仮想通貨と法規制の展望 | Vila Abogados

                  ESPAÑOL | ENGLISH | DEUTSCH | 日本語 |

Share this post

政府および法令が対応し得るスピードよりも速く商業的発展や社会的変化が起こることは、しばしば見受けられる現象である。仮想通貨の場合2009年にビットコインが市場に登場し、ユーザによって迅速に受け入れられた結果として数百の仮想通貨が追随してから数年が経過した。同じような形態ではないにしても、今日、約1500の仮想通貨が世界中で使用されている(公式に存在する法定通貨の約7倍の数となる)が、政府の対応は今のところ無いに等しいか、あったとしても非常にゆっくりしたものである。

仮想通貨が非中央集権的な創造と貿易の産物であること、及び仮想通貨の発行に関する責任者が存在しないこと、そして価値の管理の面では、常に信用及びシステムに永続的に接続している個人に基づく状況であることを考慮すると、仮想通貨は法規制とは相容れないと結論付けることができる。基本的に、政府は通常の法定通貨を政府及び従来の権力によって効率的に管理・規制することができるが、仮想通貨の場合、前者とはかけ離れた、企業群と個人の間で共有される分散型元帳技術と呼ばれるデータベースによって効力を付与される。銀行及び規制当局は、仮想通貨取引に帰来する法定通貨の送金は常に停止することができるが、仮に仮想通貨が法定通貨に換金されていない場合は同じようにはいかない。

規制欠如のもう一つの理由は、政府が仮想通貨の規制をすることは法定通貨の一般的な信用を損ねることになり、結果的にシステムの崩壊に繋がる危険があると考える傾向にあるためである。第二に、もしかしたら政府は、この仮想通貨という現象への対処方法も、実際に法規制をする意味があるかどうかさえも分かっていないのではないかという推測も成り立つ。

実際のところ、とりわけ10代や若者を中心に仮想通貨をただの支払い方法としてだけではなく、投資の対象として購入する人は、ますます増加の傾向にある。最近の例では、ある若者はビットコインの購入理由として、自身の貯金では大きな投資は難しいが、仮想通貨は気軽に購入可能である上、支払いに使用することもでき、短期間での価値の増加も望めるためと述べた。おそらくこの若者は一般的に言えばその逆に、この手の投資は短時間で急落する可能性もあるという意識が欠落していたが、事実としては今のところ、この若者は正しいことを示している。

しかしながら、仮想通貨を「金銭」としてみなすべきか、あるいは無形のコモディティや資産とみなすべきか、という問いが存在する。仮想通貨は単なる投機の対象物、かつ、非合法な経済活動の道具となりうるものだという主張は、金及びダイヤモンドのような、他の資産価値が信用に基づくものであるものもまた、非合法的サービスや武器の購入の報酬手段として使用される現実と比較されるべきである。とすると、なぜ他の通常の資産への投資には仮想通貨より多くの貸付が付与されるのだろうかという、疑問も生ずる。

市場のアプローチは、通貨として取り扱うよりも、資産として捉える方向性にある。2017年12月、先物取引所および投資信託取引所において仮想通貨の取引が開始され、その高い価格変動性が素早い収益を促し、顕著な成功を収めている。最近のニュースによると、2017年度の一番収益の高かったファンドの収益の87%が、仮想通貨のエクスポージャーによるものだった。

市場は仮想通貨を、一般的かつ公式に認識されている支払い手段としてではなく、資産として扱っている。仮想通貨は実際には、それだけではないにしても、今の所通常の通貨として機能しているというよりは、物々交換経済の支払い手段とされているのが現状である。仮想通貨が支払い方法の一つとして使用されているのは、特定の商品もしくはサービスの供与の代わりに、同等の価値を有するとみなされる他の資産を売主が受け取るといった物々交換経済における同様の基盤のように支払い者と受領者の間の相互信用に支えられているためである。つまり、仮想通貨の価値の認識とその将来の価値への信用である。しかし、仮想通貨を「金銭」と呼ぶのは難しい。なぜなら、この概念は法概念を具体化しており、交換可能な単位として認められるためには名目上の力によって一定の法の承認を満たさなければならない。仮想通貨は同じ骨格を共有している。それらは分散された「金銭」だが、果たして正式に政府や中央銀行によって保証される従来型の金銭に等しい法定通貨と考えるべきだろうか? 少なくとも現状においては、そうすべきではないだろう。ほとんどの国が仮想通貨の法的性質についての考えをまとめられていない一方で、インドは仮想通貨を法定通貨と考えることを否定した。その代わり、それらを仮装「資産」と呼ぶことで、不法行為への資金提供のための使用を厳重に取り締まる対策を公表した。

スペインの財務大臣は2015年、仮想通貨は支払い手段として機能し、その特殊な性質から「その他所得」と考えるべきであり、したがって、その送信は付加価値税の課税対象となるが免税がされる、との結論を示した。

