通例となっている少数株主会社において、事前通知もなく、資本会社法第173条のみを適用することは、他の株主が株主総会の招集を知らないことになり、ひいては株主の権利を行使できず、同条項の規定目的に反する不公平な適用であるとみなすとした。 会社側は資本会社法第173条株主総会の招集に関する規定されている法的要件を満たし、それ以上はないとして上告したため、本件は最高裁判所の判断に委ねられることとなった。加えて会社は、第二審の判決は、悪意に基づく行動であり、招集をかけた取締役の権利の乱用であることを十分に証明できないことを理由に総会招集の無効性を否定した、以前に同様の件を判断した最高裁判所の判例に反するとした。しかしながら最高裁判所は、悪意に基づく行動及び権利の乱用であることを十分に証明可能であることを理由に本臨時株主総会の開催及び決議の無効性を確認した第二審判決を支持した。 結論 法律の規定に則っての行動であったとしても、それを利用、乱用もしくは悪意に基づく悪意に基づく適用を行なったと認められる場合には、無効にすることができる。 Hugo Ester Laín より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es 2018年2月16日

スペインにおけるドローン飛行の新規制

世界的ブームを巻き起こしているドローン業界は昨今、その使用方法とセキュリティーに関する規制を必要としている。 問題は規制が業界の成長スピードについていけていないことにある。過去3年の間にドローン関係の会社が3000社も設立されたことにより、これまで施行されていた無人航空機(ドローン)の使用に関するスペイン法第18/2014号は、安全な法的環境の下でのドローン市場の発展促進を目的とした一時的な性格を持つものであったことから、時代遅れになってしまった。 現行の規定は、ドローンを飛行させるための必要条件を最低限に定めていたが、過去数カ月の間ドローン業界が提起してきた潜在的な活動の蓋然性をカバーしていなかった。 そこで、スペイン政府は去る2017年12月15日、この新興の経済活動のさらなる躍進を助けるために現行の法的枠組みを修正する勅令を可決した。同時に、ドローンを用いた活動が安全に実施されるための対策を取り決めた。 新規制の他の対策の中には、ドローンの利用者が今まで許可されていなかった区域での安全な飛行を遂行するための必要要件を規定したものがある。例えば、建物付近、屋外の人が集まる催し物、及び夜間飛行中の航空機の上空飛行がこれにあたる。しかしながら、この種の飛行を行うためには、他の要件に加えて、安全飛行調査を行い、且つスペイン航空安全局(AESA)に前もって承認をうける必要がある。 管制空域における飛行も可能になったが、その際、個人及び団体のトレーニング経験の要件、航空交通サービス提供者とコーディネイトした航空安全性調査及びAESAの事前承認を遵守する必要がある。 他方で、ドローンの製造会社が遵守しなければならないデザイン、製造、メインテナンスに関する側面及び訓練に関して遵守しなければならない要件が特定された。これらの要件は、他の欧州諸国に存在する規制の枠組みと同等の条件になるよう規定された。 当該勅令は、更に、ドローン飛行の娯楽使用に関する対策を含んでいる。航空空域及び市民の安全性の保証を目的に一連の制限を規定した。 新勅令で規定された要件はAESAの監督・管理下におかれることとなり、遵守しない場合は、2003年7月7日に施行された航空安全法の規定に基づき民間航空機の分野における行政罰の対象となった。   付随条項 これに加えて、新規制は公共の安全に関しドローンの飛行にも関わる特別の配慮を与えており、以下のような一連の付随条項を組み込んでいる。 人口過密部及び都市部の上空を飛行する予定の者は、内務省の事前承認が必要である。 公共の安全を理由に、管轄当局は実施される活動に応じて、ドローン飛行を制限することができる。   Hugo Ester より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2018年1月5日

二つのEU商標の混同の可能性 OSBORNE と BADTOROのケース

去る9月20日、EU第一審裁判所は、Jordi Nogués, S.L.がEUIPO(欧州連合知的財産庁)に登録した図形商標「Badtoro」の登録抹消を要請したGrupo Osborne, S.A(以下「Osborne」)の異議申し立てを認めるEUIPOの判断を翻す判決を出した。 Jordi Nogués, S.L.は2010年に前述の図形商標を、テキスタイル、喫煙およびギフト用品、飲料などの分野で、EUIPOに登録した。Osborneは、自社の登録商標「Toro」、「El Toro」、およびtoro(雄牛)という言葉から連想される動物の形状で構成された図形商標と新規登録商標との間に混同する可能性があるとして、EU商標に関する理事会規則207/2009号を主張の根拠に、2011年EUIPOにJordi Nogués社の商標登録について異議を申し立てた。 EUIPOは、問題となっている商標が付与された品物の一部に同一性および類似性が認められるとして、Osborneの異議申し立てを支持した。EUIPOは実際に、前述したEU規則第8条に基づく混同の可能性を考慮した。同条は、先に登録されている商標の所有者による異議申し立てに基いて、その商標と先の商標との 同一性又は類似性及びこれらの商標により包含された商品もしくはサービスの同一性又は類似性のために、先の商標が保護されている領域において公衆の側に二つを混同する可能性が存在する場合、この場合の混同の可能性は,先の商標との関連を生じる可能性を含む場合は、出願商標は登録されないものとすると規定している。 しかしながら、EU第一審裁判所は本件事案について、以下をはじめとするいくつかの理由を示し、問題となっている二つの商標を消費者が混同する可能性が低いと判断した。 「Badtoro」商標では、表象的な要素(想像上の怒れる雄牛を描写する画像)が文字的要素の上に位置しているため、「toro」という単語は、申請された商標の二次的な位置を占める。 文字的要素は、正確には想像上の雄牛が表現するものを文字化したものである。申請された商標内における重要性とその独自性を考慮すると、動物自体ではなく、大衆が認識するのは文字的要素である可能性が高い。 問題となっている商標は両方共に「toro」という単語を含むが、その表現には多くの相違点が見受けられる。 つまり、二つの商標間の類似度は視覚的レベルでは乏しいが、音韻および概念レベルにおいては中程度である、とした。 EU第一審裁判所は、両者が商品化している商品のカテゴリーは重なっているものの、問題となっている二つの商標における全体的な類似性は、わずかな程度しか認められないと結論づけた。 商標全体を考慮したうえで文字及び表象の要素から導かれた論理によれば、一般人が前述のような二つの商標を目にしても、それらの間に関連性を確立しないと考えうるに十分であるとした。 これにより、EU第一審裁判所はEUIPOの決定を翻し、Jordi Nogués、S.L.に冒頭で述べた商品を商品化するための図形標章の登録を許可した。 しかしながら、Osborneは、本判決に不服がある場合には、2ヶ月の控訴期間内に欧州連合司法裁判所への控訴を申し立てることができる。 Hugo Ester より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年9月29日

EUにおける商標登録 vs 企業の事業セクター

本稿において欧州司法裁判所(TJUE)が直近に示した、消費者に混乱を与える可能性のある商標の登録及び当該商標登録を行った企業の事業セクターに関する判例について検討する。 本件は、複数の商品及びサービスについてLAGUIOLEの商標登録をした個人について取り扱った事件である。当該申請は欧州知的財産事務所(EUIPO)によって2005年に承認された。 ナイフやスプーン・フォーク等のシルバーウェアといった分野における製品が有名なフランス企業FORGE DE LAGUIOLEは、Laguioleという商標の取消抹消申請を行った。同社の主張は、フランス法によれば、同社の商号が有効と認められる範囲は地域に限定されておらず、したがって、直近の商号使用の禁止を申請する権利が与えられている、というものだった。 2011年、EUIPOは、FORGE DE LAGUIOLE社の商号とLaguiole商標との間に混乱を招くリスクがあるとして、Forge de Laguiole社の訴えを認めた。しかし、Laguiole商標の名義人である個人は、EUIPOの決定の取消しを求めて、欧州第一審裁判所に提訴した。 欧州第一審裁判所はEUIPOの決定を部分的に取り消し、Laguiole商標登録のうち、FORGE DE LAGUIOLEの事業セクター、すなわち、刃物、シルバーウェア及びその類似品の事業セクターに属すると考えられる商品についての商標登録のみを抹消した。したがって、Laguiole商標登録及び指定された事業セクターに属さない商品及びサービスのための商標の使用は認められた。 EUIPOは、欧州第一審裁判所の決定に満足しなかったFORGE DE LAGUIOLEの支援を受け、欧州司法裁判所に対し控訴を提出した。 欧州司法裁判所は、加盟国の現地法による会社の商号保護を評価するにあたって、欧州第一審裁判所は、決定を出す時点における現地司法機関の解釈等、現地法の規定を適用すべきであるとした。したがって、EUIPOがその決定を採用した後に出された現地司法機関の決定を考慮しなければならない(本件においてはフランス控訴審の2012年7月10日付判決が出されている。)。 続けて、欧州司法裁判所は、欧州第一審裁判所は本件に適用されるフランスの法令に従って、Forge de Laguioleがその商号に基づき要求できる保護は同社が行う事業活動の範囲内においてのみ有効であると判断したものと考える、と述べた。 欧州第一審裁判所判決の問題は、Forge de Laguiole社の事業活動の特定を行うに当たる判断基準を明確に述べなかった点である。しかし、これら事業活動の検証にあたって、裁判所はその使用、販売先等の顧客網及び販売方法等を考慮しており、したがって、Forge de Laguiole社の行う事業活動の特定は適正になされたといえる。 結果として、Laguiole商標の抹消をこれらの事業又はセクターの商品と考えられるものに限定したことは正しい。 最後に、欧州司法裁判所はその判決において、実施規則によれば、現行の国内法令のもと会社が上記権利を行使することが認められていること及び国内法令において保護されていることについて、現地法によって証明できることの立証責任は、登録無効の訴えを起こした原告が負うものであると示した。 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 Hugo Ester Laín va@vila.es 2017年9月1日