最近では、通貨当局は、紙幣の発行と並行して、デジタル通貨創設に対して門戸を開くべきとの提案がされている。つまり、中央銀行がデジタル通貨を公共に対して発行するということであり、個人又は法人はクラウドに設置される仮想通貨口座の所有者になるということであり、当該口座を取り扱うためのプライベートキーは中央銀行によって補完されるということである。この方法によれば、中央銀行は仮想通貨によって行われる取引に介入することができるようになり、同時に、預金保有者に対して合法的に責任可能となる。しかし、まずは、そのようなスキームを設ける利益及びそのようなコンセプトが一般に受け入れられるかについて、仮想通貨への投資は匿名で行われることを念頭に、自問すべきである。次に、もし仮想通貨がクラッシュしたら、政府は、多額の利益を求めて非常に乱高下することに賭けて仮想通貨に投資をした人を救済するべきだろうか。政府は先物に多額の投資をした者を助けるだろうか。もし答えがNOであるなら、なぜ仮想通貨については政府が救済すべきなのだろうか。

ロシアや中国といった一部の国が独自の仮想通貨を開発している一方、日本やベラルーシといった国では、仮想通貨を禁じたり妨げたりする代わりに、仮想通貨交換業を規制する法令を整備した。さらには、既に「仮装通貨国家」となる考えを述べているスイスのように、仮想通貨の世界資本となるようなアプローチをする政府もある。税の透明性に欠けていることで有名な他の国々や地域が短期間でそのようにならなければ、それは驚くべきことだろう。

銀行はどうだろう。銀行は、ブロックチェーン技術が金融取引の状況を変えていることを知ってはいるが、そのアプローチは、規制の枠組みがないことから、非常に慎重である。例えば、もし多くの銀行によってブロックチェーンが使用されたら、ブロックチェーンはSWIFT支払いに取って代わる結果となるだろう。つまり、仮想通貨の価値はネットワークへのシームレスコネクションにリンクしており、もしこれが失敗すると、彼らの現在の価値には大きな疑問符がつけられることとなるだろう。激しい乱高下は銀行にとって仮想通貨マーケットから当面は距離を置く、さらなる理由となる。しかし、銀行はその根底にある技術に深い興味を抱いているように思われる。リップル(Ripple)のケースでは、ブロックチェーン技術から生じるビジネスチャンスを逃したくないため、100以上の銀行及び金融機関が彼らの商品の一つを採用した。

仮想通貨は安全といえるだろうか。先週、この件についてマーケットと投資家に関するショッキングなニュースが飛び込んできた。1月26日のほんの数時間のうちに、500百万アメリカドル以上の価値のあるXEMコインの仮想通貨ユニットが、日本企業のコインチェックから盗まれた。ハッカーが同会社のセキュリティを破り、インターネットに接続されたコンピューターにあったホットウォレット内のバウンティを見つけたことにより生じた盗難だった。この盗難は約260,000人の投資家に影響を及ぼし、そのうちのほとんどが日本の投資家であったが、被害に遭った投資家に対して同会社は、420百万USドルを財源の上限とした部分補償を提案した。

 

 

2017年の4月、日本は世界で初めて仮想通貨交換業に関する法令を施行したことに言及するのは適切だろう。当該法令は、信頼でき、かつ、安全な仮想通貨取引のための確固たる基礎を構築することを目的として、財務及び技術の両面において将来の交換業者に非常に多くの要件を制定した。マーケットのプレイヤーとして参加するにあたっての規制を設ける方法での行政によるフィルターを持つことは、仮想通貨システムに対する公共の信用性を与える効果があった。日本の金融庁は2017年9月下旬に最初の仮想通貨交換業者の登録を12の業者に出した(今日における登録業者数は16)。以降、ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格の爆発的な上昇を私たちは目撃した。これは、一部には仮想通貨を用いた取引を行う日本の小数投資家が多く参入したことによると言える。コインチェックは金融庁の登録を受けずに仮想通貨取引所の業務を行なっていたが、法の施行前から当該業務を行なっていたため、みなし業者として、業務の継続が認められていたためである。XEMコインの購入を決めた投資家のほとんどはミレニアル世代で、経済力に限りがあるが、彼らはシステム(そのセキュリティも含めて)を信用し、短期で大きな利益を得る期待を抱いていた。2014年にマウントゴックスで同様のケースが発生していたため、リスクがないと言うものはいなかった。アメリカの規制当局によれば、2009年から2015年の間、取引の約3分の1がハックされていたが、一般投資家はこの事実や仮想通貨取引のリスクにかかるその他の要素に気づかない場合が多い。コインチェックのケースで言えば、規制はハッキング予防には不十分であることが判明したため、日本の金融庁によって設けられた法的枠組みが十分といえるのか、といった疑問が投げかけられている。しかし、金融庁の立場から言えば、ブロックチェーン技術が未だ開発途上であるが、そのテクノロジーそのものにあるため、犯罪予防の解決策が金融規制当局の十分な管理下になかったということは、不公平ではないだろう。いずれにせよ、必要なものは、潜在的投資家に仮想通貨取引の基礎及びそれを支える技術、さらには、この種の資産とそれに関する取引に固有のセキュリティリスクを説明するための基本的かつ不可避的なルールであろう。

Eduardo Vilá

より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。va@vila.es

2018年2月9日

Print Friendly