新EU指令:欧州会社法

欧州連合(EU)組織とその共通権益をより発展させるための加盟国の責任は、政策統一及び共通戦略の特定が困難なこと、また問題を迅速に解決できないことを理由に妥協されがちである。しかしながら、法的分野においては、例えば我々の以前の記事「EU内の会社登記情報の相互接続の進展」で触れたように、加盟国間で、情報共有を容易にしようとする動きが見受けられる。 6月30日付EU官報(DOUE:Diario Oficial de la Unión Europea)で、2017年6月14日付で決定された欧州議会及び欧州理事会指令第1132/2017号「会社法の特定の側面に関する指令」が公示された。当該指令の目的は、法的安全性及び、企業と第三者との関係における権利の保護をより強化するために、各加盟国の間に存在する会社法の制度の相違を統一することにある。 本指令は現行6指令、EEC指令第82/891号、EEC指令第89/666号、EC指令第2005/56号、EU指令第2011/35号及びEU指令第2012/30号を統合するものとなる。 新EU指令の主な目的は、以下の通りである。 EU条約第54条第2項によって規定されるような、加盟国内で設立された会社の株式保有者、及び第三者の権益保護のために、株式会社設立、資本の維持及び修正に関する加盟国内の法律を調整すること。 EU条約第54条第2項によって規定されるような、加盟国内で設立された会社の株式保有者及び第三者の権益保護のために、株式公開について、株式会社あるいは有限会社によって締結された義務の有効性あるいは無効性に関して法律を調和すること。 他国の法律が適用される特定の種類の会社が、加盟国内で支店を設立する場合の株式公開要件 株式会社の合併 国境を越える株式会社の合併 株式会社の分割 当該指令によって保証された加盟国内の法調和措置は、株式会社にとって特に重要である。というのも、株式会社は加盟国の経済活動において特に重要な役割を果たしており、国境を越えて広がりを見せているからである。 さらに同指令は、株式会社の定款及び株式会社設立に関する公正証書が満たさなければならない要件を調和し、全ての関係者が会社が持ち合わせる本質的な特徴、とりわけ総資本の正確な構成を知ることができるよう、EU全体でこれらの要件を均一化することとなる 。 上記のような措置により、新指令はEU内における会社設立の自由を達成するために会社法の足並みをそろえ、自由貿易に関する基本的な権利を適用することを目指している。 Hugo Ester Laín より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 va@vila.es 2017年7月14日

倒産手続きにおける企業グループ 同一人物が倒産債権者である会社及び倒産債務者である会社を支配する場合

2017年3月15日付最高裁判決は、商法第42条第1項の定義する「グループ会社」は、法人が民事再生中の会社及び再生債権を有する会社に対して支配権を行使する場合のみならず、当該支配権が自然人によって行使される場合にも存在しうる、との見解を明示した。 本件における争点は、民事再生手続きにおいて会社Bが会社Aに対して有する再生債権であった。管財人は両当事者会社が一人の同じ自然人によって経営されていることに注目し、債権者が債務者と「特別な関係にある自然人」である場合には、その者が有する債権は劣後債権と分類する、と定める倒産法第92条第5項を根拠に、当該債権を劣後債権と分類した。 B社は債権者リスト、具体的には当該債権を劣後債権とする分類を不服として異議を申し立てた。商事法廷は、再生中の再生債務者である会社及び再生債権者である会社の両当事者はそれぞれ、同じグループに属する一人会社であり、当該グループのトップに立つ者は自然人であり、他の会社の65%及び79%を有する株主であると同時に、再生債務者である会社及び再生債権者である会社の100%株主であることを理由に、B者の異議申し立てを棄却した。 B社はバルセロナ県裁判所に控訴し、同裁判所は以下のような理由で控訴を認め、当該債権を普通債権と分類する判決を下した。 2007年7月4日付法第16号による商法第42条の改正後、企業グループの存在を判断するための基準は、従来の指示系統から会社の支配に置き換えられた。これは、ある会社が直接あるいは間接的に別会社又は複数の別会社の支配権を保有することを意味する。 現行の商法第42条第1項は、決定の統一という考えに基づき、その適用範囲から水平的なグループ会社を除外している。本件において、バルセロナ県 裁判所は、双方の会社(A社及びB社)の間には階層的な関係及びいずれかの会社がもう一方を支配する関係は認められず、両社は平等な関係にあるとした。 さらに、バルセロナ県裁判所は、前述の商法第42第1項は、グループの親会社に連結計算書類の提出を義務付けていると結論付けた。この結論を根拠に、県裁判所は、一人の自然人によって支配されているという状況を鑑みると、グループを構成する個人または会社のいずれかが連結計算書類を作成していたかどうかは明らかではない、と説明した。 最高裁は、この上告理由の中で最も議論の余地があり、かつ、これまで裁判において取り扱われていない争点は、再生債務者である会社と再生債権者である会社の支配権を有しているのが、商事会社ではなく一人の自然人である点であるとした。最高裁は、再生債務者である会社及び再生債権者である会社への支配権の行使が、それらの間接的なトップである自然人によって行われ、又は、他の会社を通じて行われるような場合であっても、支配的状況が存在していたことは明らかであることを明確にし、その理由として、両社は株主が一人しかいない一人会社であり、その株主が、当該自然人と同一人物であることを示した。したがって、支配権が存在する場合には、商法第42条第1項の適用外となる水平的なグループ会社であると言えないし、 また、当該条文の解釈においては、支配権をもつのが商事会社か自然人かにかかわらず、支配的状況の存在が重要であるとした。 最後に最高裁は、当該条文は計算書類の目的のみに関連し、その他の目的には重要性を有さない要素を含んでいることを鑑みると、グループ企業が存在するためには、支配権を行使するのが連結計算書類の作成義務を有する商事会社であることは必要ではないことを示し、商事会社に影響を与える会計上の義務は、自然人に影響を与える義務とは異なり、倒産手続きの目的においては重要性をもたないと結論付けた。 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 Hugo Ester va@vila.es 2017年5月12日

取締役等の連帯責任に関する規制緩和について

資本会社法(以下「LSC」)第363条は、以下に該当するような場合には、会社は解散しなければならないと定めている。 1年以上の間、会社の目的を構成する活動が停止状態である場合。 会社の目的である事業が終了した場合。 会社の目的を達成することが不可能となった場合。 会社の経営組織が麻痺状態にある場合 会社の純資産額が資本金の半分以下になる損失を出している場合 資本金が法定金額を下回った場合 会社の出資持分(S.L.の場合)または無議決権株式の額面価額が払込み資本額の半分を超え、2年以内の回復が見込めない場合 あるいはその他定款に定められた事由による場合。 したがって、会社が上記いずれかの状態に陥った場合、株主は、取締役が招集する株主総会の決議を通じて、会社を解散させなければならない。株主総会が招集されない場合、取締役は、LSC第366条にその義務が制定されている通りに、裁判所における会社の解散手続き(支払い不能状態の場合には倒産手続きの開始)を早急に申し立てなければならない。この解散手続きを実行しなかった場合、LSC第367条に規定されている通り、法定解散事由の発生以降に生じた全ての事項において、会社取締役の連帯責任を追及できるとしている。   以前は、法定解散事由前後に発生した事項 についての責任が問われたため(2005年法第19号)、会社の解散をしないことで第三者に与えうる損害を緩和するための適切な措置が講じられていれば、裁判所は取締役の責任を免除・軽減することができた。このような取締役の責任緩和に関する事例として、2008年11月20日、2009年6月1日及び2010年2月12日の最高裁判所判決を挙げることができる。 しかしながら、例え取締役等がとった措置が適切であったとしても、2017年1月18日付最高裁判所判決第27号が示すように、必ずしも彼らの責任が免除・軽減されるとは限らない。当該判決の中で、最高裁判所は事実関係を以下のように展開した。 会社は、2008年度決算を損失で終えたものの、その純資産額が資本金の半分以下になることは免れた。 それに続いて、2009年度末には同社は大きな負債を抱えることとなった。他方、その年の年次計算書類を商業登記所に提出しなかった。これは、後述する特筆すべき理由である。 2010年初頭、当該会社が第一回整理解雇案を提出した。 その後、全従業員の雇用契約の解除を求めるEREを申請し、2010年5月に承認された。 続いて、同社は資産と負債の譲渡を行い、譲渡に関する公正証書には300万ユーロに及ぶ社会的義務が明らかになった。 債権者は同社に対し、純資産額を資本金の半分以下に減少させた損失による解散義務に基づき、取締役の責任追及するための訴えを第一審に提起した。第一審判決は、2009年度計算書類の登録義務不履行のために、2009年の時点で解散事由に値する状態にあったと推測するには十分な証拠がないとの見解を示した。 本件において会社側は、取締役は会社解散に関する手続きを進めなかったものの、財務状況を改善するための適切な措置をとったとして、前記の最高裁判例の判示するところとの整合性を求めて特別上告を申し立てため、本件は最高裁で判断されることとなった。 倒産債務者である会社が実務に提起した問題は、同社が解散を促進しなかったことが証明され、かつ、第三者に対しては経済危機を緩和するための行動をとったと証明できた場合、取締役等の責任を免除・軽減できるかどうかである。 最高裁は、 そのすべてにおいて会社の消滅にむけての準備と評価できるような場合には、当該会社の取った措置が解散義務の省略を正当化するものとはいえないとし、その請求を棄却した。当該軽減例は、最高裁の判決に見られるように、例外的な状況のみで適用されるべきである。   より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 Hugo Ester Laín va@vila.es 2017年3月31日  

債務不履行にかかる刑罰の裁判所による緩和

違反した場合に刑罰が科されるような義務の場合、他に合意がされていない限り、当該義務について不履行となった場合に実施される科刑は、損害賠償と遅延利息の支払いに代わるものである。 これらの刑罰規定に関して、最高裁の確立した判例により設けられた民法第1154条 「債務者による主たる債務の一部のみまたは不完全な履行の場合には、裁判官は刑罰の量を公正な観点から修正することができる」との規定 を考慮しなければならない。 最高裁判所判例の流れを汲み、民法第1154条は「裁判所による刑罰の緩和は、債務者が主たる義務の一部のみまたは不完全に履行した場合にのみ可能であって、支払遅延に基づき刑罰が科される場合のように、両当事者が、刑罰が科されることについて熟考できるようなケースで直接かつ明確に刑罰が適用される場合ではない。」としている。2009年12月29日最高裁判決第839号においても、これまでの判決と同様に上記見解が示された。したがって、従来の判例では、契約に定められた刑罰が金銭の支払義務の全部あるいは一部の不履行または不完全履行に基づき適用される場合には、裁判所による刑罰の修正を否定していた。 しかし、直近の2017年1月25日の判決において、裁判所による刑罰の修正にかかる見解について例外が示された。それは、契約書において定められた刑罰であっても、(i)債務の全額が未払いであっても、損害賠償額がこの債務額よりも圧倒的に上回る金額である場合で、かつ、(ii)当該債務が生じた時点で予見できなかった状況の変化があった場合に、裁判所による刑罰の修正が認められるというものである。 同様のケースにおける民法1154条の適用を正当化するために、最高裁はその判決において、当該義務の不履行について刑罰条項に定められる金額が、刑罰が科される義務の不履行によって生じた損害額よりも大きいという事実のみでは足りないことを説明している。 この判決は、実際の損害額と刑罰の額との差額が異常なまでに乖離しているような場合には、契約締結時には予見不可能だった事情が存在し、契約締結時に合理的に予見可能であった損害とは根本的に分けて考えるべきであって、 Sunt Servanda 原則(当事者の合意が守られるべきとする原則)と民法第1154条の類推適用による裁判所による刑罰の緩和は両立可能であるとしている。 最高裁判決は、裁判所による刑罰の修正のために、実際の損害額を刑罰の金額が異常に上回ることの立証責任を債務者に課した。 最後に、最高裁は、債務者は、債権者が実際に被った損害の金額についての立証責任を債権者に転嫁することを目的として資本会社法第217条第7項の「立証の可否」を引用することができないと述べた。 より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。 Hugo Ester va@vila.es 2017年3月3